美しい久野・里地里山協議会の近藤忠さんより、
気仙沼大川の水質調査結果と川の写真が送られてきました。
気仙沼は「森は海の恋人」の畠山重篤さんが、カキの養殖のため、
海の栄養分には、森の再生が必要と、長年山に広葉樹の植林をしてきました。
そんな気仙沼の川を流れる水は、違いがあるのでしょうか?そんな疑問から、
遠い宮城県まで行って調査され、久野川の水質と比べています。
以下近藤さんの記録です。
・・・・・

気仙沼から室根山へ続く大川をたどりました。
検査用の水は4/29に採取し、5/1まで冷蔵しながら保管、持ち帰り、
5/1日に県の環境科学センターで調べました。
(比較するものとして、久野川の4/22の結果を添えました)
写真は(1)から番号が上がる方向へ上流へと向かいます。(添付地図参照)
室根山中腹までを撮影しながら上りました。
お送りした写真はごく一部です。

(1)は汽水域(海)に近い場所です。
水量、河川規模は久野川の1.5倍くらいとイメージしてください。
(生活雑排水も流れ込んでいるようですが、
全体的に久野川よりきれいな印象でした。
ハゼ、カニの穴を確認、泥底でやや濁っている(水色はやや茶色がかる))

(2)中流域という感じの場所で橋から下流を見た写真です。

(3)里山(久野川ですと星山橋といったところ)
おなじく橋から下流を見た写真です。

(4)里山(久野川の坊所あたりの感じ?)

(4.5)渓流にはならずに山間を流れる細流になりました。

(5-1)室根山山頂方向を見ています。

(5-4)室根山中腹の蟻塚公園近くの森です。
手前に杉の植林、後方に自然林?が見えます、
その境目の流れが(5-6)(5-10)(6-1)です、

(5-6)

(5-10)

(6-1)
カゲロウが多く見られて、水量も安定し土砂の流入もなく、
とても健全な源流だと思います。

(6-5)

(6-6)杉林の流れに接した急こう配の林床です。
安定している様子がうかがえます。

(6-7)その林床を掘ってみました、上面には杉の落ち葉の層が、
その下には分解が進み根や落ち葉の分解菌の白い菌糸も見えます。
その下は土となりますが、根がたくさん張っているのか?掘り辛くなりました。

(6-8)下生えにクマザサがある原生林?

(7-1)道路横の側溝にも落ち葉が堆積していて、
そこからたくさんの芽が出ていました。
おそらく水に浸かった落ち葉も分解が進んで下は土化しているのでしょう。
続いて水の調査結果です。
採取場所の数字(1)は写真の場所と同一です。
(下記表 久野川との比較では、水に着色があるところ、
またCODの値が高いところが一番大きな違いです。

結果、考察等
*今回の調査は水と森の接点(川べり=フルボ酸鉄の移動場所)
に注目しながら行いました。
*気仙沼大川の源流で最も高い山が室根山なので
象徴的な存在になっているようでした。
実際には大川は幾つもの支流があり、
それぞれの支流やそれを取り囲む森が健全さを保っていると思われました。
*水には上流~下流まで着色があり、泥底っぽい状態で、
COD値が久野川と比べ高い(有機物が多く、どちらかというと
人の飲み水には適さない方向性)結果でした。
しかし、大川の水の底や水中の石や枝への有機物の付着状態
(別で撮った水中写真あり)は昔の久野川や狩川の状況と似ていました。
つまり、健全な川(フルボ酸鉄の多い流れ)は、
比較的有機物が多いのではないだろうか?
(水質が良い=フルボ酸鉄少ない)とも思われるのです。
*5/1に環境科学センターの斎藤部長とそのあたりを話したところ、
フルボ酸鉄量検査方法を調べてくれるとのことでしたので、
ひょっとすると地点別に調査できるようになるかもしれませんね。
(美しい久野・里地里山協議会 近藤忠)