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王様の「秘密の参謀本部」

田端到&ビンゴ本郷の実験創作プロジェクト

ステロイド騒動

2007-12-15 21:44:50 | 野球
 時は2025年。スポーツ界は「プロテイン騒動」に揺れていた。
 五輪の金メダリストA、超有名メジャーリーガーのBなどが、禁止栄養食品のプロテインサプリメントを過去に使用していた疑惑が浮上したのである。これが事実ならば、金メダル剥奪や、すべての記録が抹消される可能性もあり、「トップアスリートが子供たちの夢を裏切った。許せない」と世界中が大騒ぎだ。

 プロテインサプリメントが禁止されたのは5年前の2020年。ドーピングに関する規制が年々厳しさを増し、ステロイドなどの薬物だけではなく、プロテインサプリメントのような「化学的に精製された栄養補助食品」も広い意味でドーピングにあたるとの判断が示されてからだった。

「プロテインはただのタンパク質。すぐに筋肉がつくわけではなく、長期的なトレーニングとの併用で効果が出るもの。筋肉増強剤と一緒にするべきではない」という意見も多く出されたが、

「自然界に存在しないものを体内に入れる行為は全部ドーピング」
「最近のプロテインはすごい。同じトレーニングをしても、良質のプロテインを摂取した人としなかった人では、効果に大きな差がある。お金の力でプロテインを手にした人だけが得をし、何の補助食品にも頼らず、まじめにコツコツと努力した人が損をするような不平等があってはならない」
「有名スポーツ選手がプロテインの常用を公言したことで、一般人にもプロテイン・ダイエットが広まり、誤った知識による健康被害が増えた。プロテインも使い方によっては健康被害を引き起こす」

 などの意見が噴出。国際アンチドーピング連合によって禁止薬物に指定された。
 常識的な見解では、禁止された2020年以降の使用はアウト、それ以前の使用はセーフとなるが、トップスポーツ選手に限っては禁止以前の使用も道義的に問題視され、糾弾されるという傾向が続いている。

 これには21世紀初頭の「プロ野球メジャーリーガー薬物騒動」 が尾を引いている。当時も「ステロイドが禁止される以前の使用」と「禁止された以降の使用」が全部一緒に扱われ、バリー・ボンズ、ロジャー・クレメンスら、殿堂級プレイヤーが厳しい非難の対象となった。

「おいおい待てよ、オレがやったのは禁止されてない頃だぜ」という正当な弁明は、ヒステリックな批判の声にかき消され、スーパースターの名誉は深く傷つけられた。

 今回のプロテイン騒動でも、金メダル選手のAは「ぼくが飲んでいた頃は、誰もプロテインが悪いとは言わなかったし、みんな飲んでました。今さらアウトと言われても……」ととまどいを隠せないが、それでは不公平になってしまう。
 先日、覚醒剤の所持で逮捕されたタレントCは「覚醒剤なんて昔は薬局でも売ってたのに、何がいけないんだ」と開き直ったが、その言い訳が認められないのと同じことである。

 アンチドーピングの急先鋒であるオッパッピー会長は、「我々は今後もドーピングを厳しく監視していく。次はビタミン剤を取り締まる予定だ」と豊富を口にした。
 なお、今回の措置が決定すると、五輪金メダルの95%、世界記録の99%が取り消しになる模様だ。
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星野ジャパンの采配

2007-12-06 04:14:04 | 野球
・星野仙一JAPAN監督の采配はどうなんだ。

 韓国戦のあの8回岩瀬続投について、「岩瀬の心の強さを一番よく知っているのは、岩瀬を中継ぎ投手に育てた星野さん」と誰かが言っていたが、付け加えれば星野監督は阪神時代、藤川球児を育てようとして失敗した人だから、藤川の心の弱さもよく知っているんだろう。

