浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

ゲリラ狩り

2005年10月31日 | Weblog
 26日に起きた自爆攻撃の実行グループである「イスラーム聖戦」の幹部と事件に関わった関係者の拘束を理由に始められたイスラエル軍の大規模な作戦は、ジェニンなどの西岸地区の住民を真綿で首を絞めるかのようなやり方で行なわれています。詳しい情報が外部にほとんど出てこない状況ですから、国際的なメディアも大きな関心は払っていません。  これまでに、イスラーム聖戦の拠点があるジェニン難民キャンプやジェニン近郊の . . . 本文を読む

私の視点 今、パレスチナで起きていること

2005年10月29日 | Weblog
イスラエル北部の港町ハデラで26日、パレスチナ人による自爆攻撃があり、5人が死亡、55人が負傷した。  爆破現場は、青空市場がある人通りの多いところで、被害者は全て民間人だとのことだ。爆破直後にパレスチナの急進組織、イスラーム聖戦が犯行声明を出していた。声明によると、24日にイスラエル軍が同組織の軍事指導者サアディ氏を西岸地区のトゥルカレムで殺害しており、それへの報復だとのことだ。同組織は、殺害事 . . . 本文を読む

シャロン首相 首脳会談拒否

2005年10月28日 | Weblog
 シャロン首相は27日、「テロとの戦いに取り組もうとしないアッバス議長(注)と会うつもりはない」と、アッバース氏との予定されていた会談を拒否する意向を、イスラエル訪問中のラブロフ・ロシア外相に述べました。  アッバース大統領は先日、ブッシュ大統領からも「私の任期中にパレスチナ独立国家の誕生はないだろう」と半ば三行半を突きつけられたばかりで、武装勢力対策の見直しを迫られています。  これは、故アラフ . . . 本文を読む

自爆攻撃

2005年10月27日 | Weblog
 イスラエル北部の港町ハデラで26日、パレスチナ人と思われる自爆攻撃があり、これまでのところ死者5名、重傷6名、その他にも軽傷を負ったものが多数出ました。  現場は青空市場で、これまでにも何度か狙われています。  爆発直後、イスラミック・ジハードが犯行声明を出しました。その声明の内容によると、先週西岸地区でイスラエル軍の攻撃で死亡した同派幹部の報復だとのことです。これを契機に「憎悪の連鎖」が再燃し . . . 本文を読む

訳も無く殺される住民たち

2005年10月23日 | Weblog
 22日、西岸地区のデイル・ニドハム村(ラマッラの北約10キロ)の村道を歩行中の58歳の男性が、通りかかった車から発砲され死亡しました。またその後、近くで他の一人も同様の手口で攻撃されて負傷しました。  目撃者の証言では、車には4人のユダヤ人入植者と思われる男たちが乗っていたとのことです。ひどい話です。でも残念ながらこの手の蛮行は占領下のパレスチナでは日常的です。  西側社会では、イスラエル人は、 . . . 本文を読む

ブッシュ政権のシリアへの圧力?

2005年10月21日 | Weblog
 シリアのダハララー情報相は21日、国連の「ハリーリ・レバノン元首相暗殺調査報告」を政治的に偏ったものだと非難しました。  これは、ドイツのヴェテラン検事を委員長にした国連独立調査委員会が、2月のハリリ・レバノン元首相暗殺事件にシリアの関与があったと明記した報告書を国連安全保障理事会に提出したことに対しての発言です。特に、報告を受けて、米政府が対シリア制裁を視野に入れた安保理決議案の作成に英仏とと . . . 本文を読む

イスラエル急進派の挑発行為

2005年10月20日 | Weblog
 イスラエル兵に守られた数十名のイスラエル急進派活動家が19日、エルサレムのアル・アクサ・モスク(イスラーム教第3の聖地)の敷地に入り、遊歩道などで騒ぎ立て、イスラーム教徒たちを刺激しました。  今イスラームの世界は1ヶ月間「ラマダーン(断食月)」に入っており、普段よりも宗教色の強い空気が漂っています。そこへここのところ、イスラエル急進派によるこの様の挑発行為が続いています。  これは、5年前の当 . . . 本文を読む

首脳会談延期の不思議

2005年10月11日 | Weblog
 11日に予定されていたイスラエル・パレスチナ首脳会談は、直前になってキャンセルされて今月末に延期されました。  延期の発表は10日、パレスチナを訪問中のデイヴィッド・ウエルシュ国務長官補佐官とアッバース大統領の会談後に、アッバース氏のスポークスマンから記者団に行なわれました。  この動きは現地では、イスラエルとパレスチナの間にある溝が依然として埋められず、「調整役」のブッシュ政権がアッバース氏を . . . 本文を読む

内部抗争“手打ち式”

2005年10月05日 | Weblog
 自治政府の内閣総辞職要求決議採択にまで発展し、与党ファタハの一部の幹部が「内戦だ!」と大騒ぎをしていた、自治政府とハマースの対立の解決を模索するためパレスチナの政治組織すべての指導者が4日、シリアの首都ダマスカスに集まりました。会議は一人の与党指導者の見事な仕切りで終始友好的な雰囲気で行なわれ、「全ての政治組織は内部抗争を避ける」との結論を導き出しました。  その指導者とは、ファルーク・カドウミ . . . 本文を読む

議会 内閣総辞職を決議

2005年10月04日 | Weblog
 ガザにおける2つの事件を受けて西岸地区のラマッラ(事実上の首都)にある自治政府議会は3日、アッバース大統領とクレイ首相に内閣総辞職を求めるの決議を突きつけました。  議会に出された動議の理由は、クレイ内閣の治安対策への不満ですが、ガザ地区におけるハマースの勢力伸長をなんとかしろとのメッセージです。現況では、ガザのハマースは自治政府警察を武力面では圧倒しています。  解散決議は、賛成43、反対5、 . . . 本文を読む