※前回の山形の記事はこちら(28節・水戸戦)
※前回の新潟の記事はこちら(23節・琉球戦)
毎年外国人助っ人を数多獲得する傾向にある新潟ですが、この日はスタメンに名を連ねる助っ人はゼロ。(ベンチには鄭大世(チョンテセ)1人)
ロメロ・フランクや舞行龍ジェームズと日本国籍を有している選手は居たものの、珍しい事象が発生したのは、既に周知の事件とは無縁では無いでしょう。
事件発生後もファビオがリーグ戦出場を続けていたという事で、クラブの対応や体質も批判の対象になってしまった。(本日、社長の交代が発表されたとの事)
グラウンドレベルで見ると、ファビオが欠かせない戦力であったのは、発覚後FW不足に悩んでいる事からして明白。
既に最晩年である鄭は前節まで4試合連続スタメンと穴埋めに東奔西走しており、この日はベンチに留まり。
1トップには矢村が起用されました。
その他編成面では、夏の移籍期間でレンタル移籍していた秋山が、第3の移籍期間も終盤になってレンタルバック。
J3・沼津への在籍期間は僅か一月半と短いものとなりましたが、8試合で3得点と攻撃面で活躍していた模様。
2人が契約解除となったが故の穴埋めでは、と穿った見方もしたくなりますが、この日早速ベンチ入りを果たしました。
マウロが出場停止、ゴンサロ・ゴンザレスの負傷離脱も重なっての「助っ人ゼロ」となったこの日。
さらにGK小島が負傷と、厳しい事象のオンパレードな新潟。
マウロの穴に入ったのは本来サイドバックである早川(一瞬、田上とポジションが逆なのではと疑った)、という具合にイレギュラー感ありありのスタメンで挑みました。
その通りに、従来ポゼッション重視のサッカーを目指していたはずが、この日は早め早めにボールを前へ送る事が数多。
そして山形のパスワークに対し猛烈なプレッシングを掛けるという具合に、むしろ「ストーミング」に近いスタイルに見えました。
それでも立ち上がりは山形の攻撃に難儀している節が見受けられ、代役CBの早川は前半6分に早くも反則で警告を貰う有様。
これで得た山形の直接フリーキック、キッカー中村駿が直接狙いますが壁に当たりモノに出来ず。
序盤の山形の攻勢を凌いだ新潟、攻撃では裏狙いのロングパス中心の入り。
中々攻撃機会を得られず、攻め入ってもシュートまでいけないシーンの連続でしたが、17分にコーナーキックを獲得。
この右からのCK、キッカー島田はショートコーナー気味にエリア内にパスを出し、戻りながらのパスワークを経て手前からクロスを上げる島田。
これがニアサイド側でワンバウンドすると、山形ディフェンスはお見合いしたのかクリアにいけず(最も近かったのは半田)、その隙を矢村が突いてシュート。
実にあっさりと、という表現をしたくなるゴールが決まり、初シュートで先制に成功した新潟。
反撃したい山形、押し込んでセットプレーも多く得るも、無得点のまま飲水タイムへ。
明けた後の27分、左サイド奥からのFKでキッカー・ヴィニシウスのクロスがクリアされると、そのボールをダイレクトで加藤がボレーシュート。(枠外)
そして29分、プレッシングでGK藤田のパスミスを誘い、拾った南がシュートしますが戻った藤田にキャッチされ決められず。
双方ミスがあれど、確実に突いて決めた者とそうで無かった者の差、というここまでの試合展開。
そんな事を考えていると、34分には敵陣深めで新潟がボール奪取、左サイドからボールが繋がり中島がエリア内でシュート(ゴール右へ外れる)という冷や汗ものの場面が。
山形がホッとしたのも束の間の35分、今度は島田のロングパスに走り込んだ矢村に対し、チェックにいった半田が入れ替わられてかわされる事態に。
そして中央に切り込まれ、スイッチしたロメロがエリア内左からシュートを放つと、右サイドネットを揺らしてゴール。
再び最終ラインのバタつきが失点に直結する事となりました。
2点リードを奪った新潟ですが、その後は審判の判定に中々リズムを作れない展開に。
痛んで倒れる選手が現れても反則無しという場面が目立ち、それに苛立ったのか、舞行龍が異議で警告を貰ってしまうシーンも。(42分)
「ストーミング」のようなスタイルで挑んだ影響か、フィジカル勝負を強いられたが故の事象だったでしょうか。
後半に向けて気分的にスッキリしたい新潟、44分に流れの中から得点チャンス。
左サイドからのスローインで、ロメロが倒れながらもポストプレイで繋ぎ、堀米が中央へとパス。
受けた中島が切り返し、ペナルティアークからシュートを放ちましたがGK佐藤のセーブに阻まれます。(こぼれ球を田上がボレーシュートも枠外)
