Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

カスハラと揉み手営業(1)

2024年04月17日 06時30分00秒 | Weblog
 「東京都は、客が行う迷惑行為や悪質なクレームなどのカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」を防ぐ全国で初めての条例の制定に向けて、早期の条例案の提出を目指すことにしています。

 アメリカの大学院に留学していた頃、行政学の授業で、テキストに
 "keep your boss satisfied"
というフレーズが出て来て、ちょっと考え込んでしまったことがある。
 これが "keep a customer satisfied"をもじったものであることは言うまでもないが、このフレーズで私は、サラリーマン時代、関西地方のある店舗で働いていた頃の経験を思い出したのである。
 それは、私が勤めていた会社のことではなく、同じ営業エリアの某メガバンクの店舗に配属された、一橋大出身のエリート新人が犯したある”失敗”のことである。
 彼は、ある大口取引先(私もこの会社の担当)の社長さんとの最初の面談の際、手形取引について、
 「手形の受け渡しは、必ず店舗にお越し頂いて行います。手形の現物を私が御社に来てお預かりする、あるいは御社にお持ちすることは致しません。
という趣旨のことを述べたそうである。
 おそらく、これは行内規程どおりの取り扱いであり、研修などでもこのように説明するよう指導されたのだと思う。
 だが、この社長さんは、彼の言葉に激高し、上席(たぶん支店長)に対して、以下のようなクレームを入れたようである。
 「歴代の担当者は、全員いつもうちの会社まで来て手形の受け渡しをしていたのに、それを拒否するとは、今度の新人はとんでもない奴だ。一橋大の出身だかどうか知らないが、うちにはこういう担当者は要らない。
 (ここで少しコメントしておくと、私の知る限り、中小企業の経営者の中には、いわゆる”高学歴者”に反感を持っている人が結構いるし、関西地方の場合、関東の名門大学出身というだけでアレルギー反応を示す人も少なくない。
 なので、社長さんからこの話を聞いた私は、「この新人君、可哀想に、社会人になって早々、手痛い”失敗”をしてしまったな!」という感を抱き、他の会社のことではあるが心配になったのである。)
 これを受けて、支店長がどのような対応をしたかは不明である。
 だが、私は、この新人君に全く罪はなく、むしろ歴代の担当者に問題があったと確信した。
 "keep a customer satisfied"は結構なことだが、そのために、規程を無視してまで”特別扱い”をしてしまったところに根本的な問題があったのである。
 もちろん、この背景に、苛烈な営業ノルマがあることは言うまでもない。
 ノルマ達成という至上命題のために、行内規程を守ることよりも、大口取引先の”機嫌を損ねる”ことなく、営業成績を挙げることの方が優先されたのである。
 結局のところ、「揉み手営業すべからず」というのが正しいのだろう。
 「揉み手営業」は、カスハラを生み出したり助長したりする恐れがあるのだから。
 これは、自分が属する組織内の関係についても当てはまるはずであり、
 "keep your boss satisfied
を余り強調し過ぎると、同様の過ちに陥る恐れがあるだろう。
 
 
 

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