goo blog サービス終了のお知らせ 

陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

あの人のこと忘れない・・・紫苑

2017年09月26日 | 野草

今、大ぶりの紫苑(シオン)が数株、薄紫色の野菊を束ねた様な格好で咲いていて、

家の玄関沿いの塀をにぎわしています。 

                      紫苑の花言葉は   あの人(君)のことを忘れない

 

  紫苑は「実家の庭にもよく咲いていた花だし、地味で特に美しいというわけでもないし・・・」、そんな思いもあって、今まで特別に思い入れをしたことがありませんでした。ところが、植えた覚えもないのに、いつの間にか家の庭のあちこちで花を咲かせています。「いったい、いつ頃、誰が  植えたのかしら・・・」と、ちょっと不思議でもあったのです。

  で、「紫苑」について調べてみると、この花は、平安時代から多くの人々に親しまれた日本的な花の一つであること、藤袴や女郎花のように「源氏物語」や「枕草子」や「今昔物語」にも登場していること、花言葉でもわかるように、昔からかなり思い入れの深い花であったことがわかったのです。

 

 

「兄弟二人 萱草(カンゾウ)・紫苑(シオン)を植うる話」

   昔、男子二人ありけるが、その父失せにけれど、その二人の子供 父を恋い悲しむ事、年をふれども忘るることなかりき二人はずっと父親の墓参りを欠かさなかったが、年月を重ねるうちに、兄の方は自分の仕事が忙しく、なかなか墓参りにもいけなくなった。一方、弟の方はずっと父を忘れることができず、変わることなく墓参りを続け、父と交わりを続けた。兄は「萱草」を植えれば思いを断ち切り忘れることができると、庭に「萱草」を植えた。弟は「紫苑」こそは心に思う人を忘れることがないのだ、と「紫苑」を墓に植えた、という。(今昔物語)

 

萱草の花

 そんな今昔物語の逸話から、こんな言葉が生まれたのだとか。

嬉しきことあらん人は紫苑を植えてみるべし(紫苑は長く咲き続ける花)

憂いあらん人は萱草を植えてみるべし (萱草は一日花で萎れてしまう花)

 家の庭には、今、「紫苑」と「萱草」が同時に咲いています。それらが、いつ頃からここにあったのか、誰が植えたのか、私は知りません。もしかしたら、「あなたのことは忘れない」と誰かが紫苑を植え、「悲しいことは忘れてしまおう」と誰かが萱草を植えたのかも、・・しれません。そういえば、赤い曼殊沙華の花も、、誰が植えたというわけでもないのに、この季節になると真っ赤に咲いて「彼岸」を知らせてくれます。

自然に込めた 古人の想いは 、今の私たちにも、何気なく 伝わるものなんだ、と思ったのでした。

 

 

 


かわいい女の子みたいだ!秋海棠

2017年09月11日 | 野草

  夏の疲れが出たのでしょう、風邪をこじらせてうだうだと暮らしている内に、もう九月も十日を過ぎてしまいました。あっという間に季節は移り過ぎて「秋」です。 遅ればせながら「小さな秋」を堪能したいと思います。 

 

 

 庭一面を、かわいい女の子がはしゃいでいるみたいに、ピンク色に彩っているのは、秋海裳です。見たところ色も形もとても華奢にみえますが、どうしてどうして、いたって丈夫でほっておいてもどんどん成長します。あちこち跳ね回る元気なおてんば娘のようなたくましさです。

 

 

 実はこの秋海裳、異花同株で、桜色の花の真ん中にある黄色い球状のものが雄蕊(ゆうずい・オシベ)で、四枚の花弁のうち左右が花弁で上下が萼です。雌の花は、下方に垂れ下がったような姿で咲いてます。

 

 

 美女立テリ秋海棠如キカナ  子規

子規は、秋海棠を「美女」に見立ててますが、

私には、どうみても「美女」というよりまだ無邪気な「少女」に見えます。

闘いの夏終りけり秋海棠


付録・のっぽのフジバカマです。

2017年08月28日 | 野草

 どうして、みんなこんなに「のっぽ」になるのだろうか?

