金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【競馬】ダノンプレミアムの謎

2019-03-21 08:39:33 | 競馬
 本日は休日なので競馬のテーマでいきます。

 ダノンプレミアムが大阪杯を回避しました。金鯱賞の勝ち方が鮮やかだっただけに、ファンとしては残念な思いです。ただ当初、厩舎筋から殆ど情報が出てこなかったため、ネットでは様々な憶測を呼んでいました。

 蹄を痛めたのなら報道があるはずですし、香港を目指すなら大々的に発表があっても良いはず。最も不自然なのは、競馬サークルが一斉に口を噤んでいたことです。(グリーンチャンネルの「炎の十番勝負」では、出演者がみな、当たり前のように「ダノンプレミアムは大阪杯には出ないこと」を前提にした予想をしていました。しかも出ない理由については、一切触れないという不自然さでした)

 これは面倒くさい揉め事の匂いがプンプンしてきます。
 一番有りそうなのは、キセキの金子オーナーとダノンの野田オーナーが、川田騎手を取り合うという事態。ここからは私の妄想でしかありませんが、川田騎手がキセキへの騎乗を先に決めてしまった後、ダノンプレミアムの強すぎる復活で迷い、これがトラブルの原因になったのでは? などと考えています。

 普段ならば、ミルコやルメール、武豊騎手への乗替わりで済みますが、この日はドバイと重なっており、そうもいきません。結局、川田騎手を救うために、中内田調教師の判断で出走回避を選択したのではないでしょうか?

 これと似た話が以前にもありました。
 凱旋門賞が終わったあと、帰国したディープインパクトが天皇賞(秋)に出場しようとしたところ、武豊騎手が先にアドマイヤムーン騎乗を決めてしまっていたため、ディープに乗れなくなったこと。この時は、アドマイヤの近藤オーナーとディープの金子オーナーの取り合いになった訳ですが、池江調教師はトラブルを避けるためにディープの出走を見送りました。(当時の検疫法では、十分に天皇賞(秋)に出場可能でした。今は無理ですけど)

 ファンとしては釈然としませんが、発表されたローテーションはマイラーズCから安田記念とのこと。ダノンプレミアムには、マイル戦でのモーリスのような羽ばたきを是非に期待したいものです。

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【金融】AIと資産運用 その3 日本のロボアドはアミダくじと一緒!

2019-03-20 07:29:21 | 金融マーケット
 昨日は、「すべてAIに任せる運用商品」は怪しい、ということを申し上げました。

 今、日本の資産運用の世界で「AI活用」という言葉を最も多用しているのは、ロボアドと呼ばれる、資産運用アドバイス機能を売りにしている業界です。スマホアプリをダウンロードして、自らのリスクに関する考え方を、3つか4つの質問だけで「判別」し、それにより運用すべき資産運用ポートフォリオを提案するというもの。実際に口座開設をすれば、投資金額の1%を投資助言料として収受するビジネスモデルです。

 このビジネス自体はけしていかがわしいものではなく、むしろ、安いコストで資産運用を広く国民に広めることができる分野として、私自身も応援している業界ではありますが、このプロセスに「AI活用」という言葉を多用しているのはいただけません。3つか4つの質問によって、リスク許容度を測る仕組みは、けしてAIと呼べる代物ではなく、単なる「アミダくじ」に他なりません。すなわち、最初から3パターン程度のポートフォリオを用意して、そのパターンに至るための「アミダくじプロセス」に過ぎないからです。「何だか判らないけど、人工知能が導き出した結果なんだから良さげに見えるわなぁ」と個人投資家は感じていると思いますが、これはもうお客様を愚弄しているレベルだと思います。

 こういう代物を、日経新聞も朝日新聞も、平気で「AI活用のロボアド」と紹介しています。もちろん、AIという言葉が指す範囲が曖昧すぎるのが原因なのですが、そろそろマスコミの方々にも、素人の個人投資家が勘違いするような表現を避ける責任があると思いますが、いかがでしょうか?

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【金融】AIと資産運用 その2 「すべてAI任せ」は怪しい商品です!

2019-03-19 07:17:15 | 金融マーケット
 前回、将来を予想する世界である資産運用においては、AIの活用の仕方を間違えると大変なことになると申し上げました。

 その最たるものが「すべてAIにお任せ運用」というタイプの運用商品。すなわち、世の中の神羅万象をAIに覚えさせて、その動きと、株式・金利・為替等の動きの関連性を把握して投資結果を得ようとするもの。最初は富裕層向けヘッジファンドに出現しましたし、今では個人向けの投信にもこのタイプが幾つか出ています。しかし、ご案内のとおり、あまり芳しい結果が得られていないため、投資家から多くの不満が噴出しています。

 神羅万象と有価証券の関係を探す作業自体は、面白い試みです。むしろ、世の中のクオンツ系運用会社は、そうした分析を何十年も毎日毎日行いながら、様々な運用モデルを作ってきました。その活動を合理的に、かつ効率的に行う上では、AIは活用すべき大切な技術であります。しかし、AI技術の基礎ともいえる機械学習、そしてディープラーニングによって得られた、神羅万象と有価証券の関係式では、どの因子とどの因子が関係してどのような結果に結びついているのかという因果関係が、一切判明しません。したがって、クオンツ系ファンドマネージャーは、それらの因子・因果関係について「仮説」を立てて推測していくことに向き合っています。
 立てた仮説が正しければ、かなり普遍的な法則を導き出せることになりますが、なかなか正しい仮説に到達することはできません。ここが人間の力の見せ所なのですが、この仮説を立てる力=仮説力、こそがAIでは不可能な領域であり、人間の存在意義を見せる分野なのです。

