※前回の大宮の記事はこちら(31節・相模原戦、1-0)
※前回の北九州の記事はこちら(25節・愛媛戦、2-2)
※前回の両クラブの対戦はこちら(15節、北九州 3-1 大宮)
中々勝ち点3を得られず、降格圏が定位置となってしまっている北九州。
カンフル剤が欲しいという状況で、前節(ヴェルディ戦・2-2)からとうとう、不動のセンターバックであった村松がレギュラー陥落となってしまいました。
25節から6戦無敗という成績を描いたものの、その際も2勝4分と引き分けが多く。
何かの拍子で再度悪循環に陥る可能性は十分ありましたが、その通りに30節から5戦未勝利(3分2敗)へと転じてしまい。
しかも5戦で11失点と守備の破綻が顕著な結果となり、スタメン入れ替えという措置が採られたのも仕方無いでしょう。
最終ラインを変形させてのビルドアップが持ち味の北九州、村松はその舵取りとして不可欠な存在でしたが、その分高さに欠けるという弱点と付き合わなくてはならない。
この残留争いの終盤という局面で断が下された訳ですが、果たしてそれが吉と出るか。
大宮のホーム・NACK5スタジアムでの試合となり、残留争いのライバル同士の対戦。
過去8戦で4勝(2分2敗)と、ここ最近は勝ち点3を得る試合を作り、意気は軒昂といった状況の大宮。
いきなりの前半1分、北九州・佐藤亮がトラップで抜け出そうとした所を、西村慧祐がショルダータックルで倒してしまい反則。
激しいデュエルで北九州のサッカーを封じるという意思表示を見せたようなシーンで、その通りに北九州はボールを握りながらもフィニッシュには辿り着けません。
その北九州のビルドアップですが、村松不在の影響はやはり表れ、いつもの最終ライン3枚の基本形はイレギュラーなものに。
ボランチが降りて来る事は無く、右サイドバックの福森が上がらずに、CB2人(岡村・河野)とともに3枚を形成していました。
ここに来て基本の部分を変えざるを得ないという苦しさが露呈し、その揺らぎを大宮にしっかりと突かれてしまう事になります。
プレッシングにより、敵陣でのボール奪取を頻発させていた大宮の立ち上がりでしたが、14分に結果に繋げます。
敵陣左サイドでボールカットした小野がすかさず中央にパスを送ると、ニアでの小島のスルーを経て中央で受けにいった河田がさらにスルー、その奥の黒川がフリーで受け。
そしてエリア内に進入してシュート、ゴールネットを揺らす事に成功。
ショートカウンターをしっかり得点に結び付けた大宮。
大宮がいつもの4-3-3(4-2-1-3)からやや変形し、小野(予想の段階ではトップ下)を左サイドハーフにした4-4-2に近い形にして挑んでおり。
北九州はそのギャップにも苦しめられ、以降は得点どころか好機を生み出せない状況に陥ってしまいます。
逆に大宮はリードしても攻撃の手を緩めず。
17分には山越のロングパスから、跳ね返りを小島が頭でエリア内へ送り、河田がフリックしたボールを中野が受けてシュート。
ネットに突き刺したものの、オフサイドを取られ惜しくも2点目とはいかず。
その際に中野がGK吉丸と接触して痛んだものの(暫くして無事に起き上がる)、大宮は大過無く立ち上がりを過ごし、23分に飲水タイムが挟まれます。
一方ボール支配率では上回るも、劣勢ぶりは隠せなかった北九州。
ブレイクが明けるとビルドアップをいつもの形に戻し、ボランチ1人を最終ラインに降ろすスタイルを採ります。
上手くいかない故の修正か、ないしは第1クォーターを助走期間とし、慣らした上で普段通りのサッカーへと転じるという予定調和なのかは不明でしたが。
それでも大宮ペースが続いていましたが、序盤から激しいチャージも厭わずの姿勢も奏功したのもあるでしょう。
しかし30分に北九州のゴールキック、ロングボールを直接合わせにいった前川と山越が競り合い、山越の反則を取られ。
中盤からのフリーキックでしたが放り込みを選択した北九州(試合開始からこの姿勢は変わらず)、キッカー針谷のロビングがエリア内左へと上がり、岡村が折り返し。
大宮ディフェンスが掻き出すも、エリア内左へこぼれた所新垣が豪快なシュートをゴール上部に突き刺し。
セットプレーで劣勢を挽回、という同点弾となりました。
振出しに戻った事で、再び北九州が主体的にボールを繋ぎ、好機を得る展開に。
同点ゴールを挙げた新垣の突破力を軸に、左サイドでの攻撃が目立ったこの時間の北九州。
大宮はプレッシングをかけるも、北九州の2人のボランチのうち前に居る側が空く事で、脱出されてしまう事が数多。
それでも大宮は粘り強く守りつつカウンター気味に好機を作り、35分に河田が、36分に馬渡がシュート。(前者は枠外・後者はGK吉丸キャッチ)
フィニッシュという点では大宮優勢なのは変わりません。
そしてその流れが、そのままスコアに現れます。
42分の大宮、最終ラインでの三門の展開から左サイドで受けた小野がカットインの姿勢から斜めに縦パスを入れ、これを受けたのはストライカーの河田。
