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TV観戦 天皇杯 第104回全日本サッカー選手権大会ラウンド16 ヴァンフォーレ甲府vs鹿島アントラーズ

2024-08-23 18:27:51 | サッカー視聴記(2024年その他)

<両軍スタメン>

前回の天皇杯の記事- 3回戦・柏vs筑波大

運命・定めに従うかのように、3年連続で相対する事となった両クラブ。

2年前は、甲府がまさかのJ2クラブでの優勝という栄光に登り詰めた際の過程で、準決勝で対決。(その時の記事
この時鹿島は監督交代して間もない(レネ・ヴァイラー氏→岩政大樹氏)状態で、新監督はポゼッションスタイルを掲げている道半ばで挑む事となり。
その結果、先手を取られてからは見るも無残に、1点を守り切らんとする相手に対し「ボールを持たされている」状態の域から抜け出す事が出来ず敗戦へのレールを進むしかありませんでした。

前年は、J1vsJ2のぶつかり合いが幕を開ける3回戦で相対し。(その際の記事
この時も鹿島はボール保持力にいささか疑問符が付く状態ながら、前年の二の舞を演じる訳にはいかない、という意地でビハインドを跳ね返し。
同点のままがっぷりよつを組む……事は無く、延長戦に入ると徐々に押され気味となってしまうなど、精神力に頼ったサッカーだったのは否めず。
そして最後はPK戦で、一巡する長丁場となった末に枠外シュートでの失敗により敗戦。
表面のスコア的には五分なものの、格上らしさを演じる余裕は何処にもありませんでした。

そして今季。
甲府が監督交代(篠田善之氏→大塚真司氏)もあり低迷、逆に鹿島は優勝争いと、カテゴリーは違えど明確に鹿島優位なリーグ戦の状態。
会場こそ甲府のホーム(JITリサイクルインクスタジアム)ですが、今度こそ負ける訳にはいかない試合となりました。

立ち上がりからサイド攻撃に精を出す鹿島。
海外から日本へ出戻りとなった期待の田川を中央に張らせ、彼にクロスを届ける事を第一とする思惑が表れたものの、成果としては今一つ。
その間に甲府が、前半6分に右スローインから1タッチでの繋ぎの連続を経て木村が持ち運んでミドルシュート(GK早川キャッチ)とファーストシュートに辿り着き。

むしろ7分、植田のロングパスで一気にエリア内を突いた所に、田川が走り込んでポストプレイと少ない手数で脅かす鹿島。
これはフィニッシュにはならずも、直後に空中戦でのこぼれ球をミロサヴリェヴィッチが1タッチでの縦パス、受けた樋口がさらにエリア内へスルーパスと素早い縦への運びでの好機。
そして走り込んだ田川のシュートに繋げる(GK渋谷キャッチ)という具合に、こちらの方が有効打に結び付いた立ち上がり。

甲府はリーグ戦での戦いの通り、守備時は5-4-1のブロックを敷くという基本姿勢で、ハイプレスに出る事は稀な立ち上がり。
しかし攻撃時は、本来の関口が右サイドバック化する繋ぎから一変し、シャドーの位置から張り出して来る三沢が右サイドアタックの軸となり。
18分に関口の裏へのロングパスを受けた三沢は、そのまま右奥からカットインでポケットに持ち込んでシュート(GK早川キャッチ)と、相手の対応の裏を取るのに一役買い。
彼を前面に押し出しながら、関口が最終ラインに残り普通の3CBの形からの繋ぎの形で、好機と見るや上がってくるという関口の立ち回り。

そして飲水タイムが挟まれたのが24分。
三沢の働きに光明を見出した甲府は、ブレイク明けはハイプレスへと意識を切り替え。
27分、それが奏功して縦パスをカットに成功した関口が、その勢いのまま藤井のチャージを受けて反則を奪い。
これでペースを掴むと、28分にGK渋谷からの組み立てで鹿島のプレッシングをいなし、右からの前進で飯田が須貝を剥がしてドリブル突破。
この際関口は彼に並走してパスを受ける事で攻撃参加すると、戻しを経て三沢のポケットへのミドルパスに走り込んでクロス(クリアされる)と最前線で絡むなど、流動性を発揮して多彩となってきた右サイドアタック。

そして29分、左からの攻めで宮崎がドリブル突破を経てポケットへスルーパス、走り込んだ木村のクロスがニアに低く入り。
これを三平が合わせシュートに持っていくも、関川のブロックに阻まれ決められず。
しかし尚もクリアボールを拾って最後方(ヘナト)から攻め直すと、またも宮崎の前進で今度は三平とのワンツーで左ハーフレーンを突き進む形。
そしてポケットから上げられたクロスを、ファーサイドで三沢がヘディングシュートで締めてゴールネットを揺らします。
攻勢の切欠となった三沢が先制点を記録するという、極上の流れでリードを奪った甲府。

過去2戦同様、先手を取られる形となった鹿島。
31分に関川が持ち運んでのロングパスでエリア内の田川に届ける攻めで、落としを経て師岡のシュートが放たれるも、左ゴールポストを直撃してしまい同点ならず。
その後、無理に縦パスを届けんとしては遮断されるという具合に、田川を活かす立ち回りは不発に終わる流れへと突入します。

それでも暫くは鹿島の攻撃が続き、凌ぐ体勢を余儀なくされた甲府。
それを変えたのは再び三沢で、38分に飯田のボール奪取でのこぼれ球を拾って右サイドをドリブル。
藤井の反則気味のアタックで倒されるも、関口がカバーして継続(その後クロスもクリアされる)と、右サイドアタックの分厚さを見せ。
すると39分、最後方からの繋ぎで鹿島のハイプレスを呼び込み、GK渋谷のロングフィードが最前線の宮崎に収まるという疑似カウンター。
宮崎はそのまま中央を持ち運んでミドルシュートに持っていくも、GK早川がセーブと惜しくも追加点はならず。

何とかその流れを切り、終盤再び攻勢を掛ける鹿島。
しかし、田川が決められなければそれで終わりという流れは変えられず。
突入したアディショナルタイム、左から藤井がドリブルで仕掛け、カットインの姿勢から上がったクロスを田川がヘディングシュートに持ち込み。
これも枠外に終わり、このままハーフタイムならびに戦術変更を余儀なくされる状況が過ります。

しかしその直後でした。
GK渋谷のロングフィードを植田がヘッドで跳ね返すと、これがヘナトのクリアミスも絡んで藤井が抜け出す決定機を呼び込み。
そのまま左ポケットでGKと一対一に持ち込んだ藤井、ファーサイドを切りに来たGK渋谷の股を抜くシュートで制し、無事モノにする事に成功。
堅かった甲府ディフェンスの、最後の緩みを突いた形で同点に追い付きました。

その後は何も起こらず、1-1のまま前半終了。
しかし恐らくビハインドの状態で用意していたと思われる、交代策をそのまま敢行した鹿島。
田川に代えて鈴木を投入(同時にミロサヴリェヴィッチ→名古に交代、樋口がボランチに回る)、本来のリーグ戦でのサッカーを取り戻さんというような采配。
一方の甲府、リーグ戦2試合出場停止となったアダイウトンを何処で使うかという采配が試される状況ですが、HTでは動かず。

後半も立ち回りは大きく変えない甲府、関口が後方に残ったままのビルドアップから、三沢が張り出す動きを軸とする右サイドアタックを貫き。
お互い中々好機が生まれない、我慢を強いられるような入りとなります。
すると冴え渡るのが鹿島の立ち回りの巧さで、後半6分に敵陣での右スローインから、細かいパスワークによる組み立て。
その最中でパスを受ける際、寄せに来る佐藤の眼前に足を入れる事で、ボール確保とともに反則をも呼び込む動きを見せる三竿。
その通り佐藤は三竿を倒してしまうも、濃野が拾ったため継続となりそのまま右奥を突きに掛かる鹿島、ディフェンスに遭うもコーナーキックに持ち込み。
時にはこうしたマリーシアを絡め、セットプレーも交えながら優位さを保たんとします。

しかし9分、ここも師岡が木村に反則を受けた事によるフリーキックからの攻め。
右サイド遠目という位置で、クロスと見せかけて短く繋いだのちに、濃野が逆サイドへ展開したものの読まれて関口にカットされ。
そのまま関口のドリブルで甲府がカウンターに持ち込む所、藤井が反則で止めてしまうと、これに対して飯田がヒートアップし詰め寄る事態となり。
これに対しても、飯田に応戦したのが鈴木という具合に、相手の苛立ちを増幅させる術を知っているような百戦錬磨の鈴木。
結局カードの類は出ず、甲府サイドが不満を貯めるような査定に終わります。

