鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

雪解け・雪溶け・雪融け

2022年07月22日 | 鳥海山

 鳥海山の雪解け、雪渓の雪が解けるなどと皆さんは書くと思います。現在の表記では「雪解け」と書くのが一般的です。解と溶と融は実は意味するところが全部違います。「雪解け」と書くとなんだか雪がばらけるような気がしませんか。そう、本来の「解」は牛を刀でバラバラにするところからきています。「溶」は「塩が水に溶ける」「暑くてチョコレートが溶けた」と書けばその状態変化の様子が想像つくと思います。「アスファルトが解けた」とは書きません。同じ「溶」でも金属の場合は「熔接」となりますが今は漢字の貧困、常用漢字などという無茶な取り決めのせいで「溶接」と書くことが多いです。

 「融」は「融雪」と書くように「固体が熱などによって液体状になる」場合に用います。「融」の字は、「鼎(かなえ)から虫がはい出るように蒸気が上がる」さまを表しているのだそうです。ではなぜ今は「雪融け」と書かないで「雪解け」と書くか、雪をバラバラにするわけでもないのに。ここにも漢字の貧困化が碍をなしています。「害」じゃないですよ。そう、常用漢字がいけないのです。常用漢字では「融」を「とける」と読むことはできないのです。ですからお役所では「融雪剤」とは使えても「雪融け」とは書けません。「とける」はその場合によって使い分けがあることがわかります。これを「解」という一文字ですべての意味を表そうとするのは日本の文化を無みする(なみする)ものではないでしょうか。


 (雪融けのイメージとは少々違うかもしれませんが)

 前の文章でなぜ「貧困化が碍を」と書いたのかというと、「碍」の文字に意味があるからです。「碍」は邪魔をする、妨げるという意味があります。電線の途中にある白いもの「碍子」ですね、あれは電気の流れを妨げるものなので「碍子」です。しかし常用漢字などという日本人を駄目にする決め事のために「碍」という漢字は公用文には使えないのです。新聞はそれを真似ているにすぎません。一般の人はいくら使ってもいいのです。なにもお役所、新聞の真似をする必要はありません。

 よく障害者などと書きますがまるで害をなすものになってしまっているではありませんか。お役所仕事では「障がい者」などと漢字をまだ覚えきらない幼子のような書き方をしています。本来は「障碍者」と書かなければいけないのです。残念ながら昨年文化審議会では「碍」の文字を常用漢字に入れることを見送ったそうです。日本語を不自由な見にくいものにしているのは常用漢字という制限のためなのです。なぜこんな取り決めが出来たのかといえば、それは根本が明治の漢字廃止論にあるのです。

 これを書く程漢字について多くは勉強していませんのでこれ以上は書きませんが、常用漢字にとらわれず「雪どけ」は「雪解け」とは書かずに「雪融け」と書きたいものです。これなら文章として目で見て感覚がわかります。「雪解け」では雪が崩れるようですね。漢字は本来見て理解できるようにできているのです。もちろんひらがなを使って悪いわけではありませんが「雪どけ」なんて小学生以下の書き方をしてはいけません。


続々・山と高原地図 鳥海山・月山 2022版 ついでに鳥海マリモ

2022年07月21日 | 鳥海山

 今日は昭文社より先日の指摘(大沢神社、破方口他について)に対する回答のメールが来ました。

 2023年度出版の際に修正掲載の調整・検討、との回答でしたので正しい状態、名称で指摘部分訂正されることを期待しましょう。

 でも毎年山と高原地図買ってられないんだよなあ。

 地図は根拠ある正確な情報で修正されていくのは当然ですし、さらには命にもかかわる場合もあるということを忘れてはなりません。

 

 そういえばFacebookでジオパークガイドのOさんが鳥海マリモについて書いています。Facebookはアカウントが無いと閲覧できないので好きなものではないのですが、

