※前回の京都の記事はこちら(30節・山形戦、2-0)
※前回の長崎の記事はこちら(30節・町田戦、3-3)
※前回の両クラブの対戦はこちら(21節・京都 0-2 長崎)
昇格圏に居る2強状態のクラブ(京都・磐田)を追い掛けるには、もはや敗戦は許されないという状況。
3位の新潟ですら2位との勝ち点差は9であり、その2つ下の順位に居る長崎。
折りしも相手が首位の京都であり、直接対決で下して逆転の堰を開く事は出来るでしょうか。
前回対戦時では見事京都に勝利を収めている長崎ですが、それにより首位の京都サイドの方が雪辱に燃える一戦と化しており。
そんな思いを乗せるように、立ち上がりから京都ペースで試合は展開します。
最終ラインでパスを繋がんとする長崎に対し、いつものように果敢なプレッシングを掛け、ショートカウンターからの得点を狙いにいく京都。
前半9分、敵陣中央で武田のボール奪取から、拾ったピーター・ウタカがエリア内へ切り込む好機となったものの長崎・江川の決死のディフェンスで撃てず。
するとその直後の長崎の攻撃、江川の左サイド裏へのロングパスがエジガル・ジュニオに渡ると、中央で名倉が受けてエリア内左に進入。
そしてシュートを放ったもののGK若原がセーブと、決定機の応酬となりました。
前回の対戦でも京都ペースで推移していた前半。
何本もフィニッシュを浴びせ、長崎ディフェンスはGK富澤の好セーブで何とか凌いでいたという内容でしたが、この日は微妙に差異が。
ボール保持での攻撃も、一旦敵陣に攻め込むとダイレクトパスの連続でディフェンスを揺さぶり、崩していくのが京都の特徴。
しかしこの日は中々長崎守備陣も崩れる事無く、フィニッシュシーンも少なく時間が進んでいきます。
ウタカへの対応は言わずもなが、パスワークで守備の網を破って松田天や宮吉がシュートを放つといった、前回顕著だったシーンは限りなく少なくなり。
一度対戦した経験は織り込み済みと言わんばかりの、松田浩監督率いる守備網の強靭ぶりが地味に発揮されていたような展開で、京都は攻めながらも我慢を強いられるという難しいゲームとなりました。
京都のシュートシーンは18分、松田天馬の左からのクロスがクリアされた所を、ウタカがミドルシュート。
これがブロックにいったカイオ・セザールの腹部に入ってしまい、カイオが痛むシーンが印象に残ったといった第1クォーター。(カイオは無事プレー続行)
飲水タイムが挟まれる(23分)と、ペースは徐々に長崎の方に針が振れ始め。
京都の攻勢の中、ビルドアップの最中でも中々高い位置を取れなかった長崎サイドバック(右=毎熊・左=米田)でしたが、この時間帯で右の毎熊が躍動し始めます。
27分に鍬先のサイドチェンジを澤田が受けてから右サイドで攻撃、パスワークを経て毎熊が奥に進入すると、シュート気味にクロスを入れるもファーサイドに流れ。
続く28分には敵陣で鍬先がカットして右へ展開、受けた毎熊の低いクロスに中央で植中が合わせシュート。(ブロック)
右サイド中心に押し込み始めると、30分に得た右コーナーキック。(これも毎熊の奥からのクロスがブロックされて獲得)
キッカー米田のクロスがファーに上がると、ヘディングで捉えたのは毎熊で、GK若原が弾くも及ばず右サイドネットに突き刺さり。
自身が呼んだ好循環を、自身のゴールで締める活躍を魅せた毎熊。
先制した長崎でしたが、再開後間も無く、得点を挙げた毎熊が肩を抑えて倒れ込むシーンが。
得点シーンの際の競り合いで痛んだと思われ、一旦ピッチ外へ出るも程無くして復帰。
長崎サイドは一安心でしたが、今度は34分に京都に受難が。
長崎・名倉の突破を止めにいった飯田が、接触の際に足を痛め倒れ込んでしまいます。
毎熊よりも長い時間倒れており、何とか起き上がりピッチには出ず復帰しましたが、これが終盤に影響してしまったでしょうか。
早めに反撃したい京都でしたが、以降もフィニッシュが目立ったのは長崎の方。
37分には直接フリーキックの好機で、左ハーフレーン・エリアからやや手前という位置から、キッカー米田が直接シュートするもGK若原がセーブ。
40分には敵陣で長くパスを繋いだ末に、米田の左からのクロスを中央で鍬先が収め、囲まれつつシュートを放つもブロックされ。
京都サイドは持ち前のダイレクトパス攻勢で崩さんとしますが、それでも長崎の中央は堅く、サイドからクロスを入れるのが精一杯。
唯一45分に右からの展開を経て、荻原がエリア内左を突いてクロス、ファーサイドで福岡のヘディングシュートに繋げたぐらいでしょうか。(GK富澤キャッチ)
結局前半は1-0と、長崎がリードを保ったまま終了となりました。
前回対戦と同様の前半のスコアとなりましたが、京都は前回よりも悪化したような内容。
ハーフタイムに早くもジョーカーのイスマイラを投入(宮吉と交代)し、早めに追い付く算段を立てます。
尚、ウタカとイスマイラの2トップに移行し、全体も4-1-2-3から4-4-2へとシフトして川﨑・武田のドイスボランチに。(福岡が右サイドハーフ・松田天が左SH)
