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DAZN観戦 2021年J2リーグ第35節 FC町田ゼルビアvs栃木SC

2021-10-27 16:13:53 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の町田の記事はこちら(30節・長崎戦、3-3)
※前回の栃木の記事はこちら(33節・松本戦、0-1)

上位の座を保っている町田ですが、32・33節とホームで連敗を喫してしまい、昇格への望みは首の皮一枚という状況。
何か変化を付ける事で切欠としようと考えたのか、ランコ・ポポヴィッチ監督は、前節(秋田戦・2-0)から長谷川アーリアジャスールをレギュラーから外し。
ここに来て子分的な選手に対して断を下す選択を採り、代わって最も得点力に長けた存在の太田がスタメンに。
吉尾との両サイドハーフを確立させ、チーム得点王(8得点)である2人を揃って起用する事で僅かな可能性に賭ける、といった終盤戦でしょうか。

この日の相手は栃木という事で、放送席では「両チーム似たようなカラー」と語られており。
しかし今季の町田はボールポゼッションも高く、肉弾戦一辺倒からは既に脱却を果たしており、それが好調の要因でもあるでしょう。
そんな二つの長所を持つ町田に対し、愚直に「ストーミング」スタイルを貫く事で何とか勝ち点を重ねたい状況の栃木。

試合が始まると、町田は早速長所の片方であるポゼッションの方を重視するサッカーを見せ。
栃木は守備力にこそ定評あるものの、プレッシングの掛け方に難があり。
特に最近は、最終ラインが3枚のチームのビルドアップに対し巧くいかないシーンが目立ち、ゴール前で跳ね返す事に比重を傾けざるを得ない試合が増えてしまっている現状。
この日の町田は最終ラインを2枚と3枚、状況により巧みに使い分けるチーム。
その手法もGK福井が前に出たり、ボランチが間に降りたり脇に降りたりと多彩であり、下手なプレッシングは命取りになり易い。
そんな思考があったのか、試合当初からリトリートの構えで、町田の出方を伺うような体制を採っていました。

最終ラインからパスが出た所にプレスを掛けるという手法は見えましたが、町田は選手の距離感が遠く一つ一つのパスが長いため、後手後手となり前へ運ばれてしまうシーンが目立ちます。
前半5分の町田、GK福井のフィードを右サイドで受けた三鬼が中央へ縦パスを入れ、受けた平戸が倒れながらも繋いで尚も前進。
太田のポストプレイを経て佐野がミドルシュート(GKオビ・パウエル・オビンナキャッチ)と、持ち味を発揮して早速フィニッシュに繋げました。

開始から10分程までは町田が一方的に攻撃権を支配。
栃木は矢野が空中戦の競り合いで反則・警告を受けるなど、劣勢を強いられる状況。
そんな入りを経て以降プレッシングを強めに掛かる体制を採りましたが、FWの豊田が真ん中で構えつつ、もう一人のFWの有馬と両SH(右=矢野・左=谷内田)が前に出ていくというやや特殊な形。
大ベテラン故運動量に不安がある(と思われる)豊田の事を考慮してのスタイルだと思われますが、SHが前に出る事で、町田サイドバックへの道筋が空きがちとなり苦慮は否めず。
何処と無く、2年前に千葉がクレーベ(現横浜FC)の扱いに苦労していた様を思い出すスタイルでありました。

町田がボールを握って攻撃し、その合間に栃木がロングボールからのセットプレー(ロングスロー含む)でエリア内へ送る。
そんな展開が描かれ、23分に町田・佐野が栃木・柳との交錯で痛んだ所で飲水タイムが取られます。(佐野は2分近く倒れ込むも無事に復帰)

ブレイク明け、町田はボランチ1人を降ろした後ろ3枚で繋ぐスタイルを完全に基本路線とします。
それを見た栃木はプレッシングを諦め、中を固める守備体制で応戦。
若干の変化はあれど、試合展開はさして変わらず推移します。

33分栃木はGKオビンナのロングフィードを矢野が落としてからの攻撃、豊田のスルーパスでエリア内を突くも、西谷が右サイドへ叩いたのち黒﨑がクロス。
GK福井がパンチングでクリアも、こぼれた所を有馬がシュート。(枠外)
町田は35分、左サイドで佐野のボールカットから奥山のクロスが入ると、ニアサイドでバウンドした所を中島が収め。
そして戻されたのち、中央から三鬼がシュート。(枠外)
展開的に少ないフィニッシュを活かす攻撃が求められたものの、両軍枠を捉えられず終わります。

その後は町田がボールを握り、ひたすらにサイドを揺さぶって栃木のブロックを動かす攻撃。
それでもリトリートに徹した栃木、必死にスライドさせて対抗し容易に前に運ばせず、というせめぎ合いとなり。
とくに41~42分の町田の攻めは、24本パスを繋ぐも崩せずに深津がエリア内へロビングを送るという手段に切り替え。
エリア内左奥で中島が折り返すもクリアされ、結局シュートは放てず終わったという、そんな展開を象徴するようなシーンとなりました。
結局前半はスコアレスで折り返す事となりました。