オミナエシ、サワギキョウ、に続いて「フジバカマ」も、こんなにノッポです。

私の背丈をずーと超えて2・5メートルはあります。秋になると、アサギマダラがやてくるので、大切に育ててはいますが、背が高すぎます。最近の我が家ときたら、さながら「雑草屋敷」の体です。


のっぽのサワギキョウです

2017年08月24日 | 野草

  ツクツクボウシが鳴きはじめました。残暑というには暑すぎる夏の終わりです。

遊びすぎた夏休みの終りのように、こちら、猛暑の中、宿題の追い込みに悪戦苦闘の毎日です。

 

 

  先日、オミナエシが「やたらと背が高い」と書きましたが、それに負けない「セイタカノッポのサワギキョウ」が、花を咲かせています。サワギキョウは、普通、1メートルくらいなのですが、どういう訳か我が家のは、2.5メートルくらい伸びて、木々の中から首を突き出すようにして咲いています。

 

 

 

「 山野草のお庭」などと言って、珍しい山野草をたくさん集めていた庭の主がなくなって十年余り、我が家の庭は、もはやワイルドな野草ばかりが幅を利かせる「ワイルド庭園」になりつつあります。

オミナエシ・キキョウ・ワレモコウ・フジバカマ・ノカンゾウ・ノコンギク  ・ いずれも揃って上に上にと伸び上がって、秋の兆しを告げる「秋の七草」たちです。

 


もう立秋ですね、オミナエシが咲き始めたよ。

2017年08月11日 | 野草

 8月7日は、24節気の第13番目にあたる「立秋」でした。暦の上ではもう「秋」なんですね。

我が家の庭でも、秋の七草の一つ「オミナエシ」が咲きはじめました。

 

 それにしても、ずいぶんせい高のっぽのオミナエシだと思いませんか?  

 ゆうに2メートルはあります。去年、庭のオミナエシが花を咲かせなかったので、今年こそはと、春に大きい植木鉢に植え替えて、肥料をやって、日当たりのいい場所に置いたのです。そうしたら、まわりの木々に負けないくらい 、どんどん背が高くなっていきました。実は、背が伸びたのは、オミナエシばかりではないのです。近くのワレモコウも、サワギキョウも、背丈ばかり伸びるのですが、花の気配がありません。

 

そう言えば  オミナエシも高さのわりに花が少ない! もしかして、肥料を間違えたのかも・・!?

茎や葉の伸びる野菜の肥料を撒いた気もするけど、肥料ってそんなに顕著に効くのかしら?

*

秋来ぬと目にはさやかにみえねども 風の音にぞおどろかれぬる(古今和歌集)

 


今年も空き地に夕化粧

2017年06月28日 | 野草

一年前とまったく同じ日に

    ユウゲショウの花が     こんなにいっぱい

 

 

       雑草ぎらいの隣人に完全に刈り取られてしまうのに・・・

                          それでもめげずに、一年経つと ちゃんと出てきて花をさかせる。

 

                               

                                      早朝から 草刈り機の音、窓を開けてみたら、

                           夕化粧の花はもうなく、あるのは、赤茶けた空き地だけでした。   


めぐリくる季節・華やぐ自然

2017年04月24日 | 野草

桜が終わったかナと思ったら、あっというまに若葉の季節です。

見て下さい。先日までの桜が、ご覧のように目に染みるような緑になりました。

 

 

      一面が桜色に染まった桜の季節から一面が緑色に変わる若葉の季節までの一か月余り、

この時期のこの辺りの自然を、本当に美しいと思います。

花咲き   鳥歌い  緑かおる、ちょっと大げさですが、街の中心部にぼつんとある谷津山という

100メートル程の丘のような山が、この豊かな自然を演出してくれる原点です。

 

 

木々に負けじ劣らじと華やぎをみせるのは、小さなキンポウゲの花。

知人が信州の田舎から運んできたのを頂いたものですが、

懸命に咲いている様は、健気で可憐、切り取って花入れに活けても丈夫です。

 

 

 

何処にでもあってよく見かける十二単ですが、これも生命力の強い花。

去年咲いていた場所から地下茎をのばして移動して、

思いがけないところで大群となって地面を飾ります。

 

 

一人でも可憐な白雪ケシ。木下闇を、ポッと明るく見せます。

 

 

「あれ」と思いがけないところに咲いて、目を驚かせるテッセンの紫。

 

 

いつものところに、いつものように咲くスズランのような白い花、 アマドコロ。

同じ頃、同じように  ホウチャク草も  咲いています。

 

