陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

九月(長月)・仙人草

2024年09月04日 | 日記・エッセイ・コラム

35℃を超える連日の猛暑・南海トラフ地震予兆警報・大雨と台風10号 異常な八月がやっと終わった。

風がほんの少し秋を運んできて、ようやく「やれやれ」とほっとした気分の九月(長月)がやってきた。

この異常な夏は。人間だけでなく自然にもかなりのダメージを与えたように思う。繊細な野草は高温に負けて枯渇し、丈夫な雑草だけがこれまた異常に生き残って、庭先の空地で風に揺れている。野生の白花フジバカマも野生のススキもそのほかの雑草も,優に2メートルを超える高さになっている。

ススキの根元には蔓性の野草、仙人艸(センニンソウ)が絡みつくように伸び上がって咲いている。どうして仙人草がここに来て何のために咲いているのかその素性は解らないが、遠くから見るとそれが緑を彩る白い髪飾りのようで、とてもきれいだ。

仙人草魔法のベール木々にかけ

 

センニンソウ・立派な名前はついているが、雑草のようにたくましい。いったん庭に持ち込むと容赦なく繁殖して取り去るのに苦労する。

「雑草」って一体何なんだろう?・・・と気になった。

雑草の定義

雑草とは、種子が不良な温度変化や湿度変化に耐え、休眠状態のまま死滅せずに土壌中に深く保存され、その後に耕しなどの人為要因や降雨などの自然要因に寄り土壌が攪乱され、種子が土壌表層に持ち上がり自然に発芽し育った植物のことを言う。

なるほど! 今年は谷津山のあちこちの樹々や草群に仙人草が絡みついた咲いている。この夏の異常気象が重なって眠っていた種があちこちで成長して繁殖したのだろう。仙人草は、昔から根や根茎を生薬として使っていたという。その樹液は有毒でもあったがそれがまた薬でもあったのだろう。まさしく仙人の仙人たる所以。

 

わたしはこの花を、花の少ないこの季節の切り花として「掛け花」に活けて愛用している。

天上の霞か雲か仙人草(誰の句か不明

仙人とは俗界を離れて山中に住み不老不死で飛翔する神通力を持つ人のこととか・・・「なるほど」。


野萱草(ノカンゾウ)

2024年08月23日 | 野草

夏も盛りのこの季節、田んぼ道や川の土手でこんな花と出会ったことありませんか?

野萱草です。蕾は解熱作用、根は利尿作用、消炎や鎮痛にも効力があると言う薬草の一つです。若芽はアクもなく食感もよくおいしいとか。私は食べたことがないのですが、一昔前までは、人と植物の関係は今よりずっと密接で日常の暮らしと深く繋がっていたのでしょう。

花は、色合いこそ派手ですが飛び切り美しいという程でもなく、どちらかと言えば田舎道で出会った普段着の女の子(少女)といった印象・・。(これは私の主観ですが・・・。)

お転婆の女の子のごと野萱草

 

 

家のノカンゾウは、何の手入れもしないのに毎年同じ場所に同じように花を咲かせます。それが、いざという時には薬草になり、食料にもなり、仏花にもなる・・・まさに優しくたくましい「お母さん」のすがたもかさなりますね。

萱草の花の記憶の中の母  福田素吾

何だか、車を走らせてノカンゾウのいっぱい咲いている野原かなんかに行ってみたい気持ちになりました。

 


弟切草

2024年08月16日 | 野草

弟切草・オトギリソウ、弟を切るなんて何て物騒な名前だろう! 

誰が何処から持ってきて植えたのか定かではないが、この季節になると我が家の庭では、細い茎の先に小さな黄色い花をつけた弟切草が揺れている、写真の小さな黄色い花が弟切草、すっきりと伸び上がった茎の先に咲く花は名前と違ってむしろ繊細で可憐だ。

 

   

そもそもこの奇妙な名の謂れはこんなお話。

鷹の傷を治す秘薬であるこの植物のことを弟が誰かに教えてしまった。それを知った兄は怒って弟を殺した。「たかが薬草ごときで・・」と思うが、先祖伝来の秘薬は命と同じぐらいの重みがあった、という事だろうか?・・・、いかにも悲しいネーミングである。

この暑さの中、この花が庭の階段の登り口で揺れている姿は、おどろおどろしいよりむしろ清々しい。

 

ここまで書いた時だった。

突然、PCがサイレンのような警戒音を鳴らして「あなたのパソコンはハッキングされました。すべての機能は停止しました・・・」と叫ぶ声。

詳しくは覚えていないが、そんな意味合いの言葉が何回も何回も繰り返し響き、サイレンのような警報音が鳴りやまない! 画面もいつの間にか怪しげな画面に代わっている・・・・。

