浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

首脳会談 不調に終わる

2005年06月22日 | Weblog
 イスラエルとパレスチナの首脳会談が21日、エルサレムのシャロン首相の公邸で行なわれました。
 多くのマスコミは、ライス米国務長官の「調停外交」の後だけに、和平に進展があるのではと注目していましたが、この欄で予測したようにライス長官の残した成果はなにもなく、首脳会談も2時間で終わってしまいました。
 同行したクレイ首相の側近の話では、両者の主張は全くかみ合わなかったとのことです。西岸地区のカルキリアとベスレヘム両市の治安維持管理をパレスチナ側に譲渡することと約16,000人のパレスチナ人出稼ぎ労働者の受け入れを提案したイスラエル側に対して、パレスチナ側は、ガザ空港の再開、政治犯の釈放、それに新たな入植地の建設中止を要求、話し合いは平行線を辿り、不調に終わりました。
 両首脳にとって譲れないのは、「お家の事情」があるからです。シャロン首相は、ガザ撤退に反対する入植者グループや宗教団体からかなり厳しい突き上げを食らっています。一方のアッバース大統領も、武装組織から対イスラエル攻撃再開の可能性を暗示されています。ただ私の目にはどちらもそれらのお家の事情を交渉材料に使っている感じが見て取れます。

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