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卒業

2008年04月01日 | 英語落語・海外公演
ECC英語落語教室の生徒の皆さん、3月30日は本当におつかれさまでした。生徒の皆さんの高座に向かう真剣な姿勢に心をうたれました。今回はECC英語落語教室始まって以来の最多エントリーで、1部、2部にプログラムを分けさせていただいたほどです。
全員聞かせていただきました。皆さん本番に強いですね。そして半年かけて伝えたことを見事に高座で表現してくれました。
 まず、マザーさん、トップバッターということですごいプレッシャーだったと思いますが、見事にその大役を果たしてくれました。堂々としたものでした。トップバッターを選ぶ時は苦労するのですが、一番肝っ玉の太い方を選ばせていただいています。
 続いてアッコさんは2つ目ですが、トップの方が作った空気を受け継いで更にホットにする役割です。若くてチャーミングな女性が舞台に上がるだけで舞台は明るくなります。その勢いも手伝ってお客さんの聞く態勢が完全にできました。オリジナルの工夫もはまってました。
 茶弁さんはもと刑事さんということで腹がすわってて少々間違えようが動じません。セリフを忘れても無事最後まで自力で完走しました。
 ジャブさん、ジャブさんはすごく言葉に気持ちが入る方です。それはいいことなんです。しかし長い話には向きません。今回はショートストーリーを4本ひとつずつ丁寧に演じていただきました。きっとお客さんの心に残っています。
 キャサリンさんはこの日2本目の「ちりとてちん」です。同じ話をお客さんは2回聞いております。それなのに笑いが起こる。同じ落語でも演者によって全然違うということです。キャサリンさんの「ちりとてちん」は茶弁さんのそれとは違う世界を広げてました。人柄の感じられる心地よい落語ワールドでした。
 スマイルさん。今回僕が一番ハマッてしまった落語ワールドです。本当にアメリカ人が作ってる世界でした。色々ミスもありましたが、そのまま突き進んで下さい。仲トリの大仕事を見事に務めて下さいました。
 仲入りをはさんでRoundさん。この方は枝雀師匠の大ファンです。ですから僕は「さぎとり」をやっていただきました。大熱演。唯一落語の中にお囃子が入る(ハメモノ)演目にチャレンジしていただきました。後からお客さんから聞いたのですが、三味線・太鼓にしぐさがピッタリ合っていて気持ち良かったそうですよ。
 フロンティアさん、この方の「桃太郎」のスクリプトを見てびっくりしました。毎月練習した回数を正の字を書いて数えていました。本当に誠実な努力家です。そしてその姿勢はしっかり落語を通してお客さんに伝わります。僕は舞台袖で全て聞いていましたが、3ヶ所本物の笑いがありました。落語のウケ方です。これはすごいことです。逆にこちらが教えられました。
 第2部のトップバッターはYasukoさん。「動物園」は英語落語教室を受講される方はよく希望されるネタです。第2部では3人の方が「動物園」を演じました。しかし3人が3人違う落語になってます。すごく興味深いことです。
Yasukoさんはそのトップをかざっていただきました。それは一番素直に「動物園」を演じてはるからです。これが基本で、あとの2人がこれをどう工夫するのか、お客さんに楽しんでいただけるんじゃないかと思ったのです。Yasukoさんの「動物園」はどこでやっても及第点をとれる仕上がりになってました。どんどんやって下さい。
