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DAZN観戦 2024年J1リーグ第26節 横浜F・マリノスvsヴィッセル神戸

2024-08-14 18:26:28 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

  • 神戸は前節退場となった飯野(警告2度)とマテウス・トゥーレルが出場停止。

前節(川崎戦、0-3)は退場者を2人も出しての敗戦となってしまった神戸。
そのうちトゥーレルの退場劇は非常に賛否分かれるものとなり、不条理の炎に焼かれる格好に。

前回観た鹿島戦では、酒井のプレーぶりの素晴らしさが印象に残ったとともに、その酒井の負傷交代が今後に響きかねない予感も孕ませ。
巧みなボールキープで相手を引き寄せてスペースを作り、ビルドアップを円滑にするその姿に感銘を受けたものですが、その酒井が離脱となってはリズムが悪くなるのも当然であり。
その後山口も離脱するなど踏んだり蹴ったりで、何とか耐え凌ぎたい状況に陥った中断明け。

この日の相手はマリノスで、ACL決勝進出などといった華々しい実績とは裏腹に汚泥に塗れる事となったリーグ戦。
それを隠すかのような、派手な試合前セレモニーが印象的でしたが、実際のサッカーはどうか。

神戸のプレッシングを浴びながら、最後方からの組み立てで流れを作らんとするマリノス。
前半3分後方でのパスワークからGK飯倉の右へのフィードでプレス回避、松原の落としを拾った天野から右→中央→左へとサイドを移しながらの前進。
そしてエウベルがカットインからミドルシュートに持っていき(ゴール上へ外れる)、その攻撃サッカーの本領を発揮せんと立ち回り。

しかし監督交代(ハリー・キューウェル氏→ジョン・ハッチンソン氏)して布陣もマイナーチェンジ、以前メインとしていたドイスボランチの4-2-1-3(4-2-3-1)へシフトしたチーム。
それは「日本ではアンカーシステムは難しい」と良く言われる、あわよくば後ろ向き思考とも取れる流れをなぞるものであり。
かくして以降、「バルサ化」の試みの終了後も(一応ながら)4-1-2-3の基本布陣を保っている神戸との差異が色濃く表れる事となります。

とはいっても、神戸も酒井・山口を失ってから地上で繋ぐ能力は下降気味。
そのため前線を利用したロングボール攻勢が中心となりましたが、それを防ぐのに難儀するマリノス。
ターゲットとして最高峰の能力を誇る大迫を軸としながら、この日はむしろ両サイドの武藤・パトリッキへのロングパスの割合が多く。
サイドバックの人選に悩まされるマリノスの弱点を良く突いたもので、彼らをターゲットとしつつ、大迫は降りて地上での縦パスを受ける事でセンターバックを釣り出す役目が中心となりました。

そんな3トップの役割に苦戦の色を隠せないマリノス。
大迫をはじめとしたポストワークに対し、上島らが必死に寄せるディフェンスを敢行するも、それが腕を使ったチャージに頼る絵図を目立たせる事にもなり。
前回観た鹿島同様、「相手の高能力を反則紛いでしか止められない」状態に陥る危惧は避けられないといった感じでした。

マリノスはひたすら押し込まれ、特にサイド奥を突かれて守勢に回るシーンが数多。
神戸サイドもその後の攻めはクロスを上げるのみに留まるなど、流れは決して良くは無いものの、それでも3分~17分までマリノスの攻撃機会は皆無という展開に。
必死のディフェンスにより当然ながら反則も膨らみ、21分には井出のボールキプに対し喜田が反則・警告を受け。

しかし最大の問題は、神戸のプレッシング(守備時は井出がFWに上がっての4-4-2)に対抗する術が見られないという事でしょうか。
全く好機を作れない状況に、GK飯倉もエリア外へと出て最終ラインのパスワークに加わるものの、結局サイドに展開しては詰まらされる流れを変えられず。
飲水タイム(23分)まで、スローインの際に降りて来たロペスのポストプレイからの攻めでしかアタッキングサードに持ち込めないという有様で、近況は成績面では好調(3連勝中)なものの依然として問題の根深さを感じさせます。

第2クォーターに突入し、神戸の優勢は相変わらず。
26分には自陣でのボール奪取から、マリノスのゲーゲンプレスを本多→パトリッキのミドルパスでいなして左奥を突き。
戻しを混ぜながらの繋ぎを経て、井手口が小さい浮き球を送り井出を走らせる事でポケットを突きに掛かる(繋がらず)など、単なるクロス攻勢から局面を変えに掛かります。

一方のマリノスは、左ウイングのエウベルが降りてパスを受け、それに伴い彼を追い越して加藤蓮が前線に上がるというシーンが膨らみ始め。
それは一向にボールが巡って来ない苛立ちが混じってのものに見受けられましたが、以降逆サイドでもマテウス・松原が同様の動きを取り始め。
こうした可変により、こちらも状況打破を図りに来たでしょうか。

