迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

お手頃授業料。

2018-06-30 23:41:10 | 浮世見聞記
抽斗にとりあへず仕舞ってそのままになってゐた、これまで訪ね歩いた企画展や公演、上映会の宣伝チラシを、ようやくファイルに整理する。 いつかはやらなアカンなぁ……、と自覚はしつつも、キッカケが無いまま数年。 今日は予定外にヒマな時間が出来たので、「ほな、やろか……」と腰をあげる。 かういふ手近なことほど、ちょっとしたキッカケがないと、なかなかその気にならないものだ。 整理していくうち、何年も . . . 本文を読む
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嬉しいサヨナラ。

2018-06-29 19:20:27 | 浮世見聞記
数日来の暑い晴天に、梅雨なんて終わったのではないかと思ってゐたら、気象庁が午前十一時に、 「関東地方は梅雨明けしたと思はれる」 と、発表せり。 一昨日からの強い風が、陰鬱な梅雨雲を吹き払ひたまふたものか、今年は今月六日の梅雨入り宣言から、わずか二十三日間の梅雨。 六月中に梅雨が明けるのは、かなり異例らしい。 さりながら、上空を急々に流れ去る雲を見上げて、私の活動をとかく遅滞させる雨は、無 . . . 本文を読む
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たまがわもろもろ。

2018-06-28 18:24:02 | 浮世見聞記
清流を好む鮎が、今年は多摩川に多く遡上してゐるといふ。 冬季の水温にも関係してゐるさうだが、かつては環境汚染の象徴のやうに扱はれてゐた多摩川が、浄化につとめる方々の手によって、昔の姿を取り戻しつつあることの証しでもある。 都内の流域からほど近い町に住んでゐた幼少期に見た多摩川は、水面に茶色のアブクが多く浮ひてゐたことを、確かに記憶してゐる。 幼な心にも、「きたないな……」と感じてゐたが、し . . . 本文を読む
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「今は昔」進行中。

2018-06-28 00:11:01 | 浮世見聞記
銀座線渋谷駅の線路架け替え工事も着々と進行中のやうで、それまで明治通り上の橋桁を支へてゐた橋脚も、新しい橋桁からは上部を切り離され、 お役御免の姿となってゐる。 それまで東急百貨店内にあった銀座線渋谷駅は、しばらくすればこの橋桁の上、つまり明治通り上に移設されるわけだ。 井の頭線以外の各路線が東急百貨店に集まってゐた時代は、湘南新宿ラインと埼京線はともかく乗り換えが実に便利だったが、東 . . . 本文を読む
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都市的夏景色。

2018-06-26 19:18:33 | 浮世見聞記
東京は昨日に続ひて、あつい晴天の一日。 まう梅雨など過ぎたのではないか、いや、むしろさうあってほしいと思ひつつ、汗の止まらない我が身を持て余してゐると、通り沿ひのビルからはさっそくミストが噴射されてゐるのを見る。 地方にくらべて、ムダに暑く感じるトウキョウ都心部。 その明らかにムダな熱を少しでも冷まさうと、いつからか始まった工夫が、今年も始動せり。 そして、 「今年の夏は大人しく . . . 本文を読む
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見たうもない魅せたがり。

2018-06-25 07:05:00 | 浮世見聞記
手猿楽のための“教科書”を求めて、神保町の古書店街を訪ねた帰り、乗った地下鉄の車内で、いかにも現代な広告をみる。 その部分へ他人(ひと)が僅かに接触してしまっただけでも、 チカン! と騒ぐことは出来るのだから、 なるほど強力な『武器』であらう。 . . . 本文を読む
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音は五感で聴く。

2018-06-23 00:18:47 | 浮世見聞記
東京都港区台場の遊興施設を訪れやうとした四名の聴覚障害者が、 「(健聴者の)付き添ひがゐなければ、災害時に情報の伝達が出来ない」 として、入場を断られたと云ふ。 なんでもかんでも、すぐに「差別だ!」と騒ぎ立てる當世の風潮を私はよしとしない者だが、これは文句なしの障害者差別だ。 結果的には遊興施設側が、「不快な思ひをさせた」と謝罪し、改善を検討するとしたさうだが、健聴者の付き添 . . . 本文を読む
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人相書。

2018-06-20 19:41:50 | 浮世見聞記
上の男、 平成三十年一月八日、 多くの新成人女性の心を、 そして我が国の傳統文化を踏みにじって逃亡、 新成人女性の家族より掠め盗ったる代金は、 「会社に金がなゐ」 を言ひ訳に口を拭ひ、 本日六月二十日に横浜市内で行はれた債権者向け説明会にも姿を見せず。 出席した被害者の親、 「(会社に金がなゐと言はれては)諦めるしかなゐかと……」 上の男、それを見越しての犯行なること、明白なり . . . 本文を読む
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二十年前といふ昨日の記憶。

