中部空港でボランティアを3年続けるINAX名誉会長
伊奈輝三さん(70)
国際線の到着ロビーでバスの時刻表と腕時計をにらめっこしている旅客を見つけた。近づいて、「まだ間に合いますよ」。
道順を教え、走って乗り場に先回り。運転手に待ってもらうのだ。
「乗り遅れて1時間も待つのは可哀想」。
迷惑顔をされても笑顔を絶やさない。
85年、5代目の社長として伊奈製陶からINAXへ社名変更を決断した。企業のブランドイメージ戦略を確立した先駆けとされる。
「世の中の役に立ち、自分も成長する」。
01年に会長を退いた後も自ら掲げた社の理念を実践する。
ふるさとの愛知県常滑市沖に国際空港が開港した05年2月から案内ボランティアを週1回続ける。ビジネスで培った滑らかな英語で、海外からの到着便が多い夜7~10時を買って出た。3年で約1500人を導き、中国語も勉強中だ。
仲間は同世代のリタイア組や学生、主婦ら約300人。
空港への熱い想いを語って面接をパスした。
元会社員の仲間は「肩書きや地位にしがみついていては、ボランティアはできない。うちの社長じゃ無理」と舌を巻く。
旅行帰りの昔の知人にも驚かれるが、「楽しんでやっているだけ」とどこ吹く風だ。
昨年10月、地元の商工会議所会頭など20~30あった公職をすべて返上した。身軽になった象徴にあごからもみあげにひげを蓄えた。偉い人扱いの一切ない、ボランティアが生活の中心になった。
(朝日新聞 08.2.17)
伊奈輝三さん(70)
国際線の到着ロビーでバスの時刻表と腕時計をにらめっこしている旅客を見つけた。近づいて、「まだ間に合いますよ」。
道順を教え、走って乗り場に先回り。運転手に待ってもらうのだ。
「乗り遅れて1時間も待つのは可哀想」。
迷惑顔をされても笑顔を絶やさない。
85年、5代目の社長として伊奈製陶からINAXへ社名変更を決断した。企業のブランドイメージ戦略を確立した先駆けとされる。
「世の中の役に立ち、自分も成長する」。
01年に会長を退いた後も自ら掲げた社の理念を実践する。
ふるさとの愛知県常滑市沖に国際空港が開港した05年2月から案内ボランティアを週1回続ける。ビジネスで培った滑らかな英語で、海外からの到着便が多い夜7~10時を買って出た。3年で約1500人を導き、中国語も勉強中だ。
仲間は同世代のリタイア組や学生、主婦ら約300人。
空港への熱い想いを語って面接をパスした。
元会社員の仲間は「肩書きや地位にしがみついていては、ボランティアはできない。うちの社長じゃ無理」と舌を巻く。
旅行帰りの昔の知人にも驚かれるが、「楽しんでやっているだけ」とどこ吹く風だ。
昨年10月、地元の商工会議所会頭など20~30あった公職をすべて返上した。身軽になった象徴にあごからもみあげにひげを蓄えた。偉い人扱いの一切ない、ボランティアが生活の中心になった。
(朝日新聞 08.2.17)