30分右からの大迫の低いクロスに、井出が跳び込んで合わせヘディングシュート。(ゴール左へ外れる)
35分に今度は左からのクロス、ファーで武藤がヘディングシュートを放つ(枠外)など、次第に神戸のクロス攻勢もターゲットに合い有効打に。
一方マリノスの激しい寄せに対し、(ブレイク前の)22分に大迫が上島のチャージに対しヒートアップを見せるなど応戦傾向に。
それが仇となったか、34分には扇原が渡辺皓へのチャージで反則・警告を受ける、らしくない一面も見せ。

それを突かんとするマリノスは、41分に降りてきたエウベルにエドゥアルドが縦パスを通し、そこから右へと展開。
以降右サイドのパスワークにエウベルも加わり、目線を変えたのちにマテウスがカットインで中央へ流れての縦パス。
これを受けた天野から、スイッチ気味に受けたマテウスがミドルシュートを放ちましたが武藤のブロックでゴール右へと外れ。
しかし右コーナーキックで継続した結果、キッカー天野のクロスをファーサイドでエドゥアルドが合わせヘディングシュート。
神戸ディフェンス2人との競り合いを制し、GK前川のセーブを掠めた末にゴールネットを揺らして先制点に辿り着きました。

劣勢だったマリノスの方がリードを奪う、サッカーの面白さを醸し出す展開となり。
しかし喜びも束の間の44分、神戸は自陣での右スローインからの繋ぎで、マリノスのプレッシングを浴びるも何とかいなした末に大迫が左裏へとロングパス。
左サイド奥で受けたパトリッキがポケットへスルーパス、走り込んだ井出のシュート気味のクロスはGK飯倉が身体でセーブして防ぎ。
しかしこぼれ球を巡る争いで、拾わんとした大迫に対し後ろからエドゥアルドがその足をガッツリと削ってしまった事で、反則を告げる笛が鳴り響きます。
しかもエリア内で当然PKが与えられ、早くも同点の危機を招く事となりましたが、反則を受けた大迫が長らく倒れ込んだ事で神戸サイドも騒然とした雰囲気に。
治療の末に何とか立ち上がりピッチ外で待機となった大迫に代わり、キッカーを務めたのは武藤。
落ち着いた助走からしっかりとゴール右へ決め、早々に追い付く事に成功します。
大迫も無事に復帰と、文字通り五分の状況へと戻し。

この一連の流れで、何分取られるか不透明となったアディショナルタイム。
一進一退の攻防のなか、エウベルがボールキープする所を扇原が腕を使って倒してしまうと、反則の笛が鳴り。
これに対しカードが出なかった事で、マリノスサイドは総出で異議を唱え、警告並びに2度目による退場をアピールする一幕が悪目立ちする事となりました。
神戸にとっては前節の悪夢が過るシーンとなりましたが、何とか命拾い。

結局1-1のまま前半が終わり。
マリノスは終了間際に井出のチャージを受けて痛んでしまった松原がハーフタイムで交代となり、加藤聖を投入。
彼が左SBに入る事で加藤蓮が右に回り、W加藤の両SBとなって後半に臨みました。

不本意な流れだった前半ですが、後半は気を入れて攻勢に入るマリノス。
その要因は前述のウイングとSBの入れ替わりで、マテウス・エウベルの両助っ人のボールタッチ・キープでリズムを作り、アタッキングサードを突きに掛かる攻撃を徹底し。
それでもその一因は、ドイスボランチへのパスコースがしっかり切られている神戸の前線の守備に他ならず、どちらかと言えば苦肉の策であり。
そのため何度か天野が降りて最終ラインからのパスを受けるなど、橋渡し役を務める事で好機に持ち込み。

10分に神戸は本多が足を痛める仕草を見せた事で、早めにベンチが動き彼に代えて鍬先を同ポジションで投入。
アクシデント続きの状態で、無理をさせないという思惑が色濃く表れた采配となり。
するとマリノスも11分に動き、天野→西村へと交代します。

慌ただしくなるベンチに釣られるように、12分にマリノスのGK飯倉からの繋ぎを扇原が前に出てカットに成功。
するとすかさずループ気味にロングシュートを放ち、飯倉が前に出ていた隙を突いたものの、ゴール上へ外れて惜しくも実らず。
続く13分マリノスの反撃、左ワイドからエウベルが中央へ縦パスを打ち込み、西村スルー→ロペスでエリア内を突かんとするもディフェンスに遭い実らず。
その後神戸の前進をエウベルのプレスバックによる奪取で断ち切ると、拾ったマテウスがまたもエリア内のロペスにラストパスを送るも遮断され。
ピッチ内でも混迷気味となる試合展開。

