面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

終わりのない旅

2006年08月14日 | Weblog
 母の夢を見た。何処かへ出かけるところだろうか、着物の帯を
締めていた。僕は縁側のカーテンを閉め、窓の鍵を確認しながら、
母の着替えを待っていた。
 のんびりした日差しがカーテンの隙間に揺れた。
蝉時雨がひときわ庭にさんざめいた。
先日帰郷の折、高校の恩師と友人たちが僕を囲む会を開いてくれた。
 僕の作品が高名な監督で映画化されることになり、
その監督と並んで記者会見したりして、地元のテレビや新聞が
騒いでくれたのだ。
 その時、母の墓参りもしなかった後ろめたさが見せた夢かもしれない。
などと、しおらしく思ったりしてみた。白々とした追憶に、痛めた頚椎が
疼いた。母の死期は予測されていた。なのに、僕は公演を打っていて、
臨終にも立ち会わなかった。心の底に重く沈んだ後悔のおもいを、
これから幾つ増やすのだろう。十五の春に旅に出て、
立ち寄りはするが帰れぬ故郷。終の棲家も見つからない旅は、今日も続く。
 西瓜とマンゴー、どっちがバナナ?高沢は元気だろうか・・・。