matta

街の散歩…ひとりあるき

34丁-精進物を 仏前に供し、僧侶を雇い、読経せしむるがごときは、これ世俗の虚礼なり…『葛飾北斎伝・巻上』飯島虚心 

2021年04月21日 | 絵画・彫刻

北斎が母の年回に、馬琴その困窮を察し、香典そこばくを紙に包みて与えたり。
その夕、北斎帰り来たりて、談笑の間、袂より紙を出し、鼻をかみて
投げだしけるを、馬琴見て大いに憤りて曰く、これはこれ今朝あたえし、
香典包の紙にあらずや、この中にありし金円は、かならず仏事に供せずして、
他に消費せしならん。不幸の奴めと罵りければ、北斎笑いて曰く、
「君の言のごとく、賜うところの金は、我これを口中にせり。が精進物を
仏前に供し、僧侶を雇い、読経せしむるがごときは、これ世俗の虚礼なり。
しかず父母の遺体、すなわち我が一身を養わんには。一身を養い、百歳の寿を
保つは、これ父母に孝なるにあらずや」と。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする