浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

検問所と自爆攻撃の再開

2008年02月05日 | Weblog
 ガザ地区とエジプトが接する境界線上のフェンスや隔離壁が修復され、エジプトとハマースの治安部隊の合同チームが3日、約10日ぶりにパレスチナ住民の往来を規制した。

 検問所には、イスラエル軍やパレスチナの大統領派部隊の影はなく、ハマースがその力を鼓舞する形となった。

 昨年6月にガザ地区を追われて西岸地区だけを影響下に置いてきた大統領派にとり、今回は境界線の権限を取り戻すチャンスであったと見られていただけに、エジプト政府に対して抗議をしている。

 今後恐らくイスラエルも治安上の理由を盾に検問所の管理を主張してくることは間違いないとみられるが、ハマースはそれに強く反発するだろう。

 境界線を誰の手に委ねるか、いまだその青写真は明らかにされていないが、いずれにしても一筋縄ではいかないであろう。

 一方、イスラエル国内では約一年ぶりにパレスチナ人の自爆攻撃で犠牲者が出た。イスラエル南部のディモーナのショッピング・センターで行なわれた爆破攻撃で女性一人が犠牲になっている。

 これが、5,6年前のような連続自爆攻撃につながるかどうかは分からないが、イスラエル住民にとっては、ガザ地区の隔離壁の破壊と共に大きなショックで迎えられている。それは、たとえ壁があったとしても、自爆攻撃を避けられないことが分かったからだ。
 

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