まさか自分のパソコンがハッキングされるなんて!  初めてのことだったので驚くというよりどうしたらよいのか解からず慌てた! 相談する相手もいない、茫然と画面を見つめていると画面に別枠の囲みが現れた。

「相談窓口 すぐに対処 今すぐ下記に電話 電話番号0000 マイクロソフト社」 

 

みっともないから詳しくは書かないが、

これがよく聞くなりすまし詐欺だと気が付くまでには、しばらく時間がかかった。

長い間パソコンは使っているけどどちらかといえばパソコン音痴、スマホもパソコンも車も然りだ・・。内部の仕組みなど全く分からない、それが凶器になるなんて思ってもみなかったが、現に詐欺にあっている人も多いという.。思えば弟切草のような裏切りへの報復も世界を見れば後を絶たない。世の中は目まぐるしく変化し続けているように見えるが、人間の本質は変らないという事か。

昨今の混乱した世界を見るとパソコンを初めとするATもありがたいような、ありがたくないような・・・。 

 

可愛がると実を付けるじゃがいもおくらトマトや季節になると黙っていても花を咲かせてくれる野の花々たち。 

そんなものを本当に愛おしく感じてしまう・・・ 「よっぽどのアナログ人間ネ」って言われそうだけど。


文月・イワタバコが咲いたよ

2024年07月01日 | 野草

何ということでしょう、ちょっとブログをさぼっている内に、もう七月です。

紫陽花が満開になってその前でホタルブクロが揺れている「ああ 蛍の季節だ」と思っていたのに、赤パンパスが1メートルも伸びて紫色の花を咲かせ、負けじとばかりに赤い鬼百合が2メートルもの上空から下を見下ろしている・・・、そんな初夏を迎えています。我が家の庭は雨のせいもあってでしょうか、うっとおしい程の雑草と緑に覆われてしまいました。

月日ばかりが無為に過ぎて、時に取り残された私はその後をただ訳もなく追いかけている、そんな空しく物悲しい気分になっていました。

 

今朝、雨の庭を見回っていて思いがけない発見をしました。イワタバコの花が咲いていたのです。

山じしゃ(イワタバコ ) の白露重みうらぶるる心も深くわが恋止まず  柿本人麻呂

 

万葉集にある柿本人麻呂の歌です。イワタバコは大昔から日本の山野に咲くごく自然な植物だったのでしょう。

山合いの水の滴る谷間にひっそりと咲いている薄紫の美しい花、でもなかなか出会えないこの花は、心の奥深くに留め置く恋しい人を想わせるに十分でした。現代のように赤や白やピンクの派手な花のなかった奈良の時代、意外な場所に咲くこの花の姿は十分に晴れやかで美しく貴重なものだったのでしょう。

 

我が家の花は、つくばい(手水鉢)らしき岩の割れ目に咲いています。あまり元気もなく色もさめています。もともとは井川峠の滝水の滴る岩場に咲いていたもので、そこではもっと鮮やかで生き生きしていたと思います。

岩たばこふるさと恋し滝しぶき

 


馬鈴薯の記ー3

2024年06月03日 | 日記・エッセイ・コラム

6月、3月に植えたジャガイモをいよいよ収穫する季節になった! 

緑色に茂っていた葉っぱが黄色くなってきたのだ。

さて 本当にじゃがいもは実っているか? ドキ ドキ・・・

 

結構な大きさの じゃがいも が・・!

ゴロゴロ とまでいかないけど  ポツリ ポツリ

 

 こんな感じ     思いがけぬ 結構な収穫 大成功だ!

 

庭に降り積もった枯葉を積み上げ、わずかばかりの土と肥料を撒いてできた小さな畑

そこに生まれたじゃがいもたちの3か月余りにおよぶ素敵なドラマが、

5キロほどのおいしいじゃが芋を生み出してくれた。

そればかりでない。ガサガサだった畑の土をサラサラの上質の土に変身させ、

大地や太陽や雨や風の巧みな営みを、具体的な形で私に見せてくれた!

改めて感謝、そして馬鈴薯に乾杯!

 

さぐり掘り新じゃが指に快く(荻野綺映)

さて、今日はどんな新じゃが料理をつくろうかな?


益子陶芸まつり

2024年05月09日 | 日記・エッセイ・コラム

恒例の益子の陶芸市!

