第401話 君の名は(1号車)

2011年12月14日 05時56分37秒 | 子育て・「おママごと」

息子が「観光バスに乗りたい」と言う。
乗車したが、最後。逃げ場のない密室空間である。
息子の「乗りたい」という気持ちがあっけなく「降りたい」に変わらないだろうか。
団体行動、集合時間厳守である。果たして4歳児に可能なのだろうか。何より、
停車したサービスエリアに息子の排泄タイムをうまく合わせることができるのか?!
多くの不安とパンツ・ズボンセット(万一の時のための着替え用に)を抱えながら、
息子の願いを叶えるべく、バスツアー(日帰り)に参加することにした。

添乗員さんが「それでは、ご夕食会場に案内します!」
と言った絶妙のタイミングで息子が「おしっこ」と言いだす。
「会場についてから! それまで、我慢できない?」「できない」
すると、そばにいたご婦人が
「おばちゃん、(私が大量に持っていたお土産)持っといたろ。とれへんから、いっておいで」
ご婦人に手荷物を託し、猛ダッシュでおトイレに向かう。
母子二人での参加だったので、差し出された手がありがたかった。

バスの中で寝ると思っていた息子が眠らない。
大きなお砂場を見せてやろうと鳥取砂丘を選んだが片道4時間・・・
私って馬鹿だと後悔した帰り道、後ろから、パンダが!
「ほい」と言って後部座席のおじさんが息子に切り絵のパンダをプレゼントしてくれた。
「はさみがないから、上手にできてないけどな」
旅の行程が記された紙を使って、器用に手でちぎったパンダはぼよぼよで・・・
「いえ、味のあるパンダです! ありがとうございます!!」その可愛さに親子で大興奮。
おじさんが即興で作りあげていく動物の切り絵。
次は何がでてくるのだろうと期待しながらバスの中で過ごしたこの時間が、
実は私のこの旅一番の思い出。

乗車した3号車に小さな子供は息子一人であったのが幸いしてか、
ご年配の方から頭をなでたり、話しかけられたり、
若い女子会グループの方から「可愛い」などと言ってもらえたり。
手を差し伸べてくれたご婦人には、息子と同じくらいのお孫さんがいると言う。
たまたまこのツアーに申し込み、たまたまおじさんの前に座った我々。
手元に残る18枚もの切り絵。
見知らぬ方々とのあたたかな交流にこのバス旅行に来て本当によかったと心から。

コメント
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