11分に甲府ベンチが動くも、初手は三平→マクーラ。
直後の右スローインで、投げられたボールを右ポケットで収めたマクーラ、そのまま反転シュートを放つも枠を捉えられず。
あくまで新戦力のマクーラに場を積ませ、この試合ならびにのちの爆発を期待する采配を見せる甲府サイド。

その後荒れ加減ぶり落ち着けるように、ペース配分を重視する鹿島。
それにより甲府がボールを握る展開へと入り、同時にどう崩すかという状況に。
18分、左サイドでマクーラが溜めを作りながらの繋ぎを経て、クロス攻勢に持ち込むもシュートには繋がらず。
クリアボールを拾って後方から攻め直しとなると、今度は中央突破を選択、それも林田がドリブルで持ち運ぶという大胆な手段を採り。
これが奏功し、彼のパスを三沢が脚でフリックした事で生まれた紛れから、木村が中央からミドルシュートを放ち。
GK早川がセーブした所を、上がっていた林田が詰めにいったものの早川の足でのクリアが一瞬早く、寸での所でモノに出来ません。

これを逃したツケは大きかった甲府。
以降徐々に失速し、そうなっても25分に小林・宮崎→荒木・武富へ2枚替えと、アダイウトンの投入は見送る運びに。
24分に三竿へのアフターチャージでマクーラが警告を受けるなど、その停滞感は再度荒れる展開への傾倒も生み出さんとします。

しかし鹿島も良い流れを築く事は出来ず、相手の出方を窺いながら徐々にダメージを与えていくという姿勢は変わらず。
26分に飲水タイムが挟まれてからも同様で、甲府が好機を殆ど作れない状態に陥っても、積極的に仕掛ける事はせずに時間を潰していきます。

そして32分に動き、柴崎の投入でゲームチェンジを果たさんとし。(藤井と交代、樋口が右サイドハーフに・師岡が左SHに回る)
しかしその矢先に、師岡が足を攣らせてしまい再度動く事を余儀なくされてしまう(34分、師岡→仲間)等、決して流れは良くなく。
それでも37分、主体的な攻めで好機を生み出す鹿島、左での前進の姿勢から戻して逆サイドへ展開する地上からの繋ぎ。
樋口の右ポケットへのパスが鈴木に渡り、ボックス内での狭い局面での攻防が生まれた末に、名古がシュートを放つもブロックに阻まれ。
甲府ボールとなった所を須貝が奪い、そのまま左ポケットに進入してシュートを放つもこれもブロックに阻まれ。
相手がじれた所で攻勢を掛ける、という流れになるも決められず。

そして38分、甲府はようやくアダイウトンの投入に踏み切り。(三沢と交代、同時にヘナト→井上へと交代)
一方鹿島も同時に、樋口→安西へと交代し、これにより須貝が右SBに・濃野が右SHに回りました。

こうして突入した終盤戦。
40分に早速アダイウトンがシュートに持ち込むも、威力が足りずGK早川がキャッチ。
直後の41分に、甲府ベンチに警告が付き出される(対象は岩崎通訳との事)など、白熱する内容を象徴する絵図も生まれ。

鹿島は交代に伴い、アダイウトンを抑えるように右サイドの選手を揃って入れ替える形に。
狙い通りに、左サイド奥を突きにいくアダイウトンにしっかり付くという形で、古巣の野望を沈めにいく須貝。

そして43分中盤での空中戦を制した鹿島が、浮き球を繋いでいった末に右ポケットへ運び、走り込んだ濃野のクロスがブロックされて右CKに。
最初のニアへのクロスがクリアされて2本目になると、今度は中央を選択するキッカー柴崎。
そして植田のヘディングシュートがゴールネットを揺らし、セットプレーをモノにする格好でついに勝ち越しを果たします。
神経戦を粘り強く制したその姿は、強くて嫌らしい鹿島のスタイルそのものであり。

これで追い掛けなければならなくなった甲府。
しかしその手段となるべきマクーラを悲劇が襲い、鹿島がヘッドでのバックパスをGK早川が抑えた所に、前向きのベクトルを止められなかったマクーラは早川の足を掛けてしまう格好に。
倒れ込む早川とともにたまらず反則を告げる笛が鳴ると、いち早くマクーラに詰め寄ったのが鈴木という具合に、ここでも神経戦に持ち込まんとする鹿島。
主審(山下良美氏)が警告を突き出さんとするその前でそうした絵図を描くのは、正直醜悪の域を出ないものの、これまでの荒れ模様な展開(度重なるノーファウルのジャッジ)もありそれを止める手段は無く。
結局マクーラは2度目の警告により退場となり、以降は林田が前線に上がってアダイウトンと2トップを組む、4-3-2の布陣となった甲府。

何とか1点を……という姿勢は見せた甲府ですが、それが実を結ぶ事は無く。
荒木の左ワイドからのロングパスで、武富がエリア内で脚から跳び込むも撃てずという場面を作ったものの、結局惜しいシーンはそれだけとなり。
1-2のまま試合終了の笛が鳴り、鹿島がついに甲府を破る事に成功。
過去の2敗も含め、この結果に持ち込むのに多大な労力を要したというような褒められない試合内容でしたが、ようやく悪夢を振り払う事となったのも事実。
これによりリーグ戦も勢いが付き、逆転優勝が果たせられれば……といった所でしょうか。

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DAZN観戦 2024年J3リーグ第24節 ギラヴァンツ北九州vsカターレ富山

2024-08-22 16:00:48 | サッカー視聴記(2024年その他)

<両軍スタメン>

  • 北九州ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。

この日は「ギラヴァンツサマーフェスティバル」という特別なイベントで、5桁の観衆を集める(12,448人)に至ったミクニワールドスタジアム北九州。

この専用スタジアムが完成したのが2017年ですが、その前年にまさかのJ3降格に至ってしまった北九州。
それ以前は、プレーオフ圏に入りながらもJ1ライセンスが無く出場出来ずというシーズン(2014年)もあり、ようやくJ1昇格への道筋を整えた所での降格はダメージが大きく。
以降J2復帰した(2020年)ものの結局定着できず、前年は2度目のJ3最下位に沈んでしまい。
辛うじてJFL降格は免れたものの、汚泥からの脱却を目指す事となった今シーズン。

しかし13節からここまで無敗(7勝4分)という歩みで、それを果たしつつある現状。
そんな上昇機運でこの試合を迎えましたが、相手は強敵の富山で、これに打ち勝つ事で本格的に昇格争いに加わりたい。
イベントの他にも、一戦に賭けるべき思いが強く出たでしょうか。

キックオフから初手、最後方からのロングパスを牛之濱が落とし、左サイドの狭い局面での繋ぎを経て好機に持ち込み。(奥から牛之濱がクロスもクリア)
スローインを経由して最初のコーナーキックを得ると、ゴール前に6人を集めて(富山のマンツーマン守備とも相成って)密集を形成し守り辛い状況を作るなど、何としても先に1点が欲しいという立ち回り。

出鼻を挫かれる格好となった、目下4位の富山。(北九州は7位)
最後方からの組み立てでリズムを作りたい状態となったのは一目瞭然で、前半6分にGK田川が左右にフィードを散らしてのビルドアップ。
しかし同じフォーメーション故にピッタリと嵌められ、2度目の田川の右へのフィードを受けた西矢が牛之濱に奪われた所で、たまらず引っ掛けてしまい反則。
このフリーキックを素早くリスタートする北九州、乾のアーリークロスに永井が中央で跳び込むも、惜しくも合わずに終わり。
ホッとしたのも束の間、続くゴールキックからの空中戦で、富山のクリアボールをダイレクトで藤原がスルーパスを送ってまたも北九州の好機。
左奥へ走り込んだ牛之濱が低いクロス(GK田川キャッチ)と、少ないタッチでアタッキングサードを突いて来るその攻撃はまさに鋭い槍のようでありました。

気を取り直す富山、落ち着いて本来の姿である、最終ラインが距離感を長く保ってのパスワークで相手のプレスをいなす立ち回りに入り。
立ち上がりは嵌っていた北九州の前線の守備も、これにより長い距離を走らされるのみとなって無効化されます。
12分に河井の縦パスを中央で受けた椎名に対し、マーカーの牛之濱が倒してしまい反則。
これにより良い位置での直接FKとなる(キッカー高橋馨が直接シュートも壁に当たり枠外)など、ボール保持の相手に対しどう守るかがキーとなりそうな試合展開に。

しかし16分の北九州、後方からのラフなロングパスは繋がらずも、すかさずゲーゲンプレスを掛けて右サイドで山脇が奪い返すという「ストーミング」に近い好機の作り方。
高の持ち運びが後ろから河井に倒されて反則・警告となった事で、こちらも直接FKを得ます。
右ハーフレーンで距離的にもやや遠目ながら、キッカー藤原は直接シュートを放ち、無回転のボールが枠内を襲ったもののGK田川が正面でしっかり弾いて防ぎ。