 当時と今の藤川では全然違うとしても、星野監督の中ではそこが引っかかったのかも知れない。

・しかし、あんなふうに主軸打者までみんな逆方向へのシングルヒット狙いだと、送りバントの有効性はかなり下がる。
 送りバントは「アウトをひとつ献上して、塁をひとつもらう」戦術なので、ワンヒットで二塁走者がホームまで帰れる場合のみ有効になる。送った走者がワンヒットで帰れないと、アウトを献上したマイナスが大きくなる。

 だから、本来長打も打てるバッターがちょこちょこ流し打ちのシングルばっかりだと、結局、効率が悪くなって残塁が増えるパターンに陥りやすい。
 早い話、全員がコツコツつなぐならバントは使わない方がいいし、バントを使ってつなぐなら主軸はもっと強打しないとよろしくない。

・勝ったんだから、理屈はもういいじゃないか。
「理不尽はドラマの母である」という言葉にしたがえば、岩瀬続投も、効率の悪い攻撃も、みんなドラマティック・ゲームの生みの親だ。

・それはさておき、ケータイが故障してメモリーが全部消えた。私のケータイ番号を知っていてここを読んでいる人がいたら、1本電話ください。
 番号なんか入れ直せばいいんだけどさ、もう旅立ってしまった人からのメールを保存しておいたのが消えてしまったのが悲しい。というか申し訳ない。
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クライマックスシリーズ

2007-10-16 15:25:19 | 野球
・おお、ロッテは今日の第4戦に成瀬善久を温存するのか。日本ハムに勝つには16勝1敗のサウスポーを第5戦のダルビッシュ有にぶつけるしかないという判断なんだな。

 第1ステージのソフトバンク戦も、1、2戦に成瀬を使わず、おお、これは切り札を温存して日本ハムとの初戦でダルビッシュにぶつけるつもりだなと、胸が躍ったが、結局、3戦までもつれ込み、成瀬を使わざるを得なかった。

 今度こそだ。成瀬とダルビッシュの投げ合い、最終決戦で実現したら鳥肌もんだぞ。たまらん。すげえ見てえ。 がんばれロッテ、踏ん張れ小野!

・もうずいぶん時間が経ったけど、古田敦也の引退試合に行ってきた。
 最後のスピーチで「また、また会いましょう!」と「また」を2回重ねたのは、次のうちどの理由によるものでしょう?

1 強調のための繰り返し。
2 そこだけあらかじめ用意した決めゼリフだったため、照れが混じってしまい、噛んだ。
3 本当はあの場面で尾崎紀世彦がBGMに流れるはずだったのに、流れなかったので、とまどった。

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古田敦也

2007-09-19 15:32:47 | 野球
 古田敦也の話題でも書いてみるか。といっても、古田物語みたいなのはこれから山ほど出てくるだろうから、あんまり知られてなさそうな話を。

・打者古田の大きな特徴は球場によって打撃を変えていたことである。これは2000本安打を達成したときに、もっとも多くのヒットを献上した投手・山本昌(中日)もホームページに書いていた。
「古田君は狭い神宮球場と広いナゴヤドームでは、バッティングを変えてくる」と。

 また、相手投手によっても打撃を変化させる。シンプルに言えば、ボールを手元まで引きつけて打つ松井型バッティングと、ボールを前でさばくイチロー型バッティング、この2つを投手に合わせて使い分ける。
「バッティングにはコツがある」と語る古田ならではの、器用さと頭脳的打撃術だ。

・古田の年度別ホームラン数を見ると、面白いことに気づく。規定打席に達した年のうち、もっとも本塁打の少なかったのは97年、98年、02年の9本。

 この97年と98年は、野村監督の下、古田が4番を任されていた年である。つまり、4番を打っていた年がいちばんホームランが少ないのだ。
「4番」に対する古田の考えがよく出ている気がしてならない。4番古田は、長打より確実性を重視した。

・立命館大学を卒業時、ドラフトに掛からなかったのは「メガネのキャッチャーは大成しない」と言われていたため……というエピソードは超有名になってしまったが、これは実は正しくない。
 本当は「古田は鳥目だからナイトゲームは無理」という噂が流れ、どの球団も二の足を踏んだ、というのが真相らしい。

