「本日も読書」

読書と映画の感想。ジャンル無関係、コミック多いけどたまに活字も。

現代語訳 信長公記

2014年08月20日 | book
よく歴史本、コミックの参考として挙げられる
太田牛一の信長公記が現代語訳されて売られていたので
買ってみた。

一度現代語訳じゃない文章をウェブで読んだけどさっぱりでw
だけどこの現代語訳は読みやすくて、一晩で全部読み終えることができた。

で、気付いたのは、意外といろいろ疑問というか、
いろいろ思うことがあるというか。

パラパラめくって適当に取り上げると、
・やはり正妻の濃姫の話があまりにも無い。
若いときの話で、道三の娘を嫁に迎えた、でたぶんあと無いんじゃないかなあ。

と言っても、女性の話を詳しくしているシーン自体が全体的にほとんど無いんだけど。成敗されるシーンで女房衆が侍女が殺されたとか、そんなんばっかです。村重の妻のたしが美しい人だったとか、容姿の話や着飾った話はあるけどねえ。。。戦国時代だわなあ。

・本能寺の変のときに、信長は謀反に気付いて、近くにいる女房衆に「女達は逃げろ」って言っているんだけど、これって普段から寝るときや、周りに女性が結構いたんではないかな、と……。だって本能寺のときだけ女性が周りにいたわけじゃないでしょうし。

 よく信長の寝ているシーンって、信長一人で寝てるシーンばかりですけど、侍らしていたんじゃないの?って思う。

 たぶんもっと女性は周りにいるんだけど、重要じゃないから触れてないって感じなんじゃないのかなあ。

 なんだっけな、安土時代に信長が部下たちに、「家族を安土に集めてないのでは?」みたいな言い方をして、岐阜から早く呼び寄せろ!って怒っている話があるんだけど、これって、つまり周りの人を見ていたら「あれ女性が少ないな?」とか信長が思ったってことじゃないのかなあ。

 で、本能寺の変後に、安土城周辺の人達は岐阜に本拠があるから、岐阜に逃げていくんだけど。

 信長=尾張ってイメージがすごく強いけど、そうだよな岐阜に本拠移るんだよな。ここで岐阜に移動するということは、尾張から従っていた親しい部下たちは、信長に付き添っていて逆に本能寺の変で皆討たれてしまったって感じ?

 で、信長第2の本拠の岐阜の人たちは、尾張の人ほど信長と親しくなくて、信長討たれると「さっさと岐阜さ帰るべ」って感じだったのかなあ。岐阜から家族を呼び寄せないあたりも。


・これも本能寺の変後だけど安土城で蒲生氏郷だっけかな? 奥向きの女性に脱出を薦める話があるんだが、これも複数いたっていう形だし。なんか信長って女性との絡みが少ないんだけど、単にヤクザの親分の女の話を部下ができないだけで、実は周りに女性侍らしてんじゃないかなあ、と。

・東国の大名はやたら鷹を贈るw
良い鷹がいたんだっけか。良い馬がいる、という話も源平合戦の時代に聞いたことあるような。
鷹の話は北条、伊達、南部、出羽地方とか。あと信長が鷹狩に行った、っていう話が結構多いと思う。信長の趣味は鷹狩だなこりゃ。戦争しているか鷹狩しているか、相撲や能やら見ているか、って感じ。あと誰かを成敗しているw

だけど鷹を持って行くのも大変だと思うんだけどなw
前に別の本でも鷹を贈り物にしている話あったけど。

・結構柔軟な人かも
ものすごい数の人や人質を成敗している一方で、部下の弓衆を怒っても、道路直す罰与えて許してやったり、高野山に荒木村重の仲間が逃げ込んだら、高野山を攻めずに、高野聖(諸国を勧請している僧)を捕らえて殺していたり、なんだろうな、殺しやすいところを殺しているというか。

 あとデカイ船をつくったけど、一度使って、もう使わないから小舟に作りなおせ、とか。
 部下に鷹を送ったり、武将でなくても、周りの部下たちにいろいろ贈ったり。九鬼嘉隆だっけかなあ、「いまヒマだから故郷に帰って家族の顔見てこいよ」って声かけたりw

 まあ気分屋っていう部分も多々ありそうだけどw


・荒木村重の話結構多い。
短いながらも結構名前が出てくる印象。
なんか荒木村重ってもっと小物イメージがあるんだけど、読んだあとだと、もっと活躍しているし、重要な人物の印象になる。
荒木一族の最期の話ってかなり割いているし。
辞世の句とかいっぱい載せてる。

太田牛一が直接見たから詳しくなったってわけでもなさそう(見たものの話によると、みたいな伝聞形式が多いし)。

同じ謀反人の松永久秀の話も2ページくらい使ってはいるから、重要は重要なんだけど村重ほどではない。
まあ鎮圧する手間がそれほどかからなかった、ってこともあるんだろうけど。

だから、牛一にとっては荒木村重の謀反は明智光秀と同じくらい驚くことだったのではないかな、と。
あるいは一族の死が酷すぎたのか。
だけどなあ、たくさん成敗しまくっている信長の下だしなあ。


・佐久間親子の追放、詳しすぎw
追放のための書類を見て書いたとしか思えないほど、理由が全部書いてあるw
牛一さん見せてもらったのだろうか。
それとも牛一さんが書いたのか?
あーだけどこういうのを女性が書いていて、あとから聞き取りした、ってこともありそうな。

佐久間の父が死ぬと、息子のほうは後から許されているしなあ。
信長が「不憫に思って」とか書いてある。
これ牛一が勝手に心中察して足したので無ければ面白いんだけどな。
なんか「親の罪は子の罪ではない」的な、合理的な考え方というか。

・結構成敗された人を褒めてる
牛一視点だからかなあ、信長が偉大な人物である、という視点ながら、成敗される側の人も立派だった、とか結構褒めちぎっている。

だけど「信長の怒りをかった人は報いを受けるのだ」「憎まれた人は」みたいな言い方もするしなあ。
なんなんだろうな、この基準。
いまひとつわかんないw
世間的に立派とされる人は立派と言っている感じもあるにはあるが。。。

官位とかも牛一は重視している書き方だしねえ。

織田信長が神だの、悪魔だのいろんな姿に例えられるが、読んだ限りは中世の王様? 戦争が多い時代のヨーロッパの王様とかととても近い印象を受ける。で、そのなかで有能な王様というか。

権力を持って、対外的に強い優秀な人だと、こういう感じを受ける部分はあるんではないかなあ。優秀な王様を英雄として称える例はあると思うんですが、まさに信長はそんな感じがする。

むしろ違和感があるのは秀吉、家康かなあ、と。
ただ信長を日本統一の初代王様、秀吉が2代目で家(国)を成長させて、3代目家康が家を安定させて繁栄を築くって見ると、なんかこの人たち家族みたいだなあ、って思っちゃうんだけどw

だけど意外とヨーロッパの王様もこんな感じじゃないのかな、と。
血統をより重視しているだけで、発展している国って英雄の初代建国王がいて代々繁栄させていくっていう。


現代語訳 信長公記 (新人物文庫)
クリエーター情報なし
中経出版

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