これで再び北九州の流れとなり、サイドから攻め上がり何度もクロスに持ち込む北九州。
その内容はサイドバック・サイドハーフの2枚が追い越しを混ぜながらの繋ぎで前進するというシンプルな内容。
右サイドは高・山脇の突破力、左サイドはボランチ・トップ下が加わっての繋ぎという、ギャップを混ぜ合わせての攻撃を繰り広げ。

迎えた24分、中盤の底の藤原は縦パスで右からの前進を選択すると、ここでは突破は図られずに高吉を加えてのパスワークを展開。
スルーパスを受けた山脇が奥へ切り込む見せかけて、戻しを経て藤原のアーリークロスという手法が選ばれると、これが走り込む永井にピタリと合いヘディングシュート。
これまで散々サイド奥を抉ってきただけに、角度を付けられたクロスに富山ディフェンスも対応できずといった感じで、先制点に辿り着きました。
それと同時に飲水タイムが挟まれ。

ブレイク明け、文字通り仕切り直したい富山ですが、ダメージコントロールに時間を要し。
その間にも、28分に北九州は中盤からのFKで放り込みを選択、高のフリックでエリア内で生まれる紛れを経て工藤がボレーシュート(枠外)と脅かされ。

リードした北九州は、4-4-2でリトリートという意識を高める守備対応。
それに対し富山は当然ながら、ボール保持から何とか崩しにいくという立ち回り。
つまりポゼッションvsカウンターに近い試合展開となり。

中央を固める事を優先する北九州で、富山は最終ラインからサイドを揺さぶりながら、巧く高い位置を取ったSBに預ける事で好機を作り。
それ故に、SHも中央寄りに位置してサイドを開ける役割に徹しますが、単調さは拭えず「ボールを持たされる展開」の域を脱せません。

40分、北九州の攻めが途切れた所、ボールキープする安光がゲーゲンプレスを何とかいなした末に吉平がミドルパスを1トップの碓井の上空へ。
クリアされて拾われるも、こちらもゲーゲンプレスで安光がカットに成功して継続、再度出されたパスを受けた碓井から中央からボックスを突く状況に。
パスを選択し、受けた吉平がシュートを放ったものの枠を捉えられずに終わります。
コンパクトな布陣を掻い潜って放ったシュートも、決められずとなれば苦しくなるのは当然であり。

逆に先制点以降、北九州のロングパス攻勢を跳ね返せずに難儀する場面が増加。
アディショナルタイムには左に開いた工藤のロングパスを中央で高が合わせにいき、クリアが小さくなった所をエリア内で岡野に拾われるという危機の招き方。(その後右からクロスもブロックされる)
前半は富山が追い風という環境だったので、これは後半尚も苦戦しかねない予感が膨らむ終盤戦となりました。

結局1-0のまま前半が終了。
立て直したい富山は2枚替え、河井・椎名→布施谷・井上へと2枚替え。(井上がトップ下に入り高橋馨がボランチへ回る)
一方北九州も、永井→井澤へと交代します。
ベテランらしく限られた時間で結果を出した永井の後を継ぐように、高が1トップに・藤原がトップ下に・岡野が右SHへシフトと激しいポジションチェンジが絡み後半に臨みました。

パスの出し手であった藤原(J1・磐田からレンタルで今夏加入)、ポジションチェンジに伴いフィニッシュにも絡む役回りに。
早速の後半2分、左サイド奥を突いた乾のクロスがファーに上がり、藤原が合わせにいきましたがGK田川の跳び出しで惜しくも撃てず。

反撃に出たい富山ですが、投入された井上・布施谷は今一つボールに絡めず、流れを齎せません。
それを突くように北九州は追い風を利用してのロングボール攻勢、7分に右サイドで岡野のボールキープからの戻しを経て杉山がロングパスと、疑似カウンターにも近い手法。
受け手の藤原のダイレクトでの繋ぎを経て高が奥へ持ち運ぶ(クロスはブロックされる)という具合に、富山の速く奪い返したい姿勢とも噛み合い有効となります。
一方攻撃では、自陣で反則を受けるシーンが頻発し、それにより北九州に岡野と藤原が警告と被害が出たものの攻勢を作り上げる事が出来ない富山。

そして11分、やはり危惧されたロングボール対応からでした。
自陣左サイドでのFKから工藤が中央に向けたロングパスを送り、合わせにいった高を越えるもクリアも出来ず、そのままエリア内で藤原に渡る決定機に。
そして冷静にシュートをゴールネットに突き刺した藤原、貴重な追加点を齎します。
上位クラブから2点リードという結果に、アップセットの雰囲気を高めるスタンドの北九州サポーター。

その後も、富山は追い上げたいもののリズムを掴めないという展開を強いられ。
14分には布施谷が鼻血を出して治療を受ける(原因は不明、15分に復帰)など、途切れ途切れの流れに反撃ムードを高められず。
16分に再びベンチが動き、吉平→松岡へと交代します。(布施谷が左SHに回る)

その矢先の18分、またもGK田中のロングフィードが高の頭を越えた所を拾われての北九州の好機。
今度は右ワイドという位置なため岡野はクロスを選択し、跳ね返りを拾った乾がエリア内を突いてシュート(西矢がブロック)と、相変わらずロングボールにより不安定となる最後方。
それでも続く19分、単純な左サイドアタックと見せかけ、布施谷が奥を突く姿勢からポケットへ浮き球を送り変化を付け。
そして受け手の井上もワンタッチで中央へ浮き球で繋ぎ、受けた碓井のポストプレイを経て末木がシュート。(杉山がブロック)
左に回った布施谷の動きは言うに及ばず、右では松岡がカットインからフィニッシュを狙うという流れで、クロス一辺倒への傾倒は何とか避けられた富山。

22分には右から松岡がカットインから中央へパス、受けた高橋馨のミドルシュートがブロックされてCKに。
この左CKからも神山がヘディングシュートを放つも決められず、という所で後半の飲水タイムが挟まれます。
明ける際に北九州は藤原・高→若谷・大森へと2枚替え。

ブレイク明けの最初の富山の好機(26分)も、左から奥を突いた安光の戻しから、布施谷がポケットへパスを送るという同様の手法が選択され。
前半に比べ、北九州の4-4-2ブロックを大分動かせるようになってきましたが、肝心のゴールには辿り着けません。

押され続ける格好となった北九州、33分の富山のCKでの攻撃を切ったのちにカウンターの状況に持ち込み。
しかし若谷のスルーパスを受けた大森も、そこから受け直し前進した若谷も、守勢の後故に落ち着きたいという気持ちが前に出て遅攻に切り替わり。(その後山脇のクロスの跳ね返りを若谷がミドルシュート、ブロックされる)
複数点リードかつ、相手の猛攻を受ける状況なので、前線の選手はこうして溜めを作る事が第一の役割となり。

富山がスコアを動かせるかどうかという試合展開。
35分にCKを得たというタイミングで、鍋田・末木→今瀬・古川へと交代して5枚すべて使いきり。(井上がボランチに回る)
この左CKから、クロスの跳ね返りを布施谷がミドルシュート、ブロックされたボールをさらに西矢がミドルシュート(枠外)とフィニッシュの雨を浴びせに掛かるも実りません。

そして北九州ベンチも38分に動き、岡野→長谷川へと交代。
長谷川が最終ライン(中央CB)に入った事で5バックシステム(3-4-2-1)へと変更し、逃げ切り体制へ突入します。

これによりアタッキングサードへの侵入は容易となるも、どう崩すかという課題が重くのしかかる富山。
41分、クリアボールを松岡が落とし、拾った碓井が左サイドで溜めを作ったのちに布施谷が裏へとロングパス。
これは通らずも、拾った北九州のロングパスを安光がブロックして継続し、古川の落としで左ポケットを突く状況が生まれます。
そして拾った安光がカットインで仕掛け、中央に移った古川にシュートチャンスが訪れるも、素早い寄せを受けて撃てずに終わり。
毛色の違う好機も仕留めきれず、いよいよ苦しくなってきた富山。

その後の高橋馨のミドルシュート(42分、枠外)、布施谷のカットインから左ポケットでのシュート(44分、長谷川がブロック)も決められず。
とうとうATへと突入します。(北九州は44分に牛之濱→平原へと交代)

全員敵陣に入り込み、何とか崩さんとする富山ですが実る事は無く。
逆に北九州は、そこから脱出させるミドルパスを受けにいった大森が反則を受けた事で一息つき。
これによる左サイドでのFKから、当然クロスを選択する事は無く、ひたすら奥を窺いながら細かいパスワーク。
そしてコーナー付近に持ち込んで乾・大森がボールキープと、時間稼ぎとしてはほぼ満点な立ち回りを見せます。