 ただ、鳥目というのは放送自粛用語なので、マスコミとしてはなるべく使いたくないし、デマだった。じゃあメガネの話のほうがわかりやすいし無難だろうと、そっちがいつしか定着していった。 
 プロ野球の世界はメガネくらいで指名を見送ったりしないよ。

・ヤクルトの神宮最終ゲームはほぼ毎年観戦しているが、今年は混みそうだな。池山引退の02年並みか。古田には引退試合だけじゃなくて、ラスト3試合くらいは全部出て欲しい。
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熱湯甲子園(←わざと)

2007-08-23 00:54:45 | 野球
・高校野球は、ちばあきおの野球マンガよりもベタである。

・でも、あの押し出しの1球はストライクだろう。よく言えば、あのミスジャッジがミラクルを呼んだ。きつく言えば、高校野球でベタなことが起こるのは審判のレベルが低いせい、という象徴でもある。

・負けてもニコニコ笑っている高校球児が増えたね。エラーしてもニコニコ、打たれてもニコニコ。さわやかを通り越して、日本の将来が心配だ。
 あの勝負への執着心のなさは、サッカーのアンダー代表なんかを見ていても感じるものだ。「精一杯やったんだから、勝ち負けはどっちでもいい」ってそれはスポーツじゃないと思う。それじゃ徴兵制の国に勝てない。

・なあ、君たち、「グラウンドでは歯を見せるな」って言われなかった? 
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内野守備

2007-06-22 01:39:01 | 野球
 交流戦を見て思ったのは、オリックスの二遊間はいいねえ。セカンド阿部真宏、ショート大引啓次のコンビ。これはかなりレベルが高い。

 阿部真はもともとショートの選手で、05年のレンジファクターがパ遊撃手1位だったくらい守備力は高い。それをセカンドに追いやって、ルーキーの大引がショートをやっているわけで、さすがにあの俊敏さはたいしたもんだ。

 さらにここへサード後藤光尊が加わることもあり、後藤も元はショートだから、二塁手・遊撃手・三塁手の3人を全員「本職ショート」で固めている。これはヤクルトのザル内野陣を見慣れた目には、うらやましくて仕方がない。平野恵もうまいしね。

 そんなこんなで、ちょっと大引が気になりつつある今日この頃です。がんばれ、いい選手が多いのに弱いオリックス。

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野村采配と古田戦術

2007-05-24 02:05:09 | 野球
 今日(5月23日)のヤクルト-楽天戦はぐったり疲れた。でも、面白かった。
 二転三転の末、延長10回、5-4で楽天のサヨナラ勝ち。試合時間は4時間20分を超え、楽天は野手を全員使い切る総力戦。

 内容も、盗塁やヒットエンドランなどの足技多数。9回表は二死からオッサンのヘッドスライディングをきっかけに逆転。9回裏には打者ひとりごとに、前進守備かゲッツー体勢か、内外野の守備体型が変わるというギリギリの攻防の末の延長。

 こりゃ勝っても負けても満足だぜと思いながら観ていたけど、最後はあっけなくサヨナラ負けするとどっと疲れが出た。
 両監督とも大忙しで、ベンチも知力、体力、精神力を使い果たした試合だろう。こんなふうにベンチワークのせめぎ合いみたいな試合が、やっぱり自分は好きなんだとよくわかった。

 さすが野村監督と古田監督の野球は噛み合うってことなのか。と、1試合で決めるなよ。
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栄光のスタジアム

2007-04-17 22:02:03 | 野球
 4月15日、ジャッキー・ロビンソンがメジャー・デビューを果たした日を記念するイベントをやってましたけど、これで思い出したのが映画『栄光のスタジアム』。原題は『Soul of the Game』。