 ところで、神羅万象と有価証券の関係自体は一定ではありません。パラダイムシフトにより法則性が激変するケースが多々あります。かつて「円高=株高」だった日本市場が、今や「円安=株高」が常識となっています。したがって、例え人間が高い仮説力で「真理」に迫ってみても、世の中では一定期間が経つと「真理」自体が変形していくのです。これを追いかけて、AIだけの力で将来を予測させることは、まず無理だと考えて良いと思います。

 このように、すべてをAIに任せる運用商品、というものに出会ったら、これは「怪しい商品」だと思ってまず間違いありません。すでに投資信託などには、こうした商品も出回っていますので、個人投資家の方は是非お気をつけ下さい。




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【金融】AIと資産運用 その1

2019-03-18 08:08:58 | 金融マーケット
 本日からは「AIと資産運用」というテーマを取り上げたいと思います。

 今、全世界で、そして全ての産業で「AI」をどう活用していくかが最大のテーマになっており、すでに実用段階に入っている分野も数多く存在しています。自分が所属している資産運用業も、その典型的な業界の一つです。
 それにしても「AI」という言葉は人工知能と訳されることが多いため、鉄腕アトムのように、知性をもって自律的に思考することができる能力を思い浮かべてしまいますが、その実態は単に「人間の知的ふるまいの一部をソフトウェアを用いて人工的に再現したもの」に過ぎません。

 数学者の新井紀子先生の言葉を借りれば、「行列式同士を関連づける最適な数式を導き出すだけのもの」に過ぎず、因子同士の因果関係を思考するプロセスは一切ありませんので、AIが導き出した数式には因果関係の説明を求めることはできません。この部分は永遠にブラックボックスとなります。
 しかも、行列式(すなわち世の中の動き)は日々変化していきますし、因数同士の関係が劇的に変化するパラダイムシフトも時々発生するため、AIが導き出した数式は、将来の劇的変化には対応ができない場合も多々発生することを覚悟しないといけません。

 AIは、私たちのこれからの生活を激変させる素晴らしい技術ではありますが、資産運用という「将来を予想する業」においては、活用の方法を間違えると、全く有効でないばかりか、詐欺行為と呼ばれかねない厄介な技術でもあります。その有効さと限界をよく知ったうえで活用しなければなりません。

 明日からは、資産運用業界でのAI活用の最前線、さらには将棋界での動きも参考に、AIの得意分野、不得意分野について、お話をしていきたいと思います。



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【競馬】最も危険なGⅠの大本命馬! サートゥルナーリア

2019-03-17 08:03:33 | 競馬
 昨日のフラワーカップは三連複1点で的中できました。本日はリッジマンとゲバラに頑張ってほしいものです。

 さて、今年の3歳牡馬路線が混沌としてきました。
 昨年末の2つのGⅠレースで好走していた勢力が、年明けの重賞路線で新興勢力にことごとく敗れ去っており、レベルがそれ程でもなかったことを露呈しています。

 しかし、現在でも3歳世代牡馬のトップ評価を守っているのが、ホープフルS勝ち馬のサートゥルナーリア。3戦3勝の戦績は素晴らしいのですが、旧勢力の代表格であり、一緒に走った馬たちの評価がかなり下がりつつある中にあって、サートゥルナーリアについては、生産界や評論家の見解が「圧倒的NO.1!」ということで一致しており、全く評価がブレないのです。

 サートゥルナーリアは名牝シーザリオの子、エピファネイアやリオンディーズの半弟で、牧場時代から評判の馬でした。しかも、この馬の評価は、今の生産界の今後の方向性を左右するほど重要なものだと言えるのです。
 すなわち、新しい生産界の星であるロードカナロア産駒であり、この馬の評価が、今年の当歳セールのカナロア産駒の相場を左右することになるのです。すでに1年目からはアーモンドアイというスーパーホースが出ていますが、アーモンドアイ以外は1200~1600mが得意なスプリンターやマイラー中心の産駒が多い状況。もしサートゥルナーリアが日本ダービーを勝つようであれば、ディープインパクトの次の時代を牽引する大種牡馬の道が開けることになります。単なるスプリンター血統ではなく、チャンピオンディスタンスの中心となる種牡馬として君臨できれば、ロードカナロア産駒は軒並み1億円以上の値をつけることになるでしょう。

 少なくとも、今の時期に評判を落とす訳にはいかない事情が、サートゥルナーリアの周辺(特に生産界)には見え隠れしています。自分の経験では、こういう訳アリの本命馬というのは、最も危険な本命馬だと感じてしまいます。

 皐月賞では、C.ルメール騎乗のサートゥルナーリアが間違いなく圧倒的な1番人気に押されると思いますが、自分はこの馬を外した馬券を買おうと思っております。
 今から宣言しておきます。

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