どうせ今日も遅滞薹風によるしつこい雨で棲家に足留めになるのだからと、久しぶりに押入れから平成三年(1991年)に新潮社から發賣された三島由紀夫「近代能楽集」の録音テープを引っ張り出して聴く。日本の名作を完全朗讀した“新潮カセットブック”シリーズのひとつで、昭和五十一年(1976年)七月三日から十三日に國立劇場で上演された、“三島由紀夫追悼公演”のライヴ録音。私が「近代能楽集」を新潮文 . . . 本文を読む
午前中に散歩して帰宅すると、正午あたりから激しく雨が降り出す。午前中に南九州へ上陸した薹風十號の影響にや、トウキョウ圏内ではこの大雨で冠水や浸水の被害あり、遅々とし過ぎる薹風のために、かうした状況が来月の初めまで續くのかと思ふと、やはり今年も迷惑な夏だったと締めくくることになるか。 . . . 本文を読む
深夜に激しい雨音で二度も目を覺まされ、今朝からはイヤな雲とイヤな雨が斷續的に棲家の上空を通過し、これも接近が遅延してゐる薹風十號とやらのせいかと嘆息す。おかげで雨天になると映らなくなる朝鮮産“ドロドロ物”TVドラマもロクに觀られず、ガッカリしてゐる頃に西國では大雨により交通機關などが大幅に混乱云々、夕方の止み間を狙って急ぎ散歩をしたあとは、八月の殘り數日をいかにして過ごすか、思案投首にて夜を過ごす . . . 本文を読む
ラジオ放送で、能樂の樂器と、謠ひとの“一騎打ち”を聴く。鼓、または太鼓(締太鼓)と謠のみで一曲のサワリを奏する形態を「一調」と云ひ、シテ方の謠と囃子方の樂器とが、日頃鍛練の技量をその一曲のなかでぶつけ合ふもので、“合奏”と云った仲良しこよしでないところが、ほかの音樂とは違ふ點か。聴衆は舞薹上における能樂師の、さうした真剣の妙を味はふ──のが、一調の樂しみのやうだが、見物人のはうにも謠ひや鼓の真剣な . . . 本文を読む
神奈川縣相模原市のグリーンホールで、「第三十六回 相模原薪能」を觀る。屋内で模擬篝火を設へての上演形態もすっかり定着した行政主催の演能會、今年は寶生流宗家が「船辨慶」を、“後之出留之傳”なる小書(特殊演出)を付けてつとめる。前シテで、義經と向かひ合って涙する件りはわかったが、座席位置の都合で後シテが最後に揚幕あたりでやった型は、全く見えず。さりながら問題なし。二期目の相模原市長が、初 . . . 本文を読む
夏の始めあたりからアレよアレよと値上がりの始まった精米が、いまやスーパーから姿を消して、久しくなりつつある。原因については、「飼料用米に力を入れ過ぎたから」や「地震で物流がストップしてゐるから」など、いろんな人がいろんな事を宣って、はっきりしない。おそらく、誰にもわからないのだらう。さりながら、お辯當のご飯や販賣おにぎり、炊き上がり済みのレトルトご飯は、いつも通りに賣られてゐる。ただ精米だけが、無 . . . 本文を読む
ワキ方である下掛寶生流の謠ひを、ラジオ放送から樂しむ。謠曲と云ふと素人にはシテ方のものと云ふ印象があるが、ワキ方にも確と謠ひがあり、下掛寶生流には独自の謠本も刊行されてゐる。が、シテ方のほどには素謠を耳に出来る機會がないだけに、今回の放送は好企画。能樂の場合、主演のシテに對するワキは、現代で云ふところの脇役ではなく、“相手役”と云った位置付けであり、曲によってはワキ方が物語を主導する作品もある。私 . . . 本文を読む
夕方から、現代手猿樂の活動。暑さと急な雨の心配さへなければ、なんだかんだ言って今年の夏も自分らしく生きられたな、と思へるのだが、この異常な天候は結局のところニンゲンの仕業なれば、文句を云ったところで始まらぬ、か……。 . . . 本文を読む
今夏も埼玉県のふじみ野市立産業文化センターで開催の「ふじみ野産文フェスティバル2024」に参加し、現代手猿樂を舞ふ。昨夏の初参加では男踊りの「すゑひろかり」を演じたので、二回目の今回は女形の踊りにしやうと、「おわら娘」と「春雨おもん」の二番を選ぶ。「春雨おもん」は既に何度か演じてゐるもの、「おわら娘」はかつて信州で製糸業が盛んだった時代、越中から糸繰りの工女としてやって来た女性たちが故郷を偲んで“ . . . 本文を読む
いかにも薹風一過な夏雲と、容赦ない熱暑のもと、いちばん苛酷な正午に外出の用事あり。發汗も疲れも、明らかにいつもと違ふ。ニンゲンの耐久氣温を超えてゐるのではないか。無理は禁物。すべてが、もはや昔になってゐる。 . . . 本文を読む
薹風七號が関東接近云々、朝から雨が降ったり止んだりのジトジトした天氣ゆゑ、一日を棲家で過ごす。薹風は房州沖を通過したやうで、私の近辺ではザッと来る雨に驚かされたほかは幸ひそれらしき被害もなく、まず今回のところは安心して眠れさうだが、地面を揺らすことは勘辯願ふ。 外出を控へた代わりに、棲家で有意義な時間を過ごしたと云ふとさうでもなく、ダメだったなァ、と反省しつつ明日の支度をせり。 . . . 本文を読む
終戰から七十九年。私が生まれる前の、經験してゐない太平洋戰争の事實をもっとも實感するのが、京濱急行線の旧平沼橋驛跡。このブログでもこれまでに何度か取り上げてきた、昭和二十年五月二十九日の、米國軍による橫濱大空襲の遺構。この空爆により平沼橋驛は炎上し、その後に廢止となる。廢止後もホームを取り壊さず敢へて遺してゐる京濱急行の心意氣に、私は心から拍手する。日本各地において、空襲体験を語る方が高齢化し、い . . . 本文を読む
午前中に、都内へお盆のお墓参り。お寺へ近づくにつれて上空にはイヤな雲、そして到着すると大粒の通り雨。私は軒下に入って止むのを待ってからお参りしたが、雨の直前にお参りに行ったよその家族が、しばらくしてから濡れて戻って来ていた。熱暑については、近頃はさういふ夏ゆゑ、とまだ納得出来るが、急な雨とそれに濡れることだけは、身が震へるほどに納得いかぬ。しかし、来る十六日あたりには東京圏が薹風七號の影響で天候大 . . . 本文を読む
ラジオで昨年十一月二日に逝去した狂言方大藏流の山本則俊師追想の「鐘の音」を聴く。山本家の狂言らしい剛直な藝の傳承者にして、はっきりと耳に届く美聲の持ち主にして、舞薹上で硬い表情であるがゆゑにかへっておかし味が滲み出る、さうした魅力のある狂言方であった。いつであったか、東京郊外の文化ホールで山本家による狂言の會が催された時、終演後に則俊師が羽織袴の正装でロビーに立って見送りの挨拶をしてゐたが、そのや . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/tvasahinews/nation/tvasahinews-000365463?fm=d墜落原因については、現在に至るまで新説奇説百出で、ただ一つのはずの真相が、時間を重ねるごとに藪の奥へと隠されていく氣がする。しかし、520名の人々が亡くなったことだけは、はっきりとした事實だ。思へば今年の正月早 . . . 本文を読む