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空色野原

空の下 野原にねころんで つぶやく

今日失敗したって明日は新しい人生

2008-02-27 13:48:22 | 元気になる人物伝
   「なるようにしかならない。ゆっくりやりましょうよ。」

天台宗大阿闍梨 酒井雄哉(さかいゆうさい/81歳)
1926年大阪府生まれ。戦後、職を転々とし、65年比叡山で得度。80年と87年に千日回峰行を満行。千日回峰行を2度した行者は400年間で3人だけ。

――生き仏と言われる偉い行者様ですが・・
 こないだ来た人、「本当に行をしたんですか?」なんて言うんだもん。「したことになってんですよねえ」なんてな。(略)
 いつも言ってるんだよ。おれ死んだら葬式いらねえからって。ちょっと出かけて来ますわって、そういうのがええわな。

――比叡山山中を1日30km拝み歩いて700日。9日間の堂入り。60kmを100日。84kmの京都大回りを100日。山中30km100日で満行。挫折したら自害する決まりがあるほど厳しい行になぜ?
 行に入る前、姉に「山を歩くよ」と報告したら、「いいわねえ」だって。ハイキングでも行くと思ってたんじゃないかな。坊さんの血筋でもないし、キャリア組でもないのに仏さんの世界に入れてくれた。じゃあ何をやったらいいんだろう。ぼくみたいに出遅れた人は、捨て身で何かやんなきゃなんないんじゃないの?って思ったわけよ。

――修行中は無我の境地?
 そんなことあらへんよ。阪神タイガースファンだからな。きょう勝ったかな、なんて思って歩いたことあるよ。こりゃ、仏さんに悪いことしたって、一生懸命ざんげして、拝んで。そんなことの繰り返しで。

――9日間の不眠不臥、断水断食の「堂入り」は過酷だとか。
 4日目くらいから死斑が出てきて魚のくさったようなにおいがしてきて。死臭だな。やらないとわかんないもんだな。元の体に戻すには27日は養生せよと伝えられている。そうすれば後遺症もないし、細胞が改造されちゃうわけ。何事も元に戻すには3倍の時間がかかるんだな。
 生死のふちを感じてみると、なんと尊いものをいただいているかと思うよ。だから簡単に命を殺すようなことを決してしてはいけないんだよな。

――堂入りまでが自分の行、それからが世のための行と。
 いつの間にかそういう風な考えが生まれてくるだけのことで。仏様から知恵をいただくんですな。昔の人は葉っぱが落ちただけで悟りを開いたっていうじゃない。そりゃ、枯れりゃ落ちるじゃないのっていうことだけどさ。青く茂って時期が来たら葉が落ちる。来年になったら青く茂ってくる。それを見て、「ああ、生命っていうのは1回でおしまいじゃない、つながっているんだな」って気づいていく。こういうのが仏様からいただく「仏智(ぶっち)」なんだな。

――生きた智恵ですね。
 勉強して知識ばかり増やすのでなくて、自分がこのくらいまでなら分かるな、と思ったら実践していけばいいのよ。実践すれば智恵が出てくる。智恵が出たら、こうしてみようとか、もう少し勉強しようとか思うでしょう。それを繰り返し繰り返し、だんだんだんだんとね。

――2度の千日回峰行を経てどんな変化がありましたか?
 何もないんだよ。結局。みんなが思ってるような大変なもんじゃない。何も変わらず、今もずーっと毎日歩いてるしな。比叡山での回峰行というものでもって、大げさに評価されちゃってるんだよ。
 戦後、荻窪の駅前でラーメン屋をやってたことあるんだ。今でも材料あったらチャッチャッチャって作っちゃうよ。同じだよ。朝起きて、仕込んで、材料買いに行って、お昼にお店開けて、夜中に店閉めて、寝て、6時ごろに仕込みして。くるくるくるくる…。もしここに屋台があったらラーメン屋のおやじだな。形は違うけどやってることは同じなんだよ。

