アートインプレッション

株式会社アートインプレッションは、美術展の企画を主な業務としている会社です。

影絵芝居『聖アントワーヌの誘惑』

2011-03-31 11:40:33 | 陶酔のパリ・モンマルトル
今回は、「陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910」展の舞台であるキャバレー「シャ・ノワール」で上演されていた、影絵芝居 聖アントワーヌの誘惑 をご紹介します。
当時、影絵芝居は映画に先駆ける総合芸術として、特設ステージに投影される影絵の色彩効果やキャバレー店主の軽妙な口上、さらに音楽が一体となって観客を魅了しました。その中でも特に大きな人気を誇っていたのが、『聖アントワーヌの誘惑』です!


聖アントワーヌの誘惑

1887年
アンリ・リヴィエール 《影絵芝居『聖アントワーヌの誘惑』》
(c)ADAGP, Paris&SPDA, Tokyo, 2011



何だか構図が日本的じゃありませんか?
当時はパリ万博の全盛期。大衆に混じって沢山の芸術家がパリ万博に押し寄せ、東洋の芸術に心を踊らせていました。
この影絵芝居のデザインをしたアンリ・リヴィエール(1864-1951)もその中の一人です。ジャワの影絵芝居に影響を受けつつも、日本的な構図や微妙な色彩を表現しようと試行錯誤を繰り返しました。日本美術に魅了されるあまり、後年は富嶽三十六景ならぬエッフェル塔三十六景を制作したのですよ。

影絵芝居のあらすじは・・

紀元4世紀、テーベの砂漠で隠遁生活を送りながら祈りを捧げる聖アントワーヌの元に、ある晩悪魔が忍び寄る。
艶かしいシバの女王や金銀財宝の山、さらには異教の神々が現れて真理や知識の幻影を見せつけ、ありとあらゆる方法で聖アントワーヌを誘惑するというものです。
原作は『ボヴァリー夫人』で知られる小説家、ギュスターヴ・フローベール。何と約30年もの歳月をかけて執筆しました。

上演する際にはピアノの生演奏が入り、「シャ・ノワール」店主のロドルフ・サリスが即興で口上をしていました。
影絵芝居アルバムを見ても、次々と移り変わるシーンに合わせて音楽も表情をガラリと変え、宗教劇ではありますが世紀末的な香りが濃厚に漂う作品に仕上っています。

さらに!

本展覧会では東京芸術大学音楽学部のご協力のもと、当時使用された音楽を演奏、録音し、影絵芝居用のイラストと一体化した再現映像の制作を試みました!!
制作の様子も後日ご紹介いたしますね。

次回は、もう一つの影絵芝居『星への歩み』をご紹介いたします。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。