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地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

バッハ発、ワーグナー行き(6)

2024年04月10日 06時30分00秒 | Weblog
●J.S.バッハ…ゴルトベルク変奏曲
●ショパン…夜想曲第9、10番/ピアノ・ソナタ第3番
 アブデル・ラーマン・エル=バシャ、ABDEL RAHMAN EL BACHA---彼のなかにはバッハがいる。そしてヘンデルもいる。それから、ほとんどラフマニノフもいる。ショパンもまた近い。」(プログラム・ノートより)
 
 いや、冷静に見ると、いるのはBACHだけのようだ。
 とはいえ、選曲が素晴らしく(メインディッシュが2つある!)、私はすぐ飛びついた。
 意外にも、「ノクターン第10番」で”ピアノが猛獣のように暴れ出す”シーンが出現し、驚いた。
 こういう現象は予期しないときに起こるのである。
 さて、バッハとショパンというのは、いわば「父と子」の関係にある。
 ショパンは、リストから「バッハの息子」と呼ばれていたくらい、バッハを敬愛していたのである(丸山先生の錯覚?(2))。 
 なので、フーガも作曲しているし、何より舞曲(特にポロネーズやマズルカなど)への偏愛は、バッハの影響が強いと見るべきだろう。
 もちろん、対位法の導入(「ソナタ第3番」の第1楽章など)などのスタイルについても、バッハの影響を指摘することが出来る。
 他方、ベートーヴェンとショパンの関係については、「余り濃密ではない」という見解が一般的なようだ。

 「ショパンといえば素晴らしいメロディストですが、やっぱり歌が基本だと思います。モーツァルトもそうでしょう。人間の声、歌。
 だから、歌よりは器楽という感じのベートーヴェンとはちょっと世界が違う。ベートーヴェンは、ショパンのお気に入りの作曲家ではなかったみたいですね。

 ピアニストの見解なので尊重する必要があるし、ショパン(幼い頃は「モーツァルトの再来」と呼ばれていた)における「声、歌」の要素が重要である点はその通りだろう(但し、これはモーツァルトの遺産か?)。
 だが、「ベートーヴェンは、ショパンのお気に入りの作曲家ではなかったみたい」という点には同意できない。
 というのも、実は、ショパンはベートーヴェンの楽曲の「オマージュ」的な作品を作っているからである。
 例えば、「幻想即興曲」は、その名のとおり、ベートーヴェンの「月光」(幻想曲風ソナタ)第3楽章を基に作られたことが指摘されている。
 そのせいか、ショパン自身は、「自分の死後、この楽譜を燃やして処分してほしい 」と述べていたのである遺言不執行)。
 それだけではなく、私見では、「幻想即興曲」の中間部のメロディーは、ベートーヴェンの「悲愴」第2楽章の「オマージュ」であるように思うし、「ソナタ第3番」の冒頭は、「熱情」の冒頭のデフォルメ版のように感じる。
 ショパンがピアノ・ソナタを作曲する際、模範ないしライバルとみなしていたのは、ベートーヴェンだったのではないだろうか?
 こうした観点からショパンのピアノ・ソナタを分析していくと、あちこちにべ―トーヴェンのエコーを見出すことが出来るように思えてくる。
 つまり、ショパンは、「バッハの息子」であると同時に「ベートーヴェンの弟」なのではないだろうか?

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