アジア批評。

アジアのエンタテイメント全般(映画・音楽等)の紹介とツッコミ。

黒色十月

2010-05-02 04:54:30 | くれい(映画)
ようやく見たが、
『十月圍城』にハマったり、今年の金像奨の結果を知れば知るほど、
涙なくして見れないドキュメンタリーだった。

テリー・ギリアムの未完の大作『ドン・キホーテを殺した男』を例に出す、
オープニングから始まり、
なぜ、プロデューサーであるピーター・チャンがこの作品にこだわったのか、
が明らかになる。

自身も出演した、父・陳銅民の監督作『赤膽好漢』(73年)のリメイク。
99年「Applause Pictures」を立ち上げ、
その企画に賛同した旧友テディ・チャンが監督として動き出す。
だが、そこにはSARS、資金難に、仲間の自殺とさまざまな困難が立ちはだかる。

陳銅民のインタビューやオリジナルのシーンのほかにも、
衣装合わせ中のイーソン・チャンの写真や、
アクション訓練中のアンジェリカ・リーのVなど、お宝映像も登場。

だが、10年史を50分程度に収めるのはムリがあるわけで、
大陸資本が入ってからのトントン拍子
(香港映画祭で上映された07年版に追加されたシーン)は、
ただのメイキング・ダイジェストになっている。

まるで、昨秋放送の「NHKスペシャル」で補完してくれといわんばかりで、
あと30分ぐらい長くても良かったんじゃねぇの、というのが率直な感想。