つくづくと    ここが好きだよ    若葉色

 

     あらとふと     青葉若葉の    日の光     (  芭蕉 )

 。


Springtime has come

2017年03月19日 | 野草

春が来た    春が来た    どこに来た   山に来た     里に来た   野にも来た

 

  言葉では表しきれない 「 春が来た 」ですが、家の庭にも 春が来ました。 

 

                                                 マンサクの花                                                  

 

 

 

 

コブシの花

 

貝母ユリの花

  

 

 

ここが小鳥の食事台

 

  

レンギョウの花

時は春     The year's at spring

日は朝(あした)   day's  at  the  morn:

朝(あした)は7時  Morning's  as seven;

片岡に露みちて

揚げ雲雀名乗りいで

蝸牛枝に這い

神空に知ろ示す

すべて世は事もなし

(工房の朝(あした)はブラウニングのこの詩から頂いたものです)

 

 


春一番は だあ~れ

2017年01月23日 | 野草

「日本海側は大雪、明日は太平洋側でも雪の降る地方があるでしょう」と夜7時の天気予報。

でも、このあたりは、日増しに高くなる太陽の角度に比例するように日差しが強まって、

土の温度も上がったのでしょう、何気に「春」のにおいが・・・。

 

 

そっと枯れ葉をかき分けてみると・・・、ほら貝母百合の芽が・・。

 

 

 

そのお隣りでは、去年も一番乗りだったクリマスローズが

今年も、こんな風に花を・・・。

 

萌えいずる      春草花に     ひとり笑む 


秋の花・竜胆(りんどう) と野菊

2016年11月16日 | 野草

昨日までは蕾だった竜胆が、今朝、きれいに咲きました。

 

 

 

 この花を見ると、なぜか少女の頃に読んだ伊藤佐千夫の「野菊の墓」を思い出します。

まだ15~6歳の少年「政夫」と2歳年上の「民さん」との淡い恋のお話し

秋祭りの前の日、近くの山に棉摘みに行った二人は、そこに咲いている野の花を見て、言います。

 

 

 

「民さんは何がなし野菊のような人だ」

 

 

そういわれた民さんは、「政夫さんは何がなし竜胆のような人だ」   とかえします。

 

*

 

竜胆の花を見ると、なぜか、頭のどこかにインプットされたこのセリフが、思い浮かぶのです。

現代っ子は、こんなセリフを聞いたら笑い出すのでしょうか?

 

 *

手入れもしないのに、今、家の庭には、「竜胆」と並んで「野菊」」が満開です。

 

 

山里に  祭り太鼓ひびき  竜胆の咲けり

 


秋の実・ぬばたま(ヒオウギの黒い実)

2016年11月11日 | 野草

秋の実・その2は真っ黒なヒオウギの実です。

 

暑い夏の日差しの中で、濃い橙色に赤い斑点のついた花を咲かせているのはヒオウギです。

 

Belamcanda chinensis 2007.jpg

ウイキペディアより借用

  

それが、この季節(11月)になると、全くの別人のような顔になります。

それが下の写真の黒い実です。なぜか呼び名も「ぬばたま」となります。

 

 

 「ぬば」とは黒い色を意味する言葉で、黒い色の玉、すなわち「ぬば  たま」です。

 実の色が黒いということから「ぬばたま」は、「黒」「黒髪」「夜」「闇」など

「黒いもの」を表すときの枕詞(まくらことば)として使われます。

 

ぬばたまの夜の更け行けば 久木(ひさぎ)おふる 清き河原に 千鳥しば鳴く 

万葉集   山辺赤人

                ぬばたまの夜のふけぬれば、巻向(まきむく)の川音高し 嵐かも疾(と)き

                                                       万葉集    柿本人麻呂

 

 

人工の光 のなかった時代「夜」は今私たちが思う「闇」とはまったく違う、

恐ろしいほどの「漆黒」だったのでしょうね。

 

 

その「ぬばたま」の実は、ご覧のように「漆黒」です。

花のないこの季節、私はこの実を「茶花」として使っています。

 

 「古代の闇は、まさに黒という色によって塗られているというべきもので、

「黒(ぬば)魂(たま)」という名称は、十分に畏怖すべき聖性を備えたものでした。

闇は恐れやおののきを決定的にするものでした。

それは、神秘さであり、畏怖であり、威力でした。」(中西 進   万葉の花)

 

ぬばたまの  夜は深まり  雨音の高し

これって、眠れない夜の実感なんですが、これじゃあ  人麻呂と同じですね!

