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富士山南麓と伊豆半島地域のシカの現状と対策 (大橋正孝 静岡県農林技術研究所)

2016-02-27 14:54:33 | ブリ森研究室(書籍・文献・学会案内など)

2016年2月13日(土)に県地球博で行われた公開シンポジウム「箱根、丹沢、富士山、伊豆半島におけるニホンジカ対策の現状」発表について、参加者による一部傍聴記録を掲載させていただきます。
小田原山盛の会では27年度箱根山系のシカ調査を実施しております。箱根でもシカ害により明神ヶ岳、明星ヶ岳等外輪山一体で下層植生の劣化が始まり、早急な対策が望まれます。
静岡県の対策に関わっておられる大橋さんの発表には、箱根で行われるべきいろいろな課題を感じる事ができました。
箱根では環境省主催で国立公園を対象としたシカ対策委員会が始まっておりますが、外輪山周辺の対策はまだこれからの状態です。
是非参考にしていただき周辺市町村のシカ対策を加速していただけたらと思います。


公開シンポジウム「箱根、丹沢、富士山、伊豆半島におけるニホンジカ対策の現状」より抜粋
「富士山南麓と伊豆半島地域のシカの現状と対策」
大橋正孝
(静岡県農林技術研究所 森林・林業研究センター )
傍聴記録;柏木聰(仙石原野生鳥獣クリニック)

山入りの注意。シカの尻は白い。山に入る時に白い帽子は誤射の危険大。

なかなか減らせないニホンジカ
伊豆におけるH18年の推定生息数2万頭をH26年には一万頭に減らす計画を立てて捕獲開始したが。H14年1,669頭、H21年4,999頭、H26年8,324頭(H14年の5倍)頑張って捕獲したが、頭数は減らせず2万頭強のまま。この間、県のシカ対策を強化して来た。H15年有害捕獲を強化、県事業による捕獲を開始。H16年メス狩猟獣化、特定計画策定。H20年メスの無制限化、第2期特定計画策定。H22年狩猟期間延長。

ニホンジカ低密度化のための管理技術の開発。
一人体制で進めていたのを4人体制に増強し、静岡県プロジェクト研究(2010-2012年度)として低密度化のための管理技術の開発に取り組んだ。問題点の洗い出しを行なった結果。管理のための生態基礎情報が不足。捕獲効率が低い。メスが獲れていない。⇒達成目標を立てた。
A. 管理のための生態基礎情報の収集
B. 効率的なメス捕獲技術の開発。

A.管理のための生態基礎情報の収集。
GPS(伊豆17頭、富士11頭、南アルプス9頭)をシカの首に装着して行動分析による地域個体群の評価を行った。その結果、伊豆地域では、行動圏平均54haと狭く季節移動は殆どしない。⇒伊豆ではシカが多い場所を把握して繰り返し捕獲する事が有効。季節変化は考慮不用。富士地域では、一晩に5㎞移動したり行動圏は複雑で149haと伊豆の3倍。夏季には高標高で冬季には低標高の西南麓へと集中して来る。季節移動をする。⇒富士ではシカが集まる季節・場所で集中的に効率よく捕獲する。季節変化の考慮必要。

森林被害から見た適正な生息密度
嗜好性から見た密度指標種として、①嗜好性種:アオキ・イヌツゲ②中・低嗜好性種:ヒサカキ・クロモジ③不嗜好性種:アセビ・シロヨメナ・マツカゼソウ。シカ密度の上昇により植物の種類・量が減少する。
アオキは、1頭/㎢未満でも消失する。イヌツゲは高耐性で消失しない。0頭/㎢を目標にした管理が必要な場所もある。

DNA分析による地域個体群の評価。
静岡・神奈川で捕獲された1081頭の結果。「南アルプス・富士・丹沢」と「伊豆」の大グループ⇒県を跨いだ広域管理が必要。遺伝的多様性は伊豆も同程度。「伊豆」は比較的最近、高い捕獲圧によると考えられる個体群の著しい縮小(ボトルネック)を経験している。この結果、定期的なDNA分析による評価をしながら、今以上の捕獲圧をかけても大丈夫と評価。

