あたぴぃのらくがきちょう Online

わりと徒然なるあたぴぃの日記。細かい情報ブログは目指してません、ご了承くださいませ。

揺れる秤

2008-05-24 20:49:07 | お出かけ
意味深なタイトルは今年の五月祭 (明日まで開催) で今日行われた、
東京大学法律相談所 主催のイベント、模擬裁判の今年のテーマ。
法律相談所の Web サイトも昔は手作り感満点だったのに、
いつの間にか立派になっていて安心して紹介できるようになったなあ。
あたぴぃがいた頃と比べても最近は賑やかに…ってすごく脱線した。

で、なんだっけえーと。模擬裁判か。ゆれるはかり。

裁判員制度というものについては、あたぴぃが改めて語るよりも
最高裁判所の公式サイト が詳しいのですが、ですが。
裁判員として呼ばれた人は何をすればいいの?というところまで、
それなりにはっきりしたイメージを持っている人は多くないのかも。
その辺を中心に「裁判員制度」を扱ったのが今年の模擬裁判でした。

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今年の事案は「育児放棄 (ネグレクト)」。平たく言えば、
母親が乳児にご飯をあげなかったら乳児が死んでしまったと。
こういう事件の場合、「母親が乳児に殺意を持っていたかどうか」で、
「殺人」になるのか「保護責任者遺棄致死」になるのか変わるそうです。
どちらで認定されるかで刑の重さなどがずいぶん変わります。

それで。

「乳児が死んでしまった」という事実は誰が見ても明らかですが、
法律上の「事実」というのには、母親が当時何を考えていたかという、
「犯行者の内心」も含まれてきます。…ここが難しいかもしれない。

今回の事件にあてはめてみますか。今回の場合、犯人である母親が、
「子どもが死んでもいい」と思ったか→殺意があったかどうかという点。
この点の「事実」がどうだったか、裁判員が職業裁判官とともに考えます。
(もちろん裁判上で出てきた証拠 (証言含む) に基づいて行われます)

そして、裁判所として認定する「事実」が固まったら、
その「事実」に基づいて、被告に与える刑を決めます。
いわゆる情状酌量とか社会的影響とか言われてるやつです。
たぶんこちらは想像しやすいと思うんだけどどうだろう。

今回の模擬裁判でクローズアップされた点はこれくらいかな。
裁判員は「事実認定」と「量刑判断」をやります。1 行で言うならば。

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そんな内容を扱った模擬裁判でした。なかなか見ごたえありました。

文化祭での模擬裁判は、「実際の手続きに忠実」にやるよりは
「法学やったことがない人にも分かりやすく」やる方が好みです。
前者が絶対悪だとは言いません。それぞれに良さがあると思います。
ただ、文化祭という不特定多数の人が来る場でやる模擬裁判は、
「分かりやすさ」というのが前面に来るべきなのかな、と。

そういう「分かりやすさ」においても、法律上のポイントについても、
きちんと盛り込めていた、いい模擬裁判だと思いました。
今年は特によくできていたかと思います。うん。

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裁判員制度の課題についても書きたかったのですよ。ホントは。
その辺の話を現役の所員さん達と話す場もあったのでね。
…でも今日は既に文字数 1500 字前後とかいう長文になっているので、
そういう話はまた何かの折にやりましょう。覚えてたら。

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Special Thanks: 東京大学法律相談所 所員のみなさま