 次はOneさん。Oneさんはすごくミステリアスな色気のある方でした。(男性です。)芸名も色々考えてOneにしました。Oneを是非辞書で引いてみて下さい。僕の得意ネタ「Time Noodle」を演じていただきました。英語落語教室で一番難しいのがネタ決めです。その人のキャラクター、人柄、性格・・・などを短期間で知る必要があります。表面に出してくれる方はいいのですが、そんな方はマレです。ですから色々アプローチをかけて少しでも心の奥底にタッチしようと試行錯誤なんです。そして「Time Noodle」をすすめるにいたっては、「この方はやってくれる」という思いがあります。1部と2部両方来ていただいた方はスマイルさんとOneさんの「Time Noodle」を聞き比べることができたと思います。どちらも期待に応えてくれました。感謝しております。
 美吟さん、この方は英語落語を始めて2年目になるんじゃないでしょうか。日本語の落語教室も並行して受講されていて、落語のウケるやりかたをマスターしてます。今回もすごくウケてました。完璧な3つ目でしたよ。打ち上げの2次会でも僕の斜め前に座ってノリノリで・・今回の高座の満足ぶりが伝わってきました。
 パンサーさんは英語の発音もきれいだし、すごく上品な方です。聞けば外大卒で外国の友人もチラホラいらっしゃるようです。お客さんはつい45分前に聞いた「動物園」をもう一度聞くわけです。ある意味ハンディキャップマッチなんですが、お客さんはしっかりくいついておりました。パンサーさんしかできない「動物園」でした。
 チャメ吉さんは前回の発表会で「桃太郎」をやって、納得のいく出来じゃないとおっしゃって、今回リベンジです。リベンジ果たされましたね。おめでとうございます。前回よりも数段良かったです。ケンちゃんの名前をお孫さんの名前に変えての「桃太郎」。愛に満ち溢れていました。
 仲入りをはさんで吉之嬢さん。この方には僕の大好きなネタ「おごろもち盗人」をやっていただきました。このネタは思い入れ深くて、かつて国立文楽劇場の「米朝・吉朝二人会」で僕は前座で「おごろもち盗人」をやらせていただきました。吉之嬢さんの「おごろもち盗人」は本当に評判が良かったです。実は少し遅刻した演者さんがいて、急きょ吉之嬢さんは一つ順番がくり上がったのです。しかしそのハプニングをマクラに使う程の余裕がありました。吉之嬢さんはメンバーの中でも最も落語独特のあの古~い時代を高座に持ってこれたように感じました。
 そして、遅刻したプリンさん。プリンさんは一見すごく奇想天外で突飛な行動や言動をされますが、実はかなり気遣いやさんです。ある意味メンバーの中で一番敏感な方です。落語を演じるとみんな丸裸になるます。プリンさんは爆笑をとってました。是非その繊細な感性をもっと色々なやり方で表現してください。
 いよいよ最後、TOYOさん。TOYOさんは、もう自分のスタイルを築きつつあります。自分に合う話合わない話もわかると思います。今回の舞台も自信いっぱいでした。あとの僕がプレッシャーを感じるくらいうけてました。TOYOさん、これからも英語落語を続けて下さいね。
 今回で、一応私あさ吉はECCで教えることを一旦休憩致します。来期は三金くんとグレッグが中心になると思います。僕の名前も使われていますが、どうしてもというのでワンレッスンだけ引き受けました。ですから発表会にも出席できませんし、授業に関してもタッチできません。
 またいつか、生徒の皆さんに何か言うことができるようになれば帰って参ります。どうぞみなさんお達者で。ありがとうございました。

