陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

文月・イワタバコが咲いたよ

2024年07月01日 | 野草

何ということでしょう、ちょっとブログをさぼっている内に、もう七月です。

紫陽花が満開になってその前でホタルブクロが揺れている「ああ 蛍の季節だ」と思っていたのに、赤パンパスが1メートルも伸びて紫色の花を咲かせ、負けじとばかりに赤い鬼百合が2メートルもの上空から下を見下ろしている・・・、そんな初夏を迎えています。我が家の庭は雨のせいもあってでしょうか、うっとおしい程の雑草と緑に覆われてしまいました。

月日ばかりが無為に過ぎて、時に取り残された私はその後をただ訳もなく追いかけている、そんな空しく物悲しい気分になっていました。

 

今朝、雨の庭を見回っていて思いがけない発見をしました。イワタバコの花が咲いていたのです。

山じしゃ(イワタバコ ) の白露重みうらぶるる心も深くわが恋止まず  柿本人麻呂

 

万葉集にある柿本人麻呂の歌です。イワタバコは大昔から日本の山野に咲くごく自然な植物だったのでしょう。

山合いの水の滴る谷間にひっそりと咲いている薄紫の美しい花、でもなかなか出会えないこの花は、心の奥深くに留め置く恋しい人を想わせるに十分でした。現代のように赤や白やピンクの派手な花のなかった奈良の時代、意外な場所に咲くこの花の姿は十分に晴れやかで美しく貴重なものだったのでしょう。

 

我が家の花は、つくばい(手水鉢)らしき岩の割れ目に咲いています。あまり元気もなく色もさめています。もともとは井川峠の滝水の滴る岩場に咲いていたもので、そこではもっと鮮やかで生き生きしていたと思います。

岩たばこふるさと恋し滝しぶき

 


馬鈴薯の記ー3

2024年06月03日 | 日記・エッセイ・コラム

6月、3月に植えたジャガイモをいよいよ収穫する季節になった! 

緑色に茂っていた葉っぱが黄色くなってきたのだ。

さて 本当にじゃがいもは実っているか? ドキ ドキ・・・

 

結構な大きさの じゃがいも が・・!

ゴロゴロ とまでいかないけど  ポツリ ポツリ

 

 こんな感じ     思いがけぬ 結構な収穫 大成功だ!

 

庭に降り積もった枯葉を積み上げ、わずかばかりの土と肥料を撒いてできた小さな畑

そこに生まれたじゃがいもたちの3か月余りにおよぶ素敵なドラマが、

5キロほどのおいしいじゃが芋を生み出してくれた。

そればかりでない。ガサガサだった畑の土をサラサラの上質の土に変身させ、

大地や太陽や雨や風の巧みな営みを、具体的な形で私に見せてくれた!

改めて感謝、そして馬鈴薯に乾杯!

 

さぐり掘り新じゃが指に快く(荻野綺映)

さて、今日はどんな新じゃが料理をつくろうかな?


益子陶芸まつり

2024年05月09日 | 日記・エッセイ・コラム

恒例の益子の陶芸市!

4月27日~5月6日までの10日間、町を挙げての陶芸市、今年も行ってきました。

後半の中日だというのにメインストリートは大都会並みの人の列、羨ましいような光景です。

 

    

益子で2年間の研修を終えた後、この市に参加することを許され自己研鑽を積んでいく若い陶芸家たち・・・。

産地外で陶芸を続けている陶芸仲間の多くは作品を売る手立てがなく苦労しています。地域全体が一丸となって「陶芸」を盛り立てるこの町の在り方は、若い陶芸家を育てる意味でも貴重なものだと思います。

この祭りの意義も含めて若い陶芸家たちに「頑張れ」の声援を送りたいと思います。


馬鈴薯の記ー2

2024年04月23日 | 日記・エッセイ・コラム

あれから1か月

天を衝く馬鈴薯の命目に眩し

 

3月23日・植えてから1か月目

3月23日撮影

4月23日撮影

私たちの命もこんな風に成長しているのかしら?

普段気の付かない「いのち」の姿をふと見るような気がしました。

 


花(サクラ)散る

2024年04月06日 | 日記・エッセイ・コラム

3月29日の咲き始めから1週間(中の2日程は雨でしたが・・・)たった7日で花(サクラ)は散り始めました。

日数にしたら365分の7・・・、ほんとうに儚い花の命です。

 

雨上がりの朝、山の階段に花びらが溜まって花の階段になっていました。

花弁は水槽の中にも・・・、緑の苔の上にも・・・、家の門扉の脇にも・・・。

 

 

 

ひらひらと花びらの降り・・・雪のごと。

 

大木は下の方から緑色に変わり始めました。葉桜の季節ももう真近かです・・・!