その意気込みとは裏腹に、長崎がペースを維持した立ち上がりとなります。
エジガル狙いのロングボールも絡めつつ押し込んでいき、開始7分間でCKを3本獲得するなど攻撃権を支配。
後半3分にはそのCKから、エジガルがヘディングシュートを放ちますが枠を捉えられず。
京都は耐える時間帯を強いられたものの、ジッと好機を伺う姿勢を取っていたでしょうか。
すると8分に最大の好機が訪れ、武田のミドルパスの跳ね返りをウタカがブロックし、こぼれ球をダイレクトで松田天がイスマイラを走らせるスルーパス。
左ハーフレーンで受けたイスマイラから中央へ送られると、福岡がさらにエリア内へスルーパス、これにもイスマイラが走り込んでシュート。
イスマイラの走力をフルに発揮させての決定機となりましたが、シュートはGK富澤が足で防ぐビッグセーブとなり、逃してしまった京都。
直後の9分にさらに2枚替え(荻原・福岡→本多・白井)と、早めの同点を狙いにいく京都。
旺盛にゴールを狙わんとするイスマイラの存在もあり、ウタカが降りて来てゲームメイクに関わるシーンも増え。
長崎の隙を伺いつつ、イスマイラという飛び道具を使う攻撃を仕掛けるも、中々実らず。
逆に長崎はエジガル狙いのロングパス一本による好機が増え、カウンターの恐怖とも戦わなければならなくなった京都。
17分には浮き球に走り込むエジガルを前に、京都・麻田がクリアミスでCKを与えてしまうシーンも見られます。
傍らから観ても良くないと思える状況で、無理に同点を狙おうとついに痺れを切らす京都。
20分の攻撃、エリア周囲での細かいパスワークの末にウタカのエリア内へのパスがクリアされると、敵陣右サイドで拾ったのはヨルディ・バイス。
するとカットインを仕掛けたのち、果敢にミドルシュートを放ったバイスでしたが、これが最悪の結末となってしまいます。
江川がブロックしたこぼれ球がクリアされるとエジガルに直接渡り、一気に長崎のカウンターに繋がり。
必死に戻らんとするバイスの姿も空しく、エジガルのスルーパスが裏に抜けた植中に渡り、GKとの一対一を作ったのちペナルティアークから植中がゴール右へとシュート。
択一状態ではGK若原もどうしようも無く、ネットが揺れた結果長崎に2点目が入る事となりました。
京都はその後、裏狙いのパスによる攻撃を見せるも好機は作れず、23分に後半の飲水タイムへ。
26分には再度2枚替えを敢行と、長崎が1枚も切らないうちに全てのカードを使用する事となりました。
川﨑・武田→三沢・荒木へと交代し、松田天がボランチに回る事に。(三沢はボランチ・荒木は左SH)
30分に長崎・米田がファウルスローというシーンが見られたのち、京都が押し込みにかかる絵図へとシフトした試合。
早めに1点を返したい京都、最終ラインで隙を伺ったのちの長短のパスで前進にかかりますが、一層守備意識が強まる長崎に対しやはりシュートまで辿り着けない時間が続きます。
クロスを上げても合わせる前にクリアされ、またトラップに成功しても収まらず。
そしてクリアボールに対して直接シュート体勢にいっても、その前にクリアされる(34分、クリアボールを三沢がボレーシュートにいったがクリアされ撃てず)等、長崎のディフェンスの徹底ぶりが際立つ事となりました。
長崎ベンチは33分に最初のカードを切る(植中→都倉)と、後は着々と手駒を投入する体勢に。
38分には澤田・名倉→加藤大・山崎と両SHを交代。
そして最後のカードはアディショナルタイムで、この日ベンチに復帰していたビクトル・イバルボを投入、ピッチ慣れさせるという余裕も作られました。(エジガルと交代・同時に鍬先→玉田に交代、加藤大がボランチに回る)
一方の京都はアクシデントに見舞われ。
38分に飯田が長崎・都倉に反則を受けると、前半に受けた傷とも合わさってか、倒れ込み起き上がれない状態となってしまいます。
そんな中でもFKを始めた京都、ビハインドでの余裕の無さを示していましたが、それでも立ち上がる事は無かった飯田。
結局担架で運ばれ、以降10人での戦いを強いられる事となった京都。(白井が右SBに回り4-3-2にシフトか)
その後は数的優位になった長崎の攻撃時間も増え、時計を進められる京都。
何とかATに、ウタカがエリア内でシュートを放つもブロックされCKに。
最後のチャンスといったセットプレー、クロスをイスマイラが中央で合わせにいき、こぼれた所をバイシクルで撃ちにいったのはウタカ。
しかし生まれたのは、防ぎにいった長崎・都倉に足が入る危険なシーンであり、反則で終了となります。(都倉は頭を抑えるも、ボールが当たったという事で無事)
結局京都に得点が齎される事はありませんでした。
2-0と、前回対戦時と同様のスコアで長崎が勝利。
しかし京都のシュート数は前回よりさらに減り(9→6)、内容も上回っての完璧なダブル達成といえる長崎。
折り返し後は失点が膨らみ気味でしたが、この試合を機に引き締まり、上位追走といきたい所でしょう。