結局ATではフィニッシュに辿り着けなかった富山。
2-0のまま試合終了の時を迎え、これで12戦無敗となった北九州。
5年前の「前年最下位からの昇格」のドラマを、再び描く事となるかどうか。

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DAZN観戦 2024年J1リーグ第27節 FC東京vs東京ヴェルディ

2024-08-21 18:09:46 | サッカー視聴記(2024年J1)

<両軍スタメン>

東京ダービー・第2ラウンド。(第1ラウンドの記事はこちら
同一県がフランチャイズかつ、同一のホームスタジアムによるダービーマッチの熱狂ぶりは、今更言うに及ばず。

その舞台である調布市・味の素スタジアムは、最寄りの飛田給駅から真っすぐ歩いた場所に存在。
基点である駅構内にはFC東京・ヴェルディ双方のエンブレムが飾られており、終点のスタジアム近くのスポーツショップも、ヴェルディをスポンサードしているため掲げられている看板。
ただし、その両地点の間の進行路の大部分が、FC東京サイドのカラーに染められた空間と化しているのが特徴であり。
そのロードはこのカードの開催に限り殺伐感を生み出すには十分なもので、実際前年の天皇杯の際に事案が発生した(スポーツショップの看板が被害に遭う)訳ですが、果たしてこの日の試合内容はどうなったか。

そんな雰囲気とは裏腹に、FC東京の近況は何処と無く寂しいものとなっており。
3戦未勝利(1分け2敗)・2戦連続無得点もさる事ながら、25節・ガンバ戦(0-0)ではひたすら自陣に押し込まれ続ける展開を演じてしまい。
前線でボールを奪う事すらままならず、GK野澤大の好守に頼りきりとなった末に何とか引き分けと、現状を象徴するような内容。
真夏の炎天下による影響が最も響いているとも取れ、そんな中で最も熱くなるべき試合がやって来てしまったという感じですが、どう対処するか。

ハイプレスによる奪取→速攻が期待出来ない以上、自陣からの組み立てでどうにかするしかないというFC東京。
前半3分にその通りの攻めを見せ、最終ラインから右サイドでの前進を選択すると、白井の縦パスからディエゴがダイレクトで送ったスルーパスで仲川が裏を取り。
そしてそのまま右ポケットへ持ち運んだ仲川、GKマテウスの眼前まで迫って、引き付けた末にマイナスのクロスを送ったものの中央の荒木には僅かに合わず。
ボール保持による攻めも、ヴェルディのタイトな寄せを受けながらであり縦に素早い運びを選択せざるを得ませんが、まず一つゴール前を脅かしました。

しかし、徐々にそのヴェルディのプレッシャーが襲い掛かる展開に。
7分、縦パスを受けんとした荒木に対し宮原が前に出て、反則気味にボール奪取してのショートカウンター。
こぼれ球を拾った齋藤が果敢にミドルシュートを放つ(GK野澤大キャッチ)、多少強引ながらファーストシュートを奪いにいく立ち回り。
流れが変わりかかった所で、9分に自陣でボール保持の際、荒木がスタンドの観衆を煽るポーズを見せながらボールキープ。
雰囲気を味方に付け、少しでも有利さを保ちたかった所ですが、その後の荒木の縦パスも森田にカットされてまたもヴェルディのショートカウンターが齎され。(スルーパスを左サイドで受けた木村が奥に切り込むも土肥のデイフェンスに阻まれる)
小手先だけの手法では、本質を変えられるものでは無いという絵図に終わりました。

FC東京のボール保持に対し、ヴェルディはウイングバックを引き気味に保ちながら、FWが掛ける規制を軸にバックパスを誘い。
そしてボランチが最前線にまでプレッシャーに出るというプレッシング。
それは当然ながらリスクある立ち回りで、FC東京サイドもそれを呼び込むべく、ドイスボランチが低い位置を保ってのビルドアップに努めていた感があり。
しかし実際は齋藤・森田が前に出てくると繋ぎに焦りが生まれ、隙を突くどころでは無い状態を強いられました。

一方ヴェルディのビルドアップは、右センターバックが宮原である事を活かした、彼が右サイドバックと化する可変を軸とした最終ラインの形を採り。
時折森田が最終ラインに降り、保持力を高めに掛かり繋ぐ姿勢を取るものの、染野・木村の2人へ質の高いロングボールを送るというのがメインの攻撃。
しかしプレスの掛けられないFC東京の隙を突くのも怠らず、16分に地上でのショートパスで中央突破を図り、その際齋藤が小泉に倒されるも山田楓が拾ってアドバンテージ。
そして左へ展開ののち翁長のスルーパスでポケット奥を取った末に、森田のバックパスを齋藤がダイレクトでミドルシュート(エリア内でブロック)と、アウェイの雰囲気を物ともせずフィニッシュを重ねていき。

過去の例に漏れず、この日も劣勢ぶりが顔を出すFC東京ですが、20分過ぎから反撃開始。
縦パスを受けてのディエゴのポストワークを交えながら、徐々にヴェルディボランチが前に出る所のスペースを使って攻められるようになり。
25分仲川が右ハーフレーンのそのスペースでパスを受け、ボールキープを経て戻したのち、逆の左サイドで展開されるパスワークに加わる可変を見せ。
そして長友のパスを受けた仲川、齋藤に倒されながら失わず起き上がりドリブルに入り、中央へ繋いだ末に遠藤がミドルシュート。(ゴール左へ外れる)
ようやく組織的な崩しをフィニッシュに繋げ、ファイティングポーズを取り始めたでしょうか。
その後FC東京がポゼッション・攻撃機会ともに上回る、文字通り反撃体制に。

しかしヴェルディのロングパス攻勢に手を焼き、木村・染野をターゲットとするボールの裏を掻くように、裏抜け狙いも混ぜ合わせ多彩なボールを送り。
29分に右サイド裏へのロングパスを奥で受けた山田楓、戻しからの組み立てで右ハーフレーン・エリア手前でパスを受けた齋藤が仲川に倒されて反則。
これにより絶好の位置での直接フリーキックを得たものの、名手・山田楓の直接シュートは枠外に終わり。
42分には林が再び右サイド裏へロングパスを送り、バウンドを経て松村が拾いまたも右奥からの攻め。
松村がカットインで中央まで流れ左への展開を選択すると、翁長のリターンを受けて入れられたクロスが、ファーサイドの齋藤の足下へ。
巧く奥へ入り込んでフリーとなり、ボレーで合わせシュートを放った齋藤でしたが、右サイドネット外に終わり先制はなりません。

肝心のフィニッシュでは、ヴェルディに後れを取る事となるFC東京。
縦パスを受ける役目のディエゴも、激しい寄せを受けて次第にそれを果たせなくなっていくと、全体失速を余儀なくされ。

結局スコアレスのまま前半終了となり。
共にハーフタイムでの交代も無く、ダービーマッチの独特な雰囲気をどうモノにするかが試される残り45分。

始められた後半は、お互いアバウトなボールを蹴り合う入り。
その流れで後半2分、クリアボールを染野の落としから繋ぎに入るヴェルディ、山田楓が持ち運びから右へ展開して松村が奥を突いてクロス。
この中央へ落ちるボールに木村が脚から跳び込むも合わず、ファーで翁長の折り返しで尚もチャンスボールとなるも、クリアされてコーナーキックに。
ロングボールの蹴り合いとなると、ヴェルディに流れが傾くのは必然でもあり。
このCKでの二次攻撃で、木村が右ハーフレーンを持ち運びに入った所を高に倒されて反則、これにより前半と類似する位置からの直接FKに。
今度こそ決めたいキッカーの山田楓でしたが、放たれたシュートは壁を直撃と実りません。

入りでペースを掴む事に成功した、相手の前へのベクトルを逸らしたいFC東京。
8分ヴェルディの攻撃を切って森重がボールキープする所に掛けられるゲーゲンプレスと、その格好の場面が訪れると、左への展開ののちワンタッチパスの連続で前へ運んでそれをかわしていき。
そして長友ミドルパス→荒木落としを経て、拾った遠藤が中央へほぼ横パスという縦パスを送ると、荒木がワントラップでエリア内を突いた末のシュート。
ブロックを掠めて枠外となるもCKで継続、ここから2本続けた末に最後は長友がミドルシュート(枠外)とやりきるも、ゴールは奪えず。

何とか勢いが生まれつつあるFC東京。
10分にヴェルディが敵陣でポゼッションを繰り広げるも、戻して作り直しを選択した所にプレッシャーを掛けるディエゴ。
そして林の蹴り出しをブロックし、攻撃を遮断に成功したもののそのままタッチを割るとともに、自身もボールの当たり所が悪く足を痛めて(かかとの部分)倒れ込み。
ピッチ外での治療を経て復帰を果たしましたが、激しさが膨らむなか無傷では済まないという展開。

