鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

元滝

2022年07月19日 | 鳥海山

 地図にはこう書いてあるからこれが正しい、というのは地形に関しては正確な測量に基づくものですから信頼すべきものです。しかし地図上に記載された地形の名称に関しては南ノコマイでも触れたように正しいものであるとは限りません。お役所が間違ってか、故意にかで国土地理院に申請すればその名称が登録されてしまうのですから。市販の地図は国土地理院の地図が原型ですがおそらく多くの人は地図にはこう書いてあるからこれが正しい、というでしょう。しかしそれは広辞苑信者が広辞苑にはこう書いてある、広辞苑と違うことを言う方が間違っているというのと同じです。広辞苑に載っている説明がいつでも正しいと思う人はもうちっと日本語を学んだ方がよろしい。鳥海山の自分が知る場所に限っていえば、国土地理院の地図上の名称に関する誤りは先日書いた通りですが、ここで元滝についても書いておきましょう。

 元滝も丸池様も観光スポットとして売り出している所には立ち寄りたいとは思いません。が、

 少し離れてみれば

 なぜか自称カメラマンは同じようなベストだかチョッキだか着て同じような帽子被って、しかも色までさえないもので。さらには地面に生えた苔など無視して三脚立てて写真を撮りまくります。こういうのを見るとなおさら行きたくなくなってしまいます。

 さて、元滝伏流水という呼称についてはジオパークガイドのOさんが誤りを正そうとしていらっしゃいます。

 ここで国土地理院の地図が出てくるのですが、ここには元滝と元滝川が記入されています。今回はこの地図に記された地名を地形から判断して正確なものと思われますのでそれを前提とします。(掲載地図は国土地理院電子国土Webを印刷したものです。誰でも印刷できますが、こういうところに載せる時は出所を明確にしないといけません。)

 これは全体の位置関係ですが、青い丸で囲まれたところが元滝。これでは詳細はわかりませんので拡大すると、

 元滝という滝があって、そこから流れる川が元滝川であることがわかります。元滝までは歩道があったのですが現在は落石の危険があるため通行禁止になっています。俗に元滝伏流水と呼んでいるのは元滝のすぐ下流右岸の岩崖の地形表示の所の湧水群をさします。伏流水ならどこかの河川の流れが一時的に地表に現れたものということになりますがこれは伏流水ではなく湧水であると思われます。伏流水であるなら元の河川の状態、融雪期、豪雨時期等によって水量が大幅に変わりますがこの湧き出る水は温度も水量もほぼ一定ということなので、河川によるものではない、地下を流れる河川が一時的に地表に現れたものではないということがわかります。湧水と伏流水についてはいろいろな説があるとは思いますが、そこは一度お調べください。小瀧修験の人々、あるいは地元の人々が古来なんと呼んでいたか気になるところではあります。観光映えするようにつけた名称ならば古来から伝わる名称に変えるべきですし、なんと呼ばれていたかを調べるのも興味ある人だけでなく、お役所でも調べるべきでありましょう。お役所の中にそういう人がいなければどうしようもないのですが。

 ここには「鳥海山・飛島ジオパーク 元滝伏流水」いう看板が掲げてありますので簡単には正確を期すようにはならないでしょうけれど。「ジオパーク」だって誰かは観光一途を目的としているのでしょうし、その目指すところをまともなものにしないとやがて消えゆく運命でしょう。実際あまりにも経費が掛かり過ぎて観光には益なしとしてジオパーク認定を辞退した所もあるくらいです。


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