パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

外国に行って感じること(人それぞれ)

2019年07月23日 10時10分35秒 | あれこれ考えること

今よりも外国旅行が容易でなかった明治から昭和の初期
国費で視察に欧米にでかけた人は、その地で見たその圧倒的な文明の差に
自分たちの今後目指すべき方向を見つけ、手本にし、追いかける気持ちを強くしたらしいが
そうではなかった人たちもいたようだ

彼らも圧倒的な差は感じた、そしてその結果自信喪失をしてしまった
そこで彼らが考えついたのは、追いかけることを選択してしまうと
今までの自分たちの拠り所が不安定(あやふやなもの)になってしまう
とする考え方

そう考えた人たちは国に戻って、自国の歴史・文化・体制などを他の国に劣るものではない
むしろ誇るべき存在と考えたい、、と思うようになった
(これは福沢諭吉のなにかとか天皇機関説事件の本のなかにあったような記憶がある)

これは今の「日本って凄い!」
とか、あちらの考え方の人たちの「日本に生まれただけで幸せ」とか
「日本の悠久の歴史が凄い」(本当に歴史の知識があるのか疑問)とする人たちのメンタリティに近い気がする

ハンナ・アーレントの「全体主義の起源」2 帝国主義には、
外国に飛び出していったのは国内では上手く生きられなかったモッズで、彼らは肌の色の違う人々をみて
それなりの習慣・文化・文明・社会システムがある人たちとは見ず、下に見るべき人々と決めつけたとある
この根拠のない決めつけは、ネトウヨさんたちのそれに近い

世の中にはいろんな国・人たち・考え方・文化・習慣がある
それを自分の中に落とし込んで、受け入れたり違和感を感じたりするのではなく
最初から受け付けない人たちがいて、その声の否定的な声が徐々に大きくなりつつある
最近心配なのはこれが無関心層にも広がってしまわないかということ

不意にネトウヨさんたちは外国に行ったとしたら、何を感じるのだろうかと頭に浮かんだ
「人間、みんな同じだ」とか「世の中、なんとかなるものだ」とか「世の中にはいろんな考え方があるものだ」
が自分の実感
確かに日本にいるとき以上に自分が日本人だ感じたことはある
でも、それよりも強く感じたのは「みんな同じだ」という感覚
困ったとき親切にしてくれたおばさんや、チキンをナイフとフォークでぎこちない食べ方をしていたとき
「手づかみで食べなよ」と教えてくれた人、本当はいけないけど回送バスに内緒で載せてくれた人
出会った人たちは優しかった
そして多分これは自分が行かなかったアジアや中東、アフリカ、南北アメリカでも感じるだろう

「寛容は自らを守るために、不寛容に対し不寛容になるべきか」
つい、このパラドックスを思い出してしまった




 

 

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テンポ・リズムでずいぶん印象が変わる

2019年07月23日 09時32分17秒 | 音楽

知ってしまえば当たり前のことでも、不意にそれに気づくことがある
7月21日の日曜日、名古屋に劇団四季の「エビータ」を見に行った
音楽はアンドリュー・ロイド・ウェバーでこの人の作った作品は
全部見たいと思っていた(きっかけはキャッツだった)

そのエビータの舞台、最初はエビータの葬送のシーンでコーラスも民衆の嘆きを
表現していて、それがとても迫力がある(声の力の凄さを再認識した)
それが終わると、舞台には物語の進行役の男性が歌い始める
そこで気がついたのはその音楽は、エビータが歌う「アルゼンチンよ泣かないで」の
メロディを型どったものということ

エビータが歌う「アルゼンチンよ泣かないで」はとても静かな切ない深い感情に溢れた音楽だが
進行役が歌うそれはリズム・テンポを変えて全く印象が異なる
同じ音形でもこれほど印象が異なるのか、、、音楽の変奏とか変形というものはこういうことなのか
という点が驚きをもって感じられた

そう言えば、、と連想したのがブラームスの4番の交響曲
その三楽章はリズミカルな騒々しい音楽だが、その中間部、主となるメロディとは違うけれど
やはりリズミカルなところがある(急き立てられるような印象)
その少しあとに弦でゆったりとしたしたメロディが奏される(癒やされるような)
この印象が全く異なる音楽が実は音形が似ている
速いテンポとリズムを際立たせるのとゆっくりと歌うように演奏される
作品の統一感というのはこうした仕掛けの上に成り立っているのかもしれない

些細なことだが、これに気づいてどこか得したような気がしている
(音楽家には当たり前の大したことじゃないかもしれないが)

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