 

ぬばたまの   眠れぬ夜の   雨音の高き 

これで どう? 

 

 

     

 

 


秋の実・サネカズラ( またの名を ビナンカズラ)

2016年11月05日 | 野草

花の数が減って、その分、赤や黄色や青や黒色の「実」が目立つ季節になりました。

 

 庭掃除をしていたら、赤い実と目があいました。サネカズラ(ビナンカズラ)の赤い実です。採って花器に活けようとしましたが、つるばかり長くて、花器にはさせないので、掛け花に活けました。

 

 

赤い実のさきに、長い長いつるが伸びています。

 

さねかずら  後も逢わむと夢のみに 誓ひわたりて 年は経につつ(万葉集 巻11)

山高み 谷へに延へる たまかずら 絶ゆるときなく 見むよしもがな  (万葉集 巻11)

 

 

ここにみられる かずら はつる草の総省で、さねかずらびなんかずらともいわれます。

 

  これらの歌は、このかずらのつるが伸びていって後に出会うさま、つるの絶えることなく伸びていくさまを「思い」に託したものです。出会いは当然  恋のそれですから「さね」に「さ寝」のひびきを感じ取ったことも必然でしょう。(中西 進・万葉の花)

 

 

     

  赤い実にばかり気をとられて、「つる」の行方など気にも止めなかった私の感性とはちがって、花のさきに伸びていく「つる」を目ざとく見つけて、恋人との対面をイメージとしてとらえて言葉にかえた古代人のものの見方、感性の豊かさに、感じ入るばかりです。

 

クリスマス   オーナメントに   サネカズラ

 

 


ちいさい秋・見~つけた

2016年10月25日 | 野草

 

こさめふる あきのゆうぐれ たたずみて
ひっそりと ののはなと かたりき

 
 
 

ワレモコウ 咲き残りて 水桶に映え
 


 

 
伸びあがり 白く舞いおり  秋明菊

 


 


箱根路に咲くとか 関屋の秋丁字
 
 






秋色に 咲き乱れたる ホトトギス
 
 
 
 
 
 
嫁菜よめな 嫁にいけ
 
 
 
 
 

檀(まゆみ)まだ赤い繭のごとし
 
 
 
 
  *(パソコンの具合が悪くて、うまく編集できていません。悪しからず)

台風一過 ・ 庭に咲く山野草たちだよ

2016年09月21日 | 野草

  記録的な大雨を伴った台風16号が静岡に上陸するというので、

昨夜は雨戸を閉めて息をひそめて待機しました。

 

 雨の中で咲くホトトギスです。

 

 今朝、目を覚ますと外は穏やかでひんやりとした涼しい曇り空。

 台風は途中で温帯性低気圧に変わって通り過ぎたようです。 それにしても、ここのところ何回もやってくる大雨台風 、静岡は運よく大雨の被害を免れていますが、次は我が身かと台風のたびに祈るような気持ちになります。 記録的な日照不足で作物の出来もよくないとか。

我が家の山野草もヒョロヒョロとして不出来です。が、それはそれなりに可憐です。

 

   雨で倒れた彼岸花と釣鐘ニンジンです

 

  弟を殺したという話のあるオトギリソウ

 

 この地だけに咲くシャジン・岩シャジンです。

 

 背ばかり伸びたサワギキョウ

 

 

 

*

     ホトトギス    若沖の目を    借りてみる    

 

 

     若沖はたくさんの 虫や花を描いていますが、その目線は虫や花の目線だとか。

下から覗いたり近づいたり、目線をお借りてみてもダメですね!!なかなかうまくいきません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


野萱草(ノカンゾー)が咲いたよ

2016年08月26日 | 野草

 日中はまだまだ暑い日が続いていますが、朝夕の風はもう秋ですネ。

*

この夏はあまりに暑いので、野草が枯れていまわないようにと毎日せっせと水やりをしました。

それだけのことなのですが、今年は、いつもより庭の草花たちが元気にみえます。

 

 

野萱草(ノカンゾー)の花が咲きました。この地の土着のノカンゾーです。

たくさんの水を飲んで、ぐんぐん背を伸ばしました。

 

 

                                          野萱草      それは今年の    流行り色