追伸・・
今回の発表会の様子はDVDになります。出来上がりましたらECCから連絡がありますので生徒の皆さんは楽しみに待っていて下さい。(編集に1ヶ月程度かかるそうです。)
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9 コメント

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きっともう一度! (吉之嬢)
2008-04-01 20:58:55
ご指導、本当にありがとうございました。
生意気なようですが、今回の出来はまだ満足いきませんでした。でも、今の私の力でなら、あれが精一杯です。どうか、あさ吉師匠、かならずまた、私達に落語を教えに帰ってきてください。そのときは、もう一度「おごろもち盗人」に挑戦したいと思います。
もうひとつ、師匠に教わったことがあります。指導者としての姿勢です。励まし、ほめて、的確な指摘・・・本当にありがとうございました。
師匠が男前過ぎてまともに、目を合わせられなかった吉之嬢でした。
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感謝感謝多謝(涙 (パンサー)
2008-04-01 22:04:02
あさ吉先生、海外公演などお忙しい中
丁寧なご指導有難うございました。
こんなに楽しく発表会を迎えられたのも、本当に先生のお陰と感謝しています。

今回、先生に教わったことがたくさんあります。落語に対する姿勢。学びに対する姿勢。生徒に対する姿勢。全て愛情に溢れていて、上手く表現できないですが覚悟というものの大切さも教えていただいたような気がします。
 私自身が演じるのは落語という世界とは程遠い、へなちょこ英語落語ですが、また、先生のご指導を受けられる日を楽しみにしています。
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素直にありがとうございます (Japanrockmama)
2008-04-01 22:40:04
本当に本当にご指導ありがとうございました。
最初は海外に行ったときのお別れ会での余興にと軽く考えて説明会に行きました。でもクラスを受講するまでには清水の舞台から飛び降りるくらいのかなりの決心が必要でした。しかしあさ吉先生の常に生徒を励ます指導に導かれここまで来てしまいました。
18日からは日本語落語クラスを受講するという半年前には思いもしなかった展開になっています。
「どこでやっても及第点をとれる仕上がり」という身に余るお褒めの言葉に励まされ、これからはその上にYasukoらしさを加味できるよう修行(?)したいと思っています。皆さんと同じようにいつかまた(生きてるうちに)先生のご指導を受けたいと思います。
先生の落語もまた聴きに行きます。
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素直におもしろかったです!!! (スマイル)
2008-04-02 01:30:58
あさ吉先生!ありがとうございました☆
発表会での私の噺しぶりは赤点ではすまないヒド~い内容でした!
でも、関西人やったらホンマもんの上方落語の世界に触れてみたい!という夢と、日本の落語で異人連中(!)を笑わせてみたい!というdreamをかなえさせてくれた先生のご指導を受けることが出来て、私はとてもラッキーなヤツです。先生に感謝を致しております!
噛めば噛むほど味の出る~都こんぶか~なとりのするめか~と思える先生の芸と授業の内容。。。
とっても勉強になりました!これからも素人ながらチャレンジしてみます!

先生にはしばらく、トラの穴へ入られるご様子。私もしばらくは本業のトラの穴へ入るべく、来月から仕事で海外へ行ってきます。(英語落語もきちんとネタを覚えてあいつらを笑わせてきます!)


また是非よろしくお願いします。
ありがとうございました!

笑売繁昌☆
スマイルこと山本雄彦

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人を学ぶ (マザー)
2008-04-02 13:18:50
 あさ吉先生、お礼が遅くなりました。機械が苦手で、この投稿が何十回目の挑戦になることやら。
 平穏亭で「かきわり盗人」を聞いて(見て)以来、先生の芸にほれました。そして発表会が終わろうとするころ、あさ吉先生の「傾聴受容」精神の中に学ぶべきものを見つけました。英語落語はもとより、人を学んだと思えるこの数ヶ月でした。また習えると信じています。
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尊敬します。 (TOYO)
2008-04-02 14:50:09
丁寧なコメントを読ませていただいて感動しました。
あさ吉先生の本当に落語を愛し落語を大切に思っておられる気持ちがひしひしと伝わってきて胸が熱くなりました。
今回、結局演じなかった「4人癖」ですが、ショートバージョンのスクリプトを送っていただいたときに同封されていた先生のメッセージには暖かさと気遣いが感じられました。私の宝物です。
落語家とか、プロとかを越えて、一人の人間として、あさ吉師匠を尊敬します。
さらに大きくなられた師匠に又、教わりたいと思っています。
ありがとうございました。
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マラソン寄席 (tenor)
2008-04-02 15:28:02
あさ吉先生、本当にお疲れ様でした! 500円で6時間寄席、もう豆腐もうどんもトラもいらんという声も無く、皆さん良くがんばりましたねぇ。先生方のご指導の賜物と尊敬申し上げます。多少、蛇足ではありますが、茶弁さんは元検事で今西梅田で弁護士をされています。老人・福祉問題がご専門のようです。
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遅くなりましたが・・・ (ぷりん)
2008-04-14 20:07:20
あさ吉先生、本当にありがとうございました。
当日は、出番に遅れるなどして、
みなさんに御迷惑お掛けいたしまして、
すいませんでした。