 

さまざまのこと思ひ出すさくらかな  松尾芭蕉

 


花(サクラ)笑う

2024年03月31日 | 日記・エッセイ・コラム

たった一晩で満開の桜。

昨日は25度・本日は26度と、異常な気温が続いているせいでしょうか? 本来ならゆっくりと咲くはずの花が、堰を切ったように咲いています。この分で行くと数日後には散ってしまいそうですね。

 

 

こちらは、家の庭から見た谷津山の桜です。山の桜も満開です。

 

 

庭に咲くクリスマスローズをいれて撮りました、やまざくらはもう茶色い葉っぱを付けています。

(今回の写真は東京在住の娘からの「桜便り」のリクエストによるものです)

 

 


花(サクラ)ひらく

2024年03月29日 | 日記・エッセイ・コラム

昨夜から続いた大雨がやんだ、と思ったら今度は大風。

大風がが止んだと思ったら、今度はお日様が ポッカポカ。

気温がいきなり上がって、静岡はなんと25℃の夏日になった!

今までの緊張が突然解けたみたいに、一斉に桜の蕾が開き始めた!

木も花も草も鳥も虫も水も土も空も風も 一斉に歌い始めたよ「春」を。

     

               

春いっぱいの我が家です。


イカリソウ

2024年03月25日 | 野草

ヒメシャラの樹の下にま~るく広がった薄緑色、右上はフタリシズカ、手前がイカリソウ。

     

 

イカリソウってひょっとして「怒り草」って思いますよね。

でも、花の形を見ると分かります。イカリは「錨」船を固定する重りのような役割をするあの錨です。

花弁をグっと開いたその中心が花芯で、4本の花弁で花全体を支えた形が錨のようにみえます。

この緻密で難解な仕組みは、陶芸で再現しようとしても多分無理、神様の「いたずら」みたいなもの・・。

   

          

で、花言葉は「あなたを離さない」何たって錨ですもの!!

 


🥔馬鈴薯の記1

2024年03月23日 | 日記・エッセイ・コラム

🥔じゃがいもを植えた。

1か月も前なのに音さたもない。

どうなっているのだろうーと心配していたら・・・、芽が出てきた!

 

去年だったか、食べ残しのじゃがいもから芽が出てきたので、なにげなく土に埋めておいた。芽が出て花が咲いて可愛いじゃがいもが数個とれた。おいしかった!

今年は本格的にじゃがいもを作るぞ、そう思って畑の準備を始めた。秋に溜めた枯葉を土と混ぜ肥料を入れて畑を作った、自己流で。マーケットから「あきあかり」の種芋を10個余り買ってきた。芽が少し出始めたので、20センチほどの深さに土を掘って植えた。2月21日。

ところが、その後冷たい雨が続いたり寒さに逆戻りしたりして、なかなか春がやってこない、桜ばかりか毎年咲く雑草もなかなか咲かない、早すぎたのかな、と内心心配になった。

そして1ケ月が過ぎた3月20日、ついに緑色の芽が現れた。たくましい芽だ!

じゃがいもに夢託す春の朝うまく収穫できるといいな・・祈るような感じ!!

 

馬鈴薯植う汝が生まれし日の如く  石田破郷


弥生三月

2024年03月18日 | 日記・エッセイ・コラム

3月も中旬というのに我が家の桜は硬いまま、花の気配もありません。何か事情があるのでしょうか?

今日も、青い空にまぶしい程の黄色レンギョウの花が咲いているというのに?

 

レンギョウの下には黄色いリュウキンカ

随分と久しぶりのブログです。ブログの写真の取り込みがうまくいかなくて、あれこれいじっても解決できず、中半投げ出した状態になっていました。何かの弾みに操作を誤るとパソコンはすかさず暴走を始め、私の手には負えなくなります。そんな時には(自分の能力は棚において)パソコンもスマホも嫌いになります。

この休日、娘夫婦が帰省してパソコンのトラブルをあれこれと手直ししてくれました。で、久しぶりのブログです。実は今、春の上野の展覧会の作品作りにも取り掛かっているのですが、こちらも思うようにならず、イライラ! 

