浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

ブッシュ大統領、ヨルダンでイラク首相と会談

2006年11月30日 | Weblog
 ブッシュ大統領は29日、ヨルダンの首都アンマンに到着した。ただしその夜に予定されていた、米、イラク、ヨルダン三者による会談は突然キャンセルされた。  キャンセルの真相については、今のところ明らかにされていないが、現地で有力視されているのは、イラクのマリキ首相がヨルダンのアブダッラー国王の米イラク関係への割り込みを嫌ったとの見方だ。その見方については、確かに、アブダッラー国王が同席すれば、パレス . . . 本文を読む

ブログ統合のお知らせ

2006年11月30日 | Weblog
 これまで、本欄では「パレスチナ」を、ブログ『第二次湾岸戦争』では「イラク」を中心にお伝えしてきましたが、これからは2つのブログを統合して、『今日の中東』に名称を変更いたします。  米国の対イラク戦争は、1991年の湾岸戦争の延長線上にあると考え、第二次としましたが、いまやイラクは完全に内戦状況にあります。間もなく米軍はイラクから撤退することになるでしょう。  中近東で起きていることは、多くの . . . 本文を読む

ブッシュ大統領 今日から中東訪問

2006年11月29日 | Weblog
 ブッシュ大統領は29日、ヨルダンを訪れてイラクのマリキ首相と会談を行なう予定だ。  本来ならイラクまで出かけて話し合いを持ちたいところだろうが、内戦状態のイラクではブッシュ大統領の生命の保証はない。そこで、イラクの隣国であり、親米国家で知られるヨルダンが選ばれたわけだ。  ただ、ブッシュ大統領のヨルダン訪問の目的はそれだけに止まらないだろう。イスラエルとパレスチナの関係に口をはさみに来るはず . . . 本文を読む

ハマースの指導者が大金持ち込む

2006年11月29日 | Weblog
 パレスチナ自治政府の外相である、マハムード・ザハル氏は、アラブ諸国でかき集めた現金約2000万ドル(23億円)をスーツケイスに入れて28日、エジプトからガザ地区に持ち込んだ。  パレスチナはこれまで何度もお伝えしてきたように、ハマースが政権を握ったことを契機に、欧米からの財政支援を断ち切られ、貧困にあえぐ状態である。そこへ今回のザハル氏による、見方によっては派手な演出とも取れなくもない現金支給 . . . 本文を読む

危うい停戦合意

2006年11月28日 | Weblog
 イスラエルのオルメルト首相は27日、ガザの武装グループの人質(イスラエル兵)と引き換えに、イスラエルが拘束しているパレスチナ人活動家の多くを釈放する用意があることを表明した。  この発言は、イスラエルの「建国の父」ベングリオン氏の記念式典で行なったもので、前日にガザで停戦を成立させているだけに内外の注目を集めた。  これは、イスラエル側の手詰まり感を見せたようなものである。これまで、どのよう . . . 本文を読む

停戦合意

2006年11月27日 | Weblog
 イスラエルとパレスチナの両首脳は25日夜、電話会談し、イスラエル軍とパレスチナ武装勢力がガザ地区での戦闘を26日朝に停止することで合意した。停戦合意については、イスラエル首相府とパレスチナ大統領府から同日未明、発表された。  それを受け、イスラエル軍は同日朝、ガザ地区からすべての軍部隊の撤退を完了させた。  ところがその数時間が、ガザ地区からイスラエルに向け数発のカッサム・ロケット弾が放たれ . . . 本文を読む

第三次インティファーダ?

2006年11月26日 | Weblog
 ガザにおけるイスラエル軍とパレスチナ武装勢力による武力衝突は25日も続いた。  ハマースの活動家が乗るワゴン車がイスラエルの戦闘機からのミサイルで攻撃され、5人が死傷した。また、イスラエルとの境界線にある検問所で、“不審者”が銃殺された。ただ、この事件についての詳細は今のところ分かっていない。そして、ガザ北部に侵略したイスラエル軍とパレスチナ武装勢力の間で銃撃戦が行なわれ、イスラエル軍の発表で . . . 本文を読む

岐路に立たされたレバノン

2006年11月23日 | Weblog
 ベイルートで起きたピエール・ジュマイエル工業大臣の暗殺は、レバノン政界に大きな影を落とすこととなったが、父親のアミン・ジュマイエル元大統領が「報復は求めない」と、支援者に対して冷静な対応をするように求める声明を出したことで、「報復合戦」には至らないのではとの見方が出始めている。  22日はレバノンの独立63周年記念日。軍事パレードを含む様々な記念行事が計画されていたが、政府が3日間の服喪を決め . . . 本文を読む

「人間の盾」は非人道的か

2006年11月23日 | Weblog
 アメリカの人権団体「人権ウオッチ(HRW)」は22日、イスラエル軍によるパレスチナ人活動家の住居破壊を妨害する方法として「人間の盾」が使われたことに対して、非人道的なやり方と非難した。  確かに、HRWが指摘するように、建物を守るために支持者や活動家を「人柱」にする考え方は、人権擁護という観点からすれば、好ましくはない。また、組織からの指示がないにしても、意気に感じて感情の高ぶりだけで駆けつけ . . . 本文を読む

レバノン有力政治家暗殺

2006年11月22日 | Weblog
 レバノン政界の有力者であるピエール・ジュマイエル氏が21日、レバノンの首都ベイルートのキリスト教徒地区で、武装集団に襲われ死亡した。  ジュマイエル氏は国会議員で、閣僚に名を連ねるだけでなく、ファランヘ党というレバノンのキリスト教社会における最大政党の事実上の指導者であった。  レバノンの現況を簡単に説明すると、レバノンの人口の約4割がキリスト教徒で、その他6割をイスラーム教徒が占める。両教 . . . 本文を読む