2018-06-18 22:33:15 | 浮世見聞記
今朝の大阪で発生した地震の被害状況が次第に判明するにつれて、耳馴染んだ地名が次々に出て来て、しかし自分は為す術もなし。 朝から情報に注意してゐたが、師匠のゐる四天王寺については何も伝わってこないところをみると、大きな損傷はなかったものと判断したい。 道頓堀の芝居小屋は、さすがに今日の公演を中止にしたらしい。 昭和天皇が崩御した日も、阪神淡路大震災が発生した日も、おのれの営利を最優先して . . . 本文を読む
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他人事ならず。

2018-06-18 09:10:48 | 浮世見聞記
大阪府北部を震源に、震度6弱の大きな地震があったと知る。 大阪府北部は、私が人生の修行をした町──第二のふるさとである。 現時点の中継映像で見るかぎり、大阪中心街は落ち着ひてゐるやうだが、おいおゐ被害状況がわかってくるだらう。 まさか、このやうな形でふるさとの現在(いま)を目にしやうとは。 そして四天王寺には、師匠がゐる。 まさか居場所が倒壊してゐることはなゐだらうが、気がかりではある。 . . . 本文を読む
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ど忘れの効能。

2018-06-17 23:48:41 | 浮世見聞記
新宿の末廣亭へ、夜席のトリをとってゐる桂小南の落語を聴きに行く。 末廣亭では19時以降になると木戸銭が1500圓に割引となるので、かういふ時にはありがたゐ。 中に入ると三遊亭遊三が「青菜」を口演の最中で、やがて中入りとなり席につく。 中入り後の最初は神田松之丞の講談。 「笑点」の演芸コーナーで初めて観て以来、いちどナマで聴ゐてみたいと思ってゐたこの若手講談師の今日の演題は、四代横綱谷風 . . . 本文を読む
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三宅坂の毛越寺。

2018-06-16 23:24:07 | 浮世見聞記
国立劇場で、「毛越寺の延年」公演を観る。 岩手県西磐井郡平泉町にある毛越寺の「延年の舞」は、猿楽以前の中世藝能の形態を色濃く傳へてゐるといふことで、一度は観に出掛けたいと願ひながらなかなか叶はずにいたが、国立劇場の民俗芸能公演といふ形で、ようやく叶った。 延年の舞は毛越寺境内の常行堂で、毎年一月二十日に行はれる法要「常行三昧供」において奉納される法楽藝能として、傳承されてきた。 その常行 . . . 本文を読む
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均衡運行。

2018-06-15 23:58:16 | 浮世見聞記
東海道新幹線に続いて、山陽新幹線におゐても、事故が発生した。 しかも、外的要因による点までが、一致してゐる。 前者は自殺志願の気違ひであり、後者につひてはまだ捜査中のやうだが、だうせシゴトに疲れただのなんだのと勝手に悲観した、そんなところではあるまいか。 後者について、報道屋は運転士の不始末ばかりを騒ぎ立てるが、そもそもの原因となったホトケの迷惑行為の方も、糾弾するべきだらう。 新幹線の . . . 本文を読む
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彼方なる「人間賛歌」。

2018-06-15 19:05:19 | 浮世見聞記
國學院大學博物館の「狂言─山本東次郎家の面─」展を観る。 能面展は玄人素人こき混ぜてよく行はれるが、狂言の面ばかりを展示した企画はなかなか珍しく、興味をもって出かける。 精選された約二十点の狂言面が横一列に並んだところはなかなか壮観、猿楽面との大きな違ひは、動物の顔を模した面──狸、狐、猿など──があることだらう。 神や人間を模した面は、その表情の一瞬を切り取って愛嬌で磨きあげた、なんとも . . . 本文を読む
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環五模様。

2018-06-13 18:51:32 | 浮世見聞記
歩道橋の落書きを、一生懸命に消しておられる方たちを見かける。 成果は、 最前線の地道な活動にあり。 頭の下がる思ひ。 かたや何かの建築現場の前で、   それまでそこにあった公園を返せと、往年の流行歌の替ゑ歌を叫んで正義を訴へてゐる………、つもりの団体が屯してゐる。 塀の外で、 塀に背を向けて叫んでゐるところに、 面々の本当に意図してゐるものは、 露呈してゐる。 . . . 本文を読む
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