――行は形じゃない、と。
 みんなさ、背伸びしたくなるの、ねえ。自分の力以上のことを見せようと思って、ええかっこしようとするじゃない。だからちょっと足元すくわれただけでもスコーンといっちゃう。
 無理しなくていいんだよ。無理っていうのは、自分にとって理に通らないようなこと。それならやんない方がいいんだな。ぼくなんか、それをはずしながら、肩すかししながらやってきたから長持ちしてんじゃないの。無理せず、ひがまず、焦らず、慌てず、水の流れのごとく生きる。溜まりに入ってもあわてることないよ。よどみも除々に解かれていくから。

――日々、悩み迷うことばかりです。
 朝ここから草鞋履いて出て行くじゃない。帰ってくるとボロボロになっちゃうわけよ。翌日はまた新しい草鞋を履いて行く。(略)もし自分が草鞋だったら今日でおしまいじゃないの。そして、明日また新しく生まれ変わる。人間もそれと同じだなあって。(略)
 生まれるから死んで、死ぬからまた生まれる。一日が一生、だってね。
 今日失敗したからって、ヘナヘナすることない。落ち込むこともない。明日はまた新しい人生が生まれてくるじゃない。だからこそ、今が一番大切だってことだね。今自分がやってることを一生懸命、忠実にやることが一番いいんじゃないの。
(朝日新聞 08.2.4~8「人生の贈り物」より抜粋)

ジェイムス・ブラント

2008-02-22 15:23:47 | 音楽
イギリス出身のシンガー・ソングライター、ジェイムス・ブラント。
現在、男性シンガー・ソングライターが注目度が上がっているが
そのキッカケとなったのは
ジェイムス・ブラントの「You’re Beautiful」のヒットだった。

軍人一家に育ち、父の勧めで軍隊に入り
イギリス軍将校(大尉)として大勢の部下を率いて
コソボ紛争に従軍したという経歴を持つ彼は、05年にデビュー。
その美しくて感情あふれる歌声が多くの人たちに感動を与え
「You’re Beautiful」がヨーロッパ各国で1位を獲得した。

さらには同曲でアメリカ・デビューも果たすと
イギリス人ソロ男性アーティストとしては実に9年ぶりに
ビルボード・チャート1位に輝くなど、世界的な大ヒットを記録。

日本でも、「You’re Beautiful」がドラマの挿入歌
そしてCMソングに起用され(宮沢りえが出てたトヨタ・ヴィッツ)
同曲を収録したアルバム『バック・トゥ・ベッドラム』
のセールスは50万枚を越えた。

先日のグラミー賞ノミネートでは
どうどうの主要4部門のうち3部門にノミネートされ
計5部門のノミネートを獲得。

「ほんの数年前まで、善良な隣人として暮らしていた人々が、殺し合う……。そんな不条理を目の当たりにし、自分たちは文明社会の住人ということ自体が幻想に過ぎないのでは、と考えてしまった。この体験は、少なからず僕の音楽に影響を与えていると思う。……悲しみや苦い感情を描いても、どこかに救いがあるような曲作りを心がけている。」(ジェイムス・ブラント)

 ―*―*―*―*―*―

実は「You’re Beautiful」もたしかにいいとは思ってたのですが
今朝、彼がコソボに従軍し
そこで作った別の曲もラジオでかかって
(戦地にギターを持っていったそうな)
なんというか魂ふるえました。

この人は魂が元々歌うたいなのに、軍人ばかりの家族の中
すすんでというよりはしかたなく
でも誠実にコソボという戦地に向かったのではないでしょうか。
大尉にまでなっちゃって多くの部下を率いていたそうです。

戦地に行かざるを得ない自分、そこでのすべて
その切なさというか涙を感じさせる歌でした。
歌の意味は英語でわかりませんけど・・。
彼の歌う声の底に深い切なさと魂の強さを感じます。

歌い手というのはただ上手くてなる人と
やむにやまれぬ魂が発露してる人といるように思うんですが
彼は後者かな。

そういえばビデオクリップも前に見たなぁ。
着ているものをひとつひとつ脱いで
最後にポケットの中身と靴を並べて、灰色の海へ飛び込むというの。
彼だったんだ・・。

James Blunt
http://wmg.jp/artist/jamesblunt/index.html

人生の縦糸

2008-02-18 18:03:57 | nam amita-yusu
       「みそ汁の味も、たくあんの漬け方も
      親から子へ伝えられるものは家伝なんだよ」