いろいろなことが連鎖してうまくいかなくなると「もうイヤ!」と言いたくなるのですね。

「悩みを乗り越えたところに新しい展開が見えてくるんだよ」と作陶仲間は慰めてくれます。

 本当に青い空に輝く黄色い花みたいに晴やかになれたらいいよね !!  ほんとにね !     


雪だよりとクリスマスローズ

2024年02月06日 | 日記・エッセイ・コラム

信州からも下毛野からも雪だより

信州からも東京からも栃木からも大雪のメール。それもかなりの大雪らしく、会社が半退けだったとか、電車が止まったとか・・・。各地の混乱ぶりは夕方のテレビでも報じられていた。

「たまには雪もいいかな」と思うが、静岡では、めったなことでは雪は降らない。気温は下がってもいつも雨止まりだ。

ふと歳時記を見たら、クリスマスローズの雪を払ひけり 長谷川 櫂 という句が目に留まった。

白いクリスマスローズと白い雪 なかなしゃれていて美しい光景がめにうかぶ。

 

翌朝、庭に出て家のクリスマスローズを見た。花は、一雨浴びてますます元気、雪にうなだれる姿などどこにもない。

 

手入れなしの自然栽培だから、家のは言わば「ワイルドローズ」と言ったところだろう。

数本を切り取って、テーブルの上に飾ってみたら、白い花が上品でなかなかいい感じだ。

       

      

 静もれて太古の夢かクリマスローズ

 この花の原産地はヨーロッパで、ヘレボルス属の一種ニゲルが原種である。クリスマスの頃咲くので、いつの間にか「クリスマスローズ」と呼ばれるようになった。本来の学名 Helleborus は ギリシャ語の elenin (殺す)とbora(食べ物) の合成語で「食べると死ぬ」という意味があるらしい。中世のキリスト教文化の中では、悪魔とかかわりがあったという話も残されている。日本に輸入されてきた当時は、茶席の床の間に似合う茶花として「初雪おこし」という和名がつけられていたとか。(スマホから一部抜粋)

様々な歴史を生き延びてきた花でもあるらしいが、テーブルの上で品よく咲いているさまは美しく優雅。

 


鬼は外 福は内

2024年01月31日 | 日記・エッセイ・コラム

早くも2月です。2月3日は節分。

節分は、悪いものを追い出して、縁起の良いものを食べて、新しい季節を迎える昔からの行事です。

 

創業嘉永二年(1849)加賀金澤にて百六十余年、初代からの製法を基本とし加賀名菓の伝統を今に伝える老舗

「金沢の 落雁 諸江屋 」から節分のお菓子が届きました。

 

節分の豆まきが始まります。

 

                     

       赤鬼さんと    青鬼さん

            

      

 

家の角には柊(ひいらぎ)と鰯(いわし)と唐辛子【とうがらし)が吊るされます。

 

鬼はそと 福はうち   豆まきが始まります。

 

 これは大変! 参った! 参った!!

 

      お家の中ではみんなが大はしゃぎ!

  福の神を迎えて家族団欒、しあわせな豆まき風景です。

  (このお菓子はおいしい和三盆でできています

 

節分の豆まきは、子どもの頃の思い出と共に、日本人なら誰でも身に覚えのある懐かしい行事です。

古くからの伝統を持つ城下町には、それにまつわる伝統のお菓子を今日に引き継ぐ老舗も残っています。この落雁も金澤に伝わるそんなお菓子です。

今年はお正月から大震災が発生、能登では伝統の輪島塗も大きな被害を受けました。日本の伝統文化が末長く継承されますよう、節分の日に祈ります。                        

 

           

 


ニューイヤー・コンサート 2024

2024年01月05日 | 日記・エッセイ・コラム

  初春はワルツに乗って晴やかに

娘がサントリーホールのニューイヤーコンサートのチケットをプレゼントしてくれた。病がちだった昨年を「さっぱりと払い落とすように・・・」という想いが伝わってきて、ありがたく頂戴した。

舞台に、盛装した50名ほどのウイーン・フイルのメンバーが登場すると、明るく軽やかなワルツの調べが流れ始める。

舞台はあっという間にウイーンの舞踏会の雰囲気になってリズムに乗って自然に体が動きだす、三拍子のワルツはまさに踊るための音楽だ。

 