今後必要なシカの管理。
行動追跡結果から2頭/㎢でも、利用集中エリアでは6頭/㎢に相当する食圧が掛かる。生息密度と食圧の関係は、1頭/㎢未満が必要な場合もある。
DNA分析で、ボトルネックがあっても遺伝子の多様性は大丈夫と評価した。以上のことから次の二通りの管理が必要。①個体数を大幅に削減(捕獲)する管理。伊豆地域個体群・富士地域個体群(県・広域)。②守りたいエリアから加害個体・群れを除去する管理(防鹿柵も含む)(個人・市町・県・環境省・国有林) 。

広域的な観点からの地域個体群管理が必要。
富士山ニホンジカ行動調査情報交換会(2012.7.3)によるシカ21頭の行動調査結果を共有し、全体で何頭居て、毎年何頭増えるから何頭以上捕獲する必要がある。と認識を共有する必要がある。
2012年に初めて国有林での県管理計画を立てることができた。

B.効率的なメス捕獲技術の開発。
富士国有林での誘引捕獲の実績は、射手2人×43日間で680頭15.8頭/日従来捕獲法牧狩りの32~48倍の成績。誘引法の方法は、給餌により日中にシカを誘引し、専門的・職能的捕獲技術者が車上から狙撃する。

捕獲する季節・場所・方法が重要。
富士山のシカは、3パターンがある。①定住個体②半定住個体(冬季低標高に垂直移動する)。③季節移動個体(冬季山梨県側から静岡側に移動する)。 冬季は西・南麓に集中し、捕獲しやすく、夏期は広く分散して捕獲しづらい。⇒南麓の越冬地(11月中旬~3月上旬)で効率的に捕獲することが重要⇒誘引捕獲の導入。
捕獲の実行における連携。
冬季誘引により捕獲しようとするシカは、他の時期・場所で、あるいは隣接地でスレさせない。(警戒心を高めない)配慮が望ましい。

逃げ込める場所をつくらない。
国有林は、国民共有の財産である野生動物の管理に取り組む根拠法令がない。鳥獣保護法には、管理の実行者についての記載がない。また、国有林野法には、部分林の保護(防除)義務のみの記載。県は、広大な国有地のシカは管理できないとして特定計画を策定していなかった。

誘引捕獲成功の秘訣:チーム連携  
①森林管理者(森林管理署)の役割:警察署ほか対外調整、安全管理・森林整備事業ほか他事業との調整・給餌によるシカの誘引・捕獲個体処分地確保・除雪ほか基盤整備。
②研究者(静岡県農林技術研究所)の役割:値域のシカの情報を提供・最新、最適な情報を提案・調査、立案、分析、評価。
③富士宮市協議会(構成員、市・猟友会・県・JA・開拓農協・森林組合)の役割:事前協議、安全管理で参加、協力・猟友会は別のエリアでの捕獲を分担。
④捕獲技術者(NPO法人若葉)の役割 :最高の捕獲技術を提供。四者が情報を共有し合意形成をしていく。平成26年(2014)から公共事業化スタート:実行委員会としてほぼ同様の体制で実施し、科学性・持続性を保持。
平成24年(2012)から、

ゾーン分け・作業分担・共働で捕獲強化。
2012年度の国有林内の捕獲頭数は708頭(2010年度の2.5倍、推定生息数の31%)・猟友会選抜者によるわな(班体制、賃金)による捕獲始まる。2012年6月から県事業による管理捕獲(くくりわな・班体制) 始まる。2013年7月から特措法による緊急捕獲始まる。2013年度、市・県・国捕獲(狩猟以外)計1483頭(2010年度の4.5倍)、この捕獲手法の内訳は、くくりわな68%、狙撃法23%、巻狩り9%。2014年度からは、公共事業化により地域の狩猟者による捕獲がストップ。