そんな中、16分にヴェルディが森田の敵陣でのボール奪取から仕掛け。
パスワークで右奥を突き、入れられた松村のクロスこそ跳ね返されるも、尚も繋ぎを果たすと山田楓が右ハーフレーンを前進にいく状況に。
すると魅入られるかのように小泉の反則を呼び込み、またもほぼ同位置での直接FKとなります。
しかし3度目とあり変化を付けるヴェルディ、山田楓では無く染野が直接シュート、それも壁の下を通すボールを選択。
これがニアサイドを襲ったものの、GK野澤大がキャッチとやはり実りません。

地上でのパスワークからは中々フィニッシュに持ち込めないFC東京も、次第にセットプレー偏重の流れへと突入し。
20分に得た右CKでは、キッカー荒木はグラウンダーでのクロスを選択。
走り込んだ森重はディフェンスに遭うも、こぼれ球をそのままボレーシュートに持っていき。(枠外)
流れの中で云々……という状況は有に通り越し、どんな形でも先制したい両チーム。

それを支えるベンチワークでは、ヴェルディの方が先に動き、21分に森田・山田楓→見木・山見へと2枚替え。
森田の故障明けという要素が大きな交代策も、投入された山見を軸に新たな流れを模索するヴェルディ。

直後の22分、ロングボールのターゲットとなった木村が長友に反則を受け、右サイドでのFKからの流れ。(ここからキッカーは山見がメイン)
右スローインで継続すると、長いパスワークを経てポケットに進入してもなお繋ぎ続けた末に、染野のクロスがファーサイドに。
そして山見のヘディングシュートがゴール左を襲うも、GK野澤大のセーブで弾き返され。

決定機を逃したヴェルディですが、同時にFC東京はガンバ戦同様、守護神のビッグセーブで凌ぐ展開への突入を防げず。
23分にカウンターを阻止した染野が(荒木に対し)反則・警告を受け、その直後にFC東京ベンチが2枚替えを敢行(仲川・遠藤→安斎・俵積田)しても、流れを変える事はままなりません。

それでもヴェルディの好機は主にセットプレーで、スローインからの繋ぎが主体となった流れの中での攻撃は、サイド奥を突いてそれを得るための布石のような感じに。
30分、右スローインからすかさず染野が入れたクロスはブロックされるも右CKで継続し、キッカー山見のクロスが中央の染野の上空へ。
そして完璧に放たれたヘディングシュートがバウンドを経てゴール左を襲うも、これもGK野澤大が瞬発力を発揮し寸での所でセーブ。
しかし今度は弾きが小さく、エリア内で谷口が拾って継続すると、左から齋藤クロス→染野折り返し→見木ボレーシュートでゴールを狙うも長友がブロックで防ぎ。
尚もこぼれ球を拾ったヴェルディ、松村が右ポケットへ切り込んでシュートを放つもゴール左へ外れと、浴びせた連続攻撃は結局モノに出来ず終わり。
なおセービングの際に野澤大はゴールポストに頭をぶつける事となるなど、守勢は変えられずも、凌ぎ続けて意地を見せるFC東京。(32分に高・荒木→原川・小柏へと2枚替え)

35分、GKマテウスが低い弾道でのロングフィードを右サイドへ届け、意表を突くとともに素早い前進に入るヴェルディ。
松村の前進を経て、染野から放たれたミドルシュートをブロックにいったのは森重。
後頭部で防ぐ形になり、シュートの衝撃をまともに受ける形となってしまい、そのまま脳震盪で倒れ込んでしまいます。
野澤大と同様に意地の塊を見せたかのようなデイフェンスで、担架で運ばれ退く格好となった森重に代わり、岡を投入したFC東京。

その大ベテランの姿勢に応えたい所でしたが、攻撃で出来るのはフレッシュな両ウイング(右=安斎・左=俵積田)を軸としてサイドを突き、クロスを入れる事ぐらい。
41分には最後の交代で、もう1人の大ベテラン・長友が退く(中村を投入)と、以降殆ど攻撃機会は訪れず。

そしてヴェルディの独壇場と化す試合展開。
41分に松村→松橋へ、44分に木村→山田剛綺へ交代し、前線の体力を補填して攻勢を掛け。
それでも42分、見木のスルーパスを受けた山見がミドルシュートを放つ(GK野澤大セーブ)という具合に、キーとなりゴールを脅かすのは山見。

それ故に、アディショナルタイム突入後は全員で押し込み、ひたすらアタッキングサードでの展開を続ける状態になると逆にフィニッシュが膨らまない状況となり。
翁長のロングスローも使いながら、FC東京の専守の体制をこじ開けに掛かりますが、その難易度は高く。
長らくパスを繋いだ末に、左から齋藤のクロスがファーに上がり、クリアが小さくエリア内にこぼれたボールが中村の腕に当たる場面も。
これが反則無しの判定となり、ヴェルディサイドが猛烈にハンド並びにPKをアピールするも(VARチェックを経て)結局覆らず。

結局最後までゴールを奪えなかったヴェルディにより、スコアレスドローで試合終了。
ホームのFC東京がひたすら押し込まれる状況だった故か、終了直後にブーイングが上がったものの、当然ながら結末は変わらず。
かくして久々の東京ダービーは2戦とも引き分けで、今回の不完全燃焼ぶりは以降に持ち越される事となりました。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第27節 徳島ヴォルティスvsファジアーノ岡山

2024-08-20 16:00:44 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回の徳島の記事はこちら(23節・甲府戦、3-1)
※前回の岡山の記事はこちら(23節・仙台戦、2-0)

<徳島スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 加入決定していた岩尾・ターレス・鈴木輪太朗イブラヒームが24節(仙台戦、2-0)から登録される。岩尾は即スタメン出場。
  • 鹿沼がJ1・磐田から完全移籍で加入し、25節(愛媛戦、1-0)から登録されて途中出場。
  • 山口が愛媛から完全移籍で加入し、前節(山形戦、0-1)から登録され即スタメン出場。
  • J3・大宮からのレンタルの身であった高田颯が、完全移籍へと移行。
  • レンタル移籍(ポルトガル・ボアヴィスタSCへ)していた渡井の復帰が決定。(登録は未だされていない)
  • J3・八戸へレンタル移籍となっていたオリオラ・サンデーが、J3・大宮へ完全移籍となり籍を離れる。
  • 玄理吾が栃木へレンタル移籍となり、25節をもって登録抹消。
  • 橋本がJ1・新潟へ完全移籍となり(以下同文)
  • GK後東がJ3・YS横浜へ育成型レンタル移籍となり(以下同文)
  • 棚橋がJ3・相模原へレンタル移籍となり(以下同文)
  • 中野がJ3・八戸へレンタル移籍となり、前節をもって登録抹消。

<岡山スタメン>

  • 嵯峨がいわきから完全移籍で加入し、24節(栃木戦、1-1)から登録されて途中出場、25節(山形戦、1-1)からスタメンに定着。
  • 一美がJ1・京都から完全移籍で加入し、25節から登録されて即スタメン出場。
  • 神谷(元清水)が韓国・江原FCから完全移籍で加入し、25節から登録されて途中出場を続け、今節初のスタメンに。
  • 仙波が群馬へレンタル先変更という形で移籍(レンタル元はJ1・広島)となり、24節をもって登録抹消。
  • ガブリエル・シャビエルが双方合意の下で契約解除となり、25節をもって登録抹消。
  • 河野が鹿児島へレンタル移籍となり(以下同文)
  • 23節で負傷交代したルカオは以降ベンチ外。
  • 家坂(中央大)の来季加入が決定、同時に特別指定選手となり24節から登録される。
  • 藤井海和(流通経済大)の来季加入が決定、後日特別指定選手となり今節から登録される。

リーグ序盤の暗黒期から脱し、昇格を狙える状況にまで浮上してきた徳島。
波乱万丈な軌跡をドラマティックに締めるかのように、夏の移籍期間では岩尾の獲得・復帰が決定となり、待っていたかのようにボランチとして即スタメンに定着する運びとなりました。

その岩尾の入団の際のコメントが、心を打たないファンは居ないと言いたくなるような内容であり。
この流れを狙って作り上げたのならば素晴らしいの一言ですが、だったら序盤の迷走はやる必要は無い、と一言放ちたくもなってしまい。
ともかく再び前を向く事に成功したフロントは、橋本の個人昇格というトラブルに対しても、すかさず隣県(愛媛)から山口を引き抜き補強するという具合に対処が早く。

一方の岡山も夏場に激しく動き、昇格という目標への向き直しを図ったチーム。
加入した嵯峨・一美・神谷が揃ってスタメン出場となったこの日。
一美の獲得は負傷離脱したグレイソンの穴埋めなのは言うに及ばずで、彼の他にシャビエルも突然の契約解除に襲われ。
ルカオの負傷離脱も絡んだ事で、GK以外は日本人選手を主体としての戦いを余儀なくされた格好ですが、その顛末や如何に。