ウイーンでニュー・イヤーコンサートが始まったのは、ナチス・ドイツ占領下の1938年のことだった。ウイーン出身の指揮者クレメンス・クライスがヨハンシュトラウスのワルツやポルカを集めたコンサートを開催した、占領下で鬱々とするウイーンの人々を鼓舞するためだったのだろう。独特な楽器や奏法を受け継いだ伝統形成を守ってのこのコンサートは、そのまま続けられて、今では新しい年の恒例の番組として世界90ケ国に報道されているという。カラヤンを初めとした著名なマイストロが指揮をしており、日本人では小澤征爾が指揮をしている。

 

アンコールには約束があって、3曲アンコール曲が続いた後のラデーキー行進曲では会場の手拍子が求められ、オーケストラと指揮者と聴衆とが一体となって盛況の内にコンサートは終了する。気分はすっかり晴やかなお正月気分だ。  

 

      

トラデイショナルなこの舞台は、音楽と伝統を深く愛する民族の文化を強く感じさせずにはおかない。

さあ今年も頑張ろ・・・・、明るい気持ちが体の奥深くから湧き上がってくる。

 

 


迎春2024年

2024年01月02日 | 日記・エッセイ・コラム

     

     君が代も我が家も無事に今朝の春 尾崎紅葉    

          2024年 元旦  

      2024年  元旦

いつものように、穏やかで平和な新年の朝でした。

朝には家族で「おめでとう」の杯を交わしお雑煮を食べ、年賀状をみて・・・

ごく当たり前に始まった2024年はごく当たり前に楽しい夜を迎えようとしていました。

 

そのはずだった・・・のです・・が・

午後の4時近くだったでしょうか? みんなががテレビの前に集って来る頃・・・。

突然けたたましく響く警報音、「地震です・地震です・すぐに避難してください!」

激しい口調の地震警報が何べんも何べんも繰り返されました。

そしてそれは、そのまま津波警報に変わり、

さらに 「津波が来ます・逃げてr下さい・津波が来ます・今すぐ逃げてください」

「何も持たず逃げて下さい・早く逃げて下さい・命が何より大切です・・・・」

叫ぶような悲壮な声は、まさしく恐怖が襲いかかろうとしていることを実感させました。

 

私たちは、目の前に来ようとしている地震と津波を想定し、ただ茫然としてテレビの画面から目が離せませんでした。

脳裏には、3・11の東日本大震災の映像が生々しく思い起こされていました。

始まったばかりの新しい年の元旦の夜のほんとう出来事でした。

 

思えば2023年も戦争と災害に明け暮れた年でした。

ロシアもウクライナも戦を止めず、新たにイスラエルとハマスとの戦争が始まりました。

戦死者や女や子供の傷つき悲しむ映像が映し出され、一昔前のあの日本の戦場を思い起こさずにはいられません。

地球はあちこち傷つき悲鳴をあげているというのに、人類は戦いをやめようとしない。

世界は寛容さを失い、人々は優しさを忘れ、人類はいったいどこに行こうとしているのでしよう?

 

いろいろな不安が心をよぎる冬の夜でした。災害も戦いももうたくさん!!だというのに。


冬が来る前に!

2023年11月12日 | 日記・エッセイ・コラム

日が短くなりました。朝の6時でも薄暗いのに、夕方5時にはもう夕闇、冬の訪れも間近かです。

こんな季節になって、ようやく一頭のアサギマダラがやってきました。はたして渡りが成功できるか心配です。

 

2023年11月12日午後3時撮影、於・家の庭  

渡り蝶何やら淋し秋も暮れ

朝晩の気温もめっきり下がって , あっという間に山や庭の木々が葉を落と始めました。ヒメシャラもヤマボウシもエゴの木もツリバナもサルスベリも葉を落とし、あたりは一斉に晩秋の風情です。山添いの我が家は落ち葉でいっぱい、掃いても掃いてもまた溜まります。最近はその枯葉を集めて畑に埋めるのですが、それもすぐに枯葉の山!

山の樹々の中でも最も早く葉を落とすのは桜、花で散り葉で散り一年の半分は裸です。木の下は明るく日当たりがよいからか、春には紫陽花が、夏には草木が、今はツワブキが咲いています。

 

ありたけのひかりあつめて石蕗黄なり  細木芒角星

さくらの木の下から、青い空を仰ぐように伸び上がったツワブキの花です。

お転婆の少女のごとく石蕗の咲く

さあ秋を楽しもう! 冬の来る前に!