「富士宮市鳥獣被害対策実施隊」に発展活躍
2014年4月1日から始動。選抜者10名で構成。隊員の資格は、非常勤公務員特別職(活動中の事故は公務災害)、報酬は、13,000円/頭(7,000円:国交付金+5,000円:市)、活動日については、+1,000円/日、わなを貸与・捕獲個体の処分地も市が準備。富士宮市鳥獣被害対策実施隊設置要綱第3条(隊員) :「富士宮猟友会員又は西富士山麓猟友会員で、狩猟隗災害共済及び狩猟者保険に加入しているもののうちから所属する猟友会会長が推薦するもの」。猟友会会長の推薦者の条件:次のいずれも満たす者①わな・銃猟免許両方を所持する者②平日も活動可能なもの③地域分担可能な者。
この実施隊の捕獲実績は、(4月~10月)で561頭(1,640人日)。この実績は、富士宮市における狩猟以外の捕獲等数1,640頭(内NPO法人若葉159頭)の38%
であった。富士宮市鳥獣被害対策実施隊の実績から⇒少人数でも大きな成果が挙げられることが実証された。

地域で連携、協働による担い手の育成
ホールアース自然学校で狩猟者を育成。「地域ぐるみの捕獲推進モデル事業」(環境省→静岡県)、事業主体:富士宮市(H24~26)。これまでに150名受講し、45名が狩猟免許を取得し、25名が捕獲に従事している。

地域連携によりシカ捕獲未参加者(自衛隊演習場)への理解促進と捕獲への協力を呼びかける。
市・県・国有林が連携し、演習場へ働きかけることで、罠による捕獲が試行的に認められた。誤って罠にかかった場合のはずし方パネルを罠を掛けた木に掲示している。

今後の課題。
各役割を担う人材をバランスよく育成。高い専門性を要求されるシカ管理事業をPDCAサイクルで実行する行政担当者(監督者)の育成。シカ管理事業を公共事業として実行する資質を備えた事業者(現場代理人・監督技術者)の育成。実働従事者(調査・設計・分析・捕獲技術者)の育成。①野生動物調査・設計・分析技術者。②専門的捕獲技術者。高度な技術を求められる環境では、「捕獲のプロ」による捕獲が必要。③地域の基幹となる地域に根ざした捕獲技術者。これまでの捕獲を支えてきた地域の狩猟者からの選抜者+次世代の担い手。


・・・・
現在全国的にシカの捕獲に苦慮しております。
静岡県も富士山南嶺等は冬期にシカが集まり、樹皮の食害によってバタバタ木が倒れている地域もあります。
一度増えてしまうと森林や林業に及ぼす影響は大変なダメージとなります。
箱根は拡大防止区域となっており、今すぐ生息密度を低下させる事ができれば植生を守って行く事ができます。
ヘクタールあたり0頭を目指して早急な対策をしていただきたいと思います。
特に県の対策課は市町村の管理捕獲を指導する立場となっております。
頑張っていただきたいと思います。

「箱根のシカ対策に向けて」2015シカ調査報告 小田原山盛の会
http://blog.goo.ne.jp/burinomori/e/2c472172980a50c05c9377e308d85bf1

二ホンジカ過食圧地をみる視察・見学会レポート~箱根の山を丹沢の二の舞にしないために~http://blog.goo.ne.jp/burinomori/e/a3f3b71b414235966662939b2603af04


ぶり森のらこ(小田原山盛の会 川島範子)

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「ブナ林の再生に向けて」~衰退原因の解明と再生技術の開発~

2016-02-23 21:26:50 | ブリ森研究室(書籍・文献・学会案内など)
小田原山盛の会では箱根山系のブナ林再生の為、地域種の苗作りをしています。丹沢では長年ブナ林再生に向けて調査研究が行われており、2/20に行われたシンポジウムに関心を持って参加された兵頭昌雄さん(小田原山盛の会)が各発表の要旨を記録して下さいました。貴重な資料となりますので、皆様にお目にかけたいと思います。敬称は略させて頂きます。

「ブナ林の再生に向けて」~衰退原因の解明と再生技術の開発~
神奈川県自然環境保全センター研究報告会
平成28年2月20日 厚木商工会議所会議室
記録:兵頭昌雄(小田原山盛の会)