 黒人リーグのスター選手3人、サチェル・ペイジ(59歳まで投げた伝説の大投手)、ジョシュ・ギブソン(通算962本のホームラン打者)、ジャッキー・ロビンソンのコントラストを描いた作品です。
 ロビンソンが初の黒人メジャーリーガーとしてドジャースに入団する経緯も出てきます。口説き落としたブランチ・リッキー会長の台詞がかっこいいんだよな。

 アメリカの野球を描いた映画の中ではマイフェイバリットの1本なんですが、あんまり知っている人が多くないので寂しい。ヒマだったら観て下さい。
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オジー・スミス

2007-04-12 16:03:00 | 野球
 1ヶ月ほど前に出た「野球小僧」の4月号に、山下大輔、池山隆寛、小坂誠、宮本慎也、井端弘和ら、歴代名ショートのレンジファクターを鑑定するという原稿を書きました。
 これがなかなか好評だったようで、ほお、世間にはまだRFなんて知られてないんだなと実感しているところです。守備記録はネットでも手に入らないから、貴重なんでしょう。

 内容は読んでもらうとして、ひとつ迷ったのは、オジー・スミスを取り上げるかどうかでした。「オズの魔法使い」と呼ばれたメジャーリーグ史上最高の名ショート。ゴールドグラブ13年連続受賞。
 メジャーの名遊撃手というだけで「身体能力、高すぎ!」と、東洋人にはかなわない壁を感じるのに、その中でも抜きん出た存在ってことはもう、これは人間技ではありません。

 RFも超人的なレベルで、だから記事の中に「アメリカにはもっとすごいのがいるぞ」と入れようかと思ったんですが、日米を単純比較するのも違う気がするし、オジー・スミスの記録を出してしまうと、小坂誠の凄さまでかすんでしまうので、やめました。
 アメリカは日本ほど右打ちが要求されない分、遊撃手の守備機会も多そうだし、だいたい私自身が魔法使いの守備を断片的な映像でしか見たことないのに、語っちゃいかんだろう、と。

 でも、せっかく調べたんで、ここに掲載しておきます。78年から81年までパドレス、82年以降はカージナルス。レンジファクターは出場イニングではなく、出場試合数で出してあります。
 野球小僧を持っている人は数字を比べてみてください。RF5.7とか5.8って、あんた。

 ただし1980~82年を別にすれば、小坂も互角の数値だから、オジー・スミスと比べても小坂の凄さがかすむことはないか。

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英智と井上

2007-03-06 15:48:30 | 野球
 えー、また業界的な話題ですが、 拙著「プロ野球 新・勝利の方程式」がめでたく増刷決定となりました。発売後2週間も経たずに重版がかかるなんて、いつ以来だろう。

 まだお求めでない非国民は急ぎ本屋さんへ向かい、そして初版をお持ちの方もぜひ二刷りをお買い求めいただき、ってそんなわけはない。書店によっては野球のコーナーになく、講談社のアルファ文庫コーナーにしかない場合もあるようなので、お気をつけ下さい。

 宣伝だけじゃ何なので、じゃあ本のさわりを。

 中日ドラゴンズの落合監督は昨季、外野手の英智と井上一樹をほぼ半分ずつ起用しましたが、使い分けの基準が3つありました。
 ひとつは相手投手の左右。ふたつめは自軍の先発投手による使い分けです。

●先発・川上憲伸の試合
英智のスタメン…17試合、井上のスタメン…10試合。
●先発・山本昌の試合
英智のスタメン…12試合、井上のスタメン…13試合。
●先発・朝倉健太の試合
英智のスタメン…8試合、井上のスタメン…13試合。

 わかりますか。
 川上が投げる日は、英智を優先的に起用して「守り勝つ試合」にする。
 朝倉が投げる日は、井上を優先的に起用して「打ち勝つ試合」にする。
 山本昌の日はその中間です。落合監督といえば守備重視という、そんな単純な采配ではないのです。

 と、この辺は知っている人は知っている話かな。さて、じゃあ3つめの使い分け基準はなんでしょう?
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