カタカナのソとンはとてもよく似ています。
世の中には似たような文字はたくさんあります。大文字のIと小文字のlと数字の1とか。カタカナのニと漢数字の二とか。カタカナのロと漢字の口とか。
でも挙げた例は全部文字のジャンルが違う。ソとンに関してはカタカナという完全に同じグループの中での類似なので困りものです。
ちなみに「困りもの」と書きましたが、実は私自身は困ったことは一度もありません。だっていつも明確に区別がつくから。
最初の画像だってこれを見て「ンソ」とか「ソソ」だとか誤読する日本人はほとんどいないと思われます。
でも日本語を勉強している他言語使いの人にとってはどうなのかな。
これも私の手書きなんですが読めますか。
正解はこちら。Rさんに読ませてみたらちょっと躊躇したところもありましたが最終的に正しく読み切りました。
書いたのはサインペンでしたが、割とはっきり線の払いが見えたり、起筆(書き始め)のフックが見えるから分かりやすかったかな。
これはどうでしょう。食パン。
ソース。こんな話の途中なので「んーす」と読む人もいるかもしれませんが、そういう人はひねくれものなので早めに性格を修正するように。
で、このンとソは同じものです。記号として同じでもたいていの場合は前後の文字で瞬間的に読み分けています。
ソとンを決めているのは何か。一画目の点と二画目の棒との位置関係に注目しました。
ソの二画目は点と同じくらいか点より高い位置から書き始める。
ンの二画目は点より低いところで書き終わる。
上の画像のように平仮名との関係かとも考えたのですが、そもそもカタカナは平仮名から派生してできたものではないのでこれは間違い。
カタカナも平仮名も漢字の省略形として生まれたものです。ソとそに関しては字源はどちらも同じ曽ですが、ンとんは元は別の漢字です。(ンについては諸説あり)
一画目と二画目の位置関係、各書体ごとの字形としてはどうなのか見比べて見ました。
上から6つ目のAR丸ゴシックだけは一画目と二画目の上端がソとンとで同じですがそれ以外は確かに点と棒の上下の位置関係が明確に異なっています。
ソとン、シとツの区別については検索すると実に昔から様々な考察が書かれています。
一画目の点の角度の違いがソとンを区別しているという説を述べているのが2019年8月のロケットニュース≪「ン」と「ソ」の境界線を考える≫。
一画目の点を回転させてどこまでがンでどこからがソなのかをアンケートを取って考えています。(20人に聞いて4からソが3名、5からが8名、6からが9名だったそうです)
面白いですね! さっきの書体ごとの比較で一画目と二画目の上端が揃っていたAR丸ゴシックも見ると一画目の角度を大きく変えています。
また別のサイトでは一画目と二画目の左右位置関係に注目している人もいました。これも確かにその通り。
ということで、昔のことは知りませんが現代においてはいくつかの違いによりソとンはまあまあ明確に書き分けられているようです。
ちょっと前なら文字にクセのある小説家の生原稿を受け取った写植オペレータなんかはけっこう本気で困っていたかも知れませんが、それも昔話。
今更な話題でしたが台風で動けない中、数時間は考察していたことなのでアップしたいと思います。