ペナルティアークから果敢にシュートを放つと、グラウンダーでゴール左へと突き刺さり。
いかにも点取り屋といったゴールで、再度大宮がリードを奪いました。
その後も大宮が好機を作り続けた末、2-1のまま前半を終えます。
後半に入る前に、北九州は選手交代。
1トップの佐藤亮に代え椿を投入、前川がFWに回って高橋がトップ下・新垣が右SHへとシフトという形を取ります。
夏の補強期間で再加入し、残留の切り札と目されましたが、故障により長期離脱を強いられた椿。
この日が復帰試合となり、状況打開の期待を受けての出場となりました。
後半の入り、その北九州に決定機が。
後半2分に前川が右サイドをドリブルし、パスを受けた新垣がエリア手前右からシュート。
ブロックでエリア内にこぼれた所を高橋がシュートしたものの、GK南のセーブに阻まれます。
いきなり肝を冷やした大宮でしたが、HTを経て修正を図ったのか、以降再び北九州のビルドアップを阻むシーンが目立ち始め。
相手のボランチをフリーにしてしまう事は無くなり、FWの中野がボランチへのパスコースを切りつつのプレッシングを見せる事で優位に立ちます。
そしてその姿勢が影響したのか、7分に北九州は針谷が西村恭史へのパスをミス(ここも西村恭には中野が付いていた)してしまい、すかさず拾った小野がエリア内右へラストパス。
受けた黒川のシュートが左サイドネットへと突き刺さり、早い段階でリードを広げた大宮。
痛すぎる失点となってしまった北九州。
以降も意気上がる大宮に対し守勢を強いられ、消沈ぶりは隠せずという状況になります。
大宮のコーナーキックからのカウンターで、椿がドリブルで持ち上がるシーンもありました(11分)が、大宮の素早いトランジションによりシュートまで辿り着けず。
逆に大宮は11分に黒川がシュート(ブロック)、12分に小島がシュート(GK吉丸セーブ)と、尚も点差を広げんとゴールを脅かします。
挽回したい北九州は、14分に西村恭→永野へと交代。
FWのような背番号(11番)の永野がボランチに入る事で、前に出る姿勢を強めたのか、以降前線でボールカットを頻発させた北九州。
16分には大宮・西村慧のミスを新垣がカットし、そのままエリア内でGKと一対一を迎えましたが、GK南が反応良く前に出てブロック。
21分には右CKから、GK南のパンチングが小さくなった所を新垣がエリア内左から折り返し、中央で収めた前川がシュート。
しかしこれも小島ブロック→南セーブと、必死に守る大宮の前にゴールを奪えません。
逆に次のCKで、ショートコーナーをカットされて大宮のカウンターを招き(カットした小野が一気にドリブルでエリア内左に進入、クロスを入れるも撃てず)、ペースを失う事となります。
25分に飲水タイムが取られ、尚も攻め上がる大宮。
河田が抜け出そうとした所を北九州・福森が肘打ちに近い格好で止めてしまう(腕が河田の喉に入る・反則)など、大宮の圧力に北九州は四苦八苦。
それでも30分、これまで攻守に活躍してきた中野が、左からクロスを入れた際に足を攣らせてしまい。(担架で運ばれる)
これを機に最初の交代カードを切った大宮。(中野・河田→柴山・イバ)
その後34分に山越が足を痛めて担架で運ばれる(一度交代の準備が取られるも復帰)等、ハイテンション故の傷が目立ってきた大宮。
それでも北九州が後方のミスでピンチを招く(こぼれ球をイバがダイレクトでエリア内にスルーパスも撃てず・33分)など、正の効果は相変わらず続いており、決して相手にパワー負けしないサッカーへと転身した節が窺えました。
何とか1点返したい北九州、42分に最終ラインからの縦パス(岡村)を経て椿がドリブルで中央突破。
エリア手前まで進んでエリア内右へ横パス、福森からのマイナスのクロスをニアで新垣がシュートしますが、枠を捉えられず。
2点差のままアディショナルタイムへと突入し、右CKを得た北九州。
キッカー高橋のファーサイドへのクロスを河野が合わせヘディングシュート、しかし前方に居た味方に当たって跳ね返り。
尚も繋いで右手前からの針谷のクロスを河野が折り返し、こぼれた所を椿がシュートするもこれも枠外に。
好機を作る事は作りましたが、劣勢を跳ね返す事は出来ずとなりました。
一方大宮は、43分に2枚替えとともにフォーメーションを3-4-2-1へとシフト。
既に今季限りでの引退が発表されている河本が投入され、守備固めの体制を取りました。(山越と交代、同時に小島→翁長に交代・右から河本・西村慧・河面の3バック)
憚らずも、昇格では無く残留が最後のチームへの貢献となってしまった河本でしたが、役割を果たして無事に逃げ切り。
勝ち点3へと辿り着いた大宮、これで降格ラインとは勝ち点4差となり。
この記事を書いた段階では下から1勝以上の差という苦境でしたが、今は上から1勝以上の差を付けるという逆転ぶり。
まだ予断は許さない状況で、仮に残留を果たしても大宮というクラブ規模を考えれば不本意なものでしょうが、何とか目の前の大課題をクリアしたい所です。