ぶらりドリブルの旅

ひたすらサッカー観戦がメイン

第99回天皇杯JFA日本サッカー選手権大会2回戦 北海道コンサドーレ札幌vsHonda FC in札幌厚別公園競技場

2019-07-04 17:15:15 | サッカー観戦記

札幌のホームスタジアムで行われた一戦でありますが、大会の名目上あくまでも双方中立という立場。
故にいつものような札幌のホームを象徴する演出は無く、やや無機質な環境で行われたため一抹の寂しさが残る事となりました。
といっても札幌ドームのリーグ戦のように練習の最中にも大森健作氏が喋りまくるコーナーはどうかと思いますが
そのかわりチケット代は格安で、普段(リーグ戦・ルヴァン杯)のバックスタンドの値段よりも低価格でメインスタンドで観戦できるという有り難いシステムに。

一昨年の天皇杯ではいわきFCに敗れるという失態を演じ、同クラブが一躍メディアに注目される要因を作ってしまった札幌。
前年は4回戦まで進んだものの、ワールドカップ開催のため長期中断期間に2回戦(MIOびわこ滋賀戦)・3回戦(アビスパ福岡戦)が行われるというJ1有利な日程だった(J2以下は中断無しだった)ため評価が難しい年でした。(ちなみに4回戦でジュビロ磐田に敗戦)
そして今年の札幌の初戦の相手は、本田技研工業フットボールクラブ・通称HondaFC

立場上はJFLであるHondaですが、それというのも「完全なアマチュアチーム」という立場を貫いているから。
何度もJFLのリーグ戦を制覇し、成績上はとっくにJリーグに上がっても良いにも拘わらず、腰を据えてJFLの門番として立ちはだかっている信念が感じられるクラブであります。
(とは言うものの過去にJリーグ参入の意思を表明した際に地元・浜松市の受けが悪く断念したという歴史から来ているらしい)
しかし2009年から5年連続で優勝を逃すという低迷期もあり、2014年以降は元Jリーガーを支配下選手に組み入れるなど、「完全なアマチュア」から脱皮。その成果は以降5年間で優勝4度という栄冠に見事に現れています。
現所属では、大町・山藤(ともに元金沢)・古橋(元湘南)がJリーグ経験者。

    

駆け付けたサポーターの数こそ少なかったですが、このメッセージ性が籠った弾幕の嵐。
自分はこういうストレートな言葉に弱いので、この時点でもう心を奪われていました。
選手名の弾幕も、在り来たりなものでは無く非常に特色あるデザインでとても面白かった

 

札幌の前身クラブが東芝(正確には東芝堀川町サッカー部)である事を思い出させてくれる弾幕、Honda出身の現札幌所属である早坂・阿波加を応援する弾幕も出す等粋な事も。

Honda選手が登場、練習前にスタンドに挨拶……だけでなく。
サポーターの前で円陣を組むという新鮮さも披露してくれました。

札幌のウォームアップ。
中央辺りに居るコーチが、前監督である四方田修平氏でしょうか。

Hondaの練習の一面。
単なるトリカゴ練習かと思いよく見てみると……

 

ビブスの色が3色。
どうやら同色3人のグループを複数作ったうえでのトリカゴ、いやディフェンスの数が圧倒的に多いのでトリカゴとも呼べません。
敵の数的優位の中でのパスワークの練習らしく、これに圧倒的に時間を割いていました。

 

天皇杯という枠組みには逆らえず(?)、札幌側も無機質なスタメン発表。
それでも身長だけはしっかり出します。

双方のスタメンが出揃う。
札幌は駒井・宮澤が、故障離脱後初の実戦となりました。
それにしては周囲を固める選手が、軒並みサブかそれ以下の立場なのが気がかり。
なお石川は練習中に故障でもしたのか、試合開始時に中村(24番)と入れ替わり
一方のHonda、前の試合(JFL第13節・テゲバジャーロ宮崎戦)からスタメンを6人入れ替え。
といっても松本・山藤はレギュラーのドイスボランチ、白坂・佐々木も普段から出ているレギュラーであり、この日のために前節は休養していたと思われます。
ちなみに両チームとも、DFは上から順に右・中央・左、MFは右ウイングバック・右ボランチ・左ボランチ・左ウイングバック・トップ下(orシャドー2人)という規則正しい並びになっていました。運営の方の気遣いに感謝。

一週間前に引き続き、ボールパーソンを務めた北海道科学大学高校の方々。
ただ災難な事に入場の際もピッチへの散水が止まず、水を避けながらの入場となっていました(笑)。

 

選手入場、その後整列。
そして最後尾のドーレくんが、実質札幌のホームである事を証明してくれます。

 

さてキックオフ。
立ち上がり札幌はJ1の貫禄を見せるどころか、押し込まれて何本もシュートを許す展開に。
やはり1トップのロペス・WBの菅以外はサブメンバーで挑んだ事が裏目に出たか、全くゲームを作れずに時間を消化。

そして前半10分のHondaの攻撃、エリア内で池松のパスを受けた八戸がゴールライン際で倒されると、笛が鳴り早くもPKの決定機。
これをストライカーの遠野(といってもチーム得点王は富田と児玉ですが)が決めて先制。
石川の緊急交代も影響したのか、バタバタした印象を受けた序盤の札幌。