4月27日~5月6日までの10日間、町を挙げての陶芸市、今年も行ってきました。

後半の中日だというのにメインストリートは大都会並みの人の列、羨ましいような光景です。

 

    

益子で2年間の研修を終えた後、この市に参加することを許され自己研鑽を積んでいく若い陶芸家たち・・・。

産地外で陶芸を続けている陶芸仲間の多くは作品を売る手立てがなく苦労しています。地域全体が一丸となって「陶芸」を盛り立てるこの町の在り方は、若い陶芸家を育てる意味でも貴重なものだと思います。

この祭りの意義も含めて若い陶芸家たちに「頑張れ」の声援を送りたいと思います。


馬鈴薯の記ー2

2024年04月23日 | 日記・エッセイ・コラム

あれから1か月

天を衝く馬鈴薯の命目に眩し

 

3月23日・植えてから1か月目

3月23日撮影

4月23日撮影

私たちの命もこんな風に成長しているのかしら?

普段気の付かない「いのち」の姿をふと見るような気がしました。

 


花(サクラ)散る

2024年04月06日 | 日記・エッセイ・コラム

3月29日の咲き始めから1週間(中の2日程は雨でしたが・・・)たった7日で花(サクラ)は散り始めました。

日数にしたら365分の7・・・、ほんとうに儚い花の命です。

 

雨上がりの朝、山の階段に花びらが溜まって花の階段になっていました。

花弁は水槽の中にも・・・、緑の苔の上にも・・・、家の門扉の脇にも・・・。

 

 

 

ひらひらと花びらの降り・・・雪のごと。

 

大木は下の方から緑色に変わり始めました。葉桜の季節ももう真近かです・・・!

 

さまざまのこと思ひ出すさくらかな  松尾芭蕉

 


花(サクラ)笑う

2024年03月31日 | 日記・エッセイ・コラム

たった一晩で満開の桜。

昨日は25度・本日は26度と、異常な気温が続いているせいでしょうか? 本来ならゆっくりと咲くはずの花が、堰を切ったように咲いています。この分で行くと数日後には散ってしまいそうですね。

 

 

こちらは、家の庭から見た谷津山の桜です。山の桜も満開です。

 

 

庭に咲くクリスマスローズをいれて撮りました、やまざくらはもう茶色い葉っぱを付けています。

(今回の写真は東京在住の娘からの「桜便り」のリクエストによるものです)

 

 


花(サクラ)ひらく

2024年03月29日 | 日記・エッセイ・コラム

昨夜から続いた大雨がやんだ、と思ったら今度は大風。

大風がが止んだと思ったら、今度はお日様が ポッカポカ。

気温がいきなり上がって、静岡はなんと25℃の夏日になった!

今までの緊張が突然解けたみたいに、一斉に桜の蕾が開き始めた!

木も花も草も鳥も虫も水も土も空も風も 一斉に歌い始めたよ「春」を。

     

               

春いっぱいの我が家です。


イカリソウ

2024年03月25日 | 野草

ヒメシャラの樹の下にま~るく広がった薄緑色、右上はフタリシズカ、手前がイカリソウ。

     

 

イカリソウってひょっとして「怒り草」って思いますよね。

でも、花の形を見ると分かります。イカリは「錨」船を固定する重りのような役割をするあの錨です。

花弁をグっと開いたその中心が花芯で、4本の花弁で花全体を支えた形が錨のようにみえます。

この緻密で難解な仕組みは、陶芸で再現しようとしても多分無理、神様の「いたずら」みたいなもの・・。

   

          

で、花言葉は「あなたを離さない」何たって錨ですもの!!

 


🥔馬鈴薯の記1

2024年03月23日 | 日記・エッセイ・コラム

🥔じゃがいもを植えた。

1か月も前なのに音さたもない。

どうなっているのだろうーと心配していたら・・・、芽が出てきた!

 

去年だったか、食べ残しのじゃがいもから芽が出てきたので、なにげなく土に埋めておいた。芽が出て花が咲いて可愛いじゃがいもが数個とれた。おいしかった!

今年は本格的にじゃがいもを作るぞ、そう思って畑の準備を始めた。秋に溜めた枯葉を土と混ぜ肥料を入れて畑を作った、自己流で。マーケットから「あきあかり」の種芋を10個余り買ってきた。芽が少し出始めたので、20センチほどの深さに土を掘って植えた。2月21日。

ところが、その後冷たい雨が続いたり寒さに逆戻りしたりして、なかなか春がやってこない、桜ばかりか毎年咲く雑草もなかなか咲かない、早すぎたのかな、と内心心配になった。

そして1ケ月が過ぎた3月20日、ついに緑色の芽が現れた。たくましい芽だ!

じゃがいもに夢託す春の朝うまく収穫できるといいな・・祈るような感じ!!

