パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

アンコール上映の「主戦場」を見に行った

2019年07月07日 20時10分07秒 | 見てきた、聴いてきた(展示会・映画と音楽)

名古屋に行くのは土日がいい
最寄りのJRの駅から名古屋往復はウィークデイは1960円、土日は1640円で
電車賃が320円も違う
最近はこの手の細かいことに気がつくようになって、ヨーグルトなどは
売出しの安い時しか買わなくなっている

今日名古屋にでかけたのは映画「主戦場」を見るためだ
慰安婦問題を真正面から取り上げたドキュメンタリーで
昨日からアンコール上映が始まっている
日本の慰安婦問題を取り上げているが殆どが字幕入りの英語だ
しかもそのテンポは速い

先日見た「新聞記者」と観客層は被るかもしれないが、今日のほうが年齢層はバラバラで
比較的若い人もいた(今日は日曜で、新聞記者のときは平日の昼の時間だから仕方ないか)

ドキュメンタリー映画は退屈になることが多いが、この映画は退屈することはなかった
とても見通しの良く論点が整理された、まるで補助金申請のプレゼンのような(上手な論文のような)
まとまりの良さだった

慰安婦問題については、映画の中にあるように日本人は(自分も)あまり詳しく知らないことが多い
その理由がある時期の政府の方針から来ているのはわかったが、どちらの立場に立つにせよ
どうも感情的な対立ばかりが目立って、お互いが冷静な対話ができていないのが現状だ

ただ通して見ると(それが狙いだったのかもしれないが)歴史修正主義者、慰安婦問題などなかった
と口にする人たち(杉田水脈・櫻井よしこ・ケント・ギルバート、、、)は自分たちに都合の良い情報は
独自解釈で大声を上げるが、相手側の言い分には耳を貸さない、、読もうともしない、、傾向がみられた
そして、あの状況に置かれたひとがフラッシュバックのように踊ってくる屈辱感や嫌悪感に対する想像力・共感力が
全くと言っていいほど感じられなかった
奴隷という言葉一つをとっても、足に鎖をつけられて自由がないのが彼らは奴隷としているが、現実的には
自分の判断で自由に何かをできない状態は奴隷状態と言える

この映画を見て内容とは少し別なことに不安を覚えた
それはこの骨格のしっかりした作品は日系アメリカ人が作り上げたもので
ここまで精緻な作品を今の日本人が作り上げることができるのだろうかということ
社会的・政治的な空気とか情に訴えがちな日本的演出が直ぐに頭に浮かんで
日本人の感性ではできないのではないのか、、、そのような気がしてならない

一気にいろんな情報を目にしたので頭の中が整理されるのにはもう少し時間がかかるかもしれない
でも、この映画は最近見たなかでは出色のものと言える
不意に以前読んだ「天皇機関説事件」を思い出したが
現在がいつのまにか戦前になってしまわないようにと願わずにはいられない
(今はそんなふうに感じさせる空気を感じてしまうのだ)





コメント
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