その後14分に宮澤のスルーパスを白井が受け取りシュートを放ち(DFがブロック)、札幌ペースになるかと思われましたがそんな事は無く。
16分には八戸が、20分には佐々木がシュートを放つなど俄然Hondaペース。
そして25分、エリア内に進入した富田が倒され、何と2本目のPKに。
これは富田の左へのシュートをGK・菅野が止めます。
しかし31分、後方のスルーパスで遠野が抜け出してGKと一対一に、きっちり決めて追加点。

早くも2点差が付きましたが、これでHonda側は気が緩んだか。
33分、キャプテン鈴木のクリアがプレスを掛けていた札幌・中村にブロックされると、そのボールが直接ゴールイン。

このラッキーともいえるゴールで息を吹き返した札幌、以降はロペスの個人技を主体に攻勢。
39分のシュートはブロックされますが、45分にはフェイントでDFをかわしそのままドリブルシュートを放ちます。(惜しくも枠外)
一方Hondaも、アディショナルタイムに古橋がドリブルからシュートを撃ちますがGK・菅野に阻まれます。
そして1-2でHondaリードのまま前半終了。

 

メインスタンドでの観戦は、監督の姿も近くで観れるのが旨味。
そんな訳で、ミハイロ・ペトロヴィッチ氏(以下ミシャ)のピッチ脇に立つ姿をば。
この日のミシャ氏は、前半PKを2本も与えた事で審判にお冠だったのか、後半はHonda側が反則を犯す度に第4審判に対し怒っていました。

後半開始、の前に札幌はルーカス・フェルナンデスを投入。(岩崎と交代)
後半もHondaはパスワークで試合のペースを握りますが、札幌もルーカスーロペスのラインが出来た事で、やられっぱなしでは無くなります。
後半4分には、藤村の右サイドへの展開から白井がクロス、これをエリア内でロペスがトラップしてシュート。(DFがブロック)

そして後半10分、カウンターで2対2のチャンス。
ルーカスのパスを受けた藤村がドリブルでエリア内に持ち込みシュート、飛び出したGK・白坂を抜いて見事ゴールゲット。

同点に追い付いた事で空気も変わり、特にHondaGK・白坂はその後キックミスを連発。
17分、あろう事かルーカスの正面に蹴ってしまうと、ルーカスはドリブルで持ち込み、DFをフェイントでかわしてゴール正面からシュート。
しかしこれは僅かにバーの上に外れ、札幌サポーターの歓声が溜息に変わりました。
この直後札幌は中原に代えてキムミンテが出場。

そんな冷や汗もののシーンも束の間、このゴールキックを再び白坂がキックミス、伸びないボールをセンターサークル手前で藤村がカット。
そしてスルーパスから、今度はロペスにシュートを打たれますがこれはジャストミートせず自らキャッチ。

流れ的にも札幌が逆転する雰囲気になりつつありましたが、それを一変させたのが元プロの古橋のゴールでした。
敵陣右サイド奥深くでのスローインからボールを繋ぎ、遠野のポストプレイを受けた古橋。
斜め45度より尚鋭いぐらいの角度でしたが、そこから巻くシュートで見事サイドネットを捉えるファインゴール、再びHondaがリードを奪います。

勝利が近づいてきた事でHondaサポーターも盛り上がります。
ギャラクシーの如く、ライトを両手に持っての応援でした。

一方勝ち越された札幌、苦しい崖を登りきったと思ったら、再び突き落とされたというような展開に。
そんな状況を打破すべく3枚目のカードを使い、中村→檀崎に交代するとともに、フォーメーションも4バックにシフトする動きを見せます。

しかし失った流れは取り戻せず、その後はHondaがシュートを浴びせまくる展開に。
パスワークで崩されては決定的な位置からシュートを打たれ、枠外に助けられたりGK菅野がセーブしたりと、プロ顔負けの攻撃に冷や汗の場面が続きます。

そして後半41分のHondaのコーナーキック。
キッカーであった古橋が32分に退いた(児玉と交代)ため、誰が蹴るのか迷っていた挙句遠野が務めたキックでしたが、これがゴールに結びつくのだからわかりません。
放たれたクロスは池松が落とすと、鈴木のリターンを受けた池松がシュートを打ちゴールイン。決定的な4点目を奪いました。

そしてそのままアディショナルタイムに入り、時間を使うHonda。
児玉のコーナーフラッグ付近でのボールキープ、時間が押し迫った状況での松本→清水への交代という具合に手を打ち続け、ついに迎えた試合終了の笛。
終始パスワークが冴え渡った、JFL最強クラブに相応しい勝利を手にしました。

敗れた札幌、2年ぶりに下位カテゴリーの相手に膝を屈する事となりました。
このところ過密日程なだけにターンオーバーは仕方の無い所ですが、結局故障明けの駒井・宮澤はフル出場。試合勘を取り戻させるのにファクターを割いているかのようでした。
最近ではリーグ戦で白井・藤村が途中交代で出番を貰っており、層は徐々に厚くなっているでしょうか。

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