浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

イスラエル軍とパレスチナ警察銃撃戦

2005年11月29日 | Weblog
 パレスチナ南部の都市ヘブロンで29日、イスラエル軍兵士とパレスチナ警察の間で銃撃戦が行なわれました。  イスラエル軍の発表では、「テロリスト狩り」をしていたイスラエル軍兵士が、テロリストから発砲を受け、それに対して銃撃を加えたところ、パレスチナ警察の反発を呼んで銃撃戦に発展したとのことです。それに対して、パレスチナ側は当然のことながら、逆のことを言っています。  ここで重要なことは、どちらが正し . . . 本文を読む

ファタハ選挙

2005年11月29日 | Weblog
 パレスチナの与党であるアル・ファタハは先週末から今週にかけて、来年1月に予定されている自治評議会(国会に相当)選挙の候補者選びのための党内選挙を始めましたが、各所で混乱が起き、投票が中断されています。  党執行部は、ガザ地区における一部過激派の投票所に対する襲撃や不正を理由に投票を終えた分の開票まで中断しています。ところが、私が得た情報ですと、状況がアッバース大統領にとって好ましくないためとする . . . 本文を読む

治安業務と家族殺害

2005年11月28日 | Weblog
 イスラエルのハイファ大学の研究者が最近、興味深いアンケートの結果を発表しています。  銃所有と犯罪増加との関連性についての調査です。その調査対象も過去4年半の間に伴侶又は家族に殺された女性に限定されているのが特徴です。  過去4年半と特定したのは、皆さんご存知の「自爆攻撃」に代表されるインティファーダ(イスラエルの軍事占領に反対する民族蜂起)が行なわれていた期間だからです。  2000年10月か . . . 本文を読む

命がけのオリーブ摘み

2005年11月28日 | Weblog
 今、パレスチナはオリーブの収穫最盛期だ。本来なら農夫(婦)の持つかごは収穫物で山盛りになる。  だが、畑は「隔離壁」で分断され、壁の向こう側になってしまった自分の畑でも収穫をあきらめざるを得ない人たちやイスラエル人入植者達によってオリーブの樹の枝を裁断されて悔し涙にくれる人たちが少なくない。  我が家では、パレスチナ自治区北部の町ジェニンからオリーブ油を購入しているが、数週間前から始まったイスラ . . . 本文を読む

ガザ検問所の再開

2005年11月25日 | Weblog
 ガザ地区南部とエジプトを分ける境界線に設けられた検問所が25日、2ヶ月ぶりに再開されました。  ラファ地区の検問所は、かつてイスラエル政府の管轄下に置かれ、パレスチナ人の往来を制限してきました。多くの悲劇を生んだ場所でもあります。2ヶ月前、イスラエル軍がガザ地区から撤退した後は、塀を壊して通行するなど無秩序な形での往来が黙認されたりしましたが、これで正式に、パレスチナ人独自の管理下での検問所が誕 . . . 本文を読む

シャロン新党登録

2005年11月25日 | Weblog
 与党リクードからの離脱を離脱したシャロン首相は24日、新党「カディマ(前進)」を立上げ、新党登録しました。  シャロン首相の後を追ってリクードを離れたのは14名で、労働党や諸派からもそれぞれ1名が参加表明をしています。現在までの新党結成に動いた国会議員の数だけでは、政権を取るまでの勢力になりませんが、来年3月28日に行なわれることになった総選挙では、最近の世論調査によると、第1党になる勢いだとの . . . 本文を読む

シャロン氏離党、新党設立へ

2005年11月21日 | Weblog
 シャロン首相は20日、カッツァフ大統領に国会の解散と総選挙を要請しました。  シャロン氏は、所属する与党リクード党の幹部の発表によると、このほどリクード党からの離党を決意、新党を設立して政界再編に臨むことになったようです。  シャロン氏はガザからの撤退をするにあたってリクード内の宗教グループや強硬派勢力と鋭く対立していました。それに加えて、連立を組んでいた労働党に「連立反対派」の新党首が誕生して . . . 本文を読む

続くゲリラ狩り おもちゃの銃

2005年11月20日 | Weblog
 お伝えし続けているように、イスラエル軍のジェニンを中心にした「ゲリラ狩り」は、このところ軍事封鎖地域は狭められたものの、依然として連日続けられています。ゲリラ狩りは、ジェニンに止まらず、西岸地区の他の地域でも行なわれています。  金曜日からの動きを見てみますと、ラマッラの近くの村で「ゲリラ狩り」に現れたイスラエル軍に投石する若者の中にいた17歳の少年が、持っていたおもちゃの銃を本物と間違われ(筆 . . . 本文を読む

エジプト総選挙 復古主義が大躍進

2005年11月18日 | Weblog
 パレスチナの隣国エジプトは、アラブ圏の中では最も早くイスラエルと和平を結び、米国に対しても協力的な国として知られています。ところが、そのエジプトにも、「イスラーム原理主義(筆者注:この言葉は、マスコミが作り上げたものです)」の影は、着実にその色を濃くし、大きくなっています。  復古主義グループの中でも有名なのは、ムスリム同胞団で、これまでは非合法組織として1928年の創設以来、ある短い時期を除い . . . 本文を読む

イスラエル 総選挙前倒し

2005年11月18日 | Weblog
 イスラエルの二大政党であるリクード党と労働党は17日、それぞれの党首である、シャロン首相とペレツ氏が会談、来年11月に予定されていた総選挙の時期を早め、2月か3月に前倒しして行なうことで合意しました。  先にお伝えしたように、両党はこれまで、連立政権を組んできましたが、新党首になったペレツ氏の意向で労働党は連立から離脱することになり、少数与党に転じたリクードには総選挙しか選択肢がないとされていま . . . 本文を読む