徳島のホーム(ポカリスエットスタジアム)ながら、近隣である岡山も大挙してサポーターが訪れた一戦。
どちらも勝ち点3が欲しいのは当然で、試合開始から徳島は追い風を生かす、それも柿谷の飛距離の長いスローインからの攻勢。
それを裏で受けたブラウンノアが田上に倒され、以降左奥でのフリーキック→コーナーキック2本と、ひたすらセットプレーを続けるという流れに。

ボール保持に長けた徳島らしからぬ流れは、それを象徴するような得点で締められます。
6分、左サイドから柿谷がスローインを裏に送り、タイミングよく左奥へ抜け出したブラウンノアと先程と類似した絵図に。
そしてダイレクトでマイナスのクロスが中央に入ると、走り込んだ渡が果敢にダイレクトシュート。
鈴木喜のブロックを掠めて方向が変わり、GKブローダーセンの逆を突いてゴールに突き刺さります。
大胆な姿勢が見事結果を齎し、徳島が先手を取るという幕開けになりました。

ビハインドとなった岡山は、以降最後方からボール保持を試みるという、追い掛ける立場を如実に示す絵図となり。
可変の肝となっていた柳貴博が不在のなか、やはりその右サイドで新たな形が見え。
神谷がセンターバック(本山)とウイングバック(嵯峨)の間に降りてパスを引き出す事で、ミラーゲームとなっている状態を動かしに掛かるビルドアップが主体となりました。
これにより、CBの本山も前線に絡みながらのパスワークを軸として押し込みを図り。

しかしその間にも、徳島は柿谷のロングスローでボックス内を脅かす等攻め手を緩めず。
13分にはGKブローダーセンのフィードをエウシーニョにカットされ、渡がレイオフで繋いだボールを受けたブラウンノアがミドルシュート(ブロックに当たり枠外)と、圧力をまともに受けた末に少ない手数で仕留められるという流れは中々覆せない状況に思われました。

それでも15分、上記の攻めの形から神谷が裏へミドルパスを送り、セカンドボールを拾うという組み立てを経て中央→左へとサイドを移し。
そして左ポケットでパスを受けた末吉が奥へ切り込み、クロスに辿り着いた事で左CKを得ると、その二次攻撃でした。
クロスの跳ね返りからすかさず左奥でキープする状況を作ると、鈴木喜のクロスがピンポイントにニアサイド一番手前に位置取っていた岩渕に合い。
そしてフリック気味に綺麗に放たれたヘディングシュートが右サイドネットを揺らし、早期に同点に追い付く事に成功した岡山。

振出しに戻ると、徳島は思い出したかのように本来のボール保持の体勢に。
18分にGK田中颯の縦パスを降りて受けた岩尾、それに対し藤田息が喰い付いた事で、戻しを経てのGK田中颯のロングフィードが生まれたスペースへ。
収めた柿谷のポストプレイから、青木がさらに裏へロングパスを送りブラウンノアが走り込む(繋がらず)という具合に、ロングボールによる攻撃でもキッチリと相手を動かして崩す意識が見られるその徳島のポゼッション。
やはり「縦に速い攻撃」を指標した吉田達磨前監督の時期は無d

一方岡山もロングボール主体の攻めに意識を移し、徳島の攻勢の裏を突きに掛かり。
しかしハイプレスは仕掛けずに陣形を保つ徳島ディフェンス、メインターゲットとなる一美を囮としつつその裏で岩渕が合わせにいくという攻めに対しても、CBは釣られずにしっかりと対処するなど中々綻びは生まれません。

復帰した岩尾の動きは多彩の一言で、自ら中盤の底でパスを散らすプレーを主体としながら、時には25節で魅せたような最前線への抜け出しも混ぜ合わせ。
自ら相手のプレッシャーを剥がすという事はあまり期待出来ずも、こうしたプレーにより岡山サイドも、彼に対しボランチの守備対応が曖昧となり。
前述のように何度か喰い付いて規制を掛けにいくも、効果的とはならず次第にリトリートを強いられる状況になっていきます。

この日は何故か飲水タイムは挟まれず、25分過ぎ辺りから徳島の反則が目立ってきて試合がブツ切りになると、しきりにピッチサイドで水分補給にいくという絵図が目立ち。
それに伴い停滞する徳島の隙を突き、GKブローダーセンのロングフィードから左CKを迎えた岡山。(31分)
キッカー神谷のニアへのクロスに、本山は合わせられずもこぼれた事でボックス内で紛れが生まれましたが、シュートは撃てずに終わり。

何とか失速からの失点は避けられた徳島、34分にバックパスを受けた岩尾、児玉に託すとともにパス&ゴーで最前線へ。
児玉はその動きを囮として自ら持ち運び、中央から果敢にミドルシュートを放ちましたがゴール上へと外れ。
39分今度は右サイドからの攻めでエウシーニョが軸となり、縦パスを送ってブラウンノアポストプレイ→児玉裏へミドルパスに走り込むエウシーニョ。
これは遮断されるも渡がこぼれ球をさらに裏に送り、結局繋がって最奥からエウシーニョのクロスがファーに送られると、柿谷が合わせヘディングシュート。
しかしゴールポストを直撃と、惜しい所で決められず。

その後もボール保持で主導権を握る徳島。
突入したアディショナルタイムでも、パスワークで上下動させた末に、最後方からのロングパスで一気に裏を突いての決定機。
渡が収めてエリア内からシュートを放つも、GKブローダーセンがセーブと守護神に立ちはだかられ決められません。
結局1-1のまま前半終了となり。

共に交代無く迎えた後半は、岡山が追い風を得る状況となる事でその変化が予想される試合展開。
どちらかといえば、アバウトな攻めが脅威となり得る岡山のスタイルだけに尚更であり。

しかし後半3分、敵陣でGKブローダーセンのフィードを岩尾がカットして徳島の攻撃。
右サイドで溜めを作ったエウシーニョが中央へ縦パスを打ち込むと、渡のスルーを経て、ダイレクトで放たれた柿谷のシュートがゴール右を襲い。
惜しくも外れたものの、後半になっても泰然自若という様相で好機を作りにかかる徳島。

それでも岡山はハーフタイムで修正を施したようであり。
守備時は、岩尾に対しボランチがマンマーク気味に付く事を徹底してボールタッチを減らしに掛かり。
攻撃時は竹内が最終ラインに降りるという具合に形を変え、保持力を高めて敵陣に押し込みを図ります。

直ぐに流れは変わらず、9分にも徳島の攻撃でエウシーニョが右から切り込んでクロス、ファーに走り込む柿谷の手前でクリアするも左CKに。
クロスの跳ね返りをエリア内で拾った森のシュートをGKブローダーセンがセーブと、必死のディフェンスで何とか流れを変えんとする岡山。
そしてその姿勢は報われ、12分の徳島の左サイドからのFK、この日初めてキッカーを務めた山口(それまでは全て岩尾)のクロスは精度を大きく欠いてしまい。

失速の気配が漂った徳島に対し、14分に岡山ベンチが先んじて動き。
末吉・神谷→高橋・木村へと2枚替え、前線に変化を付けに掛かります。

そして16分、右サイド・アタッキングサードでパスを受けた嵯峨が、ボールキープに努める所山口に腕でのチャージを受けて反則。
これによるFKから、CK2本と続いてのセットプレー攻勢で、攻めの時間を増やすとともに徳島の焦りと苛立ちを膨らませる流れに。

流れの中での攻撃では、最終ラインに加わる竹内からの間を通す縦パスで崩しを図り。
それによりアタッキングサードでの展開を増やしますが、リトリートに徹する徳島も中々崩れず。
特にマンマークで喰い付くという姿勢は他チームに比べ少なく、細かくパスを繋いでも決定的な場面を生み出す事は難しい岡山。

そうこうしているうちに時間が経過するも、後半も飲水タイムは取られず。
これが誰の意思決定なのかは不明ですが(湿度が低かったからか?)、実際プレーが途切れた際の水分補給は岡山サイドの方が盛んに行っていた節があり、ホーム側が運営レベルで暑さを若干甘く見ていた感があったでしょうか。

その因果関係は不明ながら、25分辺りから目に見えて失速が目立ってきた徳島。
28分に動き、ブラウンノア・渡→チアゴ・坪井へと2枚替えを敢行して流れを変えに掛かった増田功作監督。
しかし、前岡山なため必然的に生まれるチアゴへのブーイングにより、そうはさせまいという岡山サポーターの意気込みがヒシヒシと感じられるスタジアム内。
その通りに、以降も全く好機を作れないままの徳島の攻撃。

