陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

桜便りと原子力発電所視察のこと。

2017年03月30日 | 日記・エッセイ・コラム

今朝、鶯が鳴きました。ここでの初鳴きです。

 

谷津山から見たアトリエ風景です

 

 春の光に誘われて谷津山に登ってみました。まだ木々は春霞の中で足踏みしているようですが、さくらの蕾は、ほんのりと桜色で、じきに開花しそうな気配です。

 

 

 そんな中、元気な子供のような姿ではしゃいでいるのは荒れ地の雑草たち。お日様の光に呼応するかのように芽を出し花を咲かせ、大地一面を覆っています。どんな荒れ地でも、水と太陽のエネルギーさえあれば、 地球が消滅しない限り生き続けるでしょう。

 

 

「エネルギ」ーといえば、先週、鹿児島に行ってきました。「エネルギー」事情の視察です。

以前からかかわっていたエネルギー関連グループから声が掛かり、薩摩川内(さつませんだい)市の原子力発電所と、鹿児島の南の端にある小さな町・山川市の地熱発電所を見学してきました。山川の地熱発電所は、温泉でも有名な指宿の地下のマグマの熱を使って発電する、発電所です。こちらは誰でもが賛成する自然エネルギー利用のものです。一方、川内原子力発所は、3・11以来すべてが停止した日本の原子力発電所の中から、いち早く稼働を再開した日本で一つしか動いていない発電所です。

  誰でも簡単にいける場所ではないし、何か報告らしきものを書こうと思ったのですが、巨大な怪獣みたいなエネルギー・原子力については、その一部分をつついても片手落ちに成りそうなので、稼働を再開させた川内の女性グループの方たちと懇談した時のことだけをレポートします。

*

あの「ふくしま」の悲劇を目の当たりにした私たちは、原子力の稼働に「OK」を出した町のことも、人々のことも、正直、判りませんでした。生活者なら稼働反対の人も多かったはずだと思っていたのです。ところが、彼女たちは言うのです。

「危険を感じないかって? そりゃあ心配はありますよ。でも、電力会社の人たちを信頼しています。嘘をついたり隠し立てをしたりしない、本当のことをちゃんと話してくれる。そういう関係が電力会社の人と町の人との間にできてから、信頼がうまれました・・・」

「電力会社の人たちには、本当に良くしてもらっています。」

「お祭りの時でも運動会の時でも、町のことに積極的にかかわって、会を盛り上げてくれるんですよ」

「この町の活性化にはなくてはならない存在です」

「あの人たちのやっていることなら信じてあげよう! 応援をしてあげよう!  そういう気持ちになったんですねー。そういう信頼委関係があったからこそ、今回の稼働につながったんですね」

*

「何を信じるのか」 科学でも政治でもない 「人間を信じる」というのです。

たまたま私たちの出会ったのが、町のリーダーだったからかもしれませんが、彼女たちは、屈託なく「熊本地震の時も、発電は停止しなかったし、安全は保たれています」と笑って話します。

さすが 火の国 薩摩おご女! 「芯が通って気が強く男を立てるのがうまい!」、そんな言葉を思い出しましたが、小さな町の小さな発電所とそこに住む人々とのコミュニティの在り方は、地域の暮らしとの関係、しいて言えば、発電所が人々の仕事の場として大きくかかわっていることとを認識させられたのでした。

いつだったか、チェルノブイリの事故の後、「寒さは飢えより恐ろしい」 という見出しで、チェルノブイリで発電が再開された記事を読んだ時のことを、ふと思い出したのでした。

 

 

遠くに見えるのが川内原子力発電所1号碁と2号碁


Springtime has come

2017年03月19日 | 野草

春が来た    春が来た    どこに来た   山に来た     里に来た   野にも来た

 

  言葉では表しきれない 「 春が来た 」ですが、家の庭にも 春が来ました。 

 

                                                 マンサクの花                                                  

 

 

 

 

コブシの花

 

貝母ユリの花

  

 

 

ここが小鳥の食事台

 

  

レンギョウの花

時は春     The year's at spring

日は朝(あした)   day's  at  the  morn:

朝(あした)は7時  Morning's  as seven;

片岡に露みちて

揚げ雲雀名乗りいで

蝸牛枝に這い

神空に知ろ示す

すべて世は事もなし

(工房の朝(あした)はブラウニングのこの詩から頂いたものです)

 

 


人生フルーツ・素晴らしきかな人生!

2017年03月10日 | 日記・エッセイ・コラム

  愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの一画にある雑木林に囲まれた一軒の平屋。

そこに暮らす建築家・津端修一さん(90歳)と英子さん(87歳)ご夫婦。

「フルーツ人生」は、その暮らしを追ったドキュメンタリー映画だ。

  

 

 津端さんは、かつて日本住宅公団で活躍した東大卒のエリート建築家。

戦後から高度経済成長期の日本、GDP世界第2位、

住宅公団では、各地に大規模団地・ニュータウンを誕生させた。

それらは巨大で無機質な人工都市を作り出したが、津端さんが理想とするような、風通しのいい雑木林を残した自然と共生するニュータウンは、なかな実現できなかった。

1975年

津端さんは、ついに自らの手掛けた高蔵寺ニュウタウンに、土地300坪を買い求め、そこに家を建て、自分で雑木林を育てることを始めた。

それから50年。

家は、尊敬する建築家アントニン・レーモンドの家を模したという30畳のワンルーム。

 

 

畑で作っているのは、野菜70種と果物が50種。

筍、馬鈴薯、梅干、甘夏、サクランボ、柿、栗、苺、桃、西瓜、胡桃。

ベーコンも3日を掛けて仕込む。ほとんどが自給自足の食材だ。

 

 

野菜を作るのは津端さん、調理をするのは秀子さん。

高い天井、白いクロスを掛けたテーブル。

ここで夫妻は3度の食事、10時・3時のお茶を楽しむ。

*   

 二人を見ているといつも忙しそうに何かをしている、 しかし本当に楽しそうだ!! 

種をまき、芽が出て、花が咲き、時をためて、果実が実る。

人生はだんだん美しくなる。

 

映画は、津端さんと英子さんの2年間の暮らしを、たんたんとありのままに映しだす。

 

 

そこにあるのは、上質なユーモア、叡智と創造  人生に対する優しいまなざし。

 人生の最後の仕事は、ある障碍者施設からの建築デザインの依頼、

緑をふんだんに取り込んだ敷地の中に木の香りのする診療所を置いた。

*

津端さんは、2015年6月2日、草むしりをした後昼寝をして、そのまま起きてこなかった。・90歳

ひとりになった英子さんのさみし気な後姿が心にしみた。

(写真は、パンフレットから借用)

 


小さきもの no 小さき春

2017年03月06日 | 日記・エッセイ・コラム

暫くぶりのブログです。

 春だというのに、気分が高揚しないまま、時間ばかりが過ぎてしまいました。

悶々としている間にも、春は、確実に目に見える速さで進行していました。

 

 

雪割草です。 

豆粒ほどの小さな白い花が、まるで雛が殻を破って出てくる時のように顔を覗かせています。

 

 

 

ひとり静かです。

こちらも,おくるみにつつまれた赤ちゃんのよう!

 

 

 

リュウキンカです。

まだ土が凍っていた頃に芽を出したのが、まぶしいような黄色の花を咲かせています。

 

  

 

タネツケ花?です。

雪割草に負けないくらいの小さな白い花です。

階段の隅っこにへばりつくように咲いていました。

 

 

 

おや、    庭を見守っている君は だあれ?

 

 

小さきものよ     恐れずに翔べ  春木立