3点目はならなかったものの、良い流れを得つつ前半を終えました。
後半立ち上がり、2分に早くも新潟がチャンス。
島田のロングパスを左サイドで矢村が収め、エリア内左からのクロスはブロックされるも、拾い直して後方へパス。
高木が走り込んでシュートしましたが、これもブロックに阻まれます。
しかし良い流れはそのままという入りで、5分には島田のパスカットから、堀米がロングシュートを狙うも惜しくもゴール上へと外れ。
13分には長短のパスを交えた後、高木が中央をドリブルして左へスルーパス。
受けた堀米からのクロスはエリア手前へと上がり、ペナルティアークに居た福田がボレーシュート。(ブロック)
15分からはCK攻勢となり3本目で決定機、キッカー高木からの最初のクロスを舞行龍が折り返すも誰も触れず。
そして再びの高木のクロスをニアサイドで福田がヘディングシュート、しかしゴールバーを掠めて上に外れ。
ビハインドを跳ね返したい山形を封じ込めつつ、ゴールを脅かしていきます。
後半になって反撃の糸口すら掴めず、窮地に立たされた山形。
今までは敗戦の試合であっても攻撃の形は良く作れていた傾向にありましたが、前節・京都戦の完敗(0-3)に続き、この日も同じような流れに。
特に相手のプレスの激しさに難儀し、形が作れないまま点差を離されるという内容です。
ボールを繋ぐサッカーといっても、今季のJ2は空前のポゼッションブーム。
単に支配率を高めようとするだけでは、逆にクラブの特徴が埋没してしまいかねないという状況にあります。
その中で山形のビルドアップは割と特徴的で、ボランチをサイドに張り出させたうえでSBを上がらせるスタイル。
そしてサイドハーフ・トップ下と協力しつつ、サイド深くまで攻め入るという攻撃、これが基本なのでしょう。
しかし激しいプレッシングの前に機能せず、ここからどう建て直していくのかの岐路になるのでしょうか。同じプレスが持ち味の栃木にはダブル達成しているのですが
話を試合に戻すと、18分に山形は加藤・南→末吉・前川へと2枚替え。
突破力旺盛な末吉を左SHに置く事で打開を図りに来たのでしょうか。
以降、左サイドからの攻撃でチャンスを作っていく山形。
20分には中央から、末吉がロングパスを受けたのちシュート。(ブロック)
そして21分、CKを得てキッカー・ヴィニシウスのクロスがクリアされた所で笛が鳴ると、ボールと無関係な所で熊本が倒されており反則・PKとなります。
これをヴィニシウスが蹴り、ゴール左へのシュートをGK藤田に触れられるも、パワーが勝りゴール。
1点差に迫った山形。
丁度飲水タイムが挟まれ、1-2となって再開。
しかしラッキーなPKゲットという形だったためか、山形が勢いを持って臨む事は無く。
逆に新潟がセカンドボールを拾い続けて攻撃を仕掛けます。
良い流れの中で、その支えとしていた前線からのプレスの運動量の補填のために交代カードを使用。
27分にロメロ→本間に(高木が左SH→トップ下にシフト)、29分に矢村→鄭へと替え、強度を保たんとしました。
山形サイドも交代しようとしていた所、30分にヴィニシウスが新潟・田上に対しスライディングを仕掛け反則、警告を貰ってしまいます。
そしてその直後に交代が為され、ヴィニシウスが引っ込む(大槻と交代)という絶妙な流れになったのが少し可笑しかったです。
尚も果敢なプレッシングで山形の攻撃を切らんとする新潟、34分にはGK佐藤がパスを出そうとする所を本間がカット。
直接ゴールラインを割ってチャンスにこそなりませんでしたが、終始その姿勢を見せるシーンとなりました。
しかし次第に山形が左サイドを突破する場面が多くなり、40分過ぎからは完全に攻撃権を独占するに至ります。
奥まで進入してクロスを何本も入れていく山形、しかし新潟の堅い中央に跳ね返され続け、時間を浪費。
それでも押し込まれる新潟、ついには高木→新井へと交代(42分)し、ひたすら中央を閉める姿勢となりました。
45分には左サイドでパスワークも、クロスは上げず中央へと戻し、中村駿がミドルシュートの体勢に。
しかし新潟ディフェンスの寄せが早く、あえなくブロック。
ATも終盤、大槻目掛けた松本のロングパスが通り、大槻はエリア内で収めてからシュート。
しかしこれもゴール右へと外れ、同点ゴールが生まれる事はありませんでした。
これで4試合ぶりの勝利となり、5位をキープした新潟。
皮肉にも事件発覚以降は無敗で来ていましたが、3試合連続引き分けという数字が示す通り流れはあまり良くなく。
万全で無かったメンバーで掴んだ勝利で、暗雲は吹き払えたでしょうか。