砂時計は1995年の作品で、どう見てもヘビーそうなのでいままで手が出ませんでした。
GYAOで春の日を見てコ・ヒョンジョンの昔の作品が見てみたくてDVDを借りてみました。
主人公は3人、裏社会に生きるパク・テス、検事として不正を追及するカン・ウソク、2人の初恋の相手ユン・ヘリンです。
テスとウソクは高校で出会います。テスは遊郭の女主人の息子、ウソクは貧農の息子です。
テスはけんかで高校で1番で、ウソクは勉強で1番です。2人は互いを認め合い、親友になります。
テスは陸軍士官学校を受験しますが、死んだ父が共産主義者だったため不合格となります。
母は父の眠る山へ行った帰り、列車事故で死んでしまいます。
絶望したテスはやくざの世界に飛び込みます。
ウソクはテスにもらった入学金で大学に入り、司法試験を目指します。
大学でウソクは学生運動をするヘリンと出会います。
ヘリンを貧しい家庭の娘だと思ったウソクはヘリンを応援し、ヘリンはウソクの下宿の隣の部屋に住むようになります。
ウソクを訪ねてきたテスはヘリンと知り合います。しかし3人の幸せな時間は長く続きませんでした。
ウソクは警察に追われるテスを助けるため司法試験に間に合わず、落ちてしまいます。それでもウソクはテスを責めません。
ウソクは警察に連れていかれたヘリンが、カジノ業界に君臨する父を持つことを知り、ヘリンとの別れを決意し軍隊に入隊します。
裏社会で、高校の同級生だったイ・ジョンドとのコンビでテスは頭角を現していきます。
政治活動の手先となることで力を着けていき、ソウル進出を果たします。
軍隊に入ったウソクは光州事件の鎮圧に向かいます。
テスもやくざをやめた弟分を訪ねて光州へ行き、光州事件にまきこまれ、市民軍の一員になります。
ウソクは市民に発砲し命を奪ってしまいます。そのことがウソクの心に深い傷を残します。
テスも弟分が死んでしまいます。
光州市民の悲惨な状況、しかし、全国にその悲惨さは知らされない。
光州事件が韓国国民に残した傷を認識させてくれます。
ヘリンは父の力で警察から釈放されたあとも、学生運動をつづけ警察に追われる身となり正体を隠して逃げますが、ついに捕まり、拷問を受け、仲間を裏切ります。
なんとか、父の力で釈放されたヘリンは心を閉ざします。そんなヘリンを見守っていたのがペク・ジェヒです。
彼はヘリンが少女時代に父に敵対する勢力に誘拐された時に、仲間を裏切ってヘリンを助けたことが縁でいつもヘリンにつきそっていました。
ジェヒによって感情を表に出せるようになったヘリンはテスに会いに行きます。
テスとヘリンは付き合うようになりますが、ヘリンの父によって引き裂かれます。
テスは矯正収容所に送られてしごきを受けます。
ヘリンはテスを収容所から出すためウソクに会い上官に賄賂を送ることを頼みます。ウソクはテスのため不正を犯します。
しかし、テスは収容所で反抗し、収容所から出ることができません。脱走を試みますが失敗します。
ヘリンは父に頼み、父の後継者になること、テスに会わないことを約束してテスを釈放してもらいます。
釈放されたテスはジョンドに会い、ジョンドがヘリンの父の手先となり、テスを裏切ったことを知ります。
テスはヘリンに会い2人で暮らしていこうとしますが、ヘリンはテスのもとを去ります。
「もう2度と自分の女を残してどこかに追いやられるような無力な男にはならない」テスは誓います。
テスは昔の仲間を集め、進んで政治活動の手先となり裏社会で力をつけていきます。
砂時計の前半は不安定で過渡期にある国がいかに個人を踏みにじるかが描かれています。
テスは国に存在を否定され、国と関わることがない裏の世界で生きていこうとします。
しかし、国は彼を捕え自由を奪い人格を破壊しようとします。
ウソクは国の一員として責任を果たそうとしますが、国は彼の規範に反する行動を強いてきます。
そのことでウソクは一度は法曹界を断念しますが、父の遺言により検事となります。
しかし、検事となった彼も国によって正義を貫くことができません。
ヘリンは学生運動に身を投じることで国や父に反抗しますが、結局、国の強制によって生き方を変えざるをえません。