 「鳥海マリモ」名前はマリモですがまったくマリモではない。藻ではなくて苔です。マリモは漢字で書けば毬藻、毬状になった藻ですから毬藻。惹句に惹かれて遠方からわざわざやってきて「なんだ、これっ」という方もいましたね。毬状でもない、藻でもないものを毬藻と呼ぶのは無理があります。少しでも観光客を呼び込もうというあさましい心の表れでしかありません。Oさん正確を期すように頑張ってらっしゃいますが暖簾に腕押しらしく。自然も金の欲には勝てないようです。他のジオパークガイドの方は何とも思っていないのでしょうかね。


(画像は東北森林管理局のHPより)

 コケと書いてあり、俗称として「鳥海マリモ」と呼ばれています、と書いてありますが、ここは「それは誤りであり、毬藻とは全く異なります。」と書くべきでしょう、森林管理局という自然界に身を置く方々としては。これも植物の名前を漢字で書けばそのつじつまの合わないということがわかるというものです。

 


労災

2022年07月20日 | 兎糞録

 先日知り合いにあったら最初誰だか分らなかったのです。黒い帽子をかぶったおっさんだと思ったら向こうから声をかけてきて。黒い帽子と思ったのは黒いネット包帯をかぶっていたのでした。いつも見ているのはハゲ頭なので???となったわけです。

 本人曰く、毛が無いのに怪我してしまった。労災だそうです。なんでも大きな棚を移動するためにオリコン台車を下に敷いて動かそうとして、その時棚板を抜き取らなかったためにバランスを崩した時に棚板が落下、頭を直撃したのだそうです。

 オリコン台車は重量物を載せるものではありませんよね。

 

 こんな作業もよくあるそうです。パレットを敷くのはまだいい方、リフトの爪の上にヘルメット無しで直接乗ることもあるらしいです。

 日本全国で行われている光景でしょう、安全衛生に無頓着な作業環境を是としている所では。事故が起きないのは運が良かっただけ、山登と一緒ですね。

 

 フォクリフトの爪に乗って作業できる場合があるにはあります。


労働安全衛生規則
第1 5 1 条の 1 4 (主たる用途以外の使用の制限)

フォークリフト等の車両系荷役運搬機械を荷の吊り上げ、労働者の昇降等主たる用途以外の用途 に使用してはならない。但し 、労働者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない。

※ 「危険を及ぼすおそれのないとき」とは、フォークリフト等の転倒のおそれのない場合で、パレット等の周囲に十分な高さの手すり若しくはわく等を設け、かつ、パレット等をフォークに固定すること又は労働者に命綱を使用させること等の措置を講じたときをいうこと。(昭 53. 2. 10 基発第 78 号)


 そのためには専用の道具?があるのですが使っているのは見たことがありません。


(宣伝ではありませんが画像の出所は植平工業という会社のHPより、です。これだと3万円ちょいですから会社で使うには人命を考えれば安いでしょう。)

 手摺の高さ、安全帯、ヘルメットの着用、これらをクリアすればこういう使い方もできるようです。多くの会社ではこういった道具よりも人命の方が安いのでしょう。


元滝

2022年07月19日 | 鳥海山

 地図にはこう書いてあるからこれが正しい、というのは地形に関しては正確な測量に基づくものですから信頼すべきものです。しかし地図上に記載された地形の名称に関しては南ノコマイでも触れたように正しいものであるとは限りません。お役所が間違ってか、故意にかで国土地理院に申請すればその名称が登録されてしまうのですから。市販の地図は国土地理院の地図が原型ですがおそらく多くの人は地図にはこう書いてあるからこれが正しい、というでしょう。しかしそれは広辞苑信者が広辞苑にはこう書いてある、広辞苑と違うことを言う方が間違っているというのと同じです。広辞苑に載っている説明がいつでも正しいと思う人はもうちっと日本語を学んだ方がよろしい。鳥海山の自分が知る場所に限っていえば、国土地理院の地図上の名称に関する誤りは先日書いた通りですが、ここで元滝についても書いておきましょう。