無着成恭(むちゃく・せいきょう)
1927年山形県生まれ。泉福寺住職。48年、山形・山元村(当時)の山元中学校に赴任、生活綴方(つづりかた)の記録『山びこ学校』がベストセラーに。著書に『昭和教育論』など。

――山形県・澤泉寺で住職をしながら「山びこ学校」を実践、千葉県の福泉寺を経て、大分県の国東半島に子来られて4年
 広いでしょう。一気に上がってくると、息が切れてすぐにお経読めないですから。このお寺全体が国や県の重要文化財になってる。おれにはこんな建物、似つかわしくないんですよ。寺は葬式や法事をするためにあるんじゃない。教育するところ。だから授業のできるような20坪くらいの教室が一番いい。
 「授業」は仏教語ですよ。業を授けるというのは、カルマを悟らせること。だから、「ジュゴウ」といったんです。住職になる資格を「教師分限」という。学校いたときも寺でも、おれは何も変わっちゃいないんだよ。
――講話の会を開かれます
 お経の話をしてるんですよ。「経」は、その人間の人生の縦糸だよって。反物を織る時、機に縦糸を据え付けてから、横糸をギコバタトントンって織っていく。縦糸は織ると見えなくなる。畳もね、いい畳かどうかは表面に使われるイグサでは決まらない。中の縦糸で決まる。
 その人間がどれだけ偉いかということも表では分からない。その人間が持つ人生の縦糸、経で決まるんだよ。国家経営の経も、経済の経もそうだ。
――人生の縦糸、いいですね
 欲しいでしょう。日本人が縦糸なくしてしまったんだよ。あなたの家の家訓は何ですか?そんな言葉さえ日本人は忘れちゃったんじゃないですか。家訓という言葉が死語になってしまったならば、日本は滅びざるを得ないだろうと思いますね。
 ご飯の食べ方はこうだよ、ご先祖さまはこうしてきたんだよということを教えるのが家訓。家訓とか家伝とか家風とかいうのがあって、その中で大人になっていくんですよね。私たち寺に住むものが、そうしたことを教えていかなければならないと思っているんです。
(朝日新聞 08.2.12)

NATIONAL GEOGRAPHIC

2008-02-14 22:28:07 | 
<写真はNATIONAL GEOGRAPHICのPRパンフより>

月刊誌、ナショナル ジオグラフィック
写真が素晴らしく、記事も面白い。

3年分ほどたまったこの月刊誌を
ナクナク先日大掃除で大処分しました。
…本というのには愛着があり、例え雑誌でもナカナカ捨てられない。
ゆえに近頃は専ら図書館派。どうしてもという本だけにしてイル…

もっとも、どうしても捨てられない
“洞くつ探検”なんかの号はとってあります。

どうやって撮ったのか?っていう高山の岸壁登山の写真
(垂直の崖に吊されたビバーグ風景)とか・・。
地底探検の写真とか、めったに見れない光景も数多い。
(探検ものダイスキ)
動物や人間の写真も群を抜いている。

また、歴史的プロジェクトを支援していることも特徴的。
例えば、エジプトの砂漠で発見された約1700年前の古文書は
禁断の書、『ユダの福音書』だった・・。とか
この古代の福音書を修復・解読するプロジェクトをサポートしたり
タイタニック号、失われた空中都市「マチュピチュ」の発見
マヤ・インカ古代遺跡の発掘調査、野生動物の生息調査など
積極的に行動する雑誌として、これまで数々の実績をあげている。
最近では、特に地球環境問題に積極的に取り組んでいる。
それらは購読料の一部を使って行われている。

ま、わたしは専ら写真ばかり見てました。
記事はあまりちゃんと読んでない不勉強者でしたが
それでも引っ掛かった記事もあり
その記事がファイナル・ハートという自作の物語の
大きなヒントのひとつになったりもしております。

興味のある方は読んでみて。見応えあります。
贈り物にすることも出来ます。
わたしは兄から贈られました。

NATIONAL GEOGRAPHIC
http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/index.shtml

人生、蛇行しながら太く

2008-02-11 08:49:21 | 元気になる人物伝
「求めない――すると 時はゆっくり流れはじめる」
シンプルな言葉でつづった詩集『求めない』(小学館)が39万部のベストセラーになった、85歳の詩人加島祥造さん。信州・伊那谷の自然の中で詩や墨彩画を楽しむ。