今まで、本当に初心者の私に、
落語の“いろは”を教えていただきまして、
ありがとうございました。

そして、一人ひとりへの細かいコメント、
本当に、私たちの事を見ていただいたのだと
思い、感謝いたします。

英語落語の発表会が終わり、すぐに、
年度末と言う、怪獣と戦っていまして、
遅くなりました。

あさ吉先生をはじめ、三金先生、グレッグ先生、そして、一緒に頑張ってきた皆様、いろいろアドバイスを下さった、先輩方、本当にありがとうございました。

少しだけ、落語の入り口に入れさせてもらいましたが、本当に、落語にのめり込みそうです。

これからも、宜しく御願いいたします。

ぷりん
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いろんなことを教えていただきました。 (あさん亭美吟)
2008-08-21 01:48:15

あさ吉先生、こんばんは。
お元気ですか。

4ヶ月もたってしまいました。
あっちこっちに感謝の気持ちは書きながら、
いざここに来るといろんな想いがあふれてきて
結局何も書けませんでした。

今頃書き込んでも、あさ吉先生は読まれないかもしれませんが、やっぱり感謝の気持ちだけ自分がお伝えしないといけないと思いました。

今なら長々と書いても、他の人にも迷惑をかけないだろうし。

☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.

今、もう一度、みなさんへのコメントを読ませていただいて、
本当にあたたかく見守り育てていただいたことを感じます。

名前と、演目と、順番と決めるのに、みなさんの顔を思い浮かべじっくり時間をかけられて。

そんなふうに誠実だから、お疲れになるんだろうと思うと、痛々しいくらいですが。しみじみありがたく、胸が熱くなります。

最初の説明会の時に、すごく少ない人数の前で
英語落語を見せていただいて、
はぁ~っ・・・!と思い、
すぐにDVDを買わせていただきました。

毎回の授業が、とっても新しい世界でした。

落語を教えていただいているんだけど、
学んだモノは広くて深いいろんなことでした。

人が人をどんなふうにあたたかく見ることができるのか。

いろんな状況の人を、どう褒め、どう楽しませ、どうやる気を出させるのか。

必ず笑いにしながらも、なんでも褒めて育ててもらいました

仕事や家のことでどんなに疲れていても、元気をいただいて帰れました。

そして、自分の仕事で、家で全然やってこない子でも、その時だけでも気持ちよくやる気を出させて、楽しく過ごさせてあげたいと強く思うようになりました。

8月に市からの派遣でニュージーランドに行ってきました。たくさんの学校をまわり、いろんな先生たちにお会いしました。
英語落語をやります!という勇気はなかったので披露はしていませんが、名刺に写真は入れて、説明はしました。
今度は自分からやると言えるくらいに力をつけられたらいいなあと思います。

平穏亭の裸電球の下で汗いっぱいで演じられたのが素敵でした。
あさ吉先生の「七段目」の所作がきれいで大好きでした。
あさ吉先生の笛の音が大好きでした。
米朝師匠の肩をもみ、いっしょに食事ができることがすごく幸せだったと言われるあさ吉先生のうっとりした目が魅力的でした。

次のタームから戻られるのでしょうか。
またあちこち海外公演もされて、さらにひとまわり大きくなられたあさ吉先生から、どんなすてきなあさ吉先生ワールドをご指導いただけるのかと思うと、とっても楽しみです。

またぜひいろんなことを教えてください。
お願いします。

思いっきり長くなってしまいました。
お身体にお気をつけて。ありがとうございました。









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