開会挨拶 (稲垣敏明 自然環境保全センター所長)
 1980年代から丹沢ブナ林の衰退が進行した。1994年、2004年に調査を行い、2007年からは水源環境保全税による調査研究と再生技術の開発を行っている。その成果について報告する

研究報告
ブナ林衰退の原因解明に向けて (西口孝雄 自然環境保全センター研究連携課長)

 丹沢では、標高800mから1,300mにかけてブナ‐スズタケ林が、それ以上ではブナ‐高茎草本林が分布している。特に東丹沢の稜線と南側斜面でブナの衰退と枯死・草地化が進む。丹沢ブナ林を1970年代のうっそうとした豊かなブナ林に再生することを目標に2001年からプロジェクト研究を行い、衰退の実態の解明に取り組んできた。(第1期2001年~2006年、第2期2007年~2011年)その結果、原因は次の3要因の複合的な作用である可能性が高いことが明らかになった。
1.高標高で高濃度化するオゾン(大気汚染) 大気中の窒素酸化物増加によるオゾンの
   増加。関東地方から中部山岳地帯にかけてのオゾンの分布図が示された。ブナはオ
   ゾンを取り込み、その障害に対する感受性が高いため衰弱する
2.水ストレス(乾燥による水不足) シカ食害による下草減少・スズタケ退行、積雪量
   の減少、気温上昇などによる土壌の乾燥化が進み樹木が水不足となる。
3.葉食昆虫ブナハバチによる食害 衰弱したブナに対してブナハバチが大発生を繰り返
   し、枯死の原因となる。
 ブナが枯死するとギャップが生じる。そこにオゾンが流入し周辺の衰弱が進む。草地化によりシカが増加し、さらに乾燥化が進む、という負のスパイラルとなっている。対策として、1.ブナハバチを減らす、2.ギャップの拡大を防ぐ、に取り組んでいる。100年後の林間のギャップ閉鎖を目指して取り組んでいる。

ブナの水ストレス診断 (上田正文 京都府立大学大学院生命環境科学研究科)

 植物は光が当たると光合成を行い、気孔が開いて二酸化炭素を取り入れ酸素を排出する。同時に気孔から水が蒸散する。その蒸散量に応じて根から水が吸収され葉に供給される。蒸散量が供給量より大きくなると水ストレス(水不足)が大きくなる。水分通道組織である道管を通して根から葉まで水は連続していて、蒸散が盛んになると水の張力が増大する。この時、昆虫の穿孔などによる損傷部位から空気が吸い込まれ、道管に気泡が発生し(キャビテーション)、水の連続が断絶し樹木は衰弱する。樹木の水分状態を表す葉の水ポテンシャルを測定した。以下のような方法による。葉を葉柄で切断すると、水の張力のため水が葉柄断面から葉の奥に向かって引き込まれる。その葉を圧力容器に入れて葉の外から圧をかけると、水が押されて切断面から出てくる。この時の圧を水ポテンシャルという。この値を測定すると、見た目の衰弱度(樹勢、樹形、枝葉密度など)と一致していた。檜洞丸では1,600m(山頂付近)の北斜面、および1,200mのブナは健全であるが、1,600mの稜線と南斜面では衰弱度が高いことが分かった。また衰弱している樹木は道管の内径サイズが小さくなり密度が高くなってキャビテーション(気泡の生じやすさ)を起こしにくいように変化していたが、実際はキャビテーションが起こっている、という矛盾した現象(キャビテーション疲労)が見られた。

質疑応答
質問(大沢) 大気中の硫黄酸化物と土壌の酸性化の関与をどうとらえているか。(質問というより、各地の亜硫酸ガスの土壌への影響などご自身の研究成果らしきものを長々と述べた)
返答 かつては大気汚染物質として注目されたが、排ガス規制などの対策により現在ではあまり問題にならない。実際に丹沢で測定したことがあるが、低い数値であった。
質問(質問者不明) 水ストレスに関して、土壌の水分など乾燥の程度を測定したか。
返答 そこまでは行っていない。