「僕の場合、詩を1册の本にするのに5年かかる。詩も絵も高いエナジーが出てくるのを待たなければいけない。待つ間も欲張らず、何日も無駄にする。芸術とは自分の無意識が出てくるものだから、思い通りにはならないんだよ」
 だから、4ヶ月余りで書き上げた『求めない』は異例の1册だ。「求めない」で始まる言葉が突然、次々とわき出したという。
「もう少し安らかに生きたい、リラックスしたい。そんな時、この言葉を自分に向けると楽になった。八十を超えた実感から出てきた言葉なんだ」
 この教えに、「気持ちが楽になった」「別の自分を見つけた」と手紙が届く。若い世代の読者も多い。
「若い頃の自分にはそんな考えはなかったから、不思議な気がする。今の人たちは強く求めすぎて自分が苦しくなったり、求める世界だけに取り巻かれて自分を見失って不安になったりしているのかな」
 アルプスの山々を遠く見渡す部屋に、ふらりと猫が入ってくる。穏やかな時間が流れる。
「自然の中にいると誰も私を求めない。自然は何も求めないからね。求められない世界にいると自分も求める心にならない」
 しかし、『求めない』のヒットで一躍、「求められる人」になった。「うれしいことではあるんだ。人間は求められるうれしさをよく知っている。求められるだけならいいよ。でも返さなくちゃいけない。みんな過剰に返してしまう。返さないと次は求められないと思うんだろうね」

 東京・神田生まれ。詩誌「荒地(あれち)」に参加した。英文学を学び、フォークナーやトウェインなど翻訳は多い。「なぜ英語に興味を持ったのかわからない。目的もない。面白そう、それだけだった。何が何だかわからないまま壮年期はうろうろしていた」と振り返る。「だからあんまり偉そうなことは言えないんだよ」

 その人生は還暦をすぎて大きく展開する。「老子」に出あい、伊那谷に移り住んだ。英米文学から東洋思想へ。
 都会生活から田舎の一人暮らしへ。人生はゆっくりうろうろ、川の流れのように蛇行してきた、という。
「僕の仕事ぶりを見ればわかるだろう?蛇行しながらだんだん太くなっていけば、いつか自分の潜在能力が出てくる。今は、大変幸せな気持ちでいる。八十過ぎても生き生きしているのは、みんな自分が面白いと思ってやってきたことだからだよ。自分の一番したいことを願い、それを手放さなければ生きる意味を実感できるだろうよ」(朝日新聞より 08.2.7)

生も死も地続き

2008-02-08 23:16:46 | Tao
きぼうのいえ(東京山谷のホスピス)に伺う日でした。
今日は、南千住の駅のホームに降り立った時から
空が明るく見えたのが印象的でした。

はじめにTさんを施術させていただいた時
なんというか生も死も地続きで
どなたも圧す先の遥かその果てには光しかなくて
深い闇の向こうのそこへ向かって圧しているのだな、と、
それは余命の長短にかかわらず一緒だなと感じました。
すると、死の先も素直に明るく感じられました。

その後、今朝亡くなった方の出棺をお見送りしました。
そうめんが食べたいとおっしゃって完食され
その後しばらくしてすーっと亡くなったそうで
ここではこんな亡くなり方が多いそうです。
浅草まで散歩した翌日にすーっと亡くなった方
借金を返して、友人と楽しく過ごしてやはりすーっと亡くなった方。

また、中にはよくなって
きぼうのいえを出て生活されている方も
幾人かいらっしゃるとも聞きました。

美しい聖歌を歌い、お花で飾り
スタッフの方たちの心のこもったいいお見送りでした。
なんというか、帰りの電車の中で
思わず合掌させていただきたくなる想いが湧き
これはなんだろうかとしみじみ感じていたら、感謝でした。
Yさんのお見送りに立ち会わせていただいたこと
あまりのYさんの安らかな清らかさとスタッフの方の明るさに
モロモロすべてに感謝、でした。

