浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

世界に向けたSOS

2005年07月29日 | Weblog
 28日、西岸地区の中央部の各地から黒煙が一斉に上がりました。黒煙はタイヤを燃やしたもので、イスラエルが作り上げた「隔離壁」に沿って立ち上っています。  主催者の話では、イスラエルのガザからの撤退の陰に隠れて、パレスチナ自治区ではイスラエルによる多くの人権侵害が行なわれており、そのシンボルとも言える隔離壁に世界の注目を集めようと考えられたキャンペーンだとのことです。しかし、残念ながらほとんどの国際 . . . 本文を読む

パキスタン人は全て無罪

2005年07月27日 | Weblog
 エジプトの駐パキスタン大使は26日、保養地シャルム・エル・シェイクで土曜未明に起きた同時爆破事件に関連して容疑者とされていた6人のパキスタン人は全て無実と発表しました。事件後、捜査当局が胸を張って6人の氏名を公表していただけに、あまりにもあっけない「無実」の発表は驚きです。警察署に貼り出されていた手配写真をはがす警察官の表情も複雑だと現地からの情報は伝えています。  面目丸つぶれの捜査当局は、汚 . . . 本文を読む

エジプト同時多発テロの背景

2005年07月24日 | Weblog
 23日未明にエジプトの保養地シャルム・エル・シェイクで起きた「同時多発テロ」は、時間の経過とともに被害の実態が明らかになり、死者は89人、負傷者は200人に達しています。  この爆破事件の手口から「アル・カーイダ」の名が取り沙汰され、マスコミによる“犯人探し”が行なわれていますが、それは捜査当局に任せ、同じ「犯人探し」でも事件の背景をもっと詳しく報道すべきです。  この保養地は、1967年の中東 . . . 本文を読む

エジプトで同時多発テロ

2005年07月23日 | Weblog
エジプト・シナイ半島の観光地シャルム・エル・シェイクで23日午前1時ごろ、外国人観光客で賑わうホテルなど4ヶ所で爆発が起き、これまでに分かっただけでも43人が死亡、130人を超える負傷者が出ています。 この街は、ただの観光地というだけではなく、これまでに今年2月のパレスチナ停戦会議など多くの重要な会議や会談が行なわれており、国際的な知名度も高い場所です。恐らく実行グループはその影響力を狙って . . . 本文を読む

入植地撤退報道の見方

2005年07月21日 | Weblog
 イスラエル入植地のガザ撤退が来月に予定される中、ここ数日、撤退反対グループが大規模なデモを仕掛けています。欧米のマスコミの中には、「居住権を奪われた被害者」であるかのような論調で報道しているところもあります。  しかし、皆さんに確認しておいて頂きたいのは、ガザはパレスチナ固有の領土であるにもかかわらず、イスラエル軍の保護の下で入植者グループが強引に入植地を作り続けてきたということです。また、イス . . . 本文を読む

ガザで戦闘続く

2005年07月21日 | Weblog
 自治政府とハマースの治安責任者の命令にもかかわらず、ガザ地区の戦闘員達は20日も銃撃戦を繰り広げ、死者は出ていないものの10数名の負傷者が報告されています。  一刻も早い休戦の実現をと焦る自治政府に対してハマースは交渉を有利に導こうと下部組織に「踊らせている」ように見えます。これは、下手をすれば、本格的な戦闘に発展しかねないだけに、今後の展開が気になるところです。 . . . 本文を読む

イ軍、活動家を殺害

2005年07月19日 | Weblog
 パレスチナ自治区北部のヤムーン村で19日、イスラエル軍がパレスチナ人活動家の自宅を包囲攻撃、2人を殺害しました。殺害された活動家は、PLO与党のアル・ファタハの軍事部門に属していました。  「憎悪の連鎖」と言われるものはこういった事件の積み重ねで始まるのです。イスラエルや親イスラエル国家の指導者達は、パレスチナの活動家に責任ありとしていますが、事の成り行きを見ていると、どちらに責任があるか、本筋 . . . 本文を読む

“内ゲバ”?

2005年07月19日 | Weblog
 アッバース大統領が懸命に休戦協定を崖っぷちで支える中、19日にはガザ地区でハマースと自治政府治安勢力とが交戦、11人の負傷者が出ました。  今のところこの銃撃戦が拡大する恐れは少ないと見られますが、こういったパレスチナ社会内部の抗争はこれまで鳴りを潜めていただけに、先行きが心配されます。 . . . 本文を読む

“テロリスト狩り”の陰で…

2005年07月19日 | Weblog
 アル・ジャズィーラTVによりますと、パレスチナ急進組織ハマースが18日、ガザ地区を訪問中のエジプト代表団に対して、2月に結ばれた「休戦協定」を、イスラエルからの攻撃がない限りはとの条件付きながら守っていくよう約束したようです。  ハマース側はここ数日、今回のイスラエルへの攻撃はあくまでもイスラエル側の活動家の拘束や暗殺に対する反撃だとしていましたからある程度予測は付きましたが、これでひとまず大規 . . . 本文を読む

苦悩するアッバース大統領

2005年07月18日 | Weblog
 アッバース大統領が窮地に陥っています。イスラエルとパレスチナ急進派による戦闘再開は、アッバース氏の懸命の停戦工作にもかかわらず、悪化の一途を辿っているようです。  アッバース氏は先週のガザ訪問を終えてラマッラに戻った16日、パレスチナTVに登場、急進派に対して、対イスラエル攻撃がイスラエル政府に対パレスチナ攻撃への口実を与えているとして、自重するように呼びかけました。一方、イスラエル政府に対して . . . 本文を読む