衰退リスクから見たブナ林の再生優先地マップの作成 (鈴木透 酪農学園大学農食環境学群環境共生学類保全生物学研究室)
 ブナ衰退にはオゾン、シカ害による水分ストレス、ブナハバチの要因が互いに絡んでいて、原因は時代によっても変わり、原因のすべてを解明することは困難である。現在わかっていることを基に、対策を施すための優先地を検討した。1970年代と2013年の空中写真から土地被覆データを作成し比較することで、ブナを含む広葉樹林が草地・裸地化した場所の特徴を把握した。もともと70年代に草地であったところは対象外とし、その後草地が拡大したところで風衝地、ブナハバチの被害状況を考慮して再生優先地とする。ギャップが小さく開空度(葉で覆われず空が見える割合)が20%以下では、周辺からの樹木による天然の更新が可能である。それ以上の開空度のところで、シカ柵を設置して高木の再生を促しブナの更新を待つ。丹沢山から塔の岳への稜線の東側一帯を重点対策地点とした。

ブナ林再生のための技術開発 (谷脇徹 神奈川県自然環境保全センター)
ブナハバチ対策

 ブナハバチは2000年に新種として記載されたもので、生態は不明な点が多い。5月に土中の繭から羽化し、交尾産卵する。成虫の生存期間は10日から2週間程度。卵から孵化した幼虫はブナ・イヌブナの葉を食べて成長し、6月下旬に地表に落下する。その後浅い土中で繭になり、翌年または数年後まで過ごす。2007年の大発生は、前年の成虫、卵、幼虫が低密度であったにもかかわらず起こったことから、土中で長期に休眠し蓄積された繭が一斉に羽化したものと考えられる。なぜ地域により高密度化するのかは不明。乾燥した土壌では繭の生存率が高く、湿った土地では低い。試験的に以下の対策を実施した。
対策1 成虫の誘引捕獲(予防的防除)
 ブナハバチの成虫は黄色い物体に誘引される。このため黄色い衝突板で成虫をトラップする。
対策2 薬剤注入(緊急防除) 
 ブナの幹に薬剤(ジノテフラン液)を注入する。幼虫への効果が大きい。薬剤は樹体には影響がなく、落葉時期までに代謝分解されるため水や土に流出することがない。
対策3 幹に粘着シート(緊急防除)
 幼虫が幹に群がる行動をとるため、幹に粘着シートを貼って幼虫を捕獲する。3地点で、548本にシートを貼り計75万頭を捕獲した。10-20年程度で防除を必要としない低密度の状態となることを目指す。
森林再生
 大きさの異なるギャップに植生保護策(シカ防護柵)を設置して、天然の更新を調査している。開空度20%と、60%(堂平)で比較すると、ギャップが大きいと散布種子数が少ないが、埋土種子は多くある。シカ柵内では天然の更新が起こり数年で藪になる。ギャップが小さいところでは、高木種のイヌシデ、ブナ、アラゲアオダモ、イトマキイタヤなどが良好に育ち、30㎝以上に育ったものが1,000万本/haであった。檜洞丸のギャップが大きいところでも高木種の天然更新が見られアラゲアオダモ、ヒコサンヒメシャラ、ユモトマユミ、オオイタヤメイゲツなどが育ったが、2,000本/haと少なかった。一方、ニシキウツギやミヤマイボタなどの低木が繁茂した。ギャップが大きいと、風やオゾンなどの影響が大きい。小ギャップでは50年後の、大ギャップでは低木林から高木林への再生により100年後のギャップ解消を目指している。

梶谷敏夫(丹沢ブナ党)のコメント
 1990年に会を設立した。25年間にわたり5m枠を設定し、成木や稚樹の胸高周囲を測定。25年分のデータを解析中である。ブナハバチの食害やブナ林の健康調査を行っている。稜線の南斜面や風衝地では健康度が低い。ブナのほかカエデ類も立ち枯れが始まっている。ブナは樹木の中で感受性が高いように思われる。