この流れのなか、仕留めたい岡山は34分に右サイドからのFKという好機。
キッカー高橋のクロスがファーサイドに上がると、田上が身体を崩しながら合わせヘディングシュート。
ゴール右へと突き刺さり、思惑通りの勝ち越し点か、と思われたもののオフサイド判定に引っ掛かって残念ながらノーゴールに。

34分に再度動く徳島ベンチ、後半は目立てなかった岩尾に代えて永木を投入。(同時に柿谷→杉森に交代)
それを見た岡山サイドも、36分に藤田息・嵯峨→田中雄・柳育へと2枚替え。
シャドーに入った田中雄・右CBに入った柳育に伴い、木村が右WBへ、本山がボランチへ回りました。

共に采配が交わり局面がどう変わるか、という所で徳島はさらにアクシデントに見舞われ。
エウシーニョが倒れ込み、その様相は足を痛めたか攣ったか不透明なものであり、交代を余儀なくされてしまいます。
すぐさま高田颯を投入し、5人の枠を使いきる格好に。

運動量を保つのも難しくなってきた徳島。
40分に岡山がカウンターに持ち込んだ所、一美の中央突破に対し森が反則を犯してしまい警告。
その後も45分に同様のシチュエーションで一美を反則で阻止し、今度は児玉が警告を受けるなど被害は膨らむ一方となり。
これらに加え、43分の杉森のハンドも絡んで岡山の敵陣でのFKの局面が目立った終盤戦。
キッカー田上が中央から直接シュートを狙う(ゴール上へ外れる)など、この有利な状況で勝ち越しを果たしたい岡山ですが決められず。(42分に岩渕→齋藤へと交代)

そのまま突入したAT、岡山サイドも息切れが目立つ状況で、後は気力勝負。
それを示すかのように、左から本山のロングスローを一美がフリック、ファーに流れた所に走り込む田中雄。
しかしGK田中颯を削ってしまい、田中に対する田中の反則という珍妙な絵図を作り上げるのみに終わります。

その後徳島も攻め上がりCKにまで持ち込むも、それが精一杯で再度岡山の攻勢に。
ゲーゲンプレスをいなし、田中雄がドリブルに持ち込んだ所をまたも(高田颯が)反則・警告で阻止する破目となった徳島。
ここからFK→右CKとセットプレーを続けた岡山もフィニッシュには持ち込めず。
結局1-1のまま試合終了、序盤の点の取り合いから全く動かないという、痛み分けというフレーズが最も相応しい内容の引き分けとなりました。

物語性を盾に浮上したい徳島は、さらに渡井がレンタル復帰という形で再加入。
これらの補強に伴い、玄をはじめ若手選手は軒並みレンタル移籍にかける運びとなりましたが、ハッピーエンドの結末に辿り着けるかどうか。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第27節 清水エスパルスvsヴァンフォーレ甲府

2024-08-19 16:00:27 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回の清水の記事はこちら(25節・仙台戦、1-2)
※前回の甲府の記事はこちら(25節・群馬戦、1-0)

<清水スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 原は体調不良との事(放送席の談)でベンチ外に。
  • 高木がプロA契約を締結。

<甲府スタメン>

  • 水野がJ3・岩手へレンタル移籍となり、前節(藤枝戦、3-0)をもって登録抹消。

富士山ダービーという事で、熱狂する清水・甲府の各サポーター。(観衆は16,943人)
しかし清水のホーム(IAIスタジアム日本平)故に、甲府はアウェイの空気を跳ね除けるまでには至らず。
ちなみにこの試合で累計入場者800万人を達成したとの事で、ホームゲームの強さとも相成り、難攻不落にも思える状況に。
そんな空気のなかパンイチで選手入場の後に付いてきた甲府のマスコット・ヴァンくんのメンタルの強さよ

それをサッカーで跳ね返したい、という甲府。
その手段は前線からのプレッシングで、立ち上がりから果敢に清水のビルドアップを阻みにいくという、最近のスタイルに反する立ち回り。
特に古巣対戦となったヘナトのモチベーションは相当なもので、規制を掛けられつつも送られる清水最終ラインの縦パスを、前に出て悉くカットに成功。
前半4分にそのヘナトのパスカットから、拾った荒木を経由し中央でウタカに渡ると、宇野に倒されて反則。
この直接フリーキック、距離はあったもののヘナトが直接狙いにいき、ゴール上へ大きく外す結果になったものの意気込みの強さをひしひしと感じる絵図となりました。

そんな相手の立ち回りに度肝を抜く格好となった清水。
5分には中山のラフな裏へのロビングを、走り込む鳥海に対し住吉が防ぎにいくも、交錯しながら鳥海がボールキープに成功し反則の笛も鳴らず。
そのまま左ハーフレーンからカットインしてミドルシュート(GK権田キャッチ)と、精神的に優位なうちに仕留めに掛かる甲府。
そして10分に最大の決定機が訪れ、自陣で関口が反則を受けると、そのFKを素早くリスタートさせ直接裏へとロングパスを送る関口。(この際さらに北川に倒されるも流される)
絶妙な位置へ落ちたボールにウタカが走り込むと、前に出たGK権田に先んじて触ったウタカのループシュートがゴールへ向かい。
権田を抜いて完全に決まったと思われたこのフィニッシュに、必死に戻った高橋がスライディングで掻き出しに成功、間一髪で失点を防ぎます。
しかしプレーは継続し深めでのプレス脱出を強いられた清水に対しヘナトが縦パスをカット、そして鳥海を経由して中山が左からカットインを経てミドルシュート(GK権田キャッチ)と、同様のパターンで締められた攻撃。

ゴールは生まれずも明らかに甲府ペースという立ち上がり。
反撃したい清水は、17分に最終ラインのパスワークで徐々に押し込んだのち、宇野の前進を経て左サイド奥でカルリーニョスに持たせる絵図を生み出し。
そしてマイナス方向へのカットインからミドルシュートが放たれ、枠外となるもブロックを掠めたためコーナーキックに。
ここから3本も続いたCKののち、スローインを挟んで尚も2本CKが続くという長丁場のセットプレー攻勢に入ります。

甲府の攻めたいという気持ちをそらし、焦りを生むには十分な攻勢。
しかし5本目の右CKののちの二次攻撃で、左から乾がクロスを上げたその刹那、突如ピッチが真っ暗に。
照明トラブルなのは明らかで、数秒後に復帰・再点灯した際ボールは既にファーサイド奥に転がるという状況に。
これで甲府のドロップボールから再開となりましたが、乾ならびに清水サイドは恐らく「クロスののち誰も触っていなかったためこっちボールだろう」という異議を主審に向けたものの、徒労に終わる事となり。
結局流れが途切れてしまい、そのまま0-0で飲水タイムに入ります。

ショートカウンターに持ち込みたいのは明らかな甲府の立ち回り。
第2クォーターでもそれは継続され、27分にもヘナトが距離を詰めて宮本のパスをブロックし、拾った荒木がウタカへ向けた裏へのロングパス。
しかし精度を欠いて右側へと流れてしまい、ウタカが走って拾ったものの結局遅攻となってしまう状態に。(その後右からクロス→アダイウトン合わせるも北爪に防がれる)
ハイプレスに舵を切ったものの、以前の頃(篠田善之前監督の全盛期)からは迫力も精度も落ちるのはある意味当然といった所でしょうか。
しかし29分またも敵陣で鳥海がカットし、こぼれ球をヘナト1タッチで縦パス→ウタカポストプレイを経て、アダイウトンが左ワイドからのカットインでエリア内へ突撃。
そして高橋を剥がした末に放ったシュートが、住吉のブロックを掠めてゴールを襲いましたが、ゴールバーを直撃してしまい跳ね返り。
またも決定機を逃す形になってしまうと、以降尻すぼみを余儀なくされる事となります。

清水のターンとなると、最後方からの組み立てで、乾をはじめ流動的に動く前線の選手へと縦パスを通す攻めが冴え始め。
そして32分、ブラガが送った縦パスを北川のポストプレイで受け直し、左へ展開ののち乾を経由して奥から山原のクロス。
ニアで北川が跳んだその奥で、カルリーニョスが脚で合わせるという完璧な流れで放たれたフィニッシュがゴール右へと突き刺さります。
失点を防ぎ続けた末に待っていた、先制点に辿り着いた清水。

その後も相手に流れを渡さず、37分に縦パス攻勢で前進の末に宇野がミドルシュート。
ブロックを掠めて外れるもここからCKを2本続けるなど、リードした事で「甲府に焦りを生ませる」ミッションは概ね成功しつつあり。

何とか攻撃権を取り返した甲府ですが、その手法は縦に速い運びのみという感じに。
ビハインドとなった事で必然的に主体的な攻めをしなければならない状況となりますが、間を通す縦パスを成功させても、その後スルーパスかサイドへの展開と前へのベクトルしかない状態となります。
熊本や山口の得意手である、敵陣でパスを上下動させる事で清水ディフェンスの弱点(バックパスに喰い付いて裏を取られる)を誘発させられれば、もう少し展開は変わったかもしれませんが……。

