「本日も読書」

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旧石器遺跡捏造事件

2011年05月21日 | book
この事件、覚えているでしょうか。
神の手とまで呼ばれた、考古学の研究者が、実は捏造をしていた事件。
これで教科書の記述や、年表が大幅に変わったりと大変なことになった

この事件が起きたのは宮城県。
捏造の現場は内陸が多いので被災しているかどうかは
覚えてないが、少なくともこの著者は被災地・東松島の奥松島の里浜貝塚の資料館に異動というか
赴任していたと思う(とプロフィールにあった気がする)。

奥松島といったが、宮戸島というところだ。震災直後は橋が崩れ、陸の孤島と化したが、
今は仮せつの橋があるはずだ。「
この宮戸島にいくには、津波に襲われ壊滅した野蒜地区経由となる。
駅が原型をとどめていなくて、仙石線の車両が流され、
体育館に津波が押し寄せ、お年寄りたちが大勢亡くなった地区だ。

里浜というところは、松島湾のさらに奥というか、入り組んだ奥という位置で、
少なくとも空撮を見る限り、室浜、大浜、野蒜地区ほど被害は
受けてなさげであるが、実際問題よくわからない。
宮戸島周辺には瓦礫が大量に押し寄せていたりする。
今はどうかもしらん。

ともかく震災の前の本なので、そんなことは書いてないが、
そんな被災地から遠く離れてなんもわかってないけど、よく釣りに行き、
同級生もいたが無事かどうかもしりませんが、ある程度あのあたりを知っている
私が事情を書いといた、ということです。


とにかく、あの事件を起こした研究者と、付き合いがあり、当時文部省かどこかで
官僚としてこの事件に向き合うことになった著者が、
出会い、事件の経緯とその後、そしてゴッドハンドを切断した元研究者ともう一度会って話をする。

著者は研究者らしい、丁寧で詳しい文章。そして読みやすい。
きっとアマチュアの人にも石器の魅力や説明をして、わかりやすく説明する
ことが自然とできるようになった人なのだろう。
そしてそんな人が、捏造した人間によって人生を狂わせられた。
なのにここまで冷静に、抑えて書ける。

やっぱり現場の人、当事者の人との隔たりってのは、まあ、もう書いても仕方ないか。

旧石器遺跡捏造事件
クリエーター情報なし
山川出版社

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