 

馬鈴薯植う汝が生まれし日の如く  石田破郷


弥生三月

2024年03月18日 | 日記・エッセイ・コラム

3月も中旬というのに我が家の桜は硬いまま、花の気配もありません。何か事情があるのでしょうか?

今日も、青い空にまぶしい程の黄色レンギョウの花が咲いているというのに?

 

レンギョウの下には黄色いリュウキンカ

随分と久しぶりのブログです。ブログの写真の取り込みがうまくいかなくて、あれこれいじっても解決できず、中半投げ出した状態になっていました。何かの弾みに操作を誤るとパソコンはすかさず暴走を始め、私の手には負えなくなります。そんな時には(自分の能力は棚において)パソコンもスマホも嫌いになります。

この休日、娘夫婦が帰省してパソコンのトラブルをあれこれと手直ししてくれました。で、久しぶりのブログです。実は今、春の上野の展覧会の作品作りにも取り掛かっているのですが、こちらも思うようにならず、イライラ! 

いろいろなことが連鎖してうまくいかなくなると「もうイヤ!」と言いたくなるのですね。

「悩みを乗り越えたところに新しい展開が見えてくるんだよ」と作陶仲間は慰めてくれます。

 本当に青い空に輝く黄色い花みたいに晴やかになれたらいいよね !!  ほんとにね !     


雪だよりとクリスマスローズ

2024年02月06日 | 日記・エッセイ・コラム

信州からも下毛野からも雪だより

信州からも東京からも栃木からも大雪のメール。それもかなりの大雪らしく、会社が半退けだったとか、電車が止まったとか・・・。各地の混乱ぶりは夕方のテレビでも報じられていた。

「たまには雪もいいかな」と思うが、静岡では、めったなことでは雪は降らない。気温は下がってもいつも雨止まりだ。

ふと歳時記を見たら、クリスマスローズの雪を払ひけり 長谷川 櫂 という句が目に留まった。

白いクリスマスローズと白い雪 なかなしゃれていて美しい光景がめにうかぶ。

 

翌朝、庭に出て家のクリスマスローズを見た。花は、一雨浴びてますます元気、雪にうなだれる姿などどこにもない。

 

手入れなしの自然栽培だから、家のは言わば「ワイルドローズ」と言ったところだろう。

数本を切り取って、テーブルの上に飾ってみたら、白い花が上品でなかなかいい感じだ。

       

      

 静もれて太古の夢かクリマスローズ

 この花の原産地はヨーロッパで、ヘレボルス属の一種ニゲルが原種である。クリスマスの頃咲くので、いつの間にか「クリスマスローズ」と呼ばれるようになった。本来の学名 Helleborus は ギリシャ語の elenin (殺す)とbora(食べ物) の合成語で「食べると死ぬ」という意味があるらしい。中世のキリスト教文化の中では、悪魔とかかわりがあったという話も残されている。日本に輸入されてきた当時は、茶席の床の間に似合う茶花として「初雪おこし」という和名がつけられていたとか。(スマホから一部抜粋)

様々な歴史を生き延びてきた花でもあるらしいが、テーブルの上で品よく咲いているさまは美しく優雅。

 


鬼は外 福は内

2024年01月31日 | 日記・エッセイ・コラム

早くも2月です。2月3日は節分。

節分は、悪いものを追い出して、縁起の良いものを食べて、新しい季節を迎える昔からの行事です。

 

創業嘉永二年(1849)加賀金澤にて百六十余年、初代からの製法を基本とし加賀名菓の伝統を今に伝える老舗

「金沢の 落雁 諸江屋 」から節分のお菓子が届きました。

 

節分の豆まきが始まります。

 

                     

       赤鬼さんと    青鬼さん

            

      

 

家の角には柊(ひいらぎ)と鰯(いわし)と唐辛子【とうがらし)が吊るされます。

 

鬼はそと 福はうち   豆まきが始まります。

 

 これは大変! 参った! 参った!!

 

      お家の中ではみんなが大はしゃぎ!

  福の神を迎えて家族団欒、しあわせな豆まき風景です。

  (このお菓子はおいしい和三盆でできています

 

節分の豆まきは、子どもの頃の思い出と共に、日本人なら誰でも身に覚えのある懐かしい行事です。

古くからの伝統を持つ城下町には、それにまつわる伝統のお菓子を今日に引き継ぐ老舗も残っています。この落雁も金澤に伝わるそんなお菓子です。

今年はお正月から大震災が発生、能登では伝統の輪島塗も大きな被害を受けました。日本の伝統文化が末長く継承されますよう、節分の日に祈ります。