浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

与党の主導権争い?

2005年08月31日 | Weblog
 ガザ地区から入植地を完全撤退したシャロン首相は30日、ラジオ番組に登場して与党リクード連合内でシャロン氏の地位を脅かす存在といわれているネタニヤフ元首相をこき下ろしました。  すると、ネタニヤフ氏もそれに反論、激しい舌戦が繰り広げられています。最近の世論調査では、リクード連合内でネタニヤフ氏の党員の間における人気は急上昇、シャロン氏を上回っているものも出てきました。  私の見たところ、二人の舌戦 . . . 本文を読む

イスラエル南部で自爆攻撃か

2005年08月28日 | Weblog
 先程、イスラエル南部のベル・シーバのバス停で大きな爆発があり、これまでのところ10名の負傷者が報告されています。CNNの現場中継を見た限りでは、死体は確認できません。犯行声明も今のところ出ていません。  イスラエル警察は、「自爆テロ」と発表していますが、現場は混乱しており、パレスチナ急進派の自爆攻撃と断定するには時期尚早と思われます。  ガザ地区の入植地が全て撤去されてから初めての爆破事件であり . . . 本文を読む

“テロリスト狩り”?

2005年08月26日 | Weblog
 自治政府のアッバース大統領とクレア首相は25日、前夜にトルカレムで行なわれたイスラエル軍の“テロリスト狩り”を和平への道を閉ざす行為だと激しく非難、その一方で、パレスチナ武装組織に自重するよう呼びかけました。  イスラエル軍は24日深夜、トルカレムにある住宅を数ヶ所急襲して5人のパレスチナ人を殺害しています。  イスラエル軍や警察は、政局とは関係なく必要とあらばこのような作戦を容赦なく行ないます . . . 本文を読む

アッバース議長?それとも大統領?

2005年08月25日 | Weblog
 以前、このブログで皆さんにお伝えしましたが、読者の方数名からこのところ「パレスチナのアッバス氏を大統領としているが、議長の間違いではないのか」との問い合わせと言うか、苦情に近いものが届いています。  確かに日本のメディアは、依然として議長としていますが、パレスチナ自治政府は、アラファト氏の生前から大統領と名乗っています。ただ、欧米のマスコミは、アラファト氏に対しては、最後まで議長名で呼ぶところが . . . 本文を読む

ワガママな入植者グループ

2005年08月24日 | Weblog
 ガザ地区全域と西岸地区の一部地域の入植地完全撤退から2日経つと、イスラエル国民も入植者達の勝手気ままな行動に冷たい視線を浴びせるようになりました。  撤退した入植者達は、保証金をもらった上、移住先をあてがわれています。ところがそれが気に食わないと、デモをしたり、主要駅の近くの目立つところにテントを張って政府に抗議しています。それが一般市民の感情を逆なでしたようで、各所で入植者達と議論する姿が見ら . . . 本文を読む

シャロン首相 支持率急落

2005年08月24日 | Weblog
 イスラエルのハーレツ紙は、入植地からの撤退が予定通り終了した24日、与党リクード連合支持者を対象としたアンケート調査を発表しました。   22,23日の2日間に行なわれたアンケートでは、シャロン首相が大きく支持率を失い、同僚のネタニアフ元首相が47%という高い数字を獲得したのに対して、30.5%しか支持を得られませんでした。この数字は、保守層の多いリクード連合の支持者に、今回の入植地撤退がいかに . . . 本文を読む

“神聖な場所”からの撤退

2005年08月23日 | Weblog
 ガザ地区の入植地全ての撤退が完了し、西岸地区にある4ヶ所の入植地の撤去が23日、始まりました。  その中の一つ、サヌール入植地では、入植者と支持者がシナゴーグ(礼拝所)にバリケードを作って立て籠もっています。米CNNなどは、その模様を何時間も延々と実況中継をしていました。ユダヤ教の聖域であるシナゴーグに突入を試みる兵士や警官は一切武器を携行せず、その複雑な情況下で入植者の排除を実行する模様は、今 . . . 本文を読む

西岸地区の入植地は今も拡大

2005年08月23日 | Weblog
 イスラエルのガザからの入植地撤退が進む一方、西岸地区では入植地の拡大が続いています。  「Jerusalem Post」紙は22日、シャロン首相とのインタヴューを掲載、その中でシャロン氏は、「過去、何れの政権も政治信条は問わず入植地を広げてきた。私もそれをためらうことはない」と明言、今後も入植地を広げる方針を明らかにしました。  中でも、エルサレム郊外にある巨大なマアレ・アドミム入植地や北方にあ . . . 本文を読む

首脳会談へ

2005年08月23日 | Weblog
 ロイター通信が伝えるところによると、アッバース首相は22日、イスラエルのシャロン首相の元に電話を入れ、当日に完了したイスラエルのガザ撤退を賞賛、両首脳による首脳会談を持ちかけたとのことです。  両首脳の側近は、何れもその電話会談の事実を認め、近く首脳会談が行なわれることを示唆しました。首脳会談は、実現すれば約2ヶ月ぶりのことになります。  シャロン氏サイドから出された声明には、アッバース大統領が . . . 本文を読む

目に余る入植地の撤去報道

2005年08月22日 | Weblog
 土曜日はユダヤ教の休息日ですから入植地の撤退もひと休みしていましたが、21日には再開されました。  アメリカのマスコミの報道は日を追って「お涙頂戴」の傾向が強くなり、21日の各TV局のニュースは目を覆わんばかりのものでした。  入植者達の排除作業に当たる兵士達は、ユダヤ民族の大義を訴える入植者たちの言葉にたじろぐ者も少なくなく、子ども達の泣き叫ぶ姿に困惑し、挙句に涙を浮かべる者もいます。それを情 . . . 本文を読む