自然再生事業の実施状況(永田幸志 自然環境保全センター自然再生企画課)
 市民、団体、学識者、企業、行政などが協力し実施された「丹沢大山総合調査」の結果を基に丹沢大山自然再生基本構想が作成された。これを踏まえて、平成19年に「丹沢大山自然再生計画」を策定し、事業に取り組んでいる。(現在第2期計画、24年度~28年度)
 8つの特定課題(ブナ林の再生、人工林の再生、シカ等の野生動物の保護管理、希少動植物の保全、渓流生態系の再生、外来種の監視と防除、地域の再生、自然公園の利用の在り方と管理方針)で自然再生事業を整理し、4つの景観域(ブナ林域、人工林・二次林域、里地・里山域、渓流域)の自然再生目標に向けて事業に取り組んでいる。植生が失われ土壌が流失した谷筋で植生保護策や土壌保全工を実施した所では落葉落枝が蓄積し植生の回復が見え始めている。植生保護策内ではクルマユリ、オオモミジガサなど希少植物が回復しつつある。登山道に木の階段を設置し、登山者による踏圧の軽減を図っている。シカの保護管理は重要で、ワイルドライフレンジャーによる高標高地での捕獲に取り組み、2,000頭/年の実績がある。シカの密度低下と植生回復が認められる地域がある。適正な生息密度での共存を目指している。丹沢の再生には、県だけでなくNPO団体など多くの県民と一体になって進めたい。

質疑応答

質問(兵頭) 植生保護策を設置したところでは天然の更新が進んでいるとの報告であったが、ブナの種を採取して播くとか、苗を育てて植えるとかの取り組みはどうか。
返答 ブナの植栽試験は行っている。移植したところでは生育は良好で、7年後に90%の生存が認められた。しかし、特別保護地域に指定され手を加えられない所が多い。植栽により本来の森林や生態系と似て非なる、異なるものとなる可能性があり、活用できるかどうか疑問である。

学識者によるコメント(勝山輝男 生命の星地球博物館学芸部長)
 1980年代からブナの衰退が目立つようになり、総合調査を行い、対策を考えてきた。原因が明らかになってきたが、主な原因がオゾンだとすると、対策は困難である。うっそうとした森を作れるのか、大きなギャップを解消できるのか、課題は多い。

閉会挨拶(山根正伸 自然環境保全センター研究企画部長)

 これまでブナ衰退の原因の解明と対策について取り組んできた。主な原因が特定され、諸対策も効果が見られつつある。今後も取り組んでいきたい。
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ウッドスタート記念イベント2月20日(土)西武小田原店1階

2016-02-18 23:15:39 | 小田原市環境イベント




 小田原市と東京おもちゃ美術館との間で、2/9に「ウッドスタート宣言」を締結します。
今後新たな「木育事業」として、4月以降誕生祝い品としての「木製おもちゃ」を配布する予定となっています。

 また、ウッドスタート宣言等を記念して下記のとおりイベントを開催することといたしました。 皆様、是非お越し頂き、小田原の木の文化、木工技術の高さを再度、実感していただければと思います。 

日時  2月20日(土) 10:00~16:00
場所  西武小田原店1階キャニオン広場


いろいろな木の遊具、積み木、木工体験など、お子様たちが大喜びの遊びスペースが登場します。是非ご近所のお子さん、お母さん、お誘い合わせの上おこしください。

小田原市経済部農政課 農林業振興係
℡ 0465-33-1491
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「箱根のシカ対策に向けて」2015シカ調査報告 小田原山盛の会

2016-02-12 01:33:25 | ブリ森研究室(書籍・文献・学会案内など)
箱根山系の生物多様性を守ろう!
~「箱根のシカ対策に向けて」2015シカ調査報告 領付とご寄附のお願い~

「箱根のシカ対策に向けて」(小田原山盛の会・古林賢恒著)A4版コート110フルカラー
三冊1セット1500円 またはご寄付一口2000円何口でも
(送料;3セットまで500円・4~6セットまで1000円・7セット以上無料)