しかし神戸は交代により、鍬先が最終ラインに残った3枚でのビルドアップの形を固定。
それに伴い、広瀬がボランチの位置への可変を混ぜるなど変節を見せ。
これで徐々に右サイド(マリノスから見て左サイド)が空くようになり、17分に対角線のロングパスを受けた武藤がカットインからミドルシュート。(エドゥアルドがブロック)
続く18分には鍬先のパスカットからのドリブルを経てサイドを移しながらパスで前進、大迫が右奥へスルーパスを送ると、走り込んだ広瀬のマイナスのクロスを受け直してそのままシュート。(GK飯倉セーブ)
決定機を膨らませる事で、前半同様にマリノスに攻撃させない状況へと持ち込み。

そして迎えた20分、ここも左→中央→右へとサイドを変えた末に、広瀬のスルーパスで完全に裏を取った武藤が右ポケットで受けた事でGKと一対一に。
角度の小さい難しい局面でしたが、右足を伸ばしてコースを切りに来たGK飯倉の股を通すという見事なシュートを決めきった武藤。
今度は攻勢をそのままゴールに繋げた神戸、勝ち越しに成功します。

反撃に出たいマリノスですが、この日初めてリードした神戸に精神的余裕が生まれた事で、より厳しい崩しを強いられる状態に。
22分に飲水タイムが挟まれ、第4クォーター最初の好機(25分)も、マテウスの持ち運びが奪われた事でカウンターを浴びてしまう(シュートには繋がらず)苦いものとなります。
攻勢に出るも逆襲を浴びるという危機が過るなか、27分に西村のボールカットから素早くエリア内へ運ぶ、毛色の違う好機。
左ポケットで西村のスルーパスを受けたエウベルですが、神戸の戻りも早く戻しを経てのサイドチェンジを選択し、右からマテウスのクロス。
ファーで合わせにいったロペスに対しGK前川が跳び出し、こぼれた所を拾ったエウベルが扇原を剥がしてシュートするも、枠を捉えられず決定機を逃す格好に。

ゴール間近に迫ったものの、30分に逆に神戸が決定機、しかもゴールキックでのロングフィードが大迫を越えた所をパトリッキに拾われるという対応ミスを突かれる形に。
そのまま右ポケットを突いたパトリッキがシュート、GK飯倉がセーブした跳ね返りを大迫が詰めたものの、戻った上島がブロックで何とか凌ぎ。

最悪の結果は防いだものの、32分にはミドルシュートを放ったマテウス(枠外)が、その拍子に足を痛めてしまう事態が発生し。
そしてカードを切る事を余儀なくされ、マテウス・エウベル→井上・宮市へ2枚替えと、両翼の助っ人を揃って入れ替え。
そのすぐ後に最後のカード、喜田→植中へと交代。(35分)
これで前監督の時代と同様の、渡辺皓をアンカーとした4-1-2-3へとシフトします。
一方の神戸も、36分に井出→佐々木へと交代。

反撃の道筋を作りたいマリノスですが、布陣変更が仇となりビルドアップ能力の低下に苛まれ。
神戸ディフェンスに対し運ぶ事すら困難となり、何とか敵陣でボール保持する状況に持ち込んでも何も起こせない絵図が膨らみます。

止むを得ず、右ワイドに張る井上へとロングパスを届ける手法へと切り替え、そして彼の突破力で何とかするという攻撃へと変更。
神戸サイドも4-4-2での守備のため、エドゥアルドから送られる対角線のロングパスに対し、ある程度捨てるという選択肢を取らざるを得ないのが幸いし。

そうした展開で迎えたAT。(神戸の最後の交代はパトリッキ→山内)
例によってエドゥアルドのロングパスを右サイドで受けた井上から、スルーパスに走り込んだ西村のクロスはブロックされるも、渡辺皓が拾って継続し今度は左サイドへ。
そして宮市が左ポケットへスルーパス、走り込んだ植中のマイナスのクロスをロペスが合わせる、千載一遇の好機もジャストミート出来ず枠外と不本意なものに終わります。

その後は落胆するマリノスを突くかのように、敵陣でボール奪取した鍬先や佐々木が果敢にミドルシュートを狙い。
積極性を発揮する神戸の個々の面々に対し、マリノスは加藤聖のロングスローなど、手段を選ばない攻撃に頼る状況といかにも苦しく。

最後はまたも神戸の攻撃、井手口のエリア内へのミドルパスで裏を取り、受けた佐々木は右奥でのボールキープを選択して試合終了を迎え。
1-2で無事に勝利に辿り着いた神戸。
主力を数人欠いたものの、監督交代もあった相手に対し、地力の差が出た一戦となったでしょうか。

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