「コルトレン亡き後に、彼の製作者であったインパルスのボブ・シールが、アイラーのアルバムを手がけることになったことは、結果的にはアイラーとその聴衆を混乱させるだけで終わったようである。ビートルズが『愛こそはすべて』で、アイラーお得意の「ラ・マルセイエーズ」をちゃっかり借用し、大ヒットを飛ばしたことが、この前衛サックス奏者の歩調を狂わせた。彼は長々とした演奏から降りて、レコード用に短い曲をいくつも作曲し、こともあろうにヴォーカルまで担当してみせた。みずからの資質に背いて制作された3枚のアルバムは、聴くたびにある痛々しさを思い出させる」
(四方田犬彦「音楽のアマチュア」(4)「アルバート・アイラー」 「一冊の本」2月号 朝日新聞社 )
「ラ・マルセイエーズ」をまさにアイラー流に演奏したSpirits RejoiceはiTunesで購入できるが11分39秒に及ぶため「アルバムのみ」になる。
「借用」問題は→The Fire That Time by Francis Davis(Village VoiceOctober 12th, 2004)
A peine inventée par Rouget de Lisle en avril 1792, la Marseillaise est parodiée : on en connaît, jusqu’à la IIIe République, des versions gourmande, scatologique, alcoolisée, anarchiste, antisémite. (ラ・マルセイエーズは、1792年4月ルージェ・ド・リールに作詞作曲されるとすぐにパロディーの対象になる。第三共和制までに食いしんぼ版、スカトロジー版、大酒版、アナーキスト版、反ユダヤ主義版が生まれたのが知られている。)Outrages et cætera ... par Antoine de BAECQUE
[ Libération - samedi 25 janvier 2003]http://www.ldh-toulon.net/article.php3?id_article=68
アイラーの演奏は決してパロディーではない。フランス駐留の軍楽隊時代に出会い「ラ・マヨネーズ」と呼んでいたというこの曲は、ふっと鼻歌に出るような「お気に入り」だったに違いない。
プロの音楽家が、ある国の国歌を、自由に、自己流のやり方で演奏する。ウッドストックでのジミ・ヘンドリクスのように、状況次第でそれは強い「メッセージ」として受け止められる。とはいえあの伝説的な「星条旗」The Star-Spangled Bannerは何を言いたかったのか?Even today, music scholars can't agree on what message, if any, Hendrix's screaming guitar and ballistic feedback was trying to deliver. Star-Mangled Banner by John Gettings)
ジャンゴ・ラインハルトとラ・マルセイエーズ
Après la guerre, il rejoint Stéphane Grappelli en Angleterre. C'est là qu'ils jouent La Marseillaise, rebaptisée Echoes of France dès le lendemain.(第二次大戦後、彼はイギリスでステファン・グラッペリと再会する。そこで二人はラ・マルセイエーズを演奏、曲は翌日からEchoes of Franceと呼び変えられる。)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Django_Reinhardt
開戦時ジャンゴとグラッペリの五重奏団は英国にいた。グラッペリは英国にとどまりジャンゴはフランスに戻る。ジプシーの多くがナチの強制収容所に送られる中、彼はジャズ好きのドイツ人将校ディートリヒ・シュルツ・コーンDietrich Schulz-Köhnの庇護を受け難を逃れた。
http://en.wikipedia.org/wiki/Django_Reinhardt
? Des gens du voyage une manifestation jazzy pour sauver la liberté d'une culture (La Voix du Nord, fin 2002)
(漂泊民 文化の自由を護るためジャズでデモ行進)ーここに転載されたものーによれば
Ils étaient 5.000 gens du voyage - 2.500 selon la police - à défiler le 27 janvier à Paris, de la République à la Bastille, pour protester contre l'article 19 et 19bis du projet de loi Sarkozy sur la sécurité intérieure, qui prévoit des peines de six mois de prison et 3.750 euros d'amende ainsi que la confiscation du véhicule pour stationnement sauvage de caravanes, ce qu'ils jugent "disproportionné ".Des pasteurs et des laïcs de l'Eglise réformée de France, le président de l'ERF en région parisienne, le secrétaire général de la Cimade et le président de la FPF ont marché à leurs côtés, dans une atmosphère bon enfant, aux accents de la Marseillaise de Django Reinhard.
(集った漂泊民は五千人(警察発表では二千人)、彼らは1月27日、サルコジ国内治安法案の19条および19条の2に反対するためパリのレピュブリック広場からバスティーユ広場までを行進した。この条項はキャンピングカーの違法駐車に六ヶ月の懲役及び〔etなので「または」でないらしい〕罰金3.750ユーロ、車は没収と定めるもので、彼らは「不当に重すぎる」と考える。和気あいあい、ジャンゴ・ラインハルトのラ・マルセイエーズに乗って、フランス改革派教会の牧師と一般信徒、改革派教会パリ地方会長、la Cimade〔1939年創立、本来プロテスタント系青年運動として始まった移民難民の擁護支援組織〕事務総長、FPF(フランス・プロテスタント連盟)会長も共に行進した。)
記事の日付fin 2002は曖昧だし少々おかしいが、確める手がない。
この法については→門 彬氏「国内治安のための法律ー犯罪者のDNA情報蓄積から国旗・国家侮辱罪まで」http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/219/021905.pdf