陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

タイの陶芸3

2008年11月30日 | タイレポート

ヴィンパパオの陶芸工房 

   Img_1504_3        ここの仕事場は工場のように広い。

  空き地に屋根と囲いがついているだけなのも、  

  暑いタイならではのこと。

広い敷地のあちこちに場所を決めて、いろいろな仕事が分業で行われている。         

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ここでも、轆轤の達人と出会った。

 Img_1524_2         こともなげに大壷をひいているようにみえるが、左についている竹の棒で、高さを測り、正確に同じものをひく。

 ここで使われている轆轤は、古タイヤを応用したものだ。どこでもタイヤが大活躍。見事にタイヤが轆轤に転身している。

Img_1533_2 轆轤の横に立っている竹の棒に注目。

 拡大してみてください。すべてが手作りの道具ですが、轆轤のの腕はどの人も大したもの。

Img_1525  女は装飾を担当している。 

 赤いいベンガラを塗ってから、その上に、

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次々とナイフで花を彫っていく。

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ここで使う粘土を作っている所。

これを土練機に土を放り込んで、精錬し使いやすように棒状にする。

焼成は薪とガスの両方でやっている。

 

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Img_1509Img_1536_2              

          

ただし、 薪は、温度を上げるだけに使っている感じの雑木である。

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 タイの焼き物の主流は、どうやら屋外で使う大きな壷や鉢の類らしい。その他に、寺院で使う祭器のようなものも多い。

 日本でよく見かけるガーデニング用の水瓶や植木鉢もここで作られている。それらはすべてハンドメイドである。行程を機械化するより人件費の方が安いのだろう。30年ほど前、私がやっていた穴窯の雰囲気を思い出した。もう、日本ではあまりみられなくなった光景である。

 職人は、素晴らしい技術を持っているが、それが磨かれることなく消費されていく感じ。手仕事は、生活そのものなのだ。


タイの陶芸2・ヴィァンカロン焼

2008年11月26日 | タイレポート

 

 チェンマイから車で北(チェンライ方向)に向けて山道を2時間あまり走ると、ウ゛ィァン・パパロという町に着く。

 このあたりは、メーラオ川にそって多くの遺跡のある地域で、遺跡からは、たくさんのクメール文化を語る陶片が見つかっているという。

 ここにあるヴィァンカロン焼きの店を訪ねた。 

 Img_1517 Img_1516                 

 

 

 先に書いたカンケオ村の陶芸が、素朴な生活用具としての「土器」を中心にしたものなら、こちらは13世紀から15世紀にかけて栄えたチェンライ王朝の「器」の流れを汲む窯である。

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ヴぃァンカロン焼きの素地は薄く白色で細工も精緻である。灰褐色の素地に、花や唐草や馬の模様が鉄絵の技法で描かれている。

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 写真は遺跡から発掘された陶片、そこに描かれている模様を、ここの窯では再現している。模様はやや稚拙な感じの花や動物だが、当時のこの地の暮らしが垣間見られてとても興味深い。


タイの陶芸1・カンケオ村

2008年11月21日 | タイレポート

 「広い敷地には数棟の家が建ち、庭には牛が寝そべり、シャモが群れて羽ばたいては、ときを告げる。太いチークの柱で建てた家は、高床の妻入りで,屋根はチークの葉で葺き、上には千木がついている。妻側の入り口に梯子をかけ、床には半截にした竹をはり、壁は網代に編んである。             これこそわが出雲神社の原型ではないかと思った瞬間、弥生時代に迷い込んだような錯覚に陥った。」(銀花124号・母は陶芸家で紹介されているカンケオ村の様子)

Img_1466 カンケオ村入り口のモニュメント     

焼き物でできている。

Img_1460_2 村の中心にある焼き物の作業所のようなところ。

轆轤でおおきなつぼを挽いている。

写真を拡大してみると、仕事場の様子がよくわかるが、道具らしい道具は使っていない。だが、轆轤の腕は確かなもの。

Img_1459 小さなもの、多分蝋燭立てを、ベテランの男性がひいている。見ていると至極簡単そうに見える。道具にこだわる私たちと違い、あるものを使って仕事をする。仕事場はしごく素朴で面白い。

Img_1461 生の壷にベンガラを塗って、模様を掻き落とす。

ここの窯のメインの製品。寺院等の装飾に使うのかもしれない。

地面に座って壷に赤いベンガラを塗っているおばあさん。

Img_1462_3 男性の引いた壷が生の内にベンガラを塗り、それを石でこすって磨く。おばあさんは、一日に25個くらいみがくといっていた。90歳くらいに見える。Img_1463

作業場のおじさん。

バックを見ると、この仕事場がどんなふうか、よく分る。

ここが最初の窯場で、ここから露地に入っていくと、どこの家の庭でも、女たちが内職仕事で轆轤を引いている。

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水牛の置物と水瓶が置いてある農家の庭先。

Img_1468 屋根の上の猫。

顔は、日本の猫と同じなのだが、何だか美しい。

Img_1472 地面に突き刺しただけの簡単な轆轤。独楽のような形をしている。

この轆轤を上手に手回ししながら、上手に小さな壷を挽いているお母さん。

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Img_1470 お隣の家でも、お母さんが轆轤を引いている。

Img_1474 こちらは、木片を貼って「象」の置物を作っているおねえさん。

Img_1477_2 この人の仕事場は家の前。

構えは露天のようだ。

Img_1484 道端で子供のままごとのような花いっぱいのお惣菜を作っているおばさん。

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みんなの作った焼き物を、リヤカーにつんで運ぶおじさん。

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平和なカンケオ村の のどかな昼下がり。

しかし、どの家でも、男と若者は町に働きに行ってしまって留守、「もうこういう仕事は、わしらでおしまいだ」。

みんながそう言うのでした。

写真を拡大していただくと、タイの焼き物づくりのようすがよくわかります。


THAILANDレポート

2008年11月18日 | タイレポート

  タイ北部の都市チェンマイを拠点に、タイの田舎を歩いてきました。陶芸のことを中心にそのレポートをしてみたいと思います。   

  まずは、チェンマイ空港から車で30分ほどのところにある 「カンケオ村」のレポートです。

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  突然、タイムスリップしたような

 田舎風景。

 

 家の庭先には、写真のような小屋があって、水がめが二つおかれています。甕の中には水があり、やしの実でできた柄杓がおかれています。ここを訪れる人々への、もてなしの「水」なのだそうです。 どこの家の入り口にも、同じような「水甕」が置いてあり、庭の奥が、昔ながらの高床式の家になっています。

 水瓶には、水の入っていないものもありましたが、実は、このカンケオ村、昔からこの「水瓶」を焼いている焼き物の村なのです。


冬どなり

2008年11月02日 | インポート

 11月になりました。

紫色だった秋の花がおわり、赤い実が目立つようになりました。

Img_1433   千両・万両・

  やぶこうじ ・ おもと ・

          南天 ・ 檀(マユミ) ・

          みんな赤い実です。

   

俳句では、この季節のことを、「冬どなり」というのだそうです。

    ガラス戸のすべるはやさや 冬どなり

追記 

アトリエでは今、大物の製作中。

心配していたパソコンは、小康状態をたもっています。