発見記録

フランスの歴史と文学

Curieuxとcuriosité

2006-02-07 10:34:58 | インポート

Mon pot’ le gitan c’est un gars curieux
ぼくの友ジプシーは変わったやつさ
  (「ぼくの友ジプシー」Mon pot’ le gitan)
http://www.paroles.net/chansons/18644.htm
形容詞curieuxが「好奇心旺盛」か「奇妙な、変わった」か、たいていは判断がつく。
Une gueule toute noir, des carreaux tout bleus
Y reste des heures sans dire un seul mot
Assis près du poêle au fond du bistrot
C'gars-là une roulotte s'promène dans sa tête
Et quand elle voyage jamais ne s'arrête
Des tas d'paysages sortent de ses yeux
顔は真っ黒 眼鏡は真っ青(?)
そいつはひとことも口を聞かず、何時間でも
ビストロの奥のストーブのそばに座ってる
頭の中をトレーラー車が駆け回るのさ
車が移動する時は決して停まらない
そいつの目から風景が山のように溢れ出す

ムルージのLP歌詞カードでdes carreaux tout bleusの訳を確めたいが取り出すのには手間が要る。

Curieuxでもう一つ印象に残っているのがアンドレ・ドーテルの『ダミオン山』André Dhôtel, Le Mont Damion (1964)
主人公の少年Fabien Gortは、いつもぼーっとして見える。田舎に預けられれば馬鹿だとからかわれ、籠細工職人に弟子入りすれば追い出される。
手なずけた狼と野良猫を連れ一人パリに戻るが両親は旅行中。新しい女中は少年を怪しみ、家に入らせない。
河岸で野宿。ここで二人のイギリス人に出会う。数学者James Atterburyは花のような自然形態の「計算できない曲線」les courbes incalculablesに関心を持つ。
もう一人実業家homme d’affairesだというJohn Camperdownは
"Nous devons vous expliquer d’abord que nous sommes des gens curieux,c’est à dire...curieux."
まずあなたに説明しなければなりません、私たちはcurieuxな人間、つまりその・・・curieuxなのです。
ジプシーと間違えられそうな少年(女中もイギリス人もromanichelを口にする)に話しかけるのは「好奇心」の現れだろうか。
Fabienの帽子は放浪のあいだに形がくずれ「パンケーキgaletteとも王冠ともつかない」数学者の目はまず帽子の縁の曲線に引きつけられる。

狼と野良猫。時には凶暴さを見せる二匹の獣と少年の間には不思議な共生関係が生まれる。
Elles [les bêtes] étaient animées par leurs curiosités sans bornes et chaque geste de Fabien, chaque parole avait un grand prix.
獣たちは限りを知らない好奇心に駆られ、ファビアンの身振り、ことばの一つ一つ〔彼らには〕大きな価値があった。

誰も興味を持たないことに注意を向ける「好奇心旺盛」な者は、そうでない者の目に「変わった」存在と映るのではないか。

形容詞の位置による区別
un curieux homme  a curious (strange) man

un homme curieux  a curious (nosy) man

Adjectifs qui changent de sens ? Fickle French Adjectives

は一応の目安になるがあくまで「一般に」だろう。