松原泰道「仏教入門」を読む

2006-07-20 | 親鸞
祥伝社黄金文庫。昭和48年に出版されたものの文庫化。

釈迦,聖徳太子,最澄,空海,法然,親鸞,道元,日蓮,白隠ー9人の解説。文庫の帯には,同じ著者の「般若心経入門」について,「読み継がれて30年。110万人が感動した名著」というコピーがあるが,本書も同様なのだろうか。名著。

非常に読みやすい。理解が深く練達の筆。ぐいぐいひき込まれた。聖徳太子を含め9人の高僧の生涯と思想が解説されているわけだが,とくに釈迦,最澄,空海の章が素晴らしいと思った。法然,親鸞については多少かじっていて,その理解からそれら3つの章を読んだ。当然なのだろうが,釈迦,最澄,空海は法然,親鸞と矛盾しない,と感じた。とくに空海に多く惹かれた。破天荒かつ非常に現代的。最澄については「国宝とは道心(さとりを求めようとする心)なり」という言葉に感じ入った。その通りだろう。著者は,道心を「仕事に打ち込む心」と理解することをすすめている。これも素晴らしい。

全体としては,仏教思想の簡単に見通しがたい巨大性,柔軟性に感じ入った。このようなすぐれた思想が「葬式仏教」として矮小化されているのは不幸なことだ。(ただし,著者も指摘するように,葬式は無意味ではない。このところかなり頻繁にお葬式に参列している。これは制度化された死の練習なのだ,練習させていただいているのだ,心の準備を整えさせていただいているのだ,と思い至った。)

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