ネットで見ると、あまり評価の高くない1996年版でしたが、出だしはまあまあ、金田一耕助登場シーンで里村典子が出てきたところはもう感動ものでした。
これだよ、このシーンが見たかったーと思いました。
いいですねー典子さん。喜多嶋舞さんお上手でした。
これで辰弥を「お兄様」と呼んでくれたら最高だったのに。
典子が出てくるとドラマの陰惨さが減ってくるのでした。
そして、里村慎太郎と森美也子の関係を原作に沿って描くと、こういう展開になるのですねー。
その分、辰弥の出番が減ってしまいました。
どれだけ、1977年の松竹版が辰弥と美也子を中心に描くためにうまく作られていたか、またあまりによくできた設定だったために後の映像化に影響を与えたかがわかります。
「八つ墓村」は松竹版の設定から離れれば離れるほど、見ている人に違和感が出てしまうのでしょう。
主役が分散してしまって、後半は物足りないものとなり、謎解きは美也子の独白シーン中心であっさりしすぎだったのは残念でした。
この映画の弱点は辰弥の視点から描かなかったために、犯人がわかりやすくなってしまったということですかね。
辰弥の視点で描けば、もちろん、彼の母鶴子との思い出をもっと出すべきだったし、辰弥が知らない慎太郎と美也子の関係は描く必要がなかったのではないでしょうか。
そして、金田一耕助も出過ぎなのでした。
戦国時代と要蔵の話は再現シーンは要らず、話だけにしてしまう手もあったのではないでしょうか。
だって、松竹版には絶対勝てないですもの。
それでも、ラストの方の辰弥と典子のお別れシーンが、今後の二人の関係の展開を予想させて、ちょっぴり微笑ましかったです。
ということで、原作を好きな人にはおもしろい映画でした。ベストな映画ではないのも事実ですけれど…。