パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

従順の意味を聞いてみた(外国出身の男の子に)

2019年07月02日 09時27分47秒 | あれこれ考えること

火曜日と木曜日の午後は、知り合いの方の奥さんに声をかけられて
外国出身の小学生の勉強をみる手伝いをしている
火曜日は1.2年生 木曜日は3年生以上で
宿題をするのを見たり、問題集に取り組むのを見て、間違いや気づく点を指摘したりする

残念ながらここに来る子達は落ち着きがない
少しだけ漢字の書き取り、計算をするとすぐに隣の子と話をしたりする
「集中、集中」と言っても効き目はない

だが、この子達は何故、そんなに落ち着きが無いのだろうか、、
と考えると、そこにはとてつもなく大きな問題が存在しているような気がする

漢字の書き取りがあった
よくできましたの意味のハナマルの印が大きく描かれたページの漢字をもう一度別のベージに書いて
覚えるというものだが、このハナマル印を見てつい首を傾げてしまった
そのページには送り仮名が必要な文字に送り仮名はなく単に漢字の形を覚えさせるものだった
例えば、笑うという字は「笑」を書くだけ、測るも「測」と書くだけ
これでハナマルはもらっていてもこの子達は意味を理解しているのだろうか、、と不安になる

二文字熟語があった
いろいろ書いているが果たして意味はわかっているのかと不安になって聞いてみた
「従順って書いたけど、この意味わかる?」
「わからん」
やっぱり、、そうか
「この字 従は他になんて読むかな」
「えっと、従う」
「そう、それから想像すると、、なんとなくわかりそうかな
 えっとね、使い方はNくんは従順じゃない、、って使い方するよ
 だって、こうしなさいと言っても君は聞かないだろう、、従わないだろう」
「そうか!」
「大体の意味はわかったよね。でも従順ばかりが良いわけじゃない」
「死ねといって従順になったら、死ななきゃならない、、、これって変」
「エライ、よく気がついた。確かに従順ばかりがいいわけじゃない。
 従うべきか、従わないべきか、それを自分で決めなくてはならない。
 これは難しいけど、その判断が間違わないように自分がしっかりしなきゃならない」

ちょいと6年生には難しかったかもしれないが、彼には従順のの意味はしっかり頭に刻まれたようだ
だから隣の子が「従順」と書いているのを見て
「お前、従順の意味わかるか」と説明をしだす
「あのなあ、素直に従うってことだけど、もし死ねといったら
  従順だったら死ななきゃならいないぞ、、、」
少しばかり極端な説明だが、こうして人に教えることによって人はより物事を理解するようになる

それにしても、、、、、
一番の不安は、彼らが理解していない上でも(理解していないように見えても)ハナマル印を付けて
どんどん授業を進めて行ってしまうような状況が垣間見えたこと
彼らの落ち着きの無さは彼ら個人に責任の大半があるとしても、もしかしてよくわからないにもかかわらず
わからない勉強をせざるを得ないところにあるのかもしれない
仮に彼らが言葉の壁、ハンディキャップのせいで理解が困難ななかで、どんどん授業が進んでいったとしたら
そこに座って勉強するのはとても苦痛なのは想像できる

理解が進んでいないのは言葉のせいなのか、個人の能力のせいなのかわからない
でも現実として、理解が遅れていると思われる子が存在する
この子たちは、放って置かれる、、見て見ぬふりをされるとしたら
この子たちの将来はどうなるのだろう、、、

自分たちにできるのは週に一度、一時間の面倒見だけ
それだでではとても追いつかない、、やるべきことが無尽蔵にありそうな気がする
子どもたち、あるいは弱者たち、、
そうした存在に見て見ぬふりをしない社会になってほしいと切に思う




コメント
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