六本木を5時54分の地下鉄大江戸線に乗って帰ってきた。朝陽が上る直前に玄関に着いた。ドラキュラでもないのに、せかされるように玄関の鍵を開けた。ゆっくりサウナでくつろいで、休憩室のリクライニングシートに身体を沈めた途端、奇妙な夢を見てしまったものだから、何だかふわふわしている。
昔のスタッフIくんに案内されて大空に舞い上がり、空中に浮かぶ風船につかまり、浮き輪で波間にただようかのように、地上1000メートルあたりで待機していた。Iくんに何かを待つように言われたのだが、言葉が風に流されて聞き取れなかった。僕はすっかりIくんを信用していたので、何の疑いもなく空中に浮かんでいた。ひとりにされてはじめて、僕は自分が高所恐怖症だったことに気付いた。
恐怖感で身体が竦んだ。靴が片方抜けて落ちていった。見下ろすと、海岸の工場地帯だった。靴は風に流されて、防波堤すれすれの海に落ちた。手を離せば僕も靴のように落ちるだろう。しかし、この高さでは海に落ちても助からないだろう。風船につかまった腕が疲れてきた。別れた彼女の声が聞こえた。「本当に人を見る目がない人ね。信用出来る人の区別も出来ないなんて」
すごく惨めな気分になったとき、目が覚めた。身体が冷えてしまったので、もう一度サウナに入ってから着替えた。しばらくは、高いところにいるような嫌な胸騒ぎが続いた。脈拍を測ると97回だった。帰宅して測るといつもの61回に戻っていた。落ち着かないので、洗濯でもしよう。すっかり朝陽は昇ってしまった。今日も快晴である。
昔のスタッフIくんに案内されて大空に舞い上がり、空中に浮かぶ風船につかまり、浮き輪で波間にただようかのように、地上1000メートルあたりで待機していた。Iくんに何かを待つように言われたのだが、言葉が風に流されて聞き取れなかった。僕はすっかりIくんを信用していたので、何の疑いもなく空中に浮かんでいた。ひとりにされてはじめて、僕は自分が高所恐怖症だったことに気付いた。
恐怖感で身体が竦んだ。靴が片方抜けて落ちていった。見下ろすと、海岸の工場地帯だった。靴は風に流されて、防波堤すれすれの海に落ちた。手を離せば僕も靴のように落ちるだろう。しかし、この高さでは海に落ちても助からないだろう。風船につかまった腕が疲れてきた。別れた彼女の声が聞こえた。「本当に人を見る目がない人ね。信用出来る人の区別も出来ないなんて」
すごく惨めな気分になったとき、目が覚めた。身体が冷えてしまったので、もう一度サウナに入ってから着替えた。しばらくは、高いところにいるような嫌な胸騒ぎが続いた。脈拍を測ると97回だった。帰宅して測るといつもの61回に戻っていた。落ち着かないので、洗濯でもしよう。すっかり朝陽は昇ってしまった。今日も快晴である。