『東京のドヤ街~山谷でホスピス始めました。
 ――「きぼうのいえ」の無謀な試み』
きぼうのいえ施設長 山本雅基著 実業之日本社 ¥1600+税

きぼうのいえ
http://www.kibounoie.info/

焦げた仏

2008-02-05 14:49:58 | 面白記事*面白番組
文化財修理技師 惣司(そうづか)富士夫さん(49)

 京都市の東本願寺にほど近い財団法人・美術院国宝修理所。その歴史は、岡倉天心が100年以上前につくった日本美術院にさかのぼり、文化財修理の技術を伝えてきた。持ち込まれるのは彫刻から工芸品まで。国宝だけでなく、国や地方自治体指定の文化財なども手がける。
 その技師の一人として木造彫刻を受け持っている。今、修理しているのは東京都日野市の指定文化財である大日如来坐像。平安時代の作だが、解体して調べたところ、江戸時代に粗悪な修理がなされたことが分かった。「付け替えられた腕は平安の様式ではありません。よかれと思ったのでしょうが、つくり直さなければなりません。難しいですけどね。」歴史や美術の幅広い知識が必要だ。
 思い出の一つは、奈良・東大寺南大門の金剛力士立像(仁王)をいったんすべて解体しての大修理。88年から5年がかりだった。胴体のひび割れを直したり、欠けた蓮弁(ハスの花弁)を補ったり・・・。
「足場は高さ10m。ヘルメットと安全帯を着け、建設現場のようでした。でも作業自体はとても繊細。しかも、下ではたくさんの僧が拝んでおられる。神経がピリピリと研ぎ澄まされる思いがしました。」
 反対に、手のひらにいくつも乗る小さな仏像を扱ったこともある。京都市の寂光院本堂が00年に放火で焼け落ちた。木造地蔵菩薩立像は国の重要文化財。像の中の「胎内仏」はだいじょうぶだったが、外に出ていた約3700体は無残だった。焦げた仏をなんとか修理しようと懸命だった。
「その翌年、米国で同時テロ事件が起きました。がれきから救出される人々の姿が、あの小仏と重なった。あの時ばかりは改めて、世界平和を願いました。」(朝日新聞 08.2.5)

PAINTED COUNTRY

2008-02-01 15:23:59 | プロフィール
トリシア・ギルド
『ペインテッド・カントリー』
洋書のインテリア写真集です。

普段ハードカバーの本など買うことは皆無ですが
10年以上前になるでしょうか
コンラン・ショップで衝動買いしました。
高い買い物でしたがこの満足にはかえがたいものがあります。

イラストレーターの仕事をして
その頃グループ展や個展を何回かしてました。
その頃から色というものに細胞のざわめくものを感じていました。
街を歩いても本の表紙、ショウウインドウ
看板の色なんかに触覚がピピンと触れて
ときめいてしまうことがあったものですが
まさにこの本はそんなかたまりでした。

今もそうですが
特にキミドリや澄んだ青、それに合うモモイロなんかに弱い。
あとレモンイエロー。バレンシアオレンジ。etc.etc.

トリシア・ギルドは日本でもそのファブリックが買えるようですが
日本で買えるその布類というよりは
まさにこの本のワールドがわたしの何かに触ったのですね。

広大な緑の中の古い家の
壁や家具を思うままカラーリングし
美しい青やキミドリ、キイロ、橙を使った
カーテンやクッションをあしらっています。
家もその外の広大な緑もすべてつながったひとつの生き物のよう。
しかもそれらがいきいきと輝いている。

使い込んだような味を出しているので
原色を使っていても家の古さとの違和感がない。

開くたびに元気が出ます。
キミドリのこのきゅっと希望の湧く感じというのは
いったいなんなのか?

10代は暗い色になじんでいましたが
ある時期から色の好みははじけました。

色は語ってきます。
もしうつうつとした日々を過ごしている方がいらっしゃるなら
どうぞ明るいキミドリと語ってください。
澄んだキイロもこころを洗い、あたためます。
夕暮れる直前の安らいだPINKは
こころの奥ふかくに仕舞い忘れてるものを彷佛とさせます。

ほんの少し目線を上げて
葉を落とした樹がよく映える冬の青空を見上げてみて。

色と仲良くなると
人生に想像以上に彩りが添えられます。