結局3分あったアディショナルタイムも、清水がボールポゼッションを貫く時間が大半で終わり。
甲府は立ち上がりの優勢ぶりは雲散霧消……という展開を強いられ、1-0のまま終了となりました。

現場もそんな空気を敏感に感じ取ったか、ハーフタイムで2枚替えを敢行。
中山・ウタカ→木村・マクーラへと交代し、反撃の狼煙を上げに掛かります。

後半のキックオフ、という所で、左側のゴール(前半は清水ゴール)ネットの補修作業のため先延ばしに。
立て続けに起こる運営レベルでのトラブル、これに苛立ちを見せたのはキックオフする側の清水で、改めて笛が吹かれると蹴り出されたボールを乾がそのままロングシュート。
貯め込んだストレスを吐き出すような手段で、とりあえず空気を整えに掛かったという立ち回り。

これを抑えた甲府は早速ベクトルを反転させ、GK渋谷のロングフィードをマクーラがフリック、アダイウトンに渡ってアタッキングサードを突く攻撃と化した清水キックオフからの流れ。
しかし一旦パスワークを経て戻して作り直しとなると、(関口が)再度マクーラを狙ったロングボールを送り、これが事件へと発展する事に。
今度もフリックで繋いだマクーラ、競り合った高橋と激突するのを尻目にまたも受けたアダイウトンが、エリア内へ切り込む決定機が生まれます。
ところが生まれたのは得点では無く、GK権田が前に出て抑えた所を勢い余ってチャージしてしまったアダイウトン、たまらず反則を告げる笛が鳴り響き。
そして主審(窪田陽輔氏)がカードを突き出した所、その色が一発退場を示す赤だった事で一転して騒然となるピッチ上。
納得出来ないという態度を示すアダイウトンですが、それと同時に激突した高橋とマクーラの容態も案じられたためそれ所では無くなった清水ゴール前。
マクーラは無事だったものの、高橋は倒れたまま起き上がれず、そのまま交代の運びとなってしまい。
蓮川が投入される事となり、高橋は自力で何とか起き上がりピッチを去るもその足取りは覚束ないものに。
しかし判定に不服な甲府はそれに対し苛立ちを見せてしまった(恐らく思いやりの無い遅延行為をアピールしたと思われる)事で、大塚真司監督自身が警告を貰ってしまい(なお放送席は、ベンチの今津が貰ったと勘違い)、この騒動は集結となりました。

数的不利となった甲府は、以降も3バックを継続し、ヘナトをアンカーとした3-5-1(5-3-1)の布陣を選択。
後半9分にはヘナトが乾から反則気味にボール奪取し、そのまま右へ流れてドリブルで運ぶという強引な好機の作り方。
そして右スローインに移ると、ポケット付近に投げられたボールをマクーラが胸でフリックし、鳥海が狭い所をカットインで抜いて中央からシュート。(住吉がブロック)
一人一人がより頑張らないと、この苦境は跳ね返せないという好機の作り方。

しかし俄然優位な清水。
この日ベストなプレーを見せていた高橋の負傷交代も、代わって入った蓮川の持ち運び能力が10人の甲府を自陣に押し込むのにうってつけとなった事で怪我の功名に。
彼が左ハーフレーンを運び、甲府ディフェンスがそれに対応せんとするとカルリーニョスが手薄となるので、簡単に左サイドアタックが成立する状況を生み出します。

そして12分、CKでの好機から戻して作り直すと、右→左への対角線のロングパスがカルリーニョスに届けられて再度アタッキングサードを突き。
カットインで中央に流れて右ポケットへスルーパスを送ったカルリーニョス、走り込んだ北爪のクロスはブロックで防がれるも、再度送ったクロスが大外の乾に収まり今度は左ポケットから仕掛け。
忙しなくサイドを動かした末に、戻しを経て放たれた山原のシュートがGK渋谷にセーブされるも、跳ね返りを眼前でブラガが詰めてゴールに突き刺します。
位置的に山原の左足でのシュートはクロスともとれるもので、却って他選手が合わせに前に出る姿勢を誘発できたでしょうか。(手前では北川が合わせにいっていた)

これで2点差となり、その後も清水は14分にカルリーニョスが突破から低いクロス、ニアで北川が合わせる(枠外)という具合にストロングポイントを押し付け。
何とか前に出んとする甲府の裏を突くシーンも数多で、16分には縦パスをカットした山原から、逆に縦パス→乾受けてスルーパス→北川で完全に背後を取り。
そしてエリア内へ進入し、小さいループシュートでGK渋谷を抜いた北川ですが、右ゴールポストに当たりモノに出来ず。
2点目と同じく眼前に詰めたブラガも今度は合わせられずと、得点にはならずも甲府を委縮させるには十分な決定機。

一方の甲府は、15分に村上→武富へ交代した事で微調整。
関口を右サイドバックとした4-4-1の布陣へ代え、前への人数を保つ事で対抗姿勢を取りに掛かります。

しかし19分、ここまで奮闘してきたヘナトが、スライディングで守備をした所で足を攣らせてしまい。
普段以上に稼働していた感が強く、その分限界も早く訪れたという感じでした。
古巣の清水サポーターからの声援にも応えながら、ピッチを去ったヘナト。(今津と交代し、林田がボランチに回り穴埋め)

その後もカルリーニョスの突破力に難儀し、押し込まれる状態を打開できずに時間を消費していく甲府。
25分に地上での繋ぎで敵陣へ運ばんとするも、右ワイドで持った関口はアーリークロス気味のロングシュートを選択せざるを得ず。
ゴールバーを掠めるあわよくばの軌道となりましたが、手法という面では苦し紛れの域を出ないものであり。

25分に飲水タイムが挟まれ、第4クォーターとなってもやる事は限られる甲府。
その最初の好機(27分)では、敵陣でマクーラがボール奪取に成功し、拾った鳥海から受け直したマクーラがそのまま単騎突撃。
フェイントを混ぜながらエリア内へ進入し、その所為でスリップし転倒してしまうもそれでもキープを果たすマクーラ。
何とか林田へ横パスを繋げたものの、この個での奮闘もシュートには結び付きません。
その直後、後方でのパスミスを突かれて清水のカウンターとなり、カルリーニョスの中央突破からのスルーパスがエリア内へフリーで走り込む乾の下へ。
決定的なシュートが乾から放たれるも、ゴール左へ外れて何とか命拾いと、好循環を僅か一手でフイにされるという流れに。

直後に清水は2枚替え、宮本・カルリーニョス→中村・矢島へと交代。(ブラガが左サイドハーフに回る)
これにより前面に押し出していたカルリーニョスの突破力が無くなるも、矢島を加えてのパスワークが冴え渡る流れへと移行します。

それに対し甲府は何とかプレッシングで対抗せんとしますが、やはり1人少ないという状況を変えられず。
後方でも巧みにかわす清水、時にはボックス内でGK権田もパスワークに加わりながら、数的優位を活かしてプレス回避を果たしていきます。
40分にはGK権田から右へ展開した清水に対し、浮き球パスを受けにいった北爪に荒木が寄せてこぼさせるも、住吉に拾われた事で結局繋がれてしまい。
そして空いていたボランチから運ぶ清水、という具合に何処かに空きが出来る状態はどうにもならず。(その後敵陣でポゼッションによる攻めもシュートは撃てず)
41分に最後の交代を敢行、鳥海→内藤へと代えるも、既にベンチワークで変えられるというものでも無く。

一方清水の最後の交代は38分で、ブラガ・北川→吉田・ヤクブへと2枚替え。
吉田が左SBに入る事で、山原が左SHに回って最終布陣となります。

大きく展開が変わる事無く迎えた最終盤。
44分から長らく最後方でポゼッションを続ける清水、それに対し甲府も関口が前に出て吉田に規制を掛けるなど懸命に対抗しますが、無残な結末に終わり。
住吉ミドルパス→ヤクブ胸でフリックにより一気に裏を突かれ、抜け出した矢島がエリア手前まで持ち運んだ末にラストパス。
そして並走していたヤクブが仕上げのシュートを放ち、止めの3点目を齎しました。

突入したATも、最後の意地を見せんとする甲府を嘲笑うかのように、清水がその裏を突く展開に。
何度もヤクブが脅かさんとし、GK渋谷が前に出てそれを防ぐという際どい守備を強いられます。

そして試合終了の笛が鳴り、3-0で快勝という結果に辿り着いた清水。
群馬・甲府と、監督交代を経て未だ組織力がいささか不透明な相手での連勝であり、その本質は推し量れないものの首位キープしている事実は変わらず。
この日のように受けに回る事無く、流れを維持出来るサッカーを上位相手にも行えるかどうかがカギでしょうか。

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