~二ホンジカの生息痕跡を知り、箱根の生物多様性を守る調査にご協力を!~


1里山編32頁 
小田原市久野周辺の農林被害・獣害の歴史と二ホンジカの住処


2仙石原編20頁 
仙石原緊急シカ調査・マルハナバチと生態系の関係を考える


3外輪山森林編36頁 
外輪山シカ調査報告(暫定版)・箱根シカ調査マニュアルの作成に向けて






■小田原山盛の会は今年度県のもり・みず助成金を得て、
丹沢大山学術調査副団長の古林賢恒氏を招聘し、
年間30回に及ぶニホンジカ生息調査をしております。

その結果、箱根も丹沢並みの植生劣化が始まり、各地で農林業被害が出始めるなど、
対策に一刻の猶予もならない状況が分かりました。

森林の下層植生の喪失、土壌の流出など、箱根山を丹沢の二の舞にしない為、
当会はこの一年間、関係機関に情報提供を行い、
箱根山域の対策強化を呼びかけて参りました。

来年度は内輪山側踏査や、地域に根ざした調査マニュアル作成に向けて調査をいたします。
私たちの豊かな生活の源、箱根山の生態系保全に向け、
この冊子を地域の皆様に広くご配布、ご購読頂きますよう、
ご協力の程お願い申し上げます。
またご浄財をいただければ幸いに存じます。

お申込み連絡先; 
☎090-9349-7014 FAX0465-36-4815 norako.k@nifty.com 川島範子
郵便振替口座 00220-2-134314 小田原山盛の会 (振込料はご負担くださいませ。)
振替用紙通信欄に、住所氏名、☎番号、セット数、送料、または寄付額をお書き下さい。




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シンポジウム 箱根、丹沢、富士山、伊豆半島におけるニホンジカ対策の現状 2月13日

2016-02-12 01:02:33 | ブリ森講座


公開シンポジウム
「箱根、丹沢、富士山、伊豆半島におけるニホンジカ対策の現状」
2016年2月13日(土)


以下、神奈川県立生命の星・地球博物館のホームページより転載
 http://nh.kanagawa-museum.jp/event/info/ev346.html
 上記リンクには詳細チラシpdfあり
--------------------------------
 近年、全国でニホンジカが増え、森林被害や農林業被害が深刻になっています。箱根では約100年の間、シカが確認されていませんでしたが、1990年になって目撃が相次いでいます。

 本シンポジウムでは、全国のシカの分布についてご紹介すると共に、箱根に隣接する丹沢、富士山、伊豆半島のシカの現状について情報を共有し、広域的な対策の必要性について話し合います。また、箱根地域の対策の在り方について、参加者の皆様からのご意見を交えて討論を行います。

■■■シンポジウム シカ問題の現状■■■
「全国のシカの現状と対策」
   鳥獣保護管理プランナー 羽澄俊裕 氏
「丹沢山地のシカの現状と対策」
   神奈川県自然環境保全センター 山根正伸 氏
「富士山南麓と伊豆半島の地域のシカの現状と対策」
   静岡県農林技術研究所 森林・林業研究センター 大橋正孝 氏
「箱根地域のシカの現状と対策」
   神奈川県立生命の星・地球博物館 勝山輝男 氏

■■■総合討論■■■
  1 「箱根、丹沢、富士山、伊豆半島における広域連携のあり方」
  2 「近隣地域の経験を踏まえた箱根におけるシカ対策のあり方」

■場所 神奈川県立生命の星・地球博物館 SEISAミュージアムシアター
■開催時間 13時~16時20分
■対象 どなたでも(内容は大人向けです)
■定員 300人
■注意事項
事前申し込み不要です。
駐車場は博物館の第2駐車場(約40台)をご利用ください。
シンポジウムの詳細については問合せ先までお願いします。
■主催 環境省箱根自然環境事務所、神奈川県立生命の星・地球博物館
■協力 環境省、神奈川県、静岡県、株式会社野生動保護管理事務所
■問合せ先 環境省箱根自然環境事務所
  〒250-0522 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根164
  電話 : 0460-84-8727
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