共に交代無く後半開始を迎え、最初の攻撃は栃木。
左サイド奥でスローインを得て、溝渕がロングスローを投げ入れるというお馴染みの攻撃で、柳のフリックで中央へ入るもののシュートは放てず。
これを経てベクトルが前向きになったのか、その後町田の攻撃に対して再びプレッシングを強める体制を採ります。

そして6分、GK福井のスローを直接谷内田がカットしてショートカウンターのチャンス。
拾った溝渕がエリア内左へ浮き球を送り、豊田が走り込み合わせにいきましたが、GK福井が先に抑え。
すると交錯した豊田の脚が入ってしまう事態となり、溜まらず審判の笛が鳴り反則・警告を受ける破目となった豊田。
絶好の「ストーミング」による攻撃を見せられる場面でしたが、得たのは得点どころかイエローカードとなってしまいました。

やや失意した感のあった栃木、9分の町田の攻撃。
右サイドでの攻撃を一旦栃木がボールカットするも、中島が奪い返して継続し、平戸の中央へのパスをカットできず太田に渡り。
太田は躊躇わずシュートを放ったものの、戻った栃木・西谷がブロックで防ぎゴールならず。
この際に西谷が足を痛めて暫く起き上がれなくなり(その後復帰)、ダメージが拭えない状況が窺えました。
その後は町田が盛んに最終ラインの形を変えてビルドアップを行い。
それに対し栃木は、2枚になった途端にプレッシングを掛けるもかわされてしまい(14分)クロスに繋げられるなど、やはりリトリートに徹して必死のディフェンスを貫くしかないという状況に追い込まれます。
そんな状態故栃木ベンチが先に動き、18分に谷内田→大島へ交代。

攻撃権を支配する町田ですが、中央を固める栃木に対しエリア内でのシュートは早々望めないという、こちらも悩みを抱える状況となります。
19分には右→左への揺さぶりから、太田がミドルシュートを放ちますが枠を捉えられず。
後方で溜めてからの裏へのロングパスという攻撃も見せますが、実る事は無く。
攻めながらも、太田の得点力に活路を見出す他無いという手詰まり感も窺えつつ、後半の飲水タイムが挟まれます。(24分)

明ける際に町田ベンチも動き、平戸・中島→安井・鄭大世(チョンテセ)へと2枚替え。(同時に栃木も有馬→ジュニーニョに交代)
尚交代選手も肉弾戦上等という戦いに溶け込まれたのか、21分に栃木・大島が、30分に町田・安井がそれぞれ警告を受けてしまい。

31分に町田が好機、左サイドから高江のロングパスがエリア内へ送られ、走り込んだ鄭の落としを受けた太田がシュート。
しかし枠を捉えられずと、この日の太田は両軍少ないシュートの大部分を放っていくも、好機を活かす事は出来ず仕舞いとなりました。
その後栃木が自陣からのフリーキックを(GKオビンナが)エリア内に上げるなど、強引な好機の作り方を目立たせるも、やはりフィニッシュには辿り着けず。

38分に町田は太田を諦め、岡田を投入。
以降岡田の裏抜けによる攻撃に活路を見出しますが、オフサイドも取られる等で実らず。
それを受けた栃木は、41分に溝渕・豊田→山本・三國ケネディエブスへと2枚替え。
FWを削ってセンターバックを入れる采配で、フォーメーションも3-4-2-1へシフトと、スペースを消す措置を採った田坂和昭監督。

栃木の5-4-1のブロックを崩すべく終盤の攻勢を掛ける町田ですが、果たせずに時間も進んでいき。
そして45分、クリアボールをジュニーニョが拾って栃木の反撃、左サイドへと流れるドリブルを経て山本へボールが渡り。
ここに来て失点だけは避けたい町田、山本がカットインを仕掛ける所に深津が腕でチャージと、必死のディフェンスを見せましたが反則を取られてしまいます。
そして栃木の左サイドからのFKとなり(同時に町田は吉尾→長谷川アーリアへ交代)、キッカー・ジュニーニョのクロスに対しオフサイドトラップを選択した町田。(矢野が合わせにいくもGK福井が抑える・見た目的には完全にオフサイド)
守備でも前向きなベクトルの姿勢を見せ、1点を奪いにいきます。

そしてアディショナルタイムも進み、最後の町田の攻撃。
奥山がロングパスをエリア内に走り込む鄭に送り、クリアされるも佐野がヘッドで再度エリア内へ送ると、鄭のポストプレイでエリア内左に居た岡田へと転がる絶好機。
当然岡田はシュートを放ったものの、乾の決死のブロックに阻まれてしまいゴールを奪えません。
直後の左CKがクリアされた所で、町田にとっては聞きたくなかった試合終了の笛が鳴り。
スコアレスドローも、栃木は守り切る体制へとシフトしていたため、納得感で温度差が生まれる結果となりました。

ボール支配率は69:31と大差が付き、パス数に至っては町田677に対して栃木164。
ある意味喜劇的ともいえるスタッツを描きましたが、生まれた結果は周知の通り。
フィニッシュの少ない試合だったものの、チームの主義のぶつかり合いというサッカーの醍醐味が存分に発揮された試合といえたでしょう。

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