 元滝も丸池様も観光スポットとして売り出している所には立ち寄りたいとは思いません。が、

 少し離れてみれば

 なぜか自称カメラマンは同じようなベストだかチョッキだか着て同じような帽子被って、しかも色までさえないもので。さらには地面に生えた苔など無視して三脚立てて写真を撮りまくります。こういうのを見るとなおさら行きたくなくなってしまいます。

 さて、元滝伏流水という呼称についてはジオパークガイドのOさんが誤りを正そうとしていらっしゃいます。

 ここで国土地理院の地図が出てくるのですが、ここには元滝と元滝川が記入されています。今回はこの地図に記された地名を地形から判断して正確なものと思われますのでそれを前提とします。(掲載地図は国土地理院電子国土Webを印刷したものです。誰でも印刷できますが、こういうところに載せる時は出所を明確にしないといけません。)

 これは全体の位置関係ですが、青い丸で囲まれたところが元滝。これでは詳細はわかりませんので拡大すると、

 元滝という滝があって、そこから流れる川が元滝川であることがわかります。元滝までは歩道があったのですが現在は落石の危険があるため通行禁止になっています。俗に元滝伏流水と呼んでいるのは元滝のすぐ下流右岸の岩崖の地形表示の所の湧水群をさします。伏流水ならどこかの河川の流れが一時的に地表に現れたものということになりますがこれは伏流水ではなく湧水であると思われます。伏流水であるなら元の河川の状態、融雪期、豪雨時期等によって水量が大幅に変わりますがこの湧き出る水は温度も水量もほぼ一定ということなので、河川によるものではない、地下を流れる河川が一時的に地表に現れたものではないということがわかります。湧水と伏流水についてはいろいろな説があるとは思いますが、そこは一度お調べください。小瀧修験の人々、あるいは地元の人々が古来なんと呼んでいたか気になるところではあります。観光映えするようにつけた名称ならば古来から伝わる名称に変えるべきですし、なんと呼ばれていたかを調べるのも興味ある人だけでなく、お役所でも調べるべきでありましょう。お役所の中にそういう人がいなければどうしようもないのですが。

 ここには「鳥海山・飛島ジオパーク 元滝伏流水」いう看板が掲げてありますので簡単には正確を期すようにはならないでしょうけれど。「ジオパーク」だって誰かは観光一途を目的としているのでしょうし、その目指すところをまともなものにしないとやがて消えゆく運命でしょう。実際あまりにも経費が掛かり過ぎて観光には益なしとしてジオパーク認定を辞退した所もあるくらいです。


冷やし中華とつけ麺

2022年07月17日 | 兎糞録

 毎日暑いので今日はラーメンのお話を。

 冷やし中華とつけ麺、これはラーメン屋さんでたべるものではありません。冷やし中華の特別においしいラーメン屋さんて思い浮かびますか?つけ麺も同じ。これはどの店で食べても大して変わりません。酢が入っているか、具が違うかくらい。お前の舌が馬鹿なんだろうって?はい、そうです。

 暑い日に「今日は暑いなあ、冷やし中華がうまそうだ。」なんて思ってラーメン屋さんに入る。注文を待っている間にガンガンと冷えた冷房は体の芯まで冷やしてくれます。隣りを見ると熱い中華を注文したお客さんが待ってましたとばかりに割りばしを割り、箸で麺を高く上げ大きな口でズズッとすすりこむ。

 それを見たあなたは、「あっ、俺も熱いラーメンにすればよかったなあ。」「冷やし中華なら家で食っても具さえ金かければ同じものが食える。この店のラーメンスープはうまいんだよなあ。」と言いつつ後悔するのでありました。つけ麺に至っては、あれはわざわざ高い金を出して食うものではありません。いくら具を別盛にしてもそれでつけ麺が美味しくなるわけではありません。あれは家で楽しむもの、店では賄の域を出るものではありません、という勝手な思い込みでした。

 有名店でも麺もスープもまずいお店ってありますよね、特に代替わりしてから。まっ、でも好き好きですからね。