※前回の町田の記事はこちら(26節・京都戦)
※前回の松本の記事はこちら(24節・山形戦)
固定メンバーでの戦いを主体に置く町田ですが、この5連戦の成績は芳しくない出来。
3連敗で迎えた前節・山口戦は、ボランチの佐野がサスペンドで欠場。
しかし怪我の功名で、平戸をボランチに起用して急場を凌ぎ、見事にウノゼロの勝利で連敗を止めてこの日に臨みました。
今回の5連戦で大きな動きは、安藤の離脱もありFWにはステファン・中島を重用。
しかしそれ以上に目立つ事象は、正GKの交代が行われた事。(秋元→福井)
前の5連戦で特に守備崩壊したという訳でも無いので、シーズンも終盤に入った中で、秋元のレンタルバックを睨んでの起用なのかもしれません(湘南からレンタル中)。
一方メンバーを固定したくても、故障者続出で中々叶わないのが松本。
監督を交代して挑んでいる後半戦も、ジャエル・山本龍平が試合中に故障した他、藤田・高橋とベンチ外が続いている選手の数が膨らみつつあります。
そんな中、大分からレンタルで獲得した佐藤がレギュラーに定着し、第3の移籍期間で栃木からレンタルバックされてきた韓勇太(ハンヨンテ)も戦力に組み込み。
陣容を固めるべく必死になっています。
どちらのチームとも、前年のロングボール偏重のサッカーから、一定の割合でボールを繋ぐ事を取り入れている現在。
立ち上がりはロングパスによる主導権争いが行われたのち、先に町田がペースを掴みます。
長短織り交ぜて攻撃を展開し、前半6分には酒井が、8分には平戸がミドルシュート。
いずれもクロスが跳ね返されてから撃ったもので、前者は枠外、後者はブロックされたのちエリア内の中島が拾うもオフサイド。
先に矢を放ったものの効果は今一つだった町田の攻撃。
それを打開しようと、ボランチの高江が前に出る場面が目立ち始めます。
9分には中盤でパスカットした高江、中島へパスを送るとそのまま前へ上がり中島のスルーパスを受けにいくも、付いてきた松本・杉本に奪われ報われず。
12分には敵陣浅めでのパスワークから上がりを見せた高江に、佐野の縦パスが入ると高江はこれをフリック。
エリア手前に居た中島に送るも、中島→岡田へのパスは繋がらず。
変化を付ける試みも、結果には結び付きません。
すると主導権は松本に移り、14分に早速決定機が。
右サイドでのパス回しから佐藤が左へサイドチェンジ、受けた中美が阪野とのワンツーで前進したのちクロス。
ファーサイドへ落ちるボールを、浦田が合わせボレーシュートするもGK福井がセーブ。
直後のコーナーキックでも、キッカー佐藤のクロスの跳ね返りをセルジーニョが拾い、エリア内右を抉ってマイナスのクロス。
これを大野がシュートしますが、再びGK福井のセーブに阻まれます。
そして19分、左サイドをセルジーニョのスルーパスで突破し、中美からグラウンダーでクロスが入ると前のポストプレイでエリア外へ。
受けたセルジーニョがシュートするもブロック、こぼれ球を前が拾い、エリア内でフリーでシュートしますがGK福井がセーブ。
こぼれ球を阪野が詰めるも福井が足で防ぎ、再度阪野がシュートと連続攻撃を浴びせるも、福井が3度目のセーブでゴールを割らせず。
決定機の連続となりましたが得点出来なかった松本、以降もペースを握ったまま飲水タイムへ。
ブレイクを挟むと町田も落ち着きを取り戻したか、再び攻め上がります。
27分、高江のラフなロングパスがこぼれ球となるも、中島が収めて再び高江の下へ。
ダイレクトで高江が縦パスを岡田へ送ると、受けた岡田はエリア手前からシュートするもGK村山がセーブ。
両GKが目立つ試合展開を描きます。
しかしここからは一転し割と落ち着いたゲームとなり、共に決定打は出ず。
そんな展開を受け前半も終盤となり、松本はボールを繋ぐ事で打開を試みます。
45分、長いパス回しを交え町田陣内で攻撃、時折カットされるもセカンドボールを拾い続けてキープ。
そうして右→中央→左とサイドを変え、左サイドで中美がボールを持った所で町田・酒井に倒され反則。
フリーキックという形でこのポゼッションは報われましたが、得た好機はモノに出来ず。(セルジーニョニアにクロス→杉本フリックも上空に上がる→クリア)
結局スコアレスで前半を終えます。
後半がスタートし、入りの1分に阪野がシュートを放った松本。(浦田エリア内右へロビング→セルジーニョの落としを受けてシュート・ブロックされる)
しかしその後は攻め合うも、町田に有効打が目立つ展開となります。
その中で3分に決定機を得た町田、左からの岡田のクロスがクリアされるも、平戸が拾ってエリア内右へロングパス。
走り込んだジョンチュングンがライン際でクロスを入れると、ファーサイドで岡田がヘディングシュート。
しかしゴールポストを直撃してゴールならず。
何とか町田の攻撃を凌ぐ松本、ピンチの後にチャンスあり。
8分、ショートパスで右サイドから中央へ繋ぎ攻撃、セルジーニョ縦パス→坂野ポストプレイを経て受けた常田が前進。
そしてエリア手前から果敢にシュートを放つと、ブロックの深津に当たりボールはゴール右隅へ。
当たっているGK福井のダイブも及ばず、先制ゴールを奪った松本。
パスサッカーへの傾倒姿勢がついに報われました。
尚も攻め込む松本、9分にも左サイドを縦パスの連続で打開、中身のクロスがクリアされたボールをセルジーニョが拾ってミドルシュート。
ブロックされるも佐藤が拾い、再度セルジーニョに渡ってシュート(GK福井キャッチ)と連続攻撃。
松本の流れになりかけるも、再び町田に決定機が。
13分深津がエリア内右へとロングパス、裏抜けした中島に渡る絶好機となり、そのまま中島がシュートを放つもGK村山がセーブ。
しかし平戸が拾い、戻したボールを高江がループ気味にミドルシュート、これがゴールバーを直撃。
枠に嫌われる場面を量産してしまう町田。
尚、このシーンで松本・中美がエリア内で痛み続行不可能に。
折りしも交代を用意していた松本ベンチ、変えたのかどうかは不明ですが、中美は担架で運ばれ退きます。(鈴木と交代、同時に前→塚川へと交代)
先制点を奪われて以降、町田はそれまでのボックス型でのビルドアップから、丁の字型で作っていく形への変化が目立っていきます。
前述の決定機も、その影響で右に開いた深津からのロングパスが契機。
しかし以降は目立った場面は作れず、流れを変えに交代を用意した所で飲水タイムに。(24分)
そして明けた後に(25分)中島・ジョンチュングン→ステファン・橋村龍ジョセフへと交代(岡田が左サイドハーフ→右SHへシフト)しますが、丁度ブレイク直前に見せてしまった事で対策を練られてしまったのか。
有効打に結び付かないばかりか、27分に松本が追加点をゲット。
常田縦パス→セルジーニョポストプレイを経て左サイドで前進、そして鈴木のクロスが上がると、ファーサイドで塚川がヘディングシュート。
町田・奥山との競り合いを制し、ゴール左へと突き刺す事に成功します。
これで地味にチーム得点王に並ぶ7ゴール目を挙げた塚川(セルジーニョ・阪野と同数)、ターゲットとしての役目を果たしました。
2点リードを奪った松本、29分に浦田→田中へと交代。
故障明けから間もないベテラン・田中ですが、これで3試合連続で途中出場。
全盛期のようなサイドの突破力というよりは、経験を活かして試合を閉める役割を担っているのでしょうか。
それでも、ビハインドを跳ね返さんとする町田がここから攻勢に。
32分にはロングパスをエリア内左でステファンが収め、そのままシュート。(ブロック→GK村山キャッチ)
しかしその後はリズムを掴めず。
折角スルーパスをエリア内へ送っても、33分にはステファンが、35分にはジョセフが受けるもシュートは撃てずという場面が。
攻め込むものの、行き詰まり感を覚える展開となります。
それを受けて、38分に再び2枚替えを敢行する町田。(水本・酒井→ドリアン・バブンスキーとノリエガ・エリック)
ディフェンスライン2人を下げての、大胆な配置転換を敢行します。(佐野がボランチ→センターバック、平戸・FW→ボランチ)
しかし40分に松本が、右サイドでのパスワークから田中がエリア内右へとロビング。
塚川が擦らしたボールを杉本が受け、リターンパスを塚川がシュート(ゴール左へ外れる)と、再び町田の交代直後に松本が好機を得る絵図が。
その後(42分に松本は阪野・杉本→韓・米原へと交代)双方ともオフサイド祭りとなり、シュートが生まれないままアディショナルタイムへ突入します。
時間も無くロングボール攻勢を仕掛けるしかない町田。
3分経過した所で、深津のロングパスがエリア内へ入ると、バブンスキーが落とす→ステファンポストプレイを経て岡田がシュート。
流れるような攻撃でゴール左に突き刺し、1点を返します。
尚も躍起になって攻める町田でしたが、その姿勢が焦りへと変わってしまったか。
バブンスキーが松本・鈴木にアフターチャージ、笛が鳴ると両軍ヒートアップし乱闘寸前の場面を作ってしまいます。
反則気味なチャージが流される場面が目立っていた(双方とも)この日、フラストレーションも限界突破してしまったのか。
この場面でバブンスキーに警告が与えられたものの、その後には今度は松本側が、セルジーニョがボールを蹴り出した深津に対しアフターチャージ。
当然の如く反則となり、セルジーニョにも警告が。
最後に試合以外での局面が目立ったものの、1-2のままタイムアップとなり、松本が逃げ切って勝利。
これで監督交代後に勝ち点(39)の過半数を稼ぐ事となった松本、客観的に見て交代は功を奏したといえるでしょう。
ただ監督を代えただけでは数試合の効果しか得られず、また低迷の道を歩む事になるのは明白。(今季ではJ1の神戸が好例、寝耳に水的な交代でしたが)
上手く就任前までの流れを継ぎつつ、悪い部分は切り落とす。
そんな舵取りを見せている柴田